【阿比留瑠比の極言御免】「亡国の君主」−韓非子の予言、菅元首相にピタリ
産経新聞2013.7.25 13:16
民主党執行部から議員辞職と離党を勧告された菅直人元首相の24日の党常任幹事会での様子を取材した。目をいからせ、口をとがらせた不服そうな表情からは、「反省」している様子は読み取れなかった。
所属政党に迷惑をかけようと支持者を混乱させようと、思いのままにわが道をゆく。執行部の立場も、巻き添えを食った候補者らの気持ちも一切考慮しないという驚くべき潔さだ。
「私は理屈は立つけれど、どうも情が足りないとみられている」
振り返れば菅氏は首相当時の街頭演説で、こう自己分析していた。本当に理屈が立つのかは怪しいが、中国・戦国時代の法家思想の大成者である韓非子が「天下を治むるは、必ず人情に因る」と指摘した政治の要諦とはほど遠い指導者だったのは間違いない。
そして韓非子が説く「亡国の君主」の類型は、約2200年も前に書かれたにもかかわらず、まるで予言のように現代の菅氏にぴたりと重なるのである。
《君主がねじけてかたくなで人と和合せず、諫(かん)言(げん)に逆らって人に勝つことを好み、国家のことを考えないで、軽率な行動で自信たっぷりという場合は、その国は滅びるであろう》
参院選で菅氏は、東京選挙区候補を一本化した執行部の「苦渋の選択」(海江田万里代表)に造反した。細野豪志幹事長に「しばらく黙って」と制止されても公認を外れた無所属候補を支援し、共倒れを招いた。
党改革創生本部が2月の総括で、昨年の衆院選での大敗の一因を「重要な局面での幹部のバラバラな行動や発言」と例示したにもかかわらずである。
「私は民主党の原発ゼロに本気で取り組んでいる候補だけを応援する」
おまけに菅氏は7月3日付のブログではこう自信たっぷりに宣言していた。
《君主がせっかちで気が短く、軽率で事を起こしやすく、すぐに激怒して前後の見さかいもなくなるという場合は、その国は滅びるであろう》
東電福島第1原発の吉田昌郎元所長が9日に死去すると、菅氏は自身の原発事故対応を批判した安倍晋三首相への攻撃を強めた。書き募るうちにだんだんと熱くなったらしく、16日には、安倍氏が2年以上前のメールマガジンに書いた記事は名誉毀(き)損(そん)だとして、突如として訴訟を起こす。
元首相が現職首相を、しかも選挙期間中に訴えること自体、極めて異例だ。これに首相側が「いちいち相手をしていられない」(周辺)と完全無視を決め込んだところ、菅氏は17日付のブログで独り勝ち誇った。
「安倍総理はまともに答えられないので黙っているのだと思う」
あまつさえ19日には、比例代表で自民党候補に投票しないよう呼び掛ける「落選運動」を始め、「元首相ともあろう人が…」と有権者の顰(ひん)蹙(しゅく)を買った。菅氏が期待したような効果があったとは思えない。
《過失をおかしながら忠臣のことばを聴きいれず、一人で自分の思ったとおりにしていると、名声を失って人の笑いものになっていく始まりである》
その通り、今や菅氏の名声はしぼむ一方だ。これ以上「元首相」の肩書を軽くしないためにも、勧告に従いバッジを外して市井の市民運動家に戻ってもらいたい。(政治部編集委員)
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◆ 安倍首相に対する提訴/菅氏は小沢氏の「政治とカネ」騒ぎ(検察や検審)で首相になり・・・郷原信郎が斬る 2013-07-23 | 政治
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「亡国の君主」−韓非子の予言、菅元首相にピタリ (阿比留瑠比の極言御免)
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