【脱原発論はいいけれど…】原子力ムラがみのもんた氏に圧力? 菅直人氏の「陰謀論」より対話が必要★(4)
zakzak 2013.11.15
「(司会者の)みのもんた氏は汚染水問題など原発問題で東電と安倍(晋三)総理を厳しく批判していた。この発言に対して原子力ムラがみのもんた氏失脚の陰謀を仕掛けたという説が流れている」
民主党の菅直人元首相が10月26日、自身のブログにこのような記事を書き、多くの人々が驚いた。
みのは、次男が窃盗容疑で逮捕されたことと、これまでの過激発言が批判を集めたことで番組出演をやめたとされる。菅氏の論理の飛躍に批判が広がった。私(石井)は先日、菅氏の真意を聞く機会があった。
「みの氏の降板の経緯は報道で知るのみだ。しかし、彼は原発を批判したので、圧力の可能性はある。その証拠に私は攻撃されている」
どうも菅氏は、本気で陰謀論を信じているらしい。
そもそも、「原子力ムラ」に力はあるのだろうか。逆に、私は「ムラ」の力のなさに驚いている。メディアの報道をみると、原子力は批判一色だ。電力会社や原子力の学者という「ムラの住人」に会うと、福島原発事故後には批判を恐れて萎縮している人が多い。テレビ司会者の出演に文句を言うほど暇ではなさそうだ。
ある電力社員に菅発言の感想を聞くと、「あきれました。原子力ムラが強大だったら、菅政権時代のおかしな政策を止められたはずです。私たちもこんな苦労をしませんよ」とため息をついた。
菅政権のエネルギー・原子力政策は、今でも評判が悪い。
原発事故対策では、首相が介入して現場が混乱したとの報道ばかりだ。菅氏は2011年5月には中部電力浜岡原発(静岡県)を「東海地震の可能性がある」との、あいまいな理由で停止を要請した。さらにストレステストという原発検査の実施を各電力会社に要請し、それをきっかけに原発は稼働しなくなった。政権末期に菅氏は自然エネルギー振興を唱えた。震災や事故の対策に注力すべきなのに、「優先順位がズレている」と批判を集めた。
一連の政策は法律に基づかず、菅氏が「要請」を連発する超法規的措置が多かったが、各電力会社は首相の意向を受け入れた。事前に電力業界との調整はなく、その影響で電力供給は今でも混乱している。
菅政権の検証では、専門家の助言を生かせなかったと批判するものばかりだ。今回の「陰謀論」騒動を見れば、そうだろうと思う。他人の意見を聞かない思い込みの激しさが菅氏にはある。これでは衆知は集まらない。
「脱原発論」を唱える人の一部には、菅氏のように「原子力推進派が悪く、それを攻撃することで原発ゼロが達成される」との意見がある。
しかし、彼の失敗を見れば分かるように、「対立」はうまくいかなくなる。それよりも専門家を含めた多くの人の知恵を使う、「対話」による解決を探るべきだ。 石井孝明(いしい・たかあき)
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