【産経抄】11月21日
産経ニュース2013.11.21 03:07
スペインには全国管区裁判所という、判事が独自の捜査を行う特別の司法機関がある。その存在を教えてくれたのが、チリのピノチェト元大統領だった。15年前、ロンドンで入院生活を送っていた元大統領は、英国の警察に殺人容疑で逮捕される。▼スペインの判事の要請を受けたものだった。元大統領の独裁下では、スペイン人移民を含む4000人以上の市民が殺害されたといわれる。ただ、「人道に対する罪」で、他国の元国家元首を逮捕して、スペインに身柄を引き渡すことができるのか。▼当然、英国内で大論争となり、チリとの外交問題にも発展した。結局、約1年半の間軟禁されていた元大統領は、健康状態の悪化を理由に帰国を許される。同じ裁判所が今回は、中国の江沢民元国家主席、李鵬元首相ら5人の逮捕状を出した。▼1980〜90年代にチベットでの「ジェノサイド(大虐殺)」に関与した容疑だという。高齢の江氏らが、スペインや英国に出かける用事はなさそうだから、逮捕や監禁の心配をする必要はない。とはいえ、中国政府の受けた衝撃は小さくないだろう。なにしろ、台風30号によって甚大な被害を受けたフィリピンに対する支援が、世界第2位の経済大国にしては、あまりに少なすぎると、欧米メディアから非難されたばかりである。▼きのうに続いて、新渡戸稲造に登場を願う。世界的ベストセラー『武士道』のなかで、戦国大名の上杉謙信が、「敵」の武田信玄に塩を送ったエピソードを、ローマ時代の将軍や哲学者ニーチェの言葉とともに紹介していた。▼古今東西を問わず、人々が規範としてきた「人の道」というものがある。中国はあまりにそれを軽んじてきたと、世界が気づき始めている。
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◇ 江沢民元国家主席、李鵬元首相らに逮捕状=チベットでの「大虐殺」容疑―スペインの全国管区裁判所 2013-11-20 | 国際/中国/アジア
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古今東西を問わず、人々が規範としてきた「人の道」というものがある / 江沢民、李鵬氏ら、5人に逮捕状
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