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【集団的自衛権 第1部 欠陥法制(1)】中国の挑発、動けぬ空自/半島有事、日米民間人救出でも守れぬ弊害

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【集団的自衛権 第1部 欠陥法制(1)前半】中国の挑発、動けぬ空自 東シナ海、慎重さ増す米軍
 産経ニュース2014.3.17 07:56
 ある自衛隊OBは最近、在日米軍の高級幹部からこう告げられた。
 「米軍機の飛行計画について指揮権がワンランク上がったんだ」
 日本周辺の飛行計画策定は在日米空軍基地やグアムのアンダーセン空軍基地の部隊指揮官に委ねられていた。それがハワイの太平洋軍司令部の判断を仰ぐ形に引き上げられたのだ。
 なぜ米軍は飛行計画の指揮権を引き上げたのか。
 中国が昨年11月23日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定。米軍は同月26日、アンダーセンから飛び立ったB52爆撃機に防空圏内を飛行させ、中国を牽制(けんせい)した。B52の飛行は「以前から予定されていた訓練」(米国防総省)で、在日米軍幹部によると、グアムの部隊の指揮権に基づく飛行だった。
 しかし、報告を受けたホワイトハウスは東シナ海での飛行について、より慎重な対応を取るよう軍に求めた。その結果、指揮権が引き上げられたという。
 「中国を刺激するような『特異な飛行』は控えろ、というホワイトハウスの指令だ」。自衛隊幹部はこう分析する。
*「日本の信用失墜」
 東シナ海では、米軍のP3C哨戒機や早期警戒機E2Cが日常的に警戒・監視飛行を行っている。海上自衛隊のP3Cは日中中間線の日本側を飛行しているが米軍のP3Cは中間線より中国側に入り込んでいる。
 対抗するように中国軍の情報収集機Y8とそれを護衛する戦闘機J10が東シナ海に展開し、J10は米軍機を執拗(しつよう)に追尾するケースもある。米軍機への中国戦闘機の追尾が執拗さを増せば、平成13年の中国・海南島沖での米軍機と中国戦闘機の衝突のような事態が再発する恐れも強まる。
 P3Cを護衛する米戦闘機を新たに展開させられるかといえば、在日米軍は本国の慎重姿勢も踏まえ二の足を踏む可能性もある。
 中国機が日本の防空圏に侵入すれば、航空自衛隊のF15戦闘機が緊急発進(スクランブル)で対応している。そこで、「空自の戦闘機に対し、公海上で中国戦闘機を米軍機の周辺から追い払うよう、米側が要請してくる可能性がある」。自衛隊幹部はこう予測する。
 要請に日本政府は応じられるか−。答えは現時点ではノーである。
 平成10年8月、北朝鮮が中距離弾道ミサイル「テポドン1号」を日本列島を越える形で発射した。ミサイル発射の兆候は事前に確認でき、米海軍はイージス艦を日本海に派遣した。
 イージス艦を出動させれば、情報を収集しようとロシア軍の偵察機が飛来してくる。米側は日本政府に「空自戦闘機を出動させ、ロシア機を寄せ付けないでほしい」と求めてきた。
 米側の要請は理にかなっていた。昭和34年9月、空自航空総隊の松前未曽雄司令官と米第5空軍のバーンズ司令官で結んだ「松前・バーンズ協定」により、日本周辺の防空任務は空自に移管されているからだ。
 ところが、日本政府は小田原評定を決め込んだ。当時の検討状況を知る防衛省OBは「公海上で米イージス艦が攻撃されれば反撃を求められる。それは集団的自衛権の行使にあたるとして空自戦闘機の出動をためらった」と証言する。
 業を煮やした米側は、三沢基地(青森県)の米空軍のF16戦闘機をイージス艦の上空で飛行させ、ロシア機の接近に目を光らせた。「日本の信用は失墜した」。防衛省OBはこのときの悔しさを忘れない。
*日米共同行動と酷似
 艦艇と航空機という違いはあるが、状況は東シナ海上空で求められる日米共同行動と酷似している。
 集団的自衛権が「権利は有しているが行使はできない」と縛られている現状では米軍機の護衛にも、米軍機が攻撃された際の反撃にも、自衛隊は一歩も動けない。防衛省幹部は「P3Cが丸裸で飛行することが危険だと見極めれば、米軍は東シナ海上空の警戒・監視から手を引くこともある」と指摘する。そうなれば中国の狙い通りとなる。集団的自衛権の制約は東シナ海でいま起きている危機に暗い影を落としている。

 わが国をとりまく安全保障環境が激変する中で、集団的自衛権をめぐるつじつま合わせの憲法解釈は限界にきている。「新しい時代にふさわしい憲法解釈のあり方」(安倍晋三首相)を探る。
   × × ×
集団的自衛権  密接な関係にある国に武力攻撃があった場合、自国が直接攻撃を受けていなくても実力で阻止する権利。政府は憲法9条に照らし「わが国への急迫不正の侵害と言えない」「国を防衛するための必要最小限度の範囲を超える」として行使を禁じている。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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【集団的自衛権 第1部 欠陥法制(1)後半】半島有事、日米民間人救出でも守れぬ弊害
 産経ニュース 2014.3.17 13:11
 集団的自衛権をめぐる議論のポイントは、日本の領域外で自衛隊が何をできるかに答えを出すもので、地理的に制約されるものではない。とはいえ、行使の対象として「一丁目一番地」に据えるべきは、やはり東アジアでの有事だ。
 前防衛相で拓殖大特任教授の森本敏氏は、集団的自衛権を行使する事例として「尖閣諸島防衛の際、公海上で米海・空軍が攻撃された場合の日米共同対処」に加え、朝鮮半島有事での対処も不可欠だと強調する。
 元空将の織田邦男氏は、集団的自衛権を行使できないままだと任務遂行に弊害が出る朝鮮半島有事のシナリオとして「米軍の民間人救出作戦」を挙げる。
*日本が第1避難先
 半島有事が起きると、日米両政府とも真っ先に韓国からの自国民避難に着手することになる。韓国に住む米国人は約22万人、日本人は約3万人とされる。
 米国は軍用機に加え、チャーター機や民間航空機も総動員し、短時間で米国人を脱出させる。第1の避難先として日本を想定しており、日韓間をピストン輸送するため航空機が日本に向けて列をなす。
 《そこへ北朝鮮のミグ29戦闘機が接近し、民間人を乗せた航空機を撃ち落とそうとしたら…》
 織田氏はそうシミュレーションし、「対領空侵犯措置として周辺上空を飛行している航空自衛隊の戦闘機パイロットは傍観するしかない」と指摘する。自衛隊法にミグ29を撃墜する根拠がない上、集団的自衛権の行使に抵触するためだ。
 法的な制約を理由に対応が遅れ、民間人を死地に陥らせるようなことがあればどうなるか。
 こうした事態を意識し、安倍晋三首相は昨年10月16日の政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」でのあいさつでこう強調した。
 「自国のことのみを考えた安全保障政策ではむしろ尊敬を失い、友人を失う」
*「国会承認」足かせ
 中国との有事・危機シナリオと朝鮮半島有事シナリオでは、事態は突然エスカレートしかねないため、瞬時に的確な政治決断が求められる。
 だが、自衛隊幹部は日本が集団的自衛権を行使するケースの要件として、安保法制懇が明らかにした指針に首をかしげる。
 安保法制懇の北岡伸一座長代理は今年2月、安倍首相へ4月に提出する予定の報告書の骨子として、指針を明示。実際の行使に際しては(1)密接関係国が攻撃を受け、日本の安全にも影響(2)当該国からの明示的な要請(3)第三国の領域通過許可(4)首相の総合的な判断(5)国会承認−を例示している。
 自衛隊幹部が疑問視するのは(5)で、「国会承認を要件に含めると、首相が瞬時に的確な決断を下しても自衛隊が即座に動けない」と批判する。
 すんなり承認手続きが進んだとしても最低でも3日程度かかり、野党の徹底抗戦を受ければ承認を得るまで1カ月はかかるとも危惧され、これでは自衛隊が出動する時機を逸してしまう。
 防衛省幹部も、「公明党と野党の反対意見を抑え、集団的自衛権の行使容認に道を開くための政治的カードとして国会承認を差し出すことは、軍事的合理性にもとる」と指摘している。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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