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張成沢氏粛清の号砲は、李雪主夫人巻き込んだ“セックススキャンダル”?【桜井紀雄の劇的半島、熱烈大陸】

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【桜井紀雄の劇的半島、熱烈大陸】張成沢氏粛清の号砲は、李雪主夫人巻き込んだ“セックススキャンダル”?
 産経ニュース 2014.1.4 18:00
 北朝鮮で張成沢(チャン・ソンテク)氏や側近らの粛清に先立つ昨夏、“セックススキャンダル”に端を発した楽団メンバーに対する凄惨(せいさん)な公開処刑が行われていた。事件に絡んで、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の夫人、李雪主(リ・ソルジュ)氏や、張派粛清に深く関与したとされる金第1書記の最側近をめぐる醜聞も取り沙汰された。この事件は何を意味していたのか。張派粛清の予兆だったのだろうか−。
*楽団員が見たものは…
 北朝鮮の内情に詳しい消息筋らによると、公開処刑されたのは、銀河水(ウナス)管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)芸術団の団員の男女9人とされる。
 昨年8月中旬に平壌郊外の軍官学校の射撃場に引き立てられ、他の団員らが見る前で、遺体が砕けるまで機関銃の銃弾が撃ち込まれたという。見ていた女性が失神するほどの惨状だったと伝えられる。
 団員らが自分たちが出演するポルノ映像を制作したことが罪に問われたとされる。金第1書記の実像を描いた韓国製ドキュメンタリーをひそかに視聴したことが本当の原因だともいわれた。
 いずれにせよ、この事件で団員らの親族まで政治犯収容所に送られたほか、事件への関与をめぐって朝鮮人民軍部隊にまで捜査が及び、嫌疑をかけられた将校もいたという。
 昨年春ごろから張派の「不正」調査が水面下で進められていたとされ、両楽団に対する調査も、張派調査に伴う検閲強化の一環で着手されたとの見方も成り立つ。
*ナンバー2襲った「親族関与」説
 北朝鮮の民主化に取り組む「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授によると、楽団員の事件後、意外な高官の名前が噂に上がったという。
 金第1書記の最側近で、軍を監督する崔竜海(チェ・リョンヘ)総政治局長について「息子の嫁が事件に関与したが、ひそかに罪を免れた」との噂が軍や朝鮮労働党幹部の間で持ち上がったという。
 崔氏は張氏粛清にも深く関与し、粛清後に政権実質ナンバー2の地位を確固たるものにしたとされる。
 「崔氏は在日朝鮮人出身の愛人を囲っている」といった醜聞もささやかれたという。
 張派失脚に向けた調査が進む中、「張氏グループが、崔氏の追い落としを狙って仕掛けた情報戦の可能性がある」と李教授はみる。
 しかし、北朝鮮当局は、事件の噂を流す者に対して厳罰を示し、徹底した封じ込めに動いた。
 結果的に崔氏の地位が脅かされることはなく、張氏と崔氏の間の“暗闘”は、張派処刑という極端な形で決着した。
 事件に絡んで、醜聞が立ったもう一人が李雪主夫人だ。李夫人は結婚前に銀河水管弦楽団に所属していた。「李雪主も昔は自分たちと同じように遊んでいた」といった団員の会話を北朝鮮当局が盗聴でつかんだことが、徹底捜査につながり、公開処刑という非情な結末を生んだとの見方がある。
 日韓での李夫人の“スキャンダル”報道に対し、北朝鮮メディアは「われわれの最高尊厳に対する謀略的な誹謗(ひぼう)中傷」だと激しく非難。「南北関係は一瞬にして破滅する」とも警告した。
 正恩政権が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に対して、李夫人のスキャンダルを最初に報じた日本のメディアに徹底抗議するよう通知していたことも産経新聞が入手した内部文書から判明している。
 李夫人への「誹謗」に対する金第1書記の怒りがいかほどのものだったかを物語っている。
*李夫人が「張氏と関係あった」?
 李夫人に関するスキャンダルは張氏粛清の際も取り沙汰された。
 張氏との間に性的な「関係があった」とするものだ。李夫人が張氏処刑後まで約2カ月間、公の場に姿を見せなかったことから張氏との関係説がことさら注目された。
 李夫人は2005年に韓国で開催された陸上のアジア大会で「美女応援団」の一人として参加していた。この韓国派遣を取り仕切っていたのが張氏ともいわれる。後見人の立場にあった張氏が金第1書記に李夫人を引き合わせたとしても不自然ではない。
 ただ、張氏が自分と関係があった女性を最高指導者の夫人として紹介するとは考えにくい。韓国の情報機関、国家情報院も、張氏との関係説は風聞に過ぎず、「事実ではない」と否定した。
 一方で、銀河水管弦楽団員の不祥事や張氏の不正調査をめぐって「最愛の妻」の名前が挙がること自体が金第1書記にとって我慢ならず、怒りを募らせたとみても不思議ではない。
 北朝鮮の内情に詳しい龍谷大学の李相哲教授は「金第1書記は忍耐強くない性格だと指摘される。李夫人に絡む風説などさまざまな“個人的”恨みが積み重なって、張氏粛清に至った可能性も否定できない」と分析している。(外信部記者)
◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します *リンクは来栖 
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