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日経平均株価 1万3000円を突破 値上がり幅は500円超/日銀金融緩和 黒田流の発信力を評価する

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東京株、値上がり幅500円超 4年8カ月ぶり1万3000円突破
産経新聞2013.4.5 09:11
 5日の東京株式市場は大幅続伸で始まった。日経平均株価の寄り付きは、前日比246円28銭高の1万2880円82銭。さらに上昇が続き、1万3000円を突破。値上がり幅は一時500円を超えた。
 日経平均株価の1万3000円の回復は2008年8月以来、4年8カ月となる。
 東証株価指数(TOPIX)の始値は、前日比19.08ポイント高の1056.84。
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日銀金融緩和 「2%」達成へ決意見せた 黒田流の発信力を評価する
産経新聞2013.4.5 03:25[主張]
 日銀が黒田東彦総裁就任後初の金融政策決定会合で量的・質的緩和を導入した。
 黒田氏は会合後の記者会見で、「現時点で必要と考えられる措置は全て投じた」と語った。2年間で物価上昇目標の2%を達成する決意を金融政策で示したことを評価したい。
 さらに、新たな金融緩和で供給する資金量は「常識を超えて巨額だ」とも述べた。物価目標とデフレ脱却という重い課題を達成するには、あらゆる手法を動員し、一刻の猶予も許されないという危機感、切実感が伝わってくる。
 ≪歓迎したい「方針転換」≫
 軸となるのは、効果を見ながら徐々に緩和を進めてきた日銀の方針の大転換だ。氏は、それまでの日銀の緩和策を「不十分」で「量的にも質的にもさらなる緩和が必要だ」と述べていた。その考えをかたちにしたといえる。
 今回のメニューは多様だ。金融緩和目標を無担保コールレート翌日物の金利をゼロ近くに抑えることから、日銀の市中への資金供給量(マネタリーベース)を昨年末の138兆円から2年間で約2倍の270兆円まで増やすことに変更した。
 同時に白川方明前総裁時代に金融緩和目的で国債などを買い入れるために設置された基金を廃止し、日常の金融市場調節で使う国債購入と一本化した。
 このほか、日銀が購入する長期国債の対象を全種類とし、「満期まで平均3年弱」から「7年程度」に広げた。元本割れリスクのある上場投資信託や不動産投資信託などの購入も大幅に増やす。
 指摘したいのは、今回盛り込まれた施策は、黒田氏や岩田規久男副総裁が国会や記者会見などで幾度となく、それも明確に言及していたことだ。
 例えば、長期金利の上昇を抑える目的で、購入国債の範囲を拡大し、満期までの残存期間を限定しないことや、金融緩和姿勢をわかりやすくするために日常的な金融調節での国債購入と基金での国債買い入れを統合することについて国会で発言していた。
 このように総裁や副総裁が金融政策の狙いや具体的手法を決定前に語る例はこれまでほとんどなかった。市場の思惑が生まれるのを防ぎ、サプライズ(驚き)効果を狙ったからだ。
 しかし、近年のデフレ局面で、こうした手法はほとんど効果を生まなかった。それどころか、市場に日銀の意図が浸透するまで時間がかかり、狙いが伝わる頃には、緩和効果自体が薄れることも多かった。白川氏が常に緩和策のリスクを注意喚起していたことと相まって、市場が日銀の真意を測りかねる場面さえあった。
 それが今回は、あらかじめ黒田氏らが考えられる緩和策やその狙い、効果などを積極的に語ったため、日銀の意図や狙いが十分伝わっていたといえる。
 ≪成長戦略がより重要に≫
 緩和策が、事前の発言から大きく踏み込んだものではなかったにもかかわらず、株価は上昇した。国債も値上がりして長期金利が過去最低水準まで低下するなど市場が好感したのは、黒田日銀の「市場との対話戦術」が奏功したといってよいだろう。
 もちろん、毎回こうした手法が有効とは限らない。ただ、今回のような新体制発足直後はさまざまな思惑が生じ、市場の波乱要因となりかねないだけに、事前の情報発信には大きな意義があった。
 黒田日銀は順調に船出したといってよい。今後、物価上昇目標達成に向けて日銀がどんなシナリオを描くのか、早急に国民に示し、逐次検証していく必要がある。
 強調したいのは日銀の積極緩和姿勢が際立つだけに、政府の役割が一段と重要になっている点だ。日本経済はアベノミクス効果や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加表明などで景気回復期待が高まっている。
 しかし、それも、まだ円安、株高といった市場頼みの域を脱していない。今月1日に公表された日銀企業短期経済観測調査(3月短観)で大企業製造業の設備投資計画が前年度比マイナス、鉱工業生産は早くも一服感が出ている。
 実体経済への波及の遅れを解消するには、民間需要を掘り起こし、企業の国際競争力そのものを強化するしかない。そのカギとなるのは、やはり政府が策定を進めている成長戦略である。
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日銀の新緩和策、市場関係者の評価は…? 「スケールが違う」「肌で国際金融熟知」「姿勢が変わった」
産経新聞2013.4.4 19:39
 日銀の金融緩和について、市場関係者からは評価する声が相次いだ。前日まで、内容に「サプライズ」がなければ円高株安になるとの見方が広がっていたが、その懸念を払拭する内容を示して市場を反転させたからだ。黒田総裁に期待されていた「市場対話力」の高さを証明した格好だ。
 「各項目で、事前予測の数値を上回る内容だった。これまでの緩和とはスケールが違う」
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長はこう評価した。先行きを織り込んで動き、政策が事前に予想された内容にとどまれば失望するという市場の特性について、「国際金融の世界で活躍してきた黒田総裁は、肌感覚で知っている」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)との指摘があった。
 農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「これまで『戦力の逐次投入』を続けてきた日銀が、『一気に大胆に』という姿勢に変わった」と緩和手法の変化に注目する。
 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストはETF(上場投資信託)などリスク資産の買い入れ増額を評価。「1千億円で日経平均株価を100円押し上げる効果があり、円安がさらに上積みする」と、市場へのインパクトが大きいという。
 一方で、本来の目標であるデフレ脱却の実現には懐疑論が根強い。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「金融政策だけでは実現できず、潜在的な成長率を高める政府の成長戦略が必要だ」と強調した。
 また、銀行券ルールの一時停止について、「財政ファイナンス(財政赤字の穴埋め)」に陥る懸念を示す声もある。日銀は今回の決定でこれを否定したが、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「実効性のある歯止めがない」と指摘している。
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