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袴田事件 静岡地裁 再審開始決定/名張毒ぶどう酒事件以来6例目/「やっていません」に涙…熊本典道さん

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 WSJ Japan Real Time 2014年 3月 27日 11:16 JST 更新 [時事通信社]
袴田事件、再審開始決定=「証拠捏造の疑い」—逮捕から48年、静岡地裁
 1966年に静岡県で一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で強盗殺人などの罪に問われ、死刑が確定した袴田巌死刑囚(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、「重要な証拠が捜査機関に捏造(ねつぞう)された疑いがある」として、再審開始を認める決定をした。刑と拘置の執行停止も決定し、「拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」と言及した。
 逮捕から48年、判決確定から34年を経て、裁判のやり直しが認められた。確定死刑囚の再審開始決定は2005年の名張毒ぶどう酒事件以来、戦後6例目。地裁の決定に対して検察側は即時抗告が可能で、その場合、東京高裁で改めて再審開始の可否が審理されることになる。
 決定で村山裁判長は、現場近くのみそ工場タンクから発見され、確定判決が犯行着衣と認定した5点の衣類のDNA型鑑定結果などを、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と認定した。
 鑑定では、5点のうち半袖シャツに付着した犯人のものとされる血痕について、弁護側と検察側が推薦した鑑定人2人が、同死刑囚のDNA型と完全に一致するものはなかったとした。ただ、検察側鑑定人は「検出したDNAは血痕に由来するか不明」と信用性を否定していた。
 決定は鑑定結果から、衣類は袴田死刑囚のものでも犯行着衣でもなく、捜査機関が捏造した疑いがあるとした。
 また、弁護側が行った類似衣類をみそに漬ける再現実験などから、5点の衣類の色は長期間みそに漬かっていたにしては薄く、血痕の赤みも強すぎ、不自然だとした。
 2次請求審では、新たに開示された証拠から、5点のうちズボンのサイズが確定判決の認定より小さかったことが判明していた。決定はこの点についても、「袴田死刑囚のサイズと適合せず、ズボンが同死刑囚のものではなかった疑いがある」と述べた。 
 ◎上記事の著作権は[WSJ Japan Real Time]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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 袴田事件、再審開始を決定 発生から48年
 産経ニュース 2014.3.27 10:12
 昭和41年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などに問われ、死刑が確定した袴田巌元被告(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審開始を決定した。静岡地検は、決定を不服として東京高裁に即時抗告する方針。再審決定が確定すれば、戦後に発生し、死刑か無期懲役刑が確定した事件として9件目となる。
 確定判決で犯行時の着衣と認定されたズボンや半袖シャツなどの「5点の衣類」が、袴田元被告のものかどうかが最大の争点だった。約48年前の事件について地裁がどう判断するかが注目されていた。
 弁護側は、第2次請求審で実施した5点の衣類のDNA型鑑定結果などを「新証拠」として「確定判決に合理的な疑いが生じた」と主張。検察側は「証拠に新規性はなく、確定判決を覆す理由にはあたらない」としていた。
 鑑定では、半袖シャツの血痕について、検察、弁護側の鑑定人2人がいずれも「袴田元被告と一致する型は検出されなかった」と結論づけた。ただ、検察側鑑定人は「検出したDNA型が血痕に由来するかは不明」としている。
 弁護側は「無罪を100%裏付ける証拠。衣類は警察による捏造(ねつぞう)だ」と主張。検察側は「鑑定試料の劣化により、血痕のDNA型を識別することができない」と反論していた。
 検察側は、第2次請求審で、取り調べの録音テープや、捜査報告書など約600点の証拠を新たに開示。この中で、「出火直後に袴田元被告を見かけた」とする元同僚の証言について、弁護側は「袴田元被告のアリバイを示すもの」、検察側は「犯行時間帯からずれており、アリバイを示すものではない」としていた。
 第2次請求は平成20年、袴田元被告の姉、秀子さん(81)が申し立てた。元被告は心神耗弱の状態とされ、昨年12月、村山裁判長らが再審請求の意思を確認するため収監先の東京拘置所を訪れて面会を求めたが、元被告は応じなかった。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します 
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袴田事件:再審開始を決定 静岡地裁 2005年「名張毒ぶどう酒事件」以来で6例目
 毎日新聞 2014年03月27日 10時05分(最終更新 03月27日 10時40分)
 静岡市(旧静岡県清水市)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサー、袴田巌死刑囚(78)側の第2次再審請求について、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審を開始し、死刑執行を停止する決定を出した。死刑確定事件で再審開始決定が出るのは、2005年の「名張毒ぶどう酒事件」(13年に請求棄却確定)以来で6例目。
 1980年に最高裁で確定した判決は、袴田死刑囚の勤務先だったみそ製造会社の工場タンク内で見つかった5点の衣類について、袴田死刑囚や被害者と同じ血液型の血痕が付いていたと認定し、有罪の最重要物証と位置付けていた。
 第2次請求審は袴田死刑囚の姉秀子さん(81)が2008年に申し立てて開始。1次請求審では不調に終わった5点の衣類の血痕のDNA型鑑定を改めて実施し、その結果をどう判断するかが最大の焦点となった。
 弁護側鑑定人は「血痕は袴田死刑囚や被害者と不一致」との結論を出し、弁護側は「有罪認定に合理的な疑いが生じる新証拠」と主張した。一方、検察側鑑定人は「被害者と一致する可能性は排除できない」との見解を示し、検察側は弁護側鑑定の信用性について「試料が古く、DNA抽出も不完全」と疑問を呈していた。
 1981年に始まった1次請求審で弁護側は5点の衣類について、▽ズボンは小さすぎて袴田死刑囚がはけない▽1審公判中に見つかったのは不自然で、捜査員による証拠捏造(ねつぞう)の疑いがある−−などと主張。しかし、静岡地裁、東京高裁は「ズボンはタンク内のみそに漬かって縮んだ。捏造をうかがわせる事情はない」と退け、08年に請求棄却が確定した。【荒木涼子】
 *袴田事件
 1966年6月30日未明、静岡市(旧静岡県清水市)のみそ製造会社の専務宅から出火し、焼け跡から一家4人が他殺体で発見された。静岡県警は同社社員寮の部屋で被害者の血が付いたパジャマが見つかったとして、従業員だった袴田巌死刑囚を強盗殺人容疑などで逮捕。袴田死刑囚は公判で無罪を主張したが、1審・静岡地裁は68年、死刑を言い渡し、80年に最高裁で刑が確定した。
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します 
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袴田事件:「やっていません」に涙出る…1審死刑の裁判官
 毎日新聞 2014年03月27日 10時20分(最終更新 03月27日 10時44分)
 静岡市(旧静岡県清水市)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサー、袴田巌死刑囚(78)側の第2次再審請求。静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審を開始し、死刑執行を停止する決定を出した。
 1審・静岡地裁で死刑の判決文を書いた元裁判官、熊本典道(のりみち)さん(76)は「公判で袴田さんが『やっていません』と言った姿が忘れられない。思い出すと涙が出る」と、今でも悔やみ続けている。
 真っすぐに裁判長を見据えて受け答えする袴田死刑囚の様子や、任意性に乏しい供述調書などを通じ、「有罪認定は難しい」と思っていた。だが、結審後に判決文を検討する中で、結果的に先輩判事に押し切られた、と振り返る。
 半年後、耐えられず退官し、弁護士に転じた。合議の秘密を破り、第1次再審請求中の2007年、「無罪の心証があった」と告白したが、請求棄却が確定した。先月末には古巣の静岡地裁を訪ね、再審開始を求める上申書を提出。「自分は他の裁判官を説得できなかった。償いをしたい」と訴えた。【荒木涼子】

      熊本典道さん=2013年11月、荒木涼子撮影 

 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します
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<袴田巌さん釈放> 村山浩昭裁判長…死刑だけでなく、拘置の停止まで命じる決定〜法務・検察に動揺 2014-03-27 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

再審開始へ動き始めた「袴田事件」だが、長過ぎる拘禁生活に死刑囚も無罪を信じた元判事も「心神喪失」 2012-01-19 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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◇ 元裁判官、再審求め上申書 袴田事件の死刑判決に関与 2007-06-26| 死刑/重刑/生命犯 問題

          

 資料を手に、再審請求の経緯を説明する熊本典道元裁判官(中)=25日午前、東京・霞が関の司法クラブで
 2007年6月25日 中日新聞夕刊
 静岡県清水市(現静岡市清水区)で一九六六年、みそ製造会社の専務一家四人を殺害したとして死刑判決を受けた元プロボクサー袴田巌死刑囚(71)が再審請求している「袴田事件」で、一審の静岡地裁で死刑判決に関与した元裁判官の熊本典道さん(69)が、再審の開始を求める上申書を作成、二十五日、袴田死刑囚の支援者を通じて、最高裁第二小法廷に提出した。
 死刑判決に関与した元裁判官が、最高裁に再審を求めるのは極めて異例。支援者らは同日午前、東京・隼町の最高裁を訪問。A4判四枚の熊本さんの上申書と再審開始を求める約四千人分の署名を最高裁の担当書記官に手渡した。
 熊本さんは上申書で「公判当初より、無罪の心証を持っていたが、ほかの裁判官を説得できず、主任裁判官として死刑判決を書かざるを得なかった」と経緯を記した上で「袴田さんが今もとらわれているのは断腸の思い。判決言い渡し時のがっくりした様子は忘れられない」と心情を吐露している。
 さらに、「自白調書は臨場感がまったくなかったが、有罪を書かねばならなくなったため、心ならずも妥協して一通だけ採用した」と明かし、「その良心の呵責(かしゃく)に耐えきれずに裁判官を辞めた。少しでも私にできることがあれば、残された年月をかけて償いたい。袴田さんの再審を開始してください」と訴えた。
 熊本さんは袴田事件の第二回公判から左陪席裁判官として審理に加わり、主任を務めた。これまでの証言によると、事件の翌六七年に検察側が犯行時の着衣を変更したことなどから、「罪を認めた自供は合理的な疑いが残る」といったんは無罪判決を起案したという。
 判決を書いた翌六九年に退官。
 今年三月に「合議に加わった他の二人の裁判官が他界した今、自分の心の中で耐えきれなくなった。半分は袴田君、残り半分は自分のために、死ぬまでに言っておきたかった」と無罪の心証を持っていたことを明らかにした。
 評議内容を明らかにしたことについて、熊本さんは、上申書で「評議の秘密は理解しているが、再審の実現には最後のチャンスになると思い、非難を覚悟の上、無罪の心証を公表した」としている。
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袴田事件の元裁判官・熊本氏 再審支援へ弁護士再登録を申請 2008-01-24 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
 中日新聞 2008年1月23日
 清水市(現静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された「袴田事件」で、再審請求中の元プロボクサー袴田巌死刑囚(71)に対し、一審・静岡地裁で主任裁判官として死刑判決を起案した熊本典道氏(70)=福岡市=が再審活動を支援するため、弁護士資格の再登録を申請している。近く結論が出る見込み。熊本氏は袴田死刑囚は無罪との心証を明らかにしており「申請が認められれば、一刻も早く身柄を釈放するために働きたい」と話している。
 元裁判官が、かつて裁判を担当した死刑囚の再審活動に弁護士として加わったのは、財田川事件で死刑確定後に再審無罪となった故谷口繁義さんの弁護人の故矢野伊吉氏の例があるが、極めて異例だ。
 熊本氏によると、昨年末、第2東京弁護士会に入会申請と弁護士登録請求書を提出した。同弁護士会が会員弁護士らでつくる資格審査会で請求を認めれば、日本弁護士連合会に上申し、最終的な登録の可否が決まる。熊本氏は健康面に不安を抱えており、こうした点も審査の対象になる。
 熊本氏は袴田事件の一審に左陪席として参加。判決の翌69年に裁判官を辞め、東京や鹿児島で弁護士として活動したが、90年に登録を抹消した。昨年3月、「自白の信用性に疑問を持ち、裁判長らとの合議で無罪を主張したが、退けられた」などと記者会見で告白。6月には再審開始を求める上申書を最高裁に提出した。
 弁護士法には、熊本氏のように自ら廃業した弁護士の再登録について制限はなく、申請から3カ月以内をめどに弁護士会が結論を出すよう求めている。
 熊本氏は昨年7月以降に計3回、東京拘置所を訪れ、袴田死刑囚との面会を求めているが、いずれも拘置所に拒否されている。面会は原則として弁護人や親族らに限られるためだが、再登録が認められると、静岡地裁で死刑判決を下した68年以来の袴田死刑囚との“再会”も実現しそうだ。
 ただ一方で、再審支援者の中には、健康面の問題などから、再審活動への参加に否定的な意見もある。弁護団の西嶋勝彦弁護団長は「協力はありがたいが、死刑判決を出した元裁判官が再審弁護団に加わるというのは適切でないかもしれない。正式に申し出があった時点で検討する」としている。
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