尖閣 迫る中国船に乗員悲鳴 八重山日報記者 漁船に同乗 包囲され…6時間
産経新聞2013.5.17 11:30
高洲丸に接近する「海監15」(右)と、割って入る海上保安庁の巡視船=13日午後、南小島の東南2キロ (八重山日報提供)
今月13日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で操業していた漁船が領海侵犯した中国公船に三方から包囲された。沖縄・八重山の漁船「高洲丸」(4・8トン)に同乗した八重山日報の仲新城誠記者が報告する。
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正午ごろ、海上保安庁の職員が記者の乗った漁船にゴムボートを寄せてきた。
「中国公船がこちらに近づいています」
しばらくして3隻の中国海洋監視船が続々と視界に入ってきた。他国に領海侵犯しているにもかかわらず、傍若無人に航行する。しかも、徐々に高洲丸との距離を詰めてきた。
「おーっ、こんな近くまで」。乗船者の一人が悲鳴のような声を上げた。高洲丸を警護する巡視船の電光掲示板には「中国公船は接近すると大変危険です」と注意を促す文言が流れている。尖閣諸島・南小島を背にした高洲丸は、気がつくと3方向を中国公船に包囲されていた。われわれは動きが取れない。巡視船は中国公船と高洲丸の間を航行し、これ以上われわれに近づかないように警戒している。巡視船は9隻態勢だ。
やがて中国公船、巡視船とも膠着(こうちゃく)状態になり、午後7時ごろには中国公船の姿は見えなくなった。包囲されていたのは、6時間くらいだっただろうか。高洲丸は翌朝まで尖閣海域にとどまり、魚釣りをしたが中国公船はもう姿を見せなかった。漁獲高は2日間で約60キロだった。
日本の領海内で八重山の漁船が中国公船に包囲される。海上保安庁に何とか守ってもらい、漁をする。日本の、この悲しい現実は何なのか。何が日本をここまで無力にしたのか。(八重山日報特約)
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◆ 【守れ!国境の島】土足で“裏庭”を荒らす中国船 「慣らされる」領海侵犯 (1) 2013-05-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【守れ!国境の島】土足で“裏庭”を荒らす中国船 「慣らされる」領海侵犯 (1) zakzak2013.05.14
「これから尖閣で漁をするときは中国国旗を掲げないと、地元漁船の安全は保障されないかも」
石垣島の漁業者、名嘉全正さん(54)は、中国公船による「浸食」が続く尖閣諸島海域の現状をこう嘆く。日本の実効支配は大きく揺らいでいる。
自身が船長の「第11善幸丸」は今年2月18日、尖閣海域で、領海侵犯した中国の海洋監視船3隻と鉢合わせし、1時間半にわたって執拗(しつよう)に追跡された。尖閣領海で日本漁船を拿捕(だほ)して「領有権」を主張するのが中国の狙いだ。
海上保安庁の巡視船が割って入り、第11善幸丸をガードしたため、名嘉さんは何とか石垣島へたどり着いた。
しかし、「事件」はこれだけでは終わらない。4月23日には、民間団体の釣りツアーが地元漁船9隻に乗り組み、尖閣海域に向かったところ、中国の海洋監視船や漁業監視船10隻に待ち伏せされ、追跡と威嚇を受けた。海保の避難勧告でツアーは釣りを中止し、石垣島へ引き返した。尖閣海域で日本漁船が中国公船に追い払われたことになる。
実は、このツアーは当初は10隻で、エンジントラブルのため1隻が出港を見合わせた。中国当局は、あえてツアーの漁船と同数の公船を派遣し、漁を妨害させたのだ。
石垣島の漁業者は「中国公船が領海侵犯するのは、地元漁船を駆逐するためだ」と指摘している。報道されるのは氷山の一角だ。どうも中国当局は、尖閣に出航する地元漁船の動きを事前に察知しているらしいのだ。
2012年9月の尖閣国有化後、今月までの7カ月で、中国公船による領海侵犯は40回以上に及んでいる。領海侵犯には至らなくても、領海外側の接続水域には、ほぼ毎日、中国公船が姿を現し「パトロール」と称して存在を誇示している。
すでに尖閣海域では、漁業者が安心安全に操業できる環境は失われていると言っていい。
尖閣には「石垣市登野城(とのしろ)」という地名がついており、まぎれもなく石垣市の一部だ。中国の傲慢さに、多くの市民が、土足で裏庭を荒らされているような腹立たしさを感じている。
しかし、市民の思いとは裏腹に、全国紙や地元紙で領海侵犯のニュースは扱いが小さくなる一方だ。領海侵犯が日常化し、日本人がいわば「慣らされて」しまっているのだ。
国境の島が侵食されている現実に、日本人が無感覚になる。それこそ、連日、尖閣海域に出没する中国の思うつぼではないか。
*仲新城誠(なかあらしろ・まこと)
1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点する地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
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◆ 【守れ!国境の島】閉塞した沖縄の言論空間 基地に激し 尖閣には冷淡なメディア(4) 2013-05-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【守れ!国境の島】閉塞した沖縄の言論空間 基地に激し尖閣には冷淡なメディア(4)ZAKZAK 2013.05.17
「沖縄の言論空間は閉塞状況だ」という指摘がある。それは米軍基地問題で、主要マスコミの論調が全く同じスタンスであるためだ。反対意見を表明する機会は極めて限られている。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題で、4月に沖縄入りした菅義偉官房長官は「県民の声を聞きたい」と県内の主要マスコミ5社を回った。そこで5社の幹部が異口同音に長官に訴えたのは、同飛行場の県外移設と、4月28日に政府が開く「主権回復の日」式典への抗議だった。
沖縄には、もう1つ大問題がある。尖閣諸島問題だ。領海侵犯する中国公船に威嚇され、石垣島の漁業者などが安心安全に漁をする環境が失われているが、報道されている限りでは、菅長官との面会で尖閣問題に言及したマスコミ幹部は皆無だった。それを指摘し、懸念を示したのは、むしろ菅長官の方だったのだ。
沖縄の2大紙「沖縄タイムス」「琉球新報」を読むと、基地問題に関してはまるでプロパガンダ紙だ。県民が基地の重圧を押しつけられ、本土から差別されている−と訴え、日米両政府を糾弾する記事に満ちている。
ところが、国境の島々が中国の脅威にさらされている現実については、両紙とも「尖閣問題は、一部メディアによって在沖米軍基地の維持強化を図る論理に利用されている」(沖縄タイムス社説)などと冷淡だ。尖閣問題を突っ込むと、沖縄に軍事力は不要だという論理が通用しなくなってしまうからだ。
石垣島の住民からは、大手マスコミのこうした姿勢に「沖縄は本土から差別されていると言うが、自分たちこそ国境の離島を差別しているのではないか」と憤る声も出ている。
沖縄本島で県内各地の市議会議長が一堂に会する会議が開かれた際、石垣市が尖閣諸島の実効支配強化を求める決議を提出したところ「議論が不十分」として継続審議になった。そのくせ、米軍の新型輸送機MV22オスプレイを非難するような決議には同調を求められるのだ。
私が編集長を務める「八重山日報」では、尖閣問題、特に中国の脅威を積極的に取り上げるように心がけているが、他のマスコミからは「右翼新聞」と陰口をたたかれる始末である。
ただ、近年はフェイスブックやブログなどを通じ、大手マスコミを正面から批判する県民も増えてきた。マスコミが情報発信を独占する時代は終わったのだ。ネットの時代が閉塞空間に風穴を開けつつある。
*仲新城誠(なかあらしろ・まこと)
1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点にする地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
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◆ 沖縄“左翼”世論、真実に目覚めよ / 「屈辱の日」という言葉はすでに沖縄で風化している 2013-05-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【西論】沖縄“左翼”世論、真実に目覚めよ 編集委員・河村直哉
産経新聞2013.5.2 15:30[westライフ]
*国あってこそ、生きていける「個人」
この国の西が穏やかでない。傍若無人な隣国のことではない。「主権回復の日」の4月28日、大規模な抗議、反対集会が開かれた沖縄のことである。改めてこの問題を、沖縄の世論の面から振り返る。
昭和27(1952)年のこの日、サンフランシスコ講和条約の発効で敗戦日本は独立を回復した。だが沖縄は米国の施政下に残った。政府が式典を開くことがわかってからいくつかの沖縄のメディアは、28日は「屈辱の日」であるとして反対の声を上げてきた。
「政府がそうした(沖縄の)歴史を顧みず『主権回復』をことほぐのは、県民を愚弄するような話だ」(3月13日付「琉球新報」社説)
「政府が講和条約を祝うことは、27年に及ぶ米軍統治によって県民が受けた有形無形のさまざまな犠牲や被害を無視することを意味する」(3月9日付「沖縄タイムス」社説)
最近の「琉球新報」を開いてみると、「屈辱の日」に向けた集会の記事や企画、特集が連日のように組まれている。在日米軍基地が抱えるさまざまな問題や政府への批判を「屈辱」という言葉に象徴させた、激しい反対キャンペーンである。
日本が独立を回復してからも20年沖縄が米国の施政下に置かれたこと、いまなお在日米軍施設の74%が集中して負担を強いていることを、常識ある日本人は忘れてはいない。安全保障上の困難と時間は伴っても、基地問題の解決は日本人全員の課題である。独立の日に思いを巡らせることは、沖縄を愚弄することでも、その犠牲や被害を無視することでもない。むしろ沖縄の歴史も含めて国家の主権を考え、今後の日本を建設していく日だった。
しかしこの激烈な「屈辱」キャンペーン。沖縄のいらだちを理解しようにも、度を越していまいか。国あっての地方であり個人である。
なぜ改憲を論じない
いくつか考えたいことがある。まず、このような状況で喜ぶのはだれか。あからさまに尖閣諸島(同県石垣市)をうかがい圧力をかけてきている中国であることは、目に見えている。
次に、在日米軍の基地問題を考えるなら長期的には、友好国との関係を良好に保ちつつ十全な自主防衛の体制を築くことを念頭に置くのが道理だ。戦力の保持を認めない現憲法の矛盾は明らかで、いま機運が高まっている通り、改憲を現実の問題として考えないといけない。ところが、沖縄のメディアは憲法改正にも反対するのである。
「宿願である改憲を通常の法改正と同様にやりやすくする。これが(安倍晋三)首相の狙いだろう。当然、憲法9条を含む抜本改正が視野にある。(略)現行憲法のどこに支障があるのか」(14日付「琉球新報」社説)
ほか、教育への政治介入反対、国会議員の靖国参拝批判などなど。これが沖縄世論であるなら、戦後日本で長く支配的だった思潮の濃縮版といわざるをえない。沖縄のメディアのみならず最近の日本を「右傾化」と評する論調が目立つが、それにならっていえば、戦後長らくの日本といまの沖縄世論を形成している考え方の傾向は「左傾化」であると、端的にいえる。
*「左傾日本」を脱する
歴史の皮肉というべきか、左傾化は日本が独立を回復した講和条約締結のころに潮流を作った。
当時、国際情勢としては自由圏と共産圏の対立が始まっていた。日本の講和は共産国を含んだ全面的なものであるべきか、特定諸国との単独のものであるかが議論された。
日本は自由主義陣営に入るのだが、昭和25年、雑誌「世界」は知識人グループ「平和問題談話会」の声明を載せている。いわゆる戦後の進歩的知識人が名を連ねた声明として、いまに知られる。
特定の国との軍事協定も基地の提供も憲法に反し認められない、単独講和はそれを生じさせるから全面講和を結ぶべきだ、というのが声明の趣旨。共産主義への近さ、護憲の態度などだけでなく、終戦までの日本をさまざまに批判する彼らの言説は、いまの沖縄と同じように左傾メディアを通じて国内に流布し、戦後日本の世論の大きな部分を形成した。改憲を唱えることはタブー視され、在日米軍や自衛隊の違憲が声高にいわれた時期が日本には長くあった。
皮肉でなくいっておくが、中国や北朝鮮の脅威が増す中、教条主義的に護憲を唱えてきた左傾メディアにも往時の筆の勢いはない。空想の平和が現実に合わないことは明らかだからだ。日本は右傾化しているのではなく、真ん中の、ふつうの国に戻ろうとしているだけである。沖縄のメディアにも気づいてほしい。国家が自力で国民や領土を守るために戦力を持つことこそ主権の問題である。米軍基地の問題を考えるなら、この点を避けられまい。
この間、沖縄のすべてが「屈辱」に染まっていたわけではない。例えば石垣市などで読まれている地方紙「八重山日報」。13日付のコラムは、こんな趣旨を書いている。
−−政府式典に反対する声に県民は戸惑いを感じている。「屈辱の日」という言葉はすでに沖縄で風化しているからだ。式典の反対運動と基地問題を結びつけようという政治的思惑で、「屈辱の日」という言葉が使われている−−
冷静な見方にほっとする。
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◆ 「主権回復の日」〜賛成派の沖縄の声に耳を貸さず、声の大きな反対派ばかりを大々的に取り上げる報道 2013-04-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
4月28日
産経新聞2013.4.28 03:18[産経抄]
昨日の続きのような話だが、沖縄県の仲井真弘多知事は「主権回復の日」の式典を欠席するという。沖縄では「抗議集会」も開かれる予定だ。それだけ聞けば沖縄には反政府や反米の声だけが渦巻いているように思うが、どうもそうではないらしい。▼本紙18日付のコラム「沖縄の風」によれば、米軍普天間飛行場の周囲のフェンスに巻き付けられた赤いテープを、市民たちが剥がしている。オスプレイ配備などに異議を唱える反対派が巻き付けたテープだ。米軍関係者も加わり毎週末行われるクリーン活動である。▼景観を損なうからだけではない。テープの中にガラス片や針金が巻き込まれていることもあり、危険極まりないのだそうだ。一部かもしれないが、ほかにも米軍関係者の車をプラカードでたたくなどといった、反対派の過激な行動が頻繁に起きているという。▼実はこのコラム、読者の方から大きな反響をいただいている。「基地とともに生きている人も多いとわかって胸打たれました」という50代女性の声があった。「基地反対派の声だけを伝える報道にはうんざり」という男性からは「貴重な記事だ」と評価してもらった。▼それもそのはずである。基地反対派以外の市民の運動が伝えられることはまずない。反対派の過激な行動についてもほとんど報じられないからだ。「沖縄の風」によれば、飛行場の警備担当者が反対派の男性に殴られケガをしたが、そのことも一切報道されなかった。▼昭和35年の日米安保改定をめぐっても、過激な反対運動に批判的だったり、改定に賛成だったりという人も少なくなかった。それでも当時の報道は耳を貸さず、声の大きな反対派ばかりを大々的に取り上げた。同じ過ちは繰り返したくない。
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◆ 【沖縄の風】地元では報道されないオスプレイ反対派の実力行使/沖縄が持つ語られざる顔 2013-04-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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