安倍政権、集団的自衛権行使容認へ「3つのハードル」
産経新聞2013.8.6 14:34
安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認に向けて布石を打ちはじめた。従来の政府解釈に固執する内閣法制局のトップを交代する人事を固め、4つの類型を基に議論してきた政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が秋にも行使容認を提言、その内容を年末に閣議決定する防衛大綱に反映する計画も出ている。ただ、行使容認の実現には、乗り越えなくてはならない3つの“ハードル”が待ち構えている。(峯匡孝)
■(1)公明党の反発
「国民に理解してもらうことが大前提だ」
公明党の山口那津男代表は5日の政府・与党連絡会議後、記者団に対し、集団的自衛権行使についてこう語った。
これまで山口氏は「断固反対」と行使容認に反発してきただけに、自民党サイドは「軟化」と映る。
しかし、公明党幹部は「経済が優先だ。首相は今年春先に憲法96条先行改正をぶち上げたが、世論がついてこなかった」と指摘、「国民の理解」は容易ではないと踏んでいる。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官氏は5日、公明党の理解を得ることに自信を示したが、「秋の臨時国会は『成長戦略実行国会』という思いで行いたい」と述べ、公明党との協議は年末以降になるとの認識も示した。
■(2)政府内の抵抗
首相は次期内閣法制局長官に、「権利はあるが行使はできない」とする政府解釈の見直しに前向きな小松一郎駐仏大使の起用を決めた。
「憲法の番人」を自負する内閣法制局は、これまでの集団的自衛権の政府解釈を「歴代法制局長官が答弁を積み重ねてきた」と堅持してきた。首相は、トップを代えることで組織にメスを入れようとしているが、予想される組織の抵抗を小松氏が抑えられるかどうかは不透明だ。
■(3)米側との調整
日本は、行使容認に踏み切ると、同盟相手の米国との調整が必要になる。
日米は外務・防衛当局間で自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定に向けた協議を進めている。
安保法制懇座長の柳井俊二元駐米大使は4日、NHK番組で「日本を守るために集団的自衛権の行使が必要になる場合がある」と強調した。行使の範囲には限度があり、政府は自衛隊の活動をどの程度まで拡大するかが課題になる。
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