オウム裁判、市民が臨む 元信者らに「なぜ出家?」
日本経済新聞 2014/1/30 11:42
東京地裁で行われているオウム真理教元幹部、平田信被告(48)の公判は、教団の事件としては初の裁判員裁判。市民から選ばれた男女が法廷の壇上に座り、元教団幹部らの証言に真剣な表情で耳を傾けている。
「出家したのはなぜですか」。17日の第2回公判で裁判員の一人は証言台に立つ元信者の女性に尋ね、教団幹部に押し切られて葛藤を抱えたまま教団に身を投じた当時の心境に聞き入った。
平田被告が逮捕監禁罪に問われた公証役場事務長拉致事件の発生は、19年近く前の1995年2月。第3回公判では別の裁判員が、同事件などで無期懲役が確定した元教団幹部に「今日の証言ははっきり記憶にあることですか」と問いかけた。
平田被告の公判の裁判員6人は女性5人、男性1人の構成。当初選任された1人は初公判当日に仕事の都合で辞任を申し出て、補充裁判員から新たに1人が選ばれた。
約2カ月にわたる審理の負担は重いが、過去のオウム裁判と比べれば期間は圧倒的に短い。公証役場事務長拉致事件など平田被告と同じ3事件で起訴された元教団信者の場合、一審の初公判から判決(懲役6年)までに2年以上を要している。
検察側は現場の見取り図、事件を整理したチャート図などを積極的に使い、「教団の特殊性を含めて分かりやすい立証に努めたい」(検察幹部)。裁判長は証人尋問で繰り返しや逸脱がないよう心を砕いている様子がうかがえる。
事件の背景として教団内の人間関係や教義を避けては通れず、法廷には「ホーリーネーム」「ステージ」といった教団独特の用語、「ヴァジラヤーナ」などの難解な仏教用語も飛び交う。
だが、国学院大法科大学院の四宮啓教授(刑事司法制度)は「教団の事件を特別視する必要はなく、証拠と常識に基づき冷静に判断することに裁判員が審理に加わる意味がある」と話している。
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