安重根の記念碑設置に韓国躍起 中国が消極的な3つの理由 反日で共闘なら…
zakzak2013.07.20
伊藤博文元首相を暗殺した朝鮮半島出身の抗日運動家、安重根について、韓国の朴槿恵大統領が6月末の中韓首脳会談で、中国黒竜江省ハルビンの駅に記念碑を設置するため習近平中国国家主席に協力を要請した。暗殺現場に記念碑を設け、民族の英雄を顕彰することは韓国側の長年の悲願とされる。朴大統領の要請を受けた中国側の反応を探るため、現地を訪れた。(黒竜江省ハルビン 矢板明夫、写真も)
■韓国企業が寄付
ハルビン駅から西へ約1キロ離れた繁華街の交差点に「朝鮮民族芸術館」という7階建てのビルがある。黒竜江省に居住する約50万人の朝鮮族のため、言語、文化、芸術を継承し普及する公益施設だ。ビルの2階が「安重根義士記念館」になっている。
玄関を入ると大きな安重根の像があり、その脇に中国語とハングル語で「安重根義士についての知識講座開催中」と張り紙されていた。毎週末に開かれているという。
館内には安重根の写真、揮毫など100点以上の資料が陳列されており、伊藤博文を暗殺したときの様子を再現した模型もある。
展示物や放映されているビデオは安重根の偉大さを全面的にたたえる一方、日本の凶暴さや残忍さも強調している。伊藤博文は「日本で天皇の次に影響力を持つ政治家」「日清、日露戦争を起こした戦争狂人」などと紹介されていた。
ボランティアでガイドを務める朝鮮族の大学生の男性(19)は安重根に心酔しており、「一人でも多くの人に朝鮮民族の英雄、安義士のことを知ってもらいたい」と、週に3回来ているという。
ハルビンの朝鮮族団体関係者によると、中国と国交を樹立した1990年代前半から、韓国はハルビン市内で安重根記念館の設立を中国側に要請していたが、なかなか同意を得られなかった。粘り強く陳情を続けた結果、2006年7月に朝鮮民族芸術館内でという条件で、ようやく許可が下りたという。
記念館は韓国政府とサムスン、アシアナ航空など複数の韓国企業の寄付によって作られた。訪れるのはほとんど韓国からの観光客だという。「韓国人は8割、朝鮮族と日本人は1割ずつという感じで、漢族の中国人は安重根に全く興味を持ってくれない」。記念館のスタッフが嘆いた。
■3つの理由
「ハルビン市内に安重根記念館があるにもかかわらず、駅前にも記念碑をつくりたいという韓国人の執念深さに脱帽した」。北京のある朝鮮問題研究者が感想を漏らした。
研究者は「首脳会談で朴大統領が直接、習主席に記念碑設置という具体的な協力を要請したことは失礼に当たる」と指摘した。「双方の外務省が、事前交渉で合意できなかった可能性もある」との見方も示した。
朴大統領の要請に習主席は、「関係部署に検討するよう指示する」と曖昧に回答した。翌日の中国各紙は首脳会談を伝える記事でも、記念碑の件には全く触れなかった。
首脳会談から2週間後の7月中旬になっても、ハルビン市関係者は「中央からまだ具体的な指示が来ていない」と話していた。中国側が記念碑設置の可否について、まだ方針を決めていない可能性もある。
この話題は、地元住民にとって目新しいものではない。「安重根義士崇慕会」という韓国の政治団体に所属するハルビン在住の韓国人企業家らが06年1月、ハルビン駅から約200メートル離れた同市の中央大街広場公園内に、高さ約4・5メートルの安重根の銅像を建てた。しかし、「外国人の銅像建設は許可しない」との理由で約10日後、ハルビン政府が撤去していた。
北東アジア史を専門とする中国人学者は、「中国当局は安重根記念碑の設立に消極的になっている」として、3つの理由を挙げた。
まずは、要人暗殺という過激な手段に出た人物の顕彰は、国内治安に悪影響を及ぼしかねない点だ。中国当局は現在、チベットや新疆ウイグル自治区での焼身自殺や暴動に手を焼いている。そうしたなかで、異民族の統治者に抵抗した安重根のまねをする人物が国内で現れることは、指導部にとって悪夢に違いない。
共産革命や抗日戦争などで戦死した中国の英雄が多数いるのに、外国人の記念碑を優先して作ることには軍人や保守派の反発も予想される。冬の氷雪祭で知られる観光都市ハルビンで、公の場に安重根の記念碑を作れば、日本からの観光客が減る可能性もある。
■反日で共闘も
「昨年までなら、安重根の記念碑は絶対に作られないと自信を持って言えたが、最近は分からなくなってきた」とハルビン観光協会の関係者はいう。
日本政府による12年秋の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化以降、ハルビンでも反日感情が高まり、韓国人や朝鮮族の発言力が強くなったという。「いまの国のトップ(習近平主席)も反日だから、後先のことを考えず一気に(記念碑を)作ってしまうかもしれない」とこの関係者は話す。
ハルビン市幹部によると、韓国からの観光客誘致のため、中国在住の韓国人と朝鮮族団体の関係者が「安重根記念平和観光路線マップ」の作成を中国各地の政府に提案する動きがあるという。最近の日中関係の悪化につけ込み、韓国の反日団体は歴史問題で中国と共闘しようと攻勢に出ているようだ。
この路線マップ構想はハルビン駅の記念碑に加え、安重根が反日活動をしていた上海や死刑が執行された撫順など、中国国内のゆかりの地約10カ所に記念碑や銅像を建て、韓国と中国の青少年のための愛国、民族主義教育の拠点にする狙いがあるという。中国当局はこの構想に対する態度を明らかにしていないが、民間学者の間で支持の声も出始めているという。
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安重根(アン・ジュングン)
1879年、朝鮮半島の黄海道海州の出身。17才の時にキリスト教に入信。朝鮮の日本への従属に反発し、中国の上海やロシアのウラジオストクに移り義勇軍を組織するなど抗日運動を展開した。1909年、中国黒竜江省のハルビン駅で到着直後の伊藤博文・初代韓国統監を短銃で射殺した。死刑判決を受け翌年、旅順刑務所で処刑された。
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◇ 朴槿恵大統領 伊藤博文を暗殺した安重根の記念碑、中国黒竜江省ハルビン駅に設置の協力要請 2013-06-30 | 国際/中国/アジア
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伊藤博文元首相を暗殺した安重根の記念碑設置 中国が消極的な3つの理由 反日で共闘なら…
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