朝日新聞は「結論報道」から撤退せよ
池田信夫blog 2013年12月01日09:39
朝日新聞のけさの朝刊1面は「反対デモ「絶叫、テロと変わらぬ」 自民・石破氏」。単なるブログの話を1面に載せるほど、朝日はネタ切れなのか。
よくも悪くも「社論」を決めて、すべての記事を統一するのが朝日新聞の特徴だ。朝日の人事には奇妙な風習があり、社長は政治部と経済部の出身者が交替でなり、社会部は(短期間のピンチヒッターを除いて)なったことがない。その代わり、論説主幹は社会部や外信部など「傍流」の指定席で、彼らが社論を決める。
今の論説主幹の大野博人氏は、外信部出身のようだ。彼の「できるかできないか考えないで原発ゼロにしよう」という号令で、朝日の記事はすべて「原発ゼロ」という結論を決めて書くことになった。発表に頼らないで独自に事実を探究するのが「調査報道」だとすれば、朝日は結論報道である。たとえば政治部の園田耕司記者の次の記事は、あらかじめ決めた結論にあわせて書いている。
「そんなこと言ったら懲役を食らっちゃうんですよ! 言えるわけないじゃないですか!」。電話の向こうから、いつもは温厚な取材相手に、激高した口調でまくし立てられたことがあった。今年6月、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた破壊措置命令の解除をめぐる自衛隊関係者とのやりとりだ。正当な取材であっても、これを話すと処罰されると、取材相手本人が伝えてきたのだった。私は初めて問題の深刻さに気付いた。
これが法案に反対する論拠にならないことは明らかだろう。この「自衛隊関係者」は今でも「言ったら懲役」なのだから、罰則が自衛隊法から秘密保護法に移行するだけだ。園田記者もバカじゃないから、いろいろ問題がないか取材したのだろう。その結果「法案で変化はありません」というとデスクに怒られるので、こういう感情表現をまじえて無理やり記事にしたと思われる。
原発ゼロもひどかったが、一分の理ぐらいはあった。今度の秘密保護法キャンペーンは、根本的な錯覚から出発している。それはこの法案が治安維持法のように一般国民の言論統制をするものだという勘違いだ。条文を読めばわかるように、この法律は特定秘密の取扱者を規制する法律で、報道機関は22条でわざわざ除外している。
田原総一朗さんや江川紹子さんは「公安警察の陰謀だ」というが、自衛隊も公安警察もガチガチの守秘義務に縛られていて、初対面のときは身構えるほどだ。彼らにもマスコミにも変化はない。西山事件が有罪になったことでも明らかなように、現行法でも外交機密の漏洩教唆は犯罪なのだ。
「特定有害活動が拡大解釈される」という話があるが、これは「核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動」である(12条)。あなたが核兵器をつくる予定なら、注意したほうがいい。
しかもこの法律は特定有害活動などを取り締まるものではなく、スパイやテロを防止する人を規制するものだ。したがって問題は自衛隊員や公安警察ではなく、今まで守秘義務のなかった出入り業者や政治家である。特に深谷隆司氏のいうように「特定秘密保護法の最も大きい意義は、実は政治家に守秘義務を課せられるようになること」だろう。
新聞がキャンペーンを張ることは悪くないが、それは一つの仮説だから、取材した結果、事実で反証されたら改めるべきだ。慰安婦のように誤りが明らかになっても逃げ回ると、日韓関係をめちゃめちゃにしてしまう。今回のキャンペーンは、朝日新聞の負けである。もう撤退したほうがいい。
◎上記事の著作権は[池田信夫blog]に帰属します
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「絶叫デモ、テロと変わらぬ」 石破幹事長、ブログで
朝日新聞デジタル2013年11月30日22時46分
自民党の石破茂幹事長は11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判した。表現の自由に基づく街頭での市民の主張をテロと同一視したことは問題になりそうだ。
石破氏はブログで「議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています」と紹介。「人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはない」とも批判した。石破氏は30日、朝日新聞に「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわないが、大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせるという意味で、本質的にテロ行為と同じだと申し上げた」と話した。
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自民党の石破茂幹事長が、自身のブログで特定秘密保護法案への反対デモを批判した部分は次の通り。
今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
◎上記事の著作権は[朝日新聞]に帰属します
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◇ 「秘密保護法」 敵に漏れれば国の安全が脅かされる情報を国が秘密にすることは当たり前の事 深谷?司 2013-12-01 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ ビジネスの現場から見た「慰安婦」虚構の大罪 河野談話/朝日は「捏造」訂正・謝罪せよ 上田和男 2013-11-20 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ 讀賣新聞が、「従軍慰安婦問題の発端は朝日新聞による誤報(女子挺身隊を“慰安婦狩り”)」と明記 2013-05-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ 「従軍慰安婦」を「創作」し 日韓関係を破壊した朝日新聞には、事実関係を検証して説明する責任がある 2012-08-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
朝日新聞が日韓関係を破壊した 慰安婦についての大誤報を謝罪することが関係修復の条件
JBpress 2012.08.16(木)日本経済の幻想と真実 池田信夫
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◇ 【慰安婦問題の真実】“捏造・創作”を認めた吉田証言を証拠採用する国連人権委 誤報を訂正しない朝日新聞 2013-09-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識
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朝日の秘密保護法キャンペーン=治安維持法のように一般国民の言論統制をするものだという勘違い 池田信夫
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