和歌山毒カレー事件:15年 「終わらない事件」の不安
毎日新聞 2013年07月23日 15時00分(最終更新 07月23日 16時22分)
*小学校、今も給食にカレー出さず
和歌山市園部で1998年に起きた毒物カレー事件は25日で、発生から丸15年になる。カレーに亜ヒ酸を混入し4人を殺害したとして、殺人罪などで死刑が確定した林真須美死刑囚(52)=再審請求中=は昨年ごろから、裁判で証言した地元住民らを相手取り、損害賠償を求めて相次いで提訴した。いずれも棄却されるなどしたが、住民からは「終わらない事件」に不安の声も上がる。地元の小学校では今も給食にはカレーを出していない。
地元住民への訴訟は林死刑囚が弁護士をつけず、本人訴訟で争っていた。少なくとも6件あり、これまでにいずれも棄却されるか、本人が取り下げた。
判決などによると、「1審・和歌山地裁の証人尋問での虚偽の供述、証言によって死刑判決を受けて確定。肉体的、精神的苦痛を受けた」などとし、数百万〜1000万円の損害賠償を求めていた。大阪地裁に提訴したが、被告側の申し立てで和歌山地裁へ移送されたケースもあった。
提訴された住民の親族は「何も悪いことはしていないのに、何でこんな目に遭うのか。警察や検察に協力を求められたから証人として出廷していただけなのに」と憤る。
事件が起きた夏祭りを主催した園部第14自治会は「命日を静かに過ごしたい」という遺族の意向を受け、事件後営まれていた慰霊祭を2010年から中止した。遺族宅への弔問も昨年から行っていない。現場近くの県警和歌山東署有功(いさお)交番で遺族や被害者の支援を続ける県警OBの相談員、丸山勝さん(64)は「遺族や被害者は表面上は平穏に見えても、悲しみや苦しみは変わらない」と指摘する。
地元の和歌山市立有功小学校(小林達史校長)は、事件の被害児童が通っていたこともあり、今も給食でカレーは見合わせている。ただ、来年の十七回忌など何らかの節目に再開も検討する方針だ。同市教委保健給食管理課の上野晶史課長は「家庭ではカレーを食べている子もいるようなので、地元から反発がなければ再開も考えたい」と話す。
一方、林死刑囚の再審の支援者は近況について「体も健康で元気な様子。『再審(無罪)を勝ち取るために頑張る』と言っている」と語った。【岡村崇、竹内望】
*ことば:和歌山カレー事件
98年7月25日、和歌山市の園部第14自治会主催の夏祭りで、カレーライスを食べた住民67人が急性ヒ素中毒を発症。うち4人が死亡した。和歌山県警はカレーに亜ヒ酸を混入したとして林死刑囚を殺人容疑などで逮捕。和歌山地裁は02年12月に死刑を言い渡し、09年5月に死刑が確定。林死刑囚は同年7月に再審請求した。
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◆ 和歌山毒カレー事件
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和歌山毒カレー事件:15年 「終わらない事件」の不安
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