【産経抄】アマチュアの悲劇 12月20日
産経新聞2013.12.20 03:08
女優の沢村貞子さんは、何種類も取っていた新聞のなかで、毎朝まずスポーツ紙を手に取った。甥(おい)の長門裕之さんと津川雅彦さんが、新聞種になっていないことを確認して、「あ、よかった」と言う。▼当時、沢村さんは80歳を超えている。「(二人が)いくつだと思ってるんですか、子供じゃないんですよ」。沢村さんが亡くなるまで32年間、マネジャーを務めた山崎洋子さんが笑っても、習慣は変わらなかった(『沢村貞子という人』新潮社)。▼東京都の猪瀬直樹知事がきのう、記者会見を開いて辞職を表明した。後継候補の話題とともに、きょうも、大きな新聞種になっているはずだ。猪瀬氏の苦しい胸の内を察して、涙する身内や知人も少なくないだろう。▼晩年、最愛の伴侶を失ってからの沢村さんの楽しみは、親友の黒柳徹子さんとのおしゃべりだった。ことに沢村さんが寝付いてからは、黒柳さんは毎日のように訪ねてきた。今年7月、夫人に先立たれた猪瀬氏はどうだろう。▼先月以来、医療法人徳洲会から提供を受けた5000万円について、都議会での説明は二転三転し、都政の空転を招いてきた。前知事の石原慎太郎氏から、「晩節を汚さないように」と引導を渡される前に、引き際の潔さを忠告してくれる親友には、恵まれなかったようだ。▼きのうの会見では、「政治家としてはアマチュア」との発言も気になった。政治資金の集め方の経験が足りなかったと言いたいらしい。だがこの1年間、五輪の招致以外に、政策で大きな成果があっただろうか。超巨大自治体を率いる新知事には、プロの仕事を期待する。ちなみに、夫第一だった沢村さんの、プロの役者、文筆家としての評価は、死後も高まるばかりである。
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〈来栖の独白 2013/12/20 Fri. 〉
懐かしく思い出す沢村貞子さん。彼女の著書は、何冊か読んだ。その中で、新聞を8紙だか購読しているとあり、「老体にはこの新聞と広告の重さ(処分)が堪える」と書いてあった。本当にそう。広告はとりわけ重い。
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◇ 【虚像に押しつぶされた男=猪瀬直樹氏 / 「あっ首相から電話だ」=上杉隆氏】 石井 孝明 2013-12-20 | 政治
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アマチュアの悲劇 超巨大自治体を率いる新知事には、プロの仕事を期待する
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