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南シナ海 「ASEAN」で、中国の専横封じよ/中国は、その誇大な主張の後ろ盾となる軍事力を有している

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南シナ海問題:米、中国を巻き返し 各国主張海域、法的根拠求める
 毎日新聞2011年7月24日 東京朝刊
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)佐藤賢二郎、犬飼直幸】昨年に続き、中国とベトナム、フィリピンなどの間で対立が続く南シナ海の管轄権問題が最大焦点となった東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)。出席したクリントン米国務長官は各国が主張する海域の「法的根拠」を提示しあうよう提案した。多国間協議での問題解決を目指したASEANの切り崩しに成功した中国に対し、「航行の自由」を求める米国がASEAN側を引き付けるために巻き返しを図った格好だ。
 「各国が自制し、国際法に従って平和的に解決することが重要だ」。全体会合で発言したクリントン氏は訴えた。それぞれの思惑で海域の管轄権を主張する各国に対し、国際法に基づく根拠を明確にするよう求めた。
 これは、米とロシアが初めて公式参加して開かれる11月の東アジアサミットへ向けて各国に「宿題」を課した形にもなった。名指しはしなかったが、本土から遠く離れた南シナ海の大半の領有を主張する中国をけん制し、サミットを問題解決の枠組みにしたい米国の戦略が垣間見える。
 これに対し、中国は従来通り、2国間での解決を主張し、議論は平行線をたどった。
 中国の楊潔(ようけっち)外相は「歴史的な根拠から領有を主張している」と反論。「(南シナ海での)航行の自由は保障されている」と語り、米国の主張を改めて突っぱねた。
 さらに楊氏は会議後、記者団に「(南シナ海の問題は)当事国が友好的な話し合いのうえで解決すべきだ。その他の国家はそれを支持するしかない」とし、米国を当事者ではないと位置付けた。
 今年のARFは、中国と米国や日本、複数のASEAN加盟国が衝突した昨年7月のハノイでの会議とは一変した。「静かな雰囲気」(ASEAN筋)で進行し、各国間の激しいやり取りは姿を消した。
 背景には、中国とASEANがARF直前に「南シナ海行動宣言」のガイドラインに合意したことがある。
 米国の関与を阻止したい中国と、中国に対する温度差から内部に意見の違いを抱えるASEANが、法的拘束力のある「行動規範」の策定へ向けた「前進」をアピールするための妥協の産物だ。
 ASEAN各国は経済成長を続ける中国と貿易や開発援助などで深い関係があり、米国には、これ以上南シナ海問題で中国への強硬姿勢を強めれば、ASEAN各国を中国側に追いやりかねないとの危機感もある。クリントン氏が提案した「法的根拠」の提示についても、ASEAN各国内の受け止め方に温度差も生じ始めている。
 今回のARFを中国に自制を求める「本丸」と位置づけた日米両政府は、ガイドライン合意を「最初の一歩に過ぎない」とし、「規範」策定に向けてASEAN側を後押しする姿勢を崩していない。一方の中国は多国間での領有問題協議や、拘束力のある「規範」制定に依然抵抗している。
 資源確保へ「南進」を図る中国と、これを止めたい米国の基本的な立場の違いは埋まらず、11月のサミットへ向け、米中間でのASEAN側を取り込む綱引きが水面下で活発化しそうだ。
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アジアの「中国不信」、根底に歴史や文化
WSJ Japan Real Time2011年7月22日19:04
 ヒラリー・クリントン米国務長官は今週、インドネシア・バリ島で開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に出席する。長官は昨年のARFで、南シナ海の領有権をめぐる紛争解決において、ワシントンは一定の役割を果たす意向だと言明した。ベトナムやフィリピンをはじめとするアジア諸国がワシントンにリーダーシップ発揮を求め、オバマ政権がそれに応えた格好だ。
 だが今年のARFはもっと穏やかなものになるだろう。いずれの側も、どんなにわずかであろうとも、何らかの進展を宣言したいと意気込んでいるためだ。外交筋は今週、南シナ海をめぐる今後の協力の枠組みを規定した「行動宣言」の指針で合意した。ただし、法的拘束力のある行動規範の策定は依然手つかずのままだ。
 表面的には雪解けムードを演出しているものの、昨年以降、南アジア諸国の中国政府に対する警戒心は増す一方だ。それにはもっともな理由がある。中国軍が最近も相変わらず、南シナ海で領有権を主張する他国の船への妨害行為を続けているためだ。
 これには他の観測筋も困惑している。近隣諸国のワシントンへの接近は、中国にとってほとんど利益にならない。米軍に立ち向かえるようになるまでには、まだ何年も「平和的台頭」を続ける必要がある今はなおさらだ。
 にもかかわらず中国は強硬的態度を崩していない。だとすれば、米国とアジア地域の同盟国は、中国指導部がそうした態度を取り続ける理由は別にあると考えるべきだ。すなわち、それには過去の言葉の戦術や国内政治、そして何よりも中国の戦略的文化が影響しているとみるのが最も妥当だろう。
 この観点からして、中国が過去に国民の愛国心をあおったために、軍備の段階的縮小を難しくしたことは想起に値する。南シナ海に位置する岩礁に掘っ立て小屋を建て、兵士を常駐させていた20年前であれば、共産党機関紙・人民日報が中国のごく小さな南シナ海の領域を防衛する兵士の勇姿をたたえても、害はないように思えた。
 だが今や中国は、その誇大な主張の後ろ盾となる軍事力を有している。共産党の安全保障機構を運営する指導部は優位を増し、社会的安定を強化する手段の1つとしてナショナリズムへの訴求を利用している。
 また、他国との関係において中国が必ずしも一貫性や互恵主義に重きを置いていないこともそうだ。中国政府は海洋法に独自の解釈を加え、外国海軍による排他的経済水域(EEZ)への立ち入り禁止を宣言している。
 2009年3月に米海軍調査船が中国海南島沖の国際水域で踏査活動を行ったとき、漁師を装った中国海軍兵士が妨害行為を行った。中国漁船は同様の行為を日本のEEZでも行っている。
 さらに重要なのが、中国戦略当局が約2500年前に著された孫武の兵法書『孫子』に倣い、常に奇襲効果を重視している点だ。過去60年の朝鮮、チベット、インド、ベトナムでの主要紛争すべての開戦において、中国軍は警告なしに攻撃を仕掛けている。
 中国人民解放軍は本当の予算金額を明らかにしておらず、正確な軍事力を把握することはできない。09年の事件のように、南シナ海での紛争では人民解放軍は偽装漁船を利用しているため、その動きは検知するのが難しく、そのため民間人を巻き込む危険を冒すことなく防衛行為を行うことが一段と困難になっている。
 近隣諸国が中国を警戒する原因はここにある。紛争が解決しない限り、人民解放軍が攻撃を仕掛ける可能性を完全には無視できない。
 さらに中国はアジア地域で超大国が撤収するたびに、その機会を利用してきた。米軍による南ベトナム撤退後の1974年や、ソビエト軍によるカムラン湾撤退後の1984年に、人民解放軍はベトナムが領有する島々に侵攻している。
 近隣諸国は中国の歴史と文化を十分認識している。だからこそ中国に不信感を抱き、過去60年そうであったように、今後も米国が地域的平和を保障する役割を担い続けることを望んでいる。
 中国政府が数年前の微笑外交を再び取り戻し、法的拘束力のある南シナ海行動規範の順守を約束してくれることを近隣諸国が期待しているのは確かだ。しかし、今週末の会合で何を発言しようと、息を潜めるつもりはない。
 クリントン長官は恐らく非公開会合で、東南アジア諸国がワシントンによる東アジアでの外交的・軍事的関係強化を望んでいるというメッセージを受け取ることになるだろう。
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尖閣は台湾固有の領土、中国と連携せず…馬総統
 【台北=佐伯聡士】21日の会見で、日米同盟を評価する考えを示した馬英九総統は、中台が領有権を主張している尖閣諸島(台湾名・釣魚台列島)について、「固有の領土で、主権は我々にある」とした上で、「争いを棚上げして共同開発し、資源を共有できるよう望む」と述べ、日本との間で平和的な対話を通じて解決を目指す考えを示した。
 また、解決に向けた過程で「大陸(中国)と連携することはない」と語り、昨年9月の漁船衝突事件で日本との対立を先鋭化させた中国とは一線を画す立場を強調した。
 馬氏が総統に就任した直後の2008年6月には、台湾の巡視船9隻が民間抗議船とともに日本の領海に侵入する事件が発生。馬政権の対日強硬姿勢が際立ち、「反日」的イメージが強まった。
(2011年7月22日08時44分  読売新聞)
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南シナ海 日米で中国の専横封じよ
産経ニュース2011.7.25 03:35
 中国がフィリピン、ベトナムなどと領有権を争う南シナ海の安全は日米両国の国益に直結する。インドネシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議で、中国とASEANが問題の平和解決を目指す「行動指針」を承認したことに目を向けたい。
 両者が2002年に署名した「行動宣言」を実行に移し、法的拘束力を持つ「行動規範」を策定することに向け、一歩前進といえる。一連の会議を締めくくったASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議の議長声明も指針を「歓迎する」とした。
 しかし、海域の安全を確保するルールの確立には程遠い。肝心の行動規範の内容は議論されず、ASEAN側が「多国間での解決」を求めていた紛争処理の枠組みも「対話と協議を続ける」とあいまいな表現になった。
 2国間の交渉に固執する中国の強い反発にASEAN側が譲歩し、規範の策定が先送りされたのは極めて遺憾である。
 南シナ海は、台湾から時計回りにフィリピン、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、そして中国に囲まれた海域だ。各国がそれぞれに主張する領有権は交差するが、中国が全体の8割も主張しているのは異様である。
 1992年の中国領海法は海域内の南沙(スプラトリー)諸島と西沙(パラセル)諸島も自国領土と規定している。フィリピンやベトナムなどとの最近の紛争のほか、一昨年3月には公海上で米海軍調査船が中国艦船に航行を妨害されたこともあった。
 海洋権益の拡大を目指す中国海軍が保有する艦艇の排水総量はすでに東南アジア諸国全体の2倍以上だ。南シナ海での領有権争いは、軍事力で圧倒する中国と他の当事国だけの問題ではない。
 ARF閣僚会議で、クリントン米国務長官は「領有権の主張には国連海洋法条約など国際法上の根拠を示さなければならない」と間接的表現で中国の主張と行動にくぎを刺した。松本剛明外相もすかさず「国際法に準拠して問題を解決すべきだ」と発言した。中国の自分勝手な行動を牽制(けんせい)するには日米の連携が欠かせない。
 南シナ海は日米にとって安全保障の要であり、生命線の海上交通路である。ルール確立への側面支援は、国際の平和と安定を確かなものにする。
*強調(太字)は来栖
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