南シナ海問題 仲裁裁判所の審理始まり「対中抑止力」期待−フィリピン
産経新聞2013.7.27 07:28
南シナ海の領有権問題で、フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国を提訴した仲裁裁判所での審理が今月、始まった。フィリピン政府筋は、裁判が軌道に乗り今後、中国の“実効支配”の動きに一定の歯止めがかかるとみている。
仲裁裁判所での審理は11日に、オランダ・ハーグで始まった。第1回審理では今後の手続きを確認した。
フィリピンが提訴したのは1月。「領有権が南シナ海のほぼ全域に及ぶとする中国の主張は、国連海洋法条約に違反する」というのが主な趣旨だ。とりわけ、ルソン島西部スカボロー礁に居座る中国船の退去を、主眼としている。
「仲裁人」は計5人。本来はフィリピンと中国が各2人、残る1人を双方の協議で選定する。だが、中国が選ぶ仲裁人については、中国が仲裁手続き(裁判)を拒否したため、国際海洋法裁判所の柳井俊二所長が指名した。中国が仲裁手続きを拒否したままでも、審理は一方的に進められる。
フィリピン軍事筋によると、スカボロー礁はルソン島のサンフェルナンドとスービック港を拠点に、中国船への監視が行われている。だが「海軍艦船は下手に近づけず、偵察機と偽装漁船による監視が主体」だという。
中国が1995年から実効支配するミスチーフ環礁の目と鼻の先にあり、パラワン島から約200キロのアユンギン礁にも、中国船が居座り続けている。こちらはパラワン島ウルガン湾とプエルトプリンセサが監視拠点となっている。
政府筋は「フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の2カ所で、中国船のプレゼンスが固定化されてしまっている。中国のこれ以上の行動拡大を阻止しなければならないが、仲裁裁判所での審理が始まり、中国も不用意なまねはしにくいだろう」と指摘する。
一方、軍事筋によると、フィリピン軍幹部が23日、ベトナムを訪れ、両国軍が人的交流や軍事対話、情報交換など協力を強化することで合意した。軍事筋は「中国をにらんだ両国の軍事協力は、新たな進展をみせている」としている。(マニラ 青木伸行)
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南シナ海の領有権問題 フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国を提訴した仲裁裁判所での審理が始まった
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