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[国際激流と日本] 心しておくべき2030年の日中軍事バランス 中国の軍拡で迫る日米同盟の危機 古森義久

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[国際激流と日本] 心しておくべき2030年の日中軍事バランス 中国の軍拡で迫る日米同盟の危機
JBpress2013.05.22(水) 古森 義久
 米国の首都ワシントンでの外交や安保の論議で中国の軍事力増強が切迫したテーマとなっていることは再三、報告してきた。前回のこのコラムでも米国防総省の中国の軍事力についての報告内容を伝えた。
  しかし今回は、中国の軍事力の大幅な増強が日米同盟にどのような影響を与えるかを、総合的、かつ具体的に研究した民間研究機関の調査結果を報告しよう。この報告は特に日米同盟や日本の安全保障について大胆に踏みこんだ予測を打ち出している。
  結論を先に述べるならば、この研究報告は日本と米国がかなり画期的な新戦略を取らない限り、日米同盟は中国の軍拡に対して骨抜きになってしまうという警鐘を込めた予測を強調していた。
  研究報告は、この5月上旬に公表された。民間の民主党寄りの大手シンクタンク「カーネギー国際平和財団」がここ数年をかけて作成したもので、「2030年の中国の軍事力と米日同盟=戦略相対評価」と題されていた。本文だけでも300ページ以上の詳細かつ長大な報告だった。
  報告の作成者はダグラス・パール元国家安全保障会議アジア上級部長、ポール・ジアラ元国防総省日本部長ら合計9人の専門家たちである。みな歴代政権のアジア担当、あるいは民間機関での中国研究などの経歴を持つ人たちで、超党派と言える。
  その研究の主眼はタイトルの通り、2030年の時点で中国の軍事力はどうなり、その結果、日米同盟や日本の安全保障、米国の安全保障はどうなるか、という予測である。
  報告のタイトルにある「相対評価(ネットアセスメント)」とは、米国が自国の軍事力と将来、衝突の可能性のある相手諸国の軍事力の中期、長期の戦力予測を詳しく研究し、実際に衝突があった場合にどのような帰趨となるかを調べる作業である。米国独自の国防政策の枢要な一環であり、国防総省の中には国防長官直属の相対評価局という組織があり、アンディ・マーシャルという伝説的な専門研究者がその局長を長年務めている。今回のカーネギー国際平和財団の報告もその相対評価の基本に沿ったわけである。
 *中国の軍拡に対処しないと東アジア全体が危機に
  さて、前置きがやや長くなったが、報告の内容をもう少し詳しく紹介しよう。日本の将来にとって極めて重要な指摘や仮説が多々含まれている。
 そもそもなぜこうした研究がいま必要なのか。報告は冒頭で、その大前提として中国の大規模で長期的な軍事力の増強を挙げている。その大軍拡が日米同盟や日米両国の安全保障を根幹から揺さぶっているために、その現状と展望を知ることが致命的に重要になったというのだ。
  そして以下の趣旨の説明を記していた。
  「第1には、いまの中国の軍拡が日米両国にとって、国家安全保障に関わる中国との紛争や競合に適切に対処し、勝利する能力に疑問を生むようになった。例えば尖閣問題のような領有権争いや資源獲得戦、台湾有事、北朝鮮危機などでの、日米両国の中国への対処能力が揺らいできたのだ」
  「第2には、中国の軍事的な動きが日本の周辺で強まり続けることは、日本を不安定にして緊張を高め、米国に対する信頼を減らし、経済や貿易の面でも中国に傾く結果を招きかねない。中国の軍拡は、日本の日米同盟や米国の抑止力への依存に対する疑問を深め、日本独自の軍備強化への日本国内の支持を強めて、場合によっては核兵器保有への動きさえ生みかねないことだ」
  「だから総括として、日本と米国がいまの中国の軍事能力の大幅増強に効果的に対応しないと、東アジア全体での深刻な政治、軍事の危機を招き、日米同盟が弱体化し、地域全体の安定を侵食するだろう」
  こうした理由からこの大規模な研究に着手したというのである。その内容は長大な報告書に詳しく記述されている。特にいま目前に迫った脅威とも言える中国の大軍拡に対して、日米同盟への影響を長期的な視点から考える努力が他にまったくなされていないことも、この報告作成の大きな理由だとも説明されていた。
  確かに日本に限ってみれば、この指摘はまさに的を射ている。中国軍の艦艇や軍用機が尖閣近くの日本領海に連日のように接近し、侵入している現状を見れば、中国の軍事の態勢や能力について、日本の国政の場で正面からの議論が起きてしかるべきだろう。また、そのための大規模な研究調査が、それこそオールジャパンでなされるのが自然なのである。だが現実はまったく異なる。
 *紛争はすべて中国にとって有利に解決?
  この報告は、膨大な研究に基づく「主要な結果」として以下のような諸点を挙げていた。いずれも2030年までの将来を見据えての予測である。
 ・今後15年から20年の間に、中国は日米同盟に対してどのようなことを挑むのか。最も起き得るのは、中国が米国を東アジアから追い出そうとして中国対米国、あるいは中国対日本の全面的な軍事衝突が発生する事態ではない。
・最も確率が高いのは、中国が軍事能力を強大にすることによって日本との紛争や競合の案件を、軍事力を実際に使うことなく、中国にとって有利に解決してしまうという事態である。
 ・特に中国人民解放軍が尖閣諸島をはじめとする日本周辺で空と海での活動を強めることは、政治、軍事の危機を高めることとなる。
 ・日本周辺での中国対日米同盟の間の軍事力バランスが、絶対的にも相対的にも中国に有利に大きく傾いていくことは確実と見られる。
 ・中国、米国、日本の3国の軍事力の比較では、今後、日本のごく近くの海と空に限っても、日米同盟側がごくわずかな優位も均衡さえも保っていける可能性は極めて少ない。
 ・もし中国の経済が破綻し、中国政府が軍拡の代わりに国内安定に対して主要な資源や注意を投入していくという政策を選んだ場合、中国の軍事脅威が大幅に減るという事態も可能性としてはあり得る。
 ・現在の戦略的構図を根本から変える過激な変化が今後15年から20年の間に起きる確率は低い。だが、日米同盟の大幅な強化による好戦的な中国とのアジアの「冷戦」や、米軍のアジア撤退によるアジアでの中国覇権の確立、さらには日本の核武装の可能性をも含む軍事力強化による日中対立の激化など、可能性はある。
  以上の予測の中で、最も確率の高い事態は、2項目目の「中国が軍事能力を強大にすることによって日本との紛争や競合の案件を軍事力を実際に使うことなく、中国にとって有利に解決してしまう」展開だという。
  当然、まず考えられるのは尖閣諸島の中国による奪取である。軍事力を実際には使わず、つまり戦争は起こさず、なお軍事力の威力によって自国の主張を無理やりに通してしまう、というシナリオだと言える。
  日本側の防衛の現状など見れば、単に「シナリオ」では済ませられない現実味を帯びた見通しである。
  こんな安全保障環境の中で、では日本はどうすべきなのだろう。この点は、さらにこのカーネギー国際平和財団の報告に沿って次回のリポートで伝えたい。
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[国際激流と日本] 中国のすさまじい軍事力増強を米国防総省が警告 古森義久 2013-05-22 | 国際/中国/アジア 
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 『憲法が日本を亡ぼす』古森義久著 海竜社 2012年11月15日 第1刷発行
 (抜粋)
p162〜
 中国は射程約1800キロの準中距離弾道ミサイル(MRBM)の主力DF21Cを90基ほど配備して、非核の通常弾頭を日本全土に打ち込める能力を有している。同じ中距離の射程1500キロ巡航ミサイルDH10も総数400基ほどを備えて、同様に日本を射程におさめている。米国防総省の情報では、中国側のこれら中距離ミサイルは台湾有事には日本の嘉手納、横田、三沢などの米空軍基地を攻撃する任務を与えられているという。
 しかし、アメリカ側は中国のこれほどの大量の中距離ミサイルに対して、同種の中距離ミサイルを地上配備ではまったく保有していない。1章で述べたとおり、アメリカは東西冷戦時代のソ連との軍縮によって中距離ミサイルを全廃してしまったのだ。ロシアも同様である。
p163〜
 だからこの階級のミサイルを配備は、いまや中国の独壇場なのである。
 「中国は日本を攻撃できる中距離ミサイルを配備して、脅威を高めているが、日本側ももし中国のミサイルを攻撃を受けた場合、同種のミサイルをで即時に中国の要衝を攻撃できる能力を保持すれば、中国への効果的な抑止力となる」
 衝突しうる2国間の軍事対立では力の均衡が戦争を防ぐという原則である。抑止と均衡の原則だともいえる。
 実際にアメリカとソ連のかつての対立をみても、中距離ミサイルは双方が均衡に近い状態に達したところで相互に全廃という基本が決められた。一方だけがミサイル保有というのでは、全廃や削減のインセンティブは生まれない。だから、中国の中距離ミサイルを無力化し、抑止するためには日本側も同種のミサイルを保有することが効果的だというのである。
 日本がこの提案の方向へと動けば、日米同盟の従来の片務性を減らし、双務的な相互防衛へと近づくことを意味する。アメリカも対日同盟の有効な機能の維持には、もはや日本の積極果敢な協力を不可欠とみなす、というところまできてしまったようなのである。
p164〜
 3 アメリカで始まる日本の核武装論議
○中国ミサイルの脅威
 アメリカ議会の有力議員が日本に核武装を考え、論じることを促した。日本側で大きくは取り上げられはしなかったが、さまざまな意味で衝撃的な発言だった。アメリカ連邦議会の議員がなかば公開の場で、日本も核兵器を開発することを論議すべきだと、正面から提言したことは、それまで前例がなかった。
 この衝撃的な発言を直接に聞いたのは、2011年7月10日からワシントンを訪れた拉致関連の合同代表団だった。
p165〜
 さて、この訪米団は、7月14日までアメリカ側のオバマ政権高官たちや、連邦議会の上下両院議員ら合計14人と面会し、新たな協力や連帯への誓約の言葉を得た。核武装発言はこの対米協議の過程で11日、下院外交委員会の有力メンバー、スティーブ・シャボット議員(共和党)から出たのだった。
p166〜
 続いて、東祥三議員がアメリカが北朝鮮に圧力をかけることを要請し、後に拉致問題担当の国務大臣となる松原議員がオバマ政権が検討している北朝鮮への食糧援助を実行しないように求めた。
 シャボット議員も同調して、北朝鮮には融和の手を差し伸べても、こちらが望む行動はとらず、むしろこちらが強硬措置をとったときに、譲歩してくる、と述べた。
p167〜
○日本の核武装が拉致を解決する
 そのうえでシャボット議員は、次のように発言した。
 「北朝鮮の核兵器開発は韓国、日本、台湾、アメリカのすべてにとって脅威なのだから、北朝鮮に対しては食糧も燃料も与えるべきではありません。圧力をかけることに私も賛成です」
 「私は日本に対し、なにをすべきだと述べる立場にはないが、北朝鮮に最大の圧力をかけられる国は中国であり、中国は日本をライバルとしてみています」
 「だから、もし日本が自国の核兵器プログラムの開発を真剣に考えているとなれば、中国は日本が核武装を止めることを条件に、北朝鮮に核兵器の開発を止めるよう圧力をかけるでしょう」
 肝心な部分はこれだけの短い発言ではあったが、その内容の核心はまさに日本への核武装の勧めなのである。北朝鮮の核兵器開発を停止させるために、日本も核兵器開発を真剣に考えるべきだ、というのである。 *強調(太字・着色)は来栖
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中国海軍幹部「ハワイより東を米軍、西を中国海軍が管理しよう」/李鵬元首相「日本は地上から消えていく」 2013-01-19 | 国際/中国/アジア 
 中国「ハワイ領有権も主張できる」 米国務長官、協議の一幕明かす
 産経ニュース2012.11.30 20:06【ワシントン=犬塚陽介】
 クリントン米国務長官は11月29日、ワシントン市内で講演した際の質疑応答で、過去に南シナ海の領有権問題を中国と協議した際、中国側が「ハワイ(の領有権)を主張することもできる」と発言したことを明らかにした。長官は「やってみてください。われわれは仲裁機関で領有権を証明する。これこそあなた方に求める対応だ」と応じたという。
 協議の時期や詳細には言及しなかったが、20日の東アジアサミット前後のやりとりの可能性もある。仲裁機関は国際司法裁判所(ICJ)を指すとみられる。
 ハワイをめぐっては、太平洋軍のキーティング司令官(当時)が2007年5月に訪中した際、中国海軍幹部からハワイより東を米軍、西を中国海軍が管理しようと持ちかけられたと証言したこともあった。
 クリントン長官は、中国と周辺国の領有権問題について、領有権の主張が地域の緊張を招くような事態は「21世紀の世の中では容認できない」と述べ、東南アジア諸国連合(ASEAN)が目指す「行動規範」の策定を改めて支持した。また、領有権問題は「合法な手段」で解決されねばならないと強調した。
 さらに、領有権問題は北極や地中海でも起こりかねず、米国は「グローバルパワー」として放置できないと明言。中国が「できる限り広範囲」の領有権を主張する中、法に基づく秩序維持のために「直言していかねばならない」と語った。
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日本抹殺を目論む中国 「日本は取るに足るほどの国ではない。20年後には地上から消えていく国となろう」 2012-10-04 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
  日本抹殺を目論む中国に備えはあるか?今こそ国家100年の計を立てよ、米国の善意は当てにできない  
JB PRESS 2011.01.12(Wed) 森 清勇

 今日の国際情勢を見ていると、砲艦外交に逆戻りした感がある。そうした理解の下に、今次の「防衛計画の大綱」(PDF)は作られたのであろうか。「国家の大本」であるべき国防が、直近の政局絡みで軽々に扱われては禍根を千載に残すことになる。
 国家が存在し続けるためには国際社会の現実から目をそらしてはならない。日本の安全に直接的に関わる国家は覇権志向の中国、並びに同盟関係にある米国である。両国の国家としての在り様を検証して、国家百年の計を立てることこそ肝要である。
■中国は日本抹殺にかかっている
 1993年に中国を訪問したポール・キーティング豪首相(当時)に対して、李鵬首相(当時)が「日本は取るに足るほどの国ではない。20年後には地上から消えていく国となろう」と語った言葉が思い出される。
 既に17年が経過し、中国は軍事大国としての地位を確立した。日本に残された期間はわずかである。
 中国の指導者の発言にはかなりの現実味がある。毛沢東は「人民がズボンをはけなくても、飢え死にしようとも中国は核を持つ」と決意を表明した。
 当時の国際社会で信じるものは少なかったが実現した。?小平は「黒猫でも白猫でも、ネズミを捕る猫はいい猫だ」と言って、社会主義市場経済を導入した。
 また香港返還交渉では、交渉を有利にするための「一国両制」という奇想天外なノーブルライ(高貴な嘘)で英国を納得させた。
 政治指導者ばかりでなく、軍高官も思い切ったことをしばしば発言している。例えば、朱成虎将軍は2005年に次のように発言している。
 「現在の軍事バランスでは中国は米国に対する通常兵器での戦争を戦い抜く能力はない。(中略)米国が中国の本土以外で中国軍の航空機や艦艇を通常兵器で攻撃する場合でも、米国本土に対する中国の核攻撃は正当化される」
 「(米国による攻撃の結果)中国は西安以東のすべての都市の破壊を覚悟しなければならない。しかし、米国も数百の都市の破壊を覚悟せねばならない」
 他人の空言みたいに日本人は無関心であるが、日米同盟に基づく米国の武力発動を牽制して、「核の傘」を機能不全にしようとする普段からの工作であろう。
 2008年に訪中した米太平洋軍司令官のティモシー・キーティング海軍大将は米上院軍事委員会公聴会で、中国海軍の高官が「太平洋を分割し、米国がハワイ以東を、中国が同以西の海域を管轄してはどうか」と提案したことを明らかにしている。
 先の尖閣諸島における中国漁船の衝突事案がらみでは、人民解放軍・中国軍事科学会副秘書長の要職にある羅援少将が次のように語っている。
 「日本が東シナ海の海洋資源を握れば、資源小国から資源大国になってしまう。(中略)中国人民は平和を愛しているが、妥協と譲歩で平和を交換することはあり得ない」と発言し、また「釣魚島の主権を明確にしなければならない時期が来た」
 こうした動きに呼応するかのように、中国指導部が2009年に南シナ海ばかりでなく東シナ海の「争う余地のない主権」について「国家の核心的利益」に分類したこと、そして2010年に入り中国政府が尖閣諸島を台湾やチベット問題と同じく「核心的利益」に関わる問題として扱い始めたと、香港の英字紙が報道した。
■中国の「平和目的」は表向き
 1919(大正8)年、魚釣島付近で福建省の漁民31人が遭難したが、日本人が救助し無事に送還した。それに対して中華民国長崎領事が「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島・・・」と明記した感謝状を出している。
 中国が同諸島の領有権を主張し始めたのは国連の海洋調査でエネルギー資源が豊富にあることが判明した1970年代で、領海法を制定して自国領に組み入れたのは1992年であるにもかかわらず、「明確な日本領」を否定するためか、最近は「古来からの中国領土」とも言い出している。
 実際、首相が横浜APECで“首脳会談を開けた”だけで安堵している間に、ヘリ2機搭載可能で機銃まで装備していると見られる新鋭漁業監視船を含む2隻が接続水域に出没している。
 海保巡視船の警告に対しては「正当に行動している」と返事するのみである。
 中国の言う「正当な行動」とは中国の領海法に基づくもので、尖閣諸島に上陸しても正当化されるということにほかならない。現に、石垣市議2人が上陸したことに対し、中国外務省は「中国の領土と主権を著しく侵犯する行為」という談話を発表した。
 漁船がさほど見当たらないにもかかわらず漁業監視船が接続水域を彷徨しているのは、日本人の感覚を麻痺させる(あるいは既に上陸しているかもしれない)のを隠蔽する作戦のように思われる。
 係争の真っ只中で、そうした行動が取れるはずがないという識者も多いが、「尖閣は後世の判断に任せる」、あるいは「ガス田の協議をする」などの合意を平気で反故にしてきた中国である。何があってもおかしくない。
 20年余にわたって2桁台の軍事力増強を図ってきた中国に透明性を求めると、「平和目的」であるとの主張を繰り返す。中国の「平和目的」は異常な軍事力増強の言い逃れであり、露わになってきた覇権確立のカムフラージュでしかない。
 軍事力増強と尖閣沖漁船衝突のような異常な行動、さらには北朝鮮の無謀をも擁護する中国の姿勢が日米(韓はオブザーバー)や米韓(日本はオブザーバー)の合同軍事演習の必要性を惹起させたのであるが、中国はあべこべに自国への脅迫であるとクレームをつけている。
 現時点では指導部の強権でインターネット規制などをしながら、人民には愛国無罪に捌け口を求めさせることで収拾している。
 しかし、矛盾の増大と情報の拡散で人民を抑えきれなくなった時、衣の下に隠された共産党指導部の意図が、ある日突然行動に移されないとは言えない。
■米国を頼れる時代は終わりつつある
 日本人で米国の「核の傘」の有効性に疑問を呈する者は多い。歴史も伝統も浅い米国は、「国民の国民による国民のための政治」を至上の信条としており、行動の基本は世論にあると言っても過言ではないからである。
 フランクリン・ルーズベルトは不戦を掲げて大統領選を戦い、国民はそれを信じて選んだ。しかし、第2次世界大戦が始まるや、友邦英国の苦戦、ウィンストン・チャーチルの奮戦と弁舌巧みな哀願を受けた大統領は、米国民のほとんどが反対する戦争に参加する決心をした。
 当初はドイツを挑発して参戦の機会を探るが、多正面作戦を嫌うドイツは挑発に乗らなかった。
 そこでルーズベルトは日本を戦争に巻き込むことを決意し、仕かけた罠が「ハル・ノート」を誘い水として真珠湾を攻撃させることであった。
 日本の奇襲作戦を「狡猾(トリッキィー)」と喧伝し、米国民には「リメンバー・パールハーバー」と呼びかけて国民を参戦へと決起させたのである。
 逆に、世論が政府を動かないようにさせることも当然あり得る。核に関して言うならば、被害の惨状に照らして、国民が政府に「核の傘」を開かせないという事態が大いにあり得る。
 虎将軍ら中国軍高官の発言は、普段から米国民にこうした意識を植え付けて、米国が日中間の係争に手を出せないように仕向ける下地つくりとも思われる。
 米国初代のジョージ・ワシントン大統領は「外国の純粋な行為を期待するほどの愚はない」と語っている。
 日米安保が機能するように努力している現在の日本ではあるが、有事において真に期待できるかどうか、本当のところは分からない。能天気に期待するならば、これほどの愚はないということではないだろうか。
 今こそ、日米同盟を重視しながらも、「自分の国は自分で守る」決意を持たないと、国家としての屋台骨がなくなりかねない。
 中でも「核」問題が試金石であると見られる。親米派知識人は、「日本の核武装を米国が許すはずがない」の一点張りであるが、あまりにも短絡的思考である。
 日本の核論議が日米同盟を深化させ、ひいては米国の戦略を補強するという論理の組み立てをやってはいかがであろうか。
 米国が自国の国益のために他国を最大限に利用し、また国家戦略のために9.11にまつわる各種事象を操作(アル・ゴア著『理性の奪還』)したりするように、日本も自立と国益を掲げて行動しないと、米中の狭間に埋没しかねない。
 核拡散防止条約(NPT)は高邁な趣旨と違って、保有を認められた5カ国の核兵器削減は停滞しているし、他方で核保有国は増大している。
 「唯一の被爆国」を称揚する日本であるゆえに、道義的観点並びに核に関するリアリズムに則った新条約などを提案する第一の有資格者である。
 同時に、地下鉄サリン事件の防護で有効に対処できた経験を生かし、核にも有効対処できるように準備する必要がある。
 その際、形容矛盾の非核三原則ではなく、バラク・オバマ大統領の言葉ではないが、「日本は核保有国になれるが、保有しない」(Yes, we can, but we don’t)と闡明し、しっかり技術力を高めておくのが国家の使命ではないだろうか。
 ヒラリー・クリントン米国務長官は「尖閣には日米安保条約第5条が適用される」と言明した。
 しかし、かつて一時的にせよ、ウォルター・モンデール元駐日米大使が「適用されない」と発言したように、政権により、また要人により、すなわちTPO(時・場所・状況)に左右されると見た方がよい。
 米国では従軍慰安婦の議会決議に見た通り、チャイナ・ロビーの活躍も盛んである。
 ましてや、既述のように決定の最大要因が国民意思であるからには、核兵器の惨害が米国市民数百万から1000万人に及ぶと見られる状況では、「核の傘」は機能しないと見るのが至当ではなかろうか。「有用な虚構」であり続けるのは平時の外交段階だからである。
■先人の血の滲む努力を無にするな
 日本は明治維新を達成したあと、範を欧米に求めた。新政府の要路にある者にとって自分の地位が確立していたわけでもなく、また意見の相違も目立つようになり内憂を抱えていた。
 しかし、それ以上に外患に備えなければ日本の存立そのものが覚束ないという思いを共有していた。そこで、岩倉具視を団長とする米欧使節団を送り出したのである。
 一行には木戸孝允、大久保利通、伊藤博文などもいた。1年10カ月にも及ぶ長期海外視察は、現役政府がそのまま大移動するようなもので、不在間の案件処理を必要最小限に留めるように言い残して日本を後にしたのもゆえなしとしない。
 よく言われるように、英国を観ては「40年も遅れている」とは受け取らず、「40年しか遅れていない」と見て、新興国日本の明日への希望を確認した。
 また、行く先々で文明の高さや日本と異なる景観に感服するところもあったが、その都度、好奇心を発揮して記憶にとどめ、また瀬戸内海などの素晴らしい景観があるではないかと、「日本」を決して忘れることはなかった。
 米国のウエストポイント陸軍士官学校を訪れた時は射撃を展示され、そのオープンさにびっくりするが、日本人ならばもっと命中させると逆に自信の程を高めている。
 ことほどさように、初めて外国を視察しているにもかかわらず、その目は沈着で、異国情緒に飲み込まれることもなく、基底に「日本」を据えて比較検証しようとしている。
 こうした見識はひとえに、為政者として日本の明日を背負って立たなければならないという確固たる信念がもたらしたと見るほかはない。
 代表団が特に関心を抱いたことは、小国の国防についてである。オランダ、ベルギー、デンマーク、さらにはオーストリア、スイスなどを回っては、日本の明日を固める意志と方策を見出そうと懸命である。
 もう1つ、国際社会に出ようとする日本が関心を持ったのは万国公法(今日の国際法)についてであった。プロシアの鉄血宰相ビスマルクの話には真剣に耳を傾け、また参謀総長モルトケの議会演説にも強い関心を持った。
 概略は次のようなものだった。
 「世界各国は親睦礼儀をもって相交わる態度を示しているが、それは表面上のことでしかない。内面では強弱相凌ぎ、大小侮るというのが実情である。万国公法は、列国の権利を保全する不変の法とはいうものの、それは大国の利のあるうちでいったん不利となれば公法に代わる武力をもってする」(ビスマルク)
 「政府はただ単に国債を減らし、租税を軽くすることばかりを考えてはならない。国の権勢を境外に振るわすように勤めなければならない。法律、正義、自由などは国内では通用するが、境外を保護するのは兵力がなければ不可能である。万国公法も国力の強弱に依存している」(モルトケ)
 このことは、現在にも通用する。しっかり反芻し、記憶することが大切である。
 日本は「唯一の被爆国」や「平和憲法」を盾に、国際情勢の激変にもかかわらず官僚的手法の「シーリングありき」で累次の「防衛計画の大綱」を策定してきた。
 こうした日本の無頓着で内向的対応が、周辺諸国の軍事力増強を助長した面はないのだろうか。
 明治の為政者たちが意識した外国巡視に比較して、今日の政治家の海外視察はしっかりした歴史観も日本観も希薄に思えてならない。
歴史の教訓を生かす時
 ここで言う歴史の教訓とは、明治の先人たちが命懸けで体得した「国際社会は力がものをいう」というリアリズムである。今日ではそのことが一段と明確になっている。
 アテネはデモクラシー(民主主義)発祥の地であり、ソクラテスやプラトンを輩出したことで知られている。
 そのアテネでは人民(デモス)の欲望が際限なく高まり、国家はゆすり、たかりの対象にされ、過剰の民主主義が国力を弱体化させていく。
 専制主義国家スパルタとの30年戦争の間にも国民は兵役を嫌い、目の前の享楽に現を抜かし道徳は廃れ、ついに軍門に下る。
 その後、経済も復興するが、もっぱら「平和国家」に徹し続け、スパルタに代わって台頭した軍事大国マケドニアに無条件降伏を突きつけられる。一戦を交えるが惨敗して亡国の運命をたどった。
 例を外国に求めるまでもない。日本にも元禄時代があった。男性が女性化し、風紀は乱れ、国家の将来が危ぶまれた。この時、出てきたのが「武士道といふは死ぬことと見つけたり」で膾炙している『葉隠』である。
 ことあるごとに死んでいたのでは身が幾つあってもたまらないが、真意は「大事をなすに当たっては死の覚悟が必要だ」ということである。 
 こうした考えが、自分たちのことよりも国家の明日を心配した米欧派遣の壮挙につながった。日本出発から1カ月を要してようやくワシントンに着くが、いざ条約改正交渉という段になって天皇の委任状のないことを指摘され、大久保と井上博文はその準備に帰国する。
 往復4カ月をかけて再度米国に着いた時には、軽率に条約改正する不利を悟り代表団が米政府に交渉打ち切りを通告していた。
 何と無駄足を運んだかとも思われようが、当時の彼らにとっては、国力の差を思い知らされる第1章と受け取る余裕さえも見せている。
 国家を建てる、そして維持することの困難と大切さを身に沁みて知ったがゆえに、華夷秩序に縛られた朝鮮問題で無理難題を吹っかけられても富国強兵ができる明治27(1894)年まで辛抱したのであり、三国干渉の屈辱を受けても臥薪嘗胆して明治37(1904)年までの10年間を耐えたのである。
 佐藤栄作政権時代に核装備研究をしていたことが明らかになった。「非核三原則」を打ち出した首相が、こともあろうにという非難もあろう。
 しかし、ソ連に中立条約を一夜にして破られた経験を持つ日本を想起するならば、「日本の安全を真剣に考えていた意識」と受け取り、その勇気に拍手喝采することも必要ではないか。
 国際社会は複雑怪奇である。スウェーデンもスイスも日本人がうらやむ永世中立国である。その両国が真剣に核装備を検討し、研究開発してきたことを知っている日本人はどれだけいるであろうか。また、こうした事実を知って、どう思うだろうか。
 「密約」を暴かずには済まない狭量な政治家に、そんな勇気はないし、けしからんと難詰するのが大方ではないだろうか。しかし、それでは国際社会を生き抜くことはできない。
終わりに
 漁船衝突事案では、横浜APECを成功させるために、理不尽な中国の圧力に屈した。日本は戦後65年にわたって、他力本願の防衛で何とか国家を持ちながらえてきた。
 しかし、そのために国家の「名誉」も「誇り」も投げ捨てざるを得なかった。今受けている挑戦は、これまでとは比較にならない「国家の存亡」そのものである。
 米国から「保護国」呼ばわりされず、中国に「亡失国家」と言われないためには、元寇の勝利は神風ではなく、然るべき防備があったことを真剣に考えるべきである。
 そのためにはあてがいぶちの擬似平和憲法から、真の「日本人による日本のための日本国憲法」を整備し、名誉ある独立国家・誇りある伝統国家としての礎を固めることが急務であろう。
〈筆者プロフィール〉
森 清勇 Seiyu Mori星槎大学非常勤講師
 防衛大学校卒(6期、陸上)、京都大学大学院修士課程修了(核融合専攻)、米陸軍武器学校上級課程留学、陸幕調査部調査3班長、方面武器隊長(東北方面隊)、北海道地区補給処副処長、平成6年陸将補で退官。
その後、(株)日本製鋼所顧問で10年間勤務、現在・星槎大学非常勤講師。
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◆ 対日関係 露中韓北を動かす「悪の論理」(後) 濱口和久「本気の安保論」 2012-12-12 | 国際/中国/アジア
 対日関係、露中韓北を動かす「悪の論理」(後) 濱口和久「本気の安保論」
 NET IB NEWS 2012年12月12日 07:00 日本政策研究センター研究員 濱口和久
<中国の領土膨張思想>
 一方、同じ大陸国家であり、ロシアと陸上で国境線を接する中国には「国境線」という言葉は存在しない。中国語で「国境線」に該当する言葉は「辺彊」である。正確に言うと曖昧な地域を示す「緩衝地帯」に近い。
そのため中国では、「緩衝地帯」に「力の空白」が発生した場合、他民族はその空白を埋めようと侵略してくる。中国の歴史は、「辺彊」が他民族の手に落ちれば、「緩衝地帯」がなくなる。漢民族(支那人)にとって、中原の地(文明の中心地)から少しでも遠く離れた地域に「緩衝地帯」をつくることが、国家存続の前提であった。
 毛沢東は昭和20年(1945)8月15日の日本の敗戦後、国共内戦に勝利する。国民党を台湾に追放すると、昭和24年(1949)10月1日、中国(中華人民共和国)を建国する。
このときの中国の「辺彊」は(満洲・内モンゴル・チベット・新疆ウィグル)の地域であった。「辺彊」経営を積極的に進めた結果、現 在は中国の膨張主義を支える戦略的拠点として位置づけられるまでになっている。  「辺彊」は陸上にだけ存在するのではない。海上にも「辺彊」は存在する。黄海、東シナ海、南シナ海はもちろんのこと、日本の琉球諸島周辺海域も、海上の「辺彊」として位置付けている。新たに最近は、西太平洋にまで海上の「辺彊」を拡大するかのような動きを加速させている(平松茂雄著・草思社『中国はいかに国境を書き換えてきたか』)。
 その証拠に、中国海軍はここ数年、頻繁に沖縄南西海域を通過して、沖ノ鳥島海域で軍事演習を行なっている。平成23年(2011)6月には、ミサイル駆逐艦など計11隻が宮古島北東約100キロメートルの海域を東シナ海から太平洋へ向けて南東進し、その後、沖ノ鳥島南西約450キロメートルの海域では最大規模となる軍事演習を行なった。その後もたびたび沖ノ鳥島海域で軍事演習を行なっていることが確認されている。
 日本では尖閣諸島に国民の関心が集まっているが、沖ノ鳥島海域はいまや中国海軍の海と化そうとしているのである。尖閣諸島だけでなく、沖ノ鳥島にも人を常駐する体制を早急に整備する必要があるのだ。
 では、中国の海洋進出はいつごろから始まったのだろうか。
 まず昭和49年(1974)1月、ベトナム戦争末期のどさくさに紛れて、中国が艦船と空軍機で、南ベトナムが支配していた南シナ海の西沙(パラセル)諸島から同国兵を排除し、不法占拠した。昭和63年(1988)3月には、ベトナム統治下の南沙(スプラトリー)諸島の赤爪礁を攻撃し、ベトナム兵70人を殺害し不法占拠している。さらに平成4年(1992)9月、米海軍がフィリピンから撤退すると、同年11月には漁船に擬装した海洋調査船を多数派遣し、平成5年(1995)2月、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)のパラワン島近くのミスチーフ環礁に軍事施設を建設した。このように「力の空白」に乗じて、次々と不法占拠の領域を拡大しているのが中国なのである。
 平成4年(1992)には、南沙諸島、西沙諸島、尖閣諸島を中国領土とする領海法が制定されている。翌年(1993)には全国人民代表者大会で、李鵬首相が「防御の対象に海洋権益」を含めると表明した。さらに平成22年(2010)には島嶼保護法が制定された。この法律は無人島の管理や離島の環境保護などを規定している。島嶼とその周辺200海里の海底資源や漁業資源を確保する狙いがある。黄海、南シナ海、東シナ海のすべてが含まれており、尖閣諸島や南沙諸島なども含まれることになる。
 中国が主権を行使できるEEZは、国連海洋法条約の規定に基づいて計算すると、100万平方キロメートルしかない。ところが、その3倍の300万平方キロメートルの広大な海域を自国の支配する海だと主張するばかりか、島、海底資源、漁業資源もすべて自分のものだとして、領海法や島嶼保護法を制定し、中国の海洋覇権を正当化しようとしている。
 平成18年(2008)3月の米上院軍事委員会の公聴会では、太平洋軍司令官のキーティング海軍大将が平成17年(2007)5月に中国を訪問した際、会談した中国海軍幹部から、ハワイを基点として米中が太平洋の東西を「分割管理」する構想を提案されていたことを明らかにした。
 同司令官によると、この中国海軍幹部は、「われわれ(中国)が航空母艦を保有した場合」として、ハワイ以東を米国が、ハワイ以西を中国が管理することで、「合意を図れないか」と打診したという。
このことは中国海軍の近代化が進むなか、海上の「辺彊」を確実に拡大しようとしている中国の国家意志の表れである。
後にジャーナリスト櫻井よしこ氏が、この中国海軍幹部は、元少将で、現在は中国国防大学戦略研究所所長・楊毅氏であることを明らかにしている(『WiLL』平成24年1月号)。
 現在の中国の領土膨張主義は、昭和62年(1987)に中国三略管理科学研究院・徐光裕高級顧問が論文で発表した「戦略的辺彊」という新たな概念を理論化したものである(『海国防衛ジャーナル』平成22年4月4日付)。  通常の地理的境界は、国際的に承認された国境で囲まれた範囲を、自国の領域(領土・領海・領空)としている。中国の「戦略的辺彊」とは、通常の領域概念とは異なり、「総合的国力の増減で伸縮する」と規定している。これは中国の領域が、常に膨張と縮小の歴史を繰り返してきたことから生まれた考え方だ。中央政府が強ければ「戦略的辺彊」の拡大とともに地理的国境は拡大する。逆に弱くなれば縮小するということを意味している。
 中国では、政治体制や王朝が変わろうが、常に「中華思想」は普遍のものである。「戦略的辺彊」という新たな概念のもと、中国の領土膨張の野心はとどまるところを知らないのである。
 中国の領土膨張主義が拡大すれば、間違いなく日本の命運は中国が握ることになる。中国の野望は、決して夢物語で終わる話ではないということを、日本国民は認識しておかなければならない。
<露中韓北VS日本は複雑な方程式>
 韓国との竹島問題、北朝鮮との拉致問題も、露中韓北と日本との間の複雑に絡み合った方程式の中にあり、ロシアや中国との駆け引きを無視しては、解決できない問題だ。
 ロシアと中国の動向を見極める能力、つまりは「悪の論理」を見抜くための力を養うことこそが、日本を取り巻く国際関係を理解する上で、必要な資質となるのである。 (了)
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対日関係、露中韓北を動かす「悪の論理」(前)濱口和久「本気の安保論」 2012-12-11 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
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