1人の死刑執行 政権交代後で6人目
東京新聞2013年9月12日 夕刊
法務省は十二日午前、二〇〇四年に横浜・中華街の料理店主を射殺して現金を奪った強盗殺人事件などで死刑が確定した熊谷徳久(とくひさ)死刑囚(73)=東京拘置所=の死刑を執行した、と発表した。昨年十二月に発足した第二次安倍政権では二月、四月に続いて三回目で、計六人の執行となった。これにより、未執行の確定死刑囚は百三十二人になった。
確定判決によると、熊谷死刑囚は〇四年五月に中華料理店経営の男性=当時(77)=を横浜市内で射殺し、現金四十三万円を強奪。同六月には渋谷駅の通路で、駅の売上金を奪おうとして駅員を拳銃で撃ち重傷を負わせた。
一審・東京地裁は、死亡した被害者が一人であることから無期懲役としたが、二審・東京高裁は、犯行の残忍さなどを理由に「死刑を回避しなければならない事案ではない」と死刑を言い渡した。一一年三月に最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した。
谷垣禎一法相は会見で、確定から執行まで二年半と比較的短かったことについて「どういう基準で執行を命じたかは答えられない。執行停止を命ずる理由はないかなど、慎重に検討した」と話すにとどめた。死刑制度存廃の検討は「現在のところ、必要と思っていない」と述べた。
法相は今年二月、奈良の女児誘拐殺人事件の小林薫死刑囚、土浦連続殺傷事件の金川真大(まさひろ)死刑囚、名古屋スナック経営者殺人事件の加納(旧姓武藤)恵喜(けいき)死刑囚の計三人の刑を執行。 四月には元暴力団幹部ら二人の刑を執行した。 *リンクは来栖
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谷垣法相、3回目の死刑執行命令 横浜中華街店主射殺の熊谷死刑囚
産経新聞2013.9.12 11:34
法務省は12日、平成16年に起きた横浜中華街料理店経営者射殺事件の熊谷徳久死刑囚(73)=東京拘置所=の死刑を執行したと発表した。死刑執行は、第2次安倍政権発足後の今年2月21日の3人、4月26日の2人に続き、谷垣禎一法相のもとで3回目で、執行された確定死刑囚は計6人。これで未執行の確定死刑囚は132人となった。
谷垣法相はこれまで、就任から2カ月後、さらにその2カ月後に死刑を執行してきた。今回は4カ月半の間隔を空けての執行となった。
確定判決などによると、熊谷死刑囚は16年5月、飲食店を開く資金を工面するため、横浜中華街でレストランを経営する男性=当時(77)=を横浜市中区の自宅前で待ち伏せし、短銃で男性経営者の頭部を撃って殺害。男性のバッグから現金約44万円を奪った。約1カ月後の同年6月には、東京メトロ渋谷駅構内で、男性駅員を至近距離から短銃で撃って重傷を負わせ、駅員が持っていた紙袋を奪って逃げた。
熊谷死刑囚は以前に犯した窃盗罪で服役し、横浜での事件の1カ月前に出所したばかりで、これら事件以前には10回の懲役刑を受けていた。
1審東京地裁では殺人など重大事件の前科がないことや自首したこと、殺人の被害者が1人だったことなど酌量の余地を認められ無期懲役判決を受けたが、2審東京高裁は「度重なる矯正教育にもかかわらず犯罪性向は深刻化している。被害者が1人でも死刑をもって臨むほかない」と述べて死刑が言い渡された。最高裁も23年3月、「人命軽視の態度は強い非難に値する」として上告を棄却、死刑が確定した。
谷垣法相は4月の執行後の会見で「死刑制度の存置にはさまざまな議論があるが、必要なものとして、国民の皆さんの多くの認知を得ている。裁判所が結論を出し、改めて法相が執行の結論を出す。だから(死刑囚の記録を)1つ1つていねいに検討すると言うに尽きる」と、執行継続についての考えを述べていた。
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執行の死刑囚、拘置所内で自殺未遂 失敗に「残念でならない」
産経ニュース2013.9.12 20:42
12日に死刑が執行された熊谷徳久死刑囚(73)は、死刑廃止団体が平成23年に行った確定死刑囚へのアンケートに対し、東京拘置所内で自殺を図って失敗したことを明かし、「残念でならない」と心境をつづっていた。
熊谷死刑囚は23年3月に脱走を企てたが、職員を傷つけたために懲罰を受けた。3カ月後の6月には、金属製の老眼鏡フレームを使って胸を突き、自殺を企てたが失敗したという。
アンケートで熊谷死刑囚は、「骨と骨の間に1センチぐらい刺さるが、あと一押しがなく生きている。眼鏡がなく(アンケートを)書くのがやっとだ」と記していた。
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死刑執行:中華料理店主殺害の熊谷死刑囚 現内閣で6人目
毎日新聞 2013年09月12日 11時17分(最終更新 09月12日 13時24分)
谷垣禎一法相は12日午前、横浜・中華料理店主殺害事件や東京メトロ渋谷駅員銃撃事件で死刑が確定していた熊谷(くまがい)徳久死刑囚(73)=東京拘置所=の死刑を執行したと発表した。昨年12月末の政権交代後に就任した谷垣法相のもとでは3回目の執行で6人目。
谷垣法相は前回の4月26日の執行から約4カ月半で執行命令を出した。今回の執行で確定死刑囚は132人となった。
確定判決によると、熊谷死刑囚は2004年5月、横浜市中区で中華料理店経営者の男性(当時77歳)を射殺して約44万円入りのバッグを強奪。翌月には東京メトロ渋谷駅の地下1階通路で、男性駅員(同32歳)を銃撃して重傷を負わせるなどした。
1審の東京地裁判決(06年4月)は「凶悪だが、死亡者は1人にとどまり、死刑にはちゅうちょせざるを得ない」と判断して無期懲役を言い渡したが、2審の東京高裁判決(07年4月)は「人命を奪った後、良心の呵責を感じることなく再び殺人を計画するなど、人命軽視の態度は極めて危険」と指摘して破棄し、死刑とした。
最高裁は11年3月、弁護側の上告を棄却する判決を出し、死刑が確定していた。確定から執行までの期間は約2年6カ月。【伊藤一郎】 *リンクは来栖
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強盗殺人の73歳男 死刑執行
NHK NEWS WEB 9月12日 10時46分
平成16年に横浜市で料理店の経営者をけん銃で射殺したほか、東京の地下鉄渋谷駅で駅員に発砲して大けがをさせたとして強盗殺人などの罪で死刑が確定した73歳の男の死刑が、12日午前、執行されました。
安倍政権で死刑が執行されたのは、ことし4月以来3回目です。
死刑が執行されたのは、平成16年5月に横浜市で中国料理店を経営していた当時77歳の男性をけん銃で射殺し、店の売上金40万円余りを奪ったほか、翌月の平成16年6月に東京の地下鉄渋谷駅で駅員をけん銃で撃ち、大けがをさせたとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した熊谷徳久死刑囚(73)です。
安倍政権で死刑が執行されたのは、ことし4月以来3回目で、合わせて6人になりました。
また、今回の死刑執行で刑が執行されていない死刑囚は132人となりました。
谷垣法務大臣は会見で「誠に身勝手な理由で尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり、被害者や遺族にとって無念このうえない事件だ。裁判所で十分な審理を経たうえで最終的に死刑が確定した事実を踏まえ、慎重な検討を加えたうえで死刑の執行を命令した」と述べました。
■「容認出来ない」
日本弁護士連合会の山岸憲司会長は「執行された死刑囚は、1審は無期懲役で、2審で死刑判決が言い渡され、裁判官の間でも死刑にすべきかどうかの意見が分かれた事件だった。
社会的な議論が行われないまま繰り返し死刑が執行されるのは到底容認できない。
死刑に関する情報を広く国民に公開し、有識者による会議を行うべきだ」とするコメントを出しました。
■「やっと区切り」
死刑の執行について、殺害された男性の59歳の長男は「死刑執行の知らせを聞き大変驚きました。
遺族にとって死刑は当然のことです。
やっと区切りがついたように思います。
死刑判決の確定後は何の情報もなく本当に長かったです。
早く父の墓前に報告したいと思います」と話していました。
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関連; 死刑判決 昨年最多46人 遺族に配慮 厳罰化傾向 2008-01-14 | 死刑/重刑/生命犯 問題
死刑判決 昨年最多46人 遺族に配慮 厳罰化傾向
中日新聞 2008年1月14日 朝刊
全国の地裁、高裁と最高裁で昨年死刑判決を言い渡された被告は計46人に上り、1980年以降最も多かったことが13日、共同通信の集計で分かった。2006年の計44人がこれまで最多で2年連続の更新。昨年末現在の確定死刑囚は少なくとも106人、死刑執行は9人で、いずれも80年以降最多だった。
昨年は国連で死刑執行停止が決議されるなど、死刑廃止に向けた国際的な動きはより進んだが、日本では、遺族感情への配慮などによる厳罰化傾向が続いている。
集計は裁判所別のデータが確認できる80年以降の統計資料や取材に基づく。昨年地裁で死刑を言い渡されたのは計14人。千葉地裁がマブチモーター社長宅殺人放火などで計4人殺害の小田島鉄男死刑囚(64)ら4人、大阪地裁が自殺サイトで知り合った3人殺害の前上(まえうえ)博死刑囚(39)ら2人、福岡地裁久留米支部も大牟田市4人殺害の2人、東京、盛岡、宇都宮、さいたま、静岡、岐阜各地裁がそれぞれ1人だった。岐阜地裁は同じ職場だったすし店パートの女性ら2人を殺害、ばらばらにした兼岩幸男死刑囚(50)。
高裁も計14人で、福岡高裁が北九州市連続殺人の松永太被告(46)ら7人、東京高裁がオウム真理教元幹部の中川智正被告(45)、遠藤誠一被告(47)ら4人、大阪、広島両高裁と福岡高裁宮崎支部各1人。1月に宇都宮地裁で死刑判決を受け、8月の東京高裁判決で控訴を棄却された被告が1人いる。
最高裁判決は、武富士放火殺人事件の小林光弘死刑囚(49)、東京・池袋通り魔事件の造田(ぞうた)博死刑囚(32)、オウム真理教元幹部の端本悟死刑囚(40)ら18人。
46人のうち、5人は死亡被害者が1人で、横浜・中華街料理店主射殺事件などの熊谷徳久被告(67)は、ほかの4人と異なり殺人の再犯ではなく、一審は無期懲役だったが、東京高裁が死刑を言い渡した。
確定死刑囚は06年末現在94人で、昨年は最高裁判決の18人に加えて、控訴取り下げが小田島、前上両死刑囚ら少なくとも3人。4月、8月、12月にそれぞれ3人の死刑が執行された。
法務省は12月の執行の際、初めて対象者の氏名と執行場所を公表。鳩山邦夫法相は「適正に執行していることを示し、国民の理解を得るため決断した」と述べた。
鳩山法相は国連決議に対しても「死刑の存廃は各国の国民感情、犯罪情勢などを踏まえて独自に決定すべきもの。わが国では、国民世論の多数が凶悪犯罪には死刑もやむを得ないと考えている」と反論している。 *強調(太字・着色)は来栖
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◇ 谷垣法相の命令により 死刑執行 小林薫(奈良女児誘拐殺害)・金川真大(荒川沖駅)・加納恵喜の3死刑囚 2013-02-21 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 宮城吉英死刑囚と浜崎勝次死刑囚の刑 執行 濱崎死刑囚は確定から1年余/谷垣禎一法相 前回から2か月で 2013-04-26 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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谷垣法相、3回目の死刑執行 横浜中華料理店主殺害事件 熊谷徳久死刑囚(東京拘置所) 2013/9/12Thu.
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