【守れ!国境の島】「右傾化」指摘に八重山住民困惑 過去から続く沖縄本島との“温度差”(6)
zakzak2013.05.20
先月報道された沖縄県紙のアンケートによると、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設を容認する住民の割合が最も多かったのが、石垣島を中心とする八重山諸島だった。沖縄の主要マスコミは「八重山は米軍基地の被害がなく、尖閣諸島を抱え、保守化、右傾化が進んでいる」と懸念を示している。
私は、沖縄本島のあるマスコミ関係者から「政府と一緒になって、同じ沖縄人を抑圧しようとしている」と、“たしなめられた”ことがある。
沖縄を東京など本土から見ると「反米・反日」一色に見えるようだ。県紙は連日、反基地活動や「沖縄独立論」を大きく報道し、日米両政府に抗議する県民大会も繰り返される。しかし、それは主要マスコミによって「誤解されている沖縄」の姿だ。特に、本島から400キロ以上南に離れた石垣市では、だいぶ雰囲気が異なる。
安倍晋三政権が4月28日に開いた「主権回復の日」式典に対し、沖縄は「屈辱の日」だと反発したことが大きく報道された。石垣市議会でも「主権回復の日」に抗議する意見書が提案されたが、自民党の市議からはこんな意見が出た。
「尖閣諸島を奪われかねない非常時に、国民は一致団結するべきだ」
「すべての国民が基地被害の沖縄に思いをはせ、北方領土や竹島に対する認識を新たにするためにも、主権回復式典は必要だ」
自公路線の公明党が、この時に限って野党と同調したため、抗議の意見書はわずか2票差で可決された。そのため主要マスコミは、市民を代表する議員が、こうした発言をしたことは報道しない。
他国の脅威に敏感なのが、なぜ保守化なのか。沖縄人であると同時に日本人であることを誇りに思うことが、なぜ右傾化なのか。主要マスコミの攻撃に対し、八重山の多くの住民が当惑している。
八重山では2年前、尖閣諸島が日本固有の領土であることや、自衛隊の活動が高く評価されていることを詳述した育鵬社の中学校公民教科書が、沖縄県で初めて採択された。本土でさえ育鵬社版に対する反発が根強いのに、である。
石垣市には、琉球王国に反旗を翻して戦死した「オヤケアカハチ」という英雄の銅像がある。本島との「温度差」は、遠い過去から存在し続けているのだ。
八重山は自然豊かで人情が厚い、癒やしの島々だ。移民を受け入れ続け、多様な価値観に寛容な風土もある。「沖縄の危機」の突破口が国境の島々から見えてくるかもしれない。 =おわり
■仲新城誠(なかあらしろ・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点にする地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)など。
-------------------------------
◆ 【守れ!国境の島】取材中に中国船に追い回された 尖閣実効支配先送りにしたツケ(5) 2013-05-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
◆ 【守れ!国境の島】閉塞した沖縄の言論空間 基地に激し 尖閣には冷淡なメディア(4) 2013-05-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
◆ 【守れ!国境の島】特攻敢行した沖縄の軍神 戦争、軍事を否定する風潮は日本人の魂奪う(3) 2013-05-16 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
◆ 【守れ!国境の島】「第2の尖閣諸島」化の危機せまる与那国島(2) 2013-05-16 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
◆ 【守れ!国境の島】土足で“裏庭”を荒らす中国船 「慣らされる」領海侵犯 (1) 2013-05-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
====================
◆ 八重山日報 「日本を守る沖縄」「正しい歴史教育」「他国の侵犯を断固許さない姿勢」へ 2013-05-11 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
====================
◆ 【沖縄が危ない】市民運動の域を越えた反基地運動とオスプレイ (6) 左翼集団が取りつけた違法設置物 2013-03-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
----------------------------------
◆ 【沖縄が危ない】抹消された「米軍の功績」… 劇的に改善した衛生事情 (5) 2013-03-03 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
--------------------------------------------
◆ 【沖縄が危ない】語られなかった米軍との諜報戦 (4) 2013-03-01 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
--------------------------------------------
◆ 【沖縄が危ない】旧軍人の名誉回復が必要(3) 左翼や地元マスコミは、沖縄戦の史実を改竄して・・・ 2013-02-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
--------------------------------
◆ 【沖縄が危ない】習近平氏が進めてきた沖縄と日米の分断工作 (2) 2013-02-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
-------------------------------------------------------------
◆ 【沖縄が危ない】中国万歳!? 沖縄で勢い増す「反日」「反米」世論 (1) 2013-02-26 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
=======================
◆ 『沖縄が中国になる日』恵隆之介著 育鵬社 2013年4月2日 初版第1刷発行 2013-05-16 | 読書
◆p2〜
まえがき
今年(平成25年)1月19日、30日と、中国海軍艦艇が沖縄本島西北西約300km(尖閣列島北方約120km)の東シナ海で、我が国の海上自衛隊の航空機、艦艇に対し射撃管制レーダーをそれぞれ照射した。宣戦布告に等しい行為であったが、日本政府はこの事実を2月5日になってようやく公表した。
国内が未だ騒然としている中、2月7日の北方領土の日、今度はロシア空軍戦闘機2機が北海道利尻島南西沖の我が国の領空を侵犯した。さらに2月12日には、北朝鮮が地下核実験を行った。
我が国は今や、危機の真っただ中にいる。その中で沖縄の地政学的価値は一層高まってきている。にもかかわらず、メディアは相変わらず沖縄県民“被害者論”に偏重した報道を続けている。それが国民に、「沖縄に負担を強いている」という拭いがたい贖罪意識を植え付け、そこから生まれる空気が、日本政府を正に金縛り状態に陥らせてきた。
p3〜
この度、私は本書で、「平和運動家」を装う一部の県民が中国や北朝鮮と内通し、我が国の安全保障に重大な脅威を与えつつあることを詳細にリポートした。
このような状態で我が国は有事に対応できるのであろうか。何より沖縄に展開する米軍の運用さえ困難になってきているのだ。
昨年12月13日、中国政府航空機が、尖閣諸島の魚釣島南方15kmの日本領空を、自衛隊に一切探知されずに約30分にわたって侵犯した。しかし、米軍関係者が問題を起すと、沖縄県および各市町村議会は直ちに抗議決議を行うにもかかわらず、中国政府に対しては一切、抗議決議は行われなかった。
思えば平成9(1997)年、当時の橋本龍太郎首相が在沖米軍基地反対運動に対し、補助金(沖縄振興開発費)の増額で鎮静化を図ったときから、私は、「米軍基地政策は統制不能に陥る」と直言し続けてきた。
米国政府は沖縄県尖閣諸島海域の情勢を、「同島は既に中国公船の包囲下にある」と分析しており、我が国以上に事態を深刻に受け止めている。
* * *
p4〜
ところで私が本書を執筆したもうひとつの動機がある。
昨年暮れ、私は那覇市内で、昭和35(1960)年に台湾から沖縄に移住してきた台湾出身者に会った。私は彼の話を聞いているうちに、「沖縄は苦難を背負わされているのか?」という疑問が瞬時に霧散するのを覚えたのである。
昭和30年代といえば、台湾は戒厳令下にあった。国共内戦に敗れて台湾へ逃れて来た国民党軍が、住民を徹底的に弾圧していたのである。2・28事件である。
「2・28事件」とは、1947年2月28日、台湾住民が中国国民党の支配に抵抗したため、報復として2万8000人以上が殺害され、遺体までも抹消された事件である。
その台湾出身者は、沖縄に移住して10年ほど経った昭和45年頃、沖縄の住民が米軍基地ゲート前で、「基地撤去!」のピケを張っているのを見て、改めて「平和な島に来た」と安堵したという。「台湾でこういうことをしたら国民党軍に一晩で粛清されました」と言うのだ。
また、その年の12月20日には、コザ市(現・沖縄市)で夜間に暴動が起こり、基地外に駐車していた米軍人の私有車量72台が焼き討ちされる事件が起きた。
間近でこの光景を見ていたその台湾出身者の父は、「2・28事件もこうして起こった」と語った。「米軍が間もなく報復を開始するだろう」。しかし、米軍は一切報復しなかった。
p5〜
余談になるが、その頃、中国大陸では1958年に毛沢東が提唱した大躍進運動が既に頓挫しており、4000万人以上の餓死者を数えていた。その後も、1966年より10年間、文化大革命が吹き荒れ、毛沢東に批判的な知識人、政治家など合計3000万人以上が紅衛兵によって殺害されている。
もし当時、尖閣を含む南西諸島に米軍の影響力がなければ、沖縄の運命はどうなっていたであろうか。
* * *
その中国で、中国共産党の最高責任者である習近平総書記は、共産党幹部中、最も沖縄に関心を寄せている人物だ。
彼は、沖縄県と歴史的に関係の深い福建省に、1985年以来17年間勤務していた。この間、度々沖縄を訪れており、沖縄県の現状と県民性を知り尽くしている。
そればかりか、反米軍運動で顕著な活動をする2人の代表的な首長、翁長雄志那覇市長、桃原正賢元宜野湾市長(昭和60年〜平成8年在任、平成16年6月22日死去)に、それぞれ「福州市名誉市民」「廈門(あもい)市名誉市民」の称号を与えて影響下に置いていたのだ。
p6〜
習氏と交際した地元関係者の話を総合すると、「他の中国共産党幹部と異なり、もの静かで温厚、律儀である」と、人気は極めて高い。
彼らは、習氏が2009年7月に、中国の西端に位置する新疆ウイグル自治区で発生した騒乱で、3000人以上を虐殺して鎮静平定した事実など知る由もないのである。
「歴史はほぼ100年単位で繰り返す」と言われている。明治24(1891)年、清国海軍は日本を威嚇するため、2隻の巨艦を主力とする艦隊を編成して我が国に度々寄港した。しかも、このときも沖縄では中国拝跪熱が高かったのである。今や我が国は、当時の日清戦争前夜を彷彿とさせる環境に突入したと言える。
* * *
私は、拙著が我が国の現政権の政策決定に寄与できることを念じて執筆した。安倍内閣が国家の危機に的確に対処し、また戦後政治の負の連鎖を断ち切ることを祈念してやまないのである。
p163〜
3 米軍人への執拗な差別・糾弾
p165〜
米兵を徹底的に糾弾
一例をあげると、平成20年2月11日午後8時半頃、沖縄市上地のミュージックタウンビル前で、大型バイクに乗る米軍下士官に地元女子中学生(私服)が声をかけてナンパした(いわゆる「逆ナンパ」)。米兵は女子中学生をバイクに乗せて自宅へ連れて行き、その後、午後10時50分頃、車で北谷町の公園付近で彼女を降ろした。女子中学生はその後、警察に保護された。
午後10時54分、『琉球新報』が速報で、「女子中学生、車で拉致、外国人の男逃走」と報道した。ところが、女子中学生が一夜明けて「強姦された」と発言したため、『沖縄タイムス』は慌てて号外を出し、『琉球新報』と報道合戦を繰り広げたのである。もちろん、沖縄の左派勢力の口癖、「地位協定」まで両氏は言及した。
事実は道中で2人は不仲になったため、女子中学生が「強姦された」と狂言したにほかならなかった。
米軍下士官は、「夜の繁華街で、合意でついて来た女性(中学生とは知らず)を、下着の上から身体に触れただけ」と抗弁するが、2紙はこの兵士の氏名、階級、所属まで公表した。
166〜
また県警や検察は容疑者の身柄を拘束し、さらに拘留延長までして捜査を行ったが、「強姦罪」「淫行条例適用」すべてが立件できなかった。
捜査中、検察および県警は、この女子中学生に売春防止法違反の補導歴があることを発見し、逆ナンパの実態が露呈してきたため、慌てて米軍下士官を釈放した。
ところが地元2紙は、真相を把握した後も訂正記事を出さなかった。左翼団体は3月23日、北谷町公園広場で、自称「県民大会」を開催した。両紙は当日、そのシーンをモチーフにしながら号外を発行した。タイムス「米兵の犯罪を糾弾」、琉新「米兵の人権蹂躙に怒り」と強調したのである。(略)
2紙は、今度は軍法会議の結果をねつ造する。平成20年5月16日、米軍基地内で軍法会議が開催され、この下士官に「虐待罪」が適用された。禁固4年(1年猶予のため執行は3年)と、不名誉除隊の罪状が確定した。米国では軍を不名誉除隊された者は以降、あらゆる公職に就けないのである。
p167〜
しかし、2紙はこの虐待の解釈を意訳する。『沖縄タイムス』が「虐待」を「暴力的性行為」と表現し、同日夕刊に「暴行米兵に懲役4年/キャンプ瑞慶覧軍法会議」という見出しで、本文中に、「16歳未満への暴力的性行為を認めた」と表現したのである。明らかに捏造である。
琉新は同日夕刊に8段抜きの大見出しで、「2等軍曹に有罪 米兵女子中学生暴行 検察側8年求刑 軍法会議 虐待認め司法取引」と掲載。翌17日には社会面トップで、「沖縄の声届かず 米兵謝罪繰り返す『言い訳できない。欲望あった』」と報じた。
左派系団体による米兵差別
地元紙のねつ造行為はこれでも終了しなかった。
平成21年9月17日、グアム島で開催された国際女性ネットワーク会議(会議タイトル「基地・軍隊を許さない行動する女性たちの会」)が6日間にわたって開催された。
沖縄からは女性活動家の宮城晴美氏と高里鈴代氏が参加した。宮城氏は県内で発生した米兵の性犯罪を報告し、とくに前年発生した件のミュージックタウン事案を、「米兵による女子中学生暴行事件」とデマを飛ばしたのである。
p168〜
さらに、「軍隊の教育は攻撃性と暴力性を発揮させる」と強調し、在沖縄米海兵隊のグアム移転計画、普天間飛行場の県内移設、いずれにも反対する意見を発表していた。
『沖縄タイムス』は、この左派系の会議をネタに9月13日から20日まで1週間にわたって特集した。同時に米兵がらみの女性関連事件に焦点を当てたのである。
一般県民はこの結果、マインドコントロール状態に置かれ、米兵による婦女暴行事件が連続しているかの印象を受けていた。
p228〜
あとがき
時代は、沖縄政策の転換を迫っている。
沖縄県の歴史観は廃藩置県以降、沖縄戦および米国統治時代を含む現代までのすべての事象を、被害者史観でくくっている。そこに左派勢力や第3国が巧みに入り込み扇動してきたため、今や沖縄と本土の関係は、日本と朝鮮半島の関係のように対立の構図へと拡大しているのだ。
一方で、沖縄県財政の国家依存率は実質80%を越えており、毎年、県知事が首相に直接面会し、振興策(補助金)を要求するシーンは、国民意識をもった県民から見れば恥ずかしい限りである。
ところで我が国は、戦後政策で2つの重大な過失を放置してきた。それは、
? 国家が大東亜戦争を総括することなく、沖縄や中国、朝鮮に謝罪を繰り返すため、それらの集団は何度も謝罪と補償を我が国に求めている。加えて、我が国の戦後世代までもが、自虐史観に苛まれており、外交上、劣勢な立ち位置にある。
? 戦後、元帝国陸海軍の高級将校たちが、極東国際軍事裁判判決に反論することなく、あらゆる開戦責任を背負ってこの世を去っていった。
対照的にドイツは戦後、元軍人が戦争責任の是々非々を主体的なビジョンで総括した。その結果、軍人の地位は回復し、再軍備を果たした。今や、ドイツ軍はNATO軍の中核を占めるに至っている。
一方、中国の軍拡は、加速度的に増大している。今後、中国共産党が人民軍を統御するのが困難になる恐れがある。
そこで我が国は一刻も早く憲法を改正し、真の再軍備を果たしつつ、自立国家を建設していく必要があるのだ。(以下略)
■惠隆之介(めぐみ・りゅうのすけ)
拓殖大学客員教授、『八重山日報』論説委員長。
昭和29(1954)年、沖縄県コザ市生まれ。昭和53年、防衛大学校管理学専攻コース卒業、海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て、護衛艦隊勤務。昭和57年退官。その後、琉球銀行勤務。平成9(1997)年米国国務省プログラムで国際金融、国家戦略等研修。著書に「誰も語れなかった沖縄の真実」(WAC)など。
*アソシエイト
http://www.ryunosuke-megumi.com/
書評 産経新聞2013.4.7 08:34
『沖縄が中国になる日』惠隆之介著
反米反日ムードが広がる沖縄を取り込もうと、中国が工作活動を進めてきた現実の一端を暴く。前知事、現知事とも中国帰化人の子孫であることを掲げて当選しており、かの習近平氏が何度も沖縄を訪問している事実は見逃せない。金正恩第1書記の就任パーティーが堂々と開かれるなど、沖縄と北朝鮮とのつながりが深いことにも驚かされる。沖縄のマスコミによる親中報道も相当に根が深い。
元海自士官の著者が描く中国による沖縄離島侵攻作戦のシミュレーションは相当に現実味がある。実行を未然に防ぐため、県民・国民が危機感を共有する必要がありそうだ。(育鵬社・1365円)
======================