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北朝鮮、中距離ミサイルを東部に移動 / 力の均衡が戦争を防ぐ「抑止と均衡の原則」

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秘密裏に新型ミサイル保管 北朝鮮、特定施設に搬入
 2013/04/05 16:56【共同通信】【ソウル共同】
 聯合ニュースは5日、韓国政府高官の話として、北朝鮮が日本海側に移動させた新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程約2500〜4千キロ)2基を車両に載せたまま特定施設に運び込み、ひそかに保管していると報じた。特定施設の場所は不明。
 米韓当局は、北朝鮮が不意打ちで発射する可能性があるとみて監視を強めている。
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北朝鮮、中距離ミサイルを東部に移動―発射なら日本方向の公算
WSJ Japan Real Time 2013年4月05日11:19 JST【ソウル】
 韓国の金寛鎮国防相は4日、北朝鮮が中距離ミサイルを東部の日本海沿岸に移動したと述べた。同相によれば、試験発射ないし訓練の公算が大きいというが、朝鮮半島の緊張が高まっている中での動きだ。
 アナリストによると、このミサイルは北朝鮮建国の父、故金日成主席の誕生日で最も重要な祝日である4月15日を記念して月内に発射される可能性がある。
 また北朝鮮は同じく4日、同国内にある開城工業団地への韓国人労働者の立ち入りを前日に続いて阻止した。北朝鮮は米韓合同軍事演習が実施されている間、韓国に圧力を加え続けている。
 中距離ミサイルは米本土に脅威にならないが、発射されれば軌道は日本に向かう公算が大きく、日本政府を懸念させている。北朝鮮は1998年と2009年にミサイルの発射実験を行い、日本本土上空を通過して太平洋上に着弾した。北朝鮮にとっては、日本上空を通過する軌道が太平洋に至る最も容易なルートだが、日本政府はこれを本格的な挑発行動とみなしている。
 菅義偉官房長官は定例記者会見で、このミサイルの質問に対し、「日本は米国や韓国と緊密に連携しており、最悪の事態にも国民の安全をしっかり防衛できるような態勢で取り組んでいる」と述べた。
 専門家たちは、ミサイルの試験発射は北朝鮮にとって二重の目的に資するだろうと述べている。一つは米韓両国との対決姿勢を維持しつつ援助と安全保障を求めることだ。もう一つは軍事力誇示の国内向け宣伝メッセージにもなることだ。
 ソウルにある北朝鮮大学院大学の梁茂進教授は「北朝鮮はミサイル能力を誇示し、朝鮮半島での緊張を継続的に高めようと意図している」と述べた。
 北朝鮮は定期的に短距離ミサイルを海上に発射しているが、もっと長めの射程距離ミサイルの発射はそれほど一般的ではない。昨年は4月13日に北西部の発射台から長距離ミサイルを発射したが、発射直後に空中分解した。12月には多段階ロケットから人工衛星を宇宙軌道に載せるのに成功した。これは長距離ミサイル技術の試験と広く見られている。
 韓国の金国防相は、東部沿岸に移動した今回のミサイルは長距離型とは思われないと述べた。アナリストたちによれば、この射程距離は約3000キロで、日本には容易に到達可能だが、ハワイまでは到達しないと推定されるという。
 金国防相は「このミサイルは米国本土を狙っているようには見えない」と述べ、「試験発射ないし軍事訓練を目的としている可能性がある」と語った。
 同相はまた、北朝鮮は好戦的なレトリック(言い回し)を最近強化しているが、韓国ないし近隣国に差し迫った脅威になり得る北朝鮮軍の異常な動員などのシグナルは一切ないと述べた。
 一方、北朝鮮の核開発に対するスタンスに対してはロシアからも強い批判が出ている。ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は4日、北朝鮮は国連安保理決議を「挑戦的に無視」しているとし、北朝鮮の行動は「断固容認できない」と語った。
 米国防総省は3日、北朝鮮の中距離弾道ミサイルの脅威に対して太平洋地域の米軍基地を防衛するため、米領グアムに最新鋭迎撃システムを配備すると発表した。米国はまた、早期警戒レーダーシステムを西日本に追加配備する計画だ。韓国は独自のミサイル防衛システムの導入を加速化する方針。
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北朝鮮はなぜ反撃を受けて壊滅しかねない危険を冒してまで、好戦的な言動を続けるのか 古森 義久 2013-04-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
 日本をも標的とする北朝鮮 そのとき自衛隊は反撃できるのか
 JBpress2013.04.03(水)古森 義久
 北朝鮮の軍事挑発がエスカレートしてきた。韓国や米国を相手に戦争も辞さないという態度を様々な言動で示し始めた。米国側もついに最新鋭のB2戦略爆撃機までを飛行させるという強硬な有事対応の措置を取るに至った。
 北朝鮮はなぜ自国が全面反撃を受けて壊滅しかねない危険を冒してまで、これほどの好戦的な言動を続けるのか。実際の軍事衝突や戦争の可能性はどの程度まであるのか。米国側の専門家たちの分析を紹介しよう。
 その分析の中では、北朝鮮による日本へのミサイル攻撃がかなり順位の高いシナリオとして挙げられている点に、切迫した懸念を感じさせられた。
*韓国、米国との全面戦争に突入する危険性も
 米国のCIA(中央情報局)の元専門官集団が中心になって組織した国際安全保障の民間調査機関「リグネット」は、北朝鮮の脅威についての調査報告をこのほど発表した。この報告は北朝鮮の2月の核開発実験の後から3月終わりまでの戦争を辞さないような好戦的な言動について、北朝鮮が過去にも似たような好戦的な態度を見せてはきたが、「米国の情報機関や軍の専門家たちは、今回は朝鮮半島での実際の軍事衝突の可能性がこれまでになく高くなったと見ている」と述べている。
 同報告は北朝鮮自身も、もし全面戦争になった場合、自国が確実に破壊され、敗北することは認識しているが、一部の限定的な軍事攻撃で大きな成果を得られる可能性をもなお信じている、という分析をも示した。その種の一部の限定的な軍事攻撃が韓国や米国の側の大規模な反撃で全面戦争にエスカレートする危険はこの数十年でもかつてなく高まった、ともいう。
 しかし北朝鮮はなぜこんな危険な言動を取るのか。リグネットの調査報告は以下のような趣旨の理由を指摘する。
 「第1に、北朝鮮の新最高指導者の金正恩第一書記が軍部の忠誠と信頼を強めるために、『先軍』政策(編集部注:すべてにおいて軍事を優先させる政策)を過激化させていることが考えられる。北朝鮮の政権は普通の共産主義政権と異なり、個人崇拝のカルト的な要素が強いため、軍部の絶対服従が不可欠となる。そのために軍部の最強硬派の求める路線を推進する構えを取っていると見られる。
 第2には、北朝鮮は対外的に経済的利益を増やそうとして軍事強硬路線を取っている可能性がある。1つには、北朝鮮が輸出できるごく少数の生産物というのは兵器や軍事技術だけであり、核やミサイルの開発促進はその目的に合う。イランやシリアという無法国家への軍事技術や兵器の輸出は、軍事強硬路線により質量ともに拡大できるという計算が窺える。さらには、好戦的な軍事恫喝により威圧を受けた相手から経済援助をとりつけるという実績を北朝鮮は古くから重ねてきた」
 では北朝鮮はこの好戦的な言辞から具体的にどのような軍事行動を取るに至るのか。リグネットの報告は次のような趣旨の見通しを述べる。
 「北朝鮮はまず韓国の艦艇に攻撃をかける可能性が高い。同時に前回の延坪島への砲撃のような地上への限定的な攻撃をかけ、韓国側からの反撃による、より規模の大きい軍事衝突をも覚悟している気配がある。北朝鮮は韓国や米国との全面戦争は望まない。とはいえ、局地の軍事衝突で敵に最大限の被害を与えて、できるだけ早く交渉に持ち込むことを狙うだろう。その交渉で米国、韓国から経済的な援助や外交的、政治的な譲歩を最大限、獲得しようとする」
*日本が反撃すると韓国が反発?
 しかし日本にとって注目せざるを得ないのはリグネット報告書の以下の骨子の記述だった。
 「北朝鮮が局地的な攻撃を加え、韓国側が反撃に出た際、北朝鮮の巧妙なエスカレート作戦は日本を巻き込むことだろう。日本の都市に通常弾頭の弾頭ミサイルを撃ち込むか、あるいは日本の港に爆弾搭載の船舶を突入させるという方法が考えられる。
 北朝鮮の国営通信はすでに『朝鮮半島で戦争が起きて、もし日本が自国には関係がないと思ったならば、それは致命的なミスだ』と伝えた。日本へ攻撃をかけ、日本の自衛隊がもし反撃してきた場合は、年来の日韓の対立から韓国が日本に反発するだろう。その動きは北朝鮮を利することになる」
 北朝鮮は日本の動きへの韓国の反発というところまで読んで、日本への軍事攻撃をも考えている、というのである。
 日本としては、万が一にも北朝鮮の軍事攻撃を受けた場合、どう対応すべきか。
 北朝鮮は現実に日本領土に届く通常弾頭装備の弾道ミサイルは数百基の単位で保有し、配備している。そのミサイルの危機に備える方法は、まずミサイル防衛網の構築を急ぐこと、となるのだろう。しかし現状では十分な防衛システムなど存在しないことはあまりに明白である。
 日本の主要都市が北朝鮮の弾道ミサイルに直撃された場合はどうだろうか。普通ならば、この攻撃は戦争の開始となる。いくら自国の防衛を自縄自縛にしている日本でも、自国領土に外国のミサイルが撃ちこまれ、日本国民多数が死傷すれば、戦争を挑まれたことになる。ミサイルを発射した北朝鮮に対して反撃を加えるのは、わが自衛隊の当然の責務だろう。
 だが自衛隊はそんな有事にきちんと反撃ができる体制になっているのだろうか。北朝鮮と韓国や米国との緊張関係の高まりは、日本の国のあり方、特に日本の自国の防衛の方法について新たな課題を突きつけてくるのである。 *強調(太字・着色)は来栖
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核武装論のすすめ / 池田勇人首相(=昭和30年代)「やはり日本も、核を持たなくては駄目だね」 2013-03-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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『憲法が日本を亡ぼす』古森義久著 海竜社 2012年11月15日 第1刷発行
p78〜
 2 日本のソフト・パワーの欠陥
○ハード・パワーは欠かせない
 「日本が対外政策として唱えるソフト・パワーというのは、オキシモーランです」
 ワシントンで、こんな指摘を聞き、ぎくりとした。
 英語のオキシモーラン(Oxymoron)という言葉は「矛盾語法」という意味である。たとえば、「晴天の雨の日」とか「悲嘆の楽天主義者」というような撞着の表現を指す。つじつまの合わない、相反する言葉づかいだと思えばよい。(略)
p79〜
 日本のソフト・パワーとは、国際社会での安全保障や平和のためには、軍事や政治そのものというハードな方法ではなく、経済援助とか対話とか文化というソフトな方法でのぞむという概念である。その極端なところは、おそらく鳩山元首相の「友愛」だろう。とくに日本では「世界の平和を日本のソフト・パワーで守る」という趣旨のスローガンに人気がある。
 ところが、クリングナー氏はパワーというのはそもそもソフトではなく、堅固で強固な実際の力のことだと指摘するのだ。つまり、パワーはハードなのだという。そのパワーにソフトという形容をつけて並列におくことは語法として矛盾、つまりオキシモーランだというのである。
 クリングナー氏が語る。
 「日本の識者たちは、このソフト・パワーなるものによる目に見えない影響力によって、アジアでの尊敬を勝ち得ているとよく主張します。しかし、はたからみれば、安全保障や軍事の責任を逃れる口実として映ります。平和を守り、戦争やテロを防ぐには、安全保障の実効のある措置が不可欠です」
p80〜
 確かにこの当時、激しく展開されていたアフガニスタンでのテロ勢力との戦いでも、まず必要とされるのは軍事面での封じ込め作業であり、抑止だった。日本はこのハードな領域には加わらず、経済援助とかタリバンから帰順した元戦士たちの社会復帰支援というソフトな活動だけに留まっていた。(略)
 クリングナー氏の主張は、つまりは、日本は危険なハード作業はせず、カネだけですむ安全でソフトな作業ばかりをしてきた、というわけだ。最小限の貢献に対し最大限の受益を得ているのが、日本だというのである。
 「安全保障の実現にはまずハード・パワーが必要であり、ソフト・パワーはそれを側面から補強はするでしょう。しかし、ハード・パワーを代替することは絶対にできません」
p81〜
 となると、日本が他の諸国とともに安全保障の難題に直面し、自国はソフト・パワーとしてしか機能しないと宣言すれば、ハードな作業は他の国々に押しつけることを意味してしまう。クリングナー氏は、そうした日本の特異な態度を批判しているのだった。(略)
p82〜
 しかし、日本が国際安全保障ではソフトな活動しかできない、あるいは、しようとしないという特殊体質の歴史をさかのぼっていくと、どうしても憲法にぶつかる。
 憲法9条が戦争を禁じ、戦力の保持を禁じ、日本領土以外での軍事力の行使はすべて禁止しているからだ。現行の解釈は各国と共同での国際平和維持活動の際に必要な集団的自衛権さえも禁じている。前項で述べた「8月の平和論」も、たぶんに憲法の影響が大きいといえよう。
 日本の憲法がアメリカ側によって起草された経緯を考えれば、戦後の日本が対外的にソフトな活動しか取れないのは、そもそもアメリカのせいなのだ、という反論もできるだろう。アメリカは日本の憲法を単に起草しただけではなく、戦後の長い年月、日本にとっての防衛面での自縄自縛の第9条を支持さえしてきた。日本の憲法改正には反対、というアメリカ側の識者も多かった。
 ところがその点でのアメリカ側の意向も、最近はすっかり変わってきたようなのだ。共和党のブッシュ政権時代には、政府高官までが、日米同盟をより効果的に機能させるには日本が集団的自衛権を行使できるようになるべきだ、と語っていた。
p83〜
 オバマ政権の中盤から後半にかけての時期、アメリカ側では、日本が憲法を改正したほうが日米同盟のより効果的な機能には有利だとする意見が広がり、ほぼ超党派となってきたようなのだ。
p158〜
第6章 防衛強化を迫るアメリカ
 2 日本の中距離ミサイル配備案
○中国膨張がアジアを変えた
 「日本は中国を射程におさめる中距離ミサイルの配備を考えるべきだ」---。
 アメリカの元政府高官ら5人によるこんな提言がワシントンで発表された。20011年9月のことである。
 日米安保関係の長い歴史でも、前例のないショッキングな提案だった。日本側の防衛政策をめぐる現状をみれば、とんでもない提案だとも言えよう。憲法上の制約という議論がすぐに出てくるし、そもそも大震災の被害から立ち直っていない日本にとって、新鋭兵器の調達自体が財政面ではまず不可能に近い。
 しかし、この提案をしたアメリカ側の専門家たちは、歴代の政権で日本を含むアジアの安全保障に深くかかわってきた元高官である。日本の防衛の現実を知らないはずがない。
p162〜
 中国は射程約1800キロの準中距離弾道ミサイル(MRBM)の主力DF21Cを90基ほど配備して、非核の通常弾頭を日本全土に打ち込める能力を有している。同じ中距離の射程1500キロ巡航ミサイルDH10も総数400基ほどを備えて、同様に日本を射程におさめている。米国防総省の情報では、中国側のこれら中距離ミサイルは台湾有事には日本の嘉手納、横田、三沢などの米空軍基地を攻撃する任務を与えられているという。
 しかし、アメリカ側は中国のこれほどの大量の中距離ミサイルに対して、同種の中距離ミサイルを地上配備ではまったく保有していない。1章で述べたとおり、アメリカは東西冷戦時代のソ連との軍縮によって中距離ミサイルを全廃してしまったのだ。ロシアも同様である。
p163〜
 だからこの階級のミサイルを配備は、いまや中国の独壇場なのである。
 「中国は日本を攻撃できる中距離ミサイルを配備して、脅威を高めているが、日本側ももし中国のミサイルを攻撃を受けた場合、同種のミサイルをで即時に中国の要衝を攻撃できる能力を保持すれば、中国への効果的な抑止力となる」
 衝突しうる2国間の軍事対立では力の均衡が戦争を防ぐという原則である。抑止と均衡の原則だともいえる。
 実際にアメリカとソ連のかつての対立をみても、中距離ミサイルは双方が均衡に近い状態に達したところで相互に全廃という基本が決められた。一方だけがミサイル保有というのでは、全廃や削減のインセンティブは生まれない。だから、中国の中距離ミサイルを無力化し、抑止するためには日本側も同種のミサイルを保有することが効果的だというのである。
 日本がこの提案の方向へと動けば、日米同盟の従来の片務性を減らし、双務的な相互防衛へと近づくことを意味する。アメリカも対日同盟の有効な機能の維持には、もはや日本の積極果敢な協力を不可欠とみなす、というところまできてしまったようなのである。
p164〜
 3 アメリカで始まる日本の核武装論議
○中国ミサイルの脅威
 アメリカ議会の有力議員が日本に核武装を考え、論じることを促した。日本側で大きくは取り上げられはしなかったが、さまざまな意味で衝撃的な発言だった。アメリカ連邦議会の議員がなかば公開の場で、日本も核兵器を開発することを論議すべきだと、正面から提言したことは、それまで前例がなかった。
 この衝撃的な発言を直接に聞いたのは、2011年7月10日からワシントンを訪れた拉致関連の合同代表団だった。
p165〜
 さて、この訪米団は、7月14日までアメリカ側のオバマ政権高官たちや、連邦議会の上下両院議員ら合計14人と面会し、新たな協力や連帯への誓約の言葉を得た。核武装発言はこの対米協議の過程で11日、下院外交委員会の有力メンバー、スティーブ・シャボット議員(共和党)から出たのだった。
p166〜
 続いて、東祥三議員がアメリカが北朝鮮に圧力をかけることを要請し、後に拉致問題担当の国務大臣となる松原議員がオバマ政権が検討している北朝鮮への食糧援助を実行しないように求めた。
 シャボット議員も同調して、北朝鮮には融和の手を差し伸べても、こちらが望む行動はとらず、むしろこちらが強硬措置をとったときに、譲歩してくる、と述べた。
p167〜
○日本の核武装が拉致を解決する
 そのうえでシャボット議員は、次のように発言した。
 「北朝鮮の核兵器開発は韓国、日本、台湾、アメリカのすべてにとって脅威なのだから、北朝鮮に対しては食糧も燃料も与えるべきではありません。圧力をかけることに私も賛成です」
 「私は日本に対し、なにをすべきだと述べる立場にはないが、北朝鮮に最大の圧力をかけられる国は中国であり、中国は日本をライバルとしてみています」
 「だから、もし日本が自国の核兵器プログラムの開発を真剣に考えているとなれば、中国は日本が核武装を止めることを条件に、北朝鮮に核兵器の開発を止めるよう圧力をかけるでしょう」
 肝心な部分はこれだけの短い発言ではあったが、その内容の核心はまさに日本への核武装の勧めなのである。北朝鮮の核兵器開発を停止させるために、日本も核兵器開発を真剣に考えるべきだ、というのである。
 そしてその勧めの背後には、北朝鮮が核開発を止めるほどの圧力を受ければ、当然、日本人拉致でも大きな譲歩をしてくるだろう、という示唆が明らかに存在する。
p168〜
 つまりは北朝鮮に核兵器開発と日本人拉致と両方での譲歩を迫るために、日本も独自に核武装を考えよ、と奨励するのである。
 日本の核武装は中国が最も嫌がるから、中国は日本が核武装しそうになれば、北朝鮮に圧力をかけて、北の核武装を止めさせるだろう、という理窟だった。 *強調(太字・着色)は来栖


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