中日新聞を読んで 秘密警察が跋扈する 後藤昌弘(弁護士)
2013/9/15 Sun.
4日の朝刊に、特定秘密保護法案に関するパブリックコメント(意見公募)が始まった旨が報じられていた。見出しには「知る権利に一定配慮」とある。しかし本当に配慮されているのだろうか。
法律案の概要を見ると、保護対象となる秘密が別表に列記されている。しかし、いったん法律が制定された後に、別表の内容が加えられる可能性は常にある。拡張解釈の禁止規定を定めることとされてはいるが、解釈するのは国自身であり、法律制定後に恣意的な解釈がされてきた事案は嫌というほど見てきている。
さらに怖いのは、特定秘密を扱う公務員や企業の社員について、行政機関の長または警察本部長が個々の職員の適性を評価することとなっている点である。評価対象は、テロ活動に関する交友関係から犯罪歴、精神疾患、酒癖の悪さ、経済的信用状況まで多岐にわたる。警察が市民の交友関係から飲酒歴、信用状況まであらゆる個人の情報を調査できることになっているのである。適性評価については一応本人の同意が必要とされるようだが、対象者が拒否などできるはずもないし、調査に必要だから、との名目でどんな情報が集められるのか国民には知りようもない。
別表の内容にも問題がある。現在、自衛隊の兵器配備状況はネットで調べられるが、今後は秘密となる。政府がどんな兵器に幾ら金を使ったのか、国民は知ることができなくなる。外交分野も政府間の密約などは秘密となる。政府は臭い物にふたができる。原発もテロ被害の対象となり得るから、原発の構造上の欠陥を政府が秘密の対象に含めることすらできるのある。
この法律の目的はスパイ対策といわれている。しかし法律は日本国内でしか適用できないから、外国に逃げた者は処罰などできない。結局この法律は国民を監視する機能しか持たない。こんな法律は断じて許してはならない。こんなことを書くと、私などは真っ先に素行調査の対象にされるのだろうが。
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〈来栖の独白2013/9/15 Sun. 〉
戦後アメリカの占領政策の成果で、日本人の国防、インテリジェンス意識は、奇妙なものになってしまった。というより、「自国を自分で守る」という、国際社会においては当然の「義務」すら果たさない国民となった。
>現在、自衛隊の兵器配備状況はネットで調べられるが、
この状況は、当然、我が国の防衛体制(状況)が(実際は、防衛といえるほどのものはないのだが)外国に筒抜けであることを意味する。
たとえば、武器輸出三原則についてだが、輸出するほどのものを持っておらず、武器は買うばかりの国であるなら、「国防」は不能である。日本においては戦闘機も護衛艦もアメリカ製である。ということは、現在、武器の大半はソフトウェアであるから、アメリカが工作しようとすればいくらでもできてしまう。作動不能にすることすら、アメリカ(武器輸出国)には可能だ。
戦後教育の成果であろうか、日本人は何かにつけ、オープンでクリーンであることが善いことと信じてきたようだ。が、これでは、世界に対して、国は守れない。
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◆ 『防衛省と外務省 歪んだ二つのインテリジェンス組織』 福山隆著 幻冬舎新書 2013年5月30日第1刷発行 2013-07-28 | 読書
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