遠隔操作ウイルス「自宅で作った」…片山被告
読売新聞 6月8日(日)8時56分配信
パソコン遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などに問われている元IT関連会社社員・片山祐輔被告(32)が、犯行に使用した遠隔操作型ウイルスについて、「2012年の最初の犯行後、自宅のパソコンで作った。簡単に他人のパソコンを操るためだった」と話していることが、弁護団への取材でわかった。
東京地検は、不正指令電磁的記録(ウイルス)作成罪を適用できるか検討している。
片山被告と接見した主任弁護人の佐藤博史弁護士によると、被告は12年7月、ほぼ1か月かけて、遠隔操作型ウイルス「iesys.exe」を作った。検察側は「勤務先のパソコンで開発、作成した」と主張していたが、自宅のパソコンで作成後、勤務先やインターネットカフェのパソコンで動作確認を行い、改良を重ねたという。
最終更新:6月8日(日)8時56分
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PC遠隔操作「嘘つき男」に一杯喰わされた「村上正邦」
追っ手がいるとは露知らず、自ら尻尾を丸出しにしたマヌケな男、片山祐輔被告(32)。パソコン遠隔操作事件の「真犯人」が白日のもとに晒された5月20日、茶の間で思わず仰(の)け反(ぞ)った方も多かろう。
あの村上正邦元自民党参院議員(81)も、その一人だ。
「テレビの前で、“えーっ!”と、叫んでしまいました。まさか彼が、あの日、嘘をついていたなんて」
と、一杯喰わされたご本人が振り返るのは、5月9日に開かれた、村上氏と『週刊金曜日』が共催する「日本の司法を正す会」でのこと。同会は毎月、冤罪を主張する当事者を呼び、捜査当局の手法について問題提起をしているのだが、この日の講師が、片山被告と佐藤博史弁護士だった。
「面会に来てくれる弁護人だけが頼りで、とても不安でした」
「私のパソコンが何かしらのウイルスに感染し、画面操作的なことをされていたんだろうな、と」
「パソコンが観察されている過程で、前科だったり、職業だったりで、こいつが適任だという風になったんじゃないか」
こう訴えたカタヤマに、
「犯罪がつくられている!」
と、エールを送った村上氏は、とんだ赤っ恥である、再び、ご本人の弁。
「彼の保釈を受けてお呼びしたのですが、よく平然と来られたなと思います。パソコンばかりやっている人は、頭も機械化しているのでしょうか。この会は有罪.無罪を判断する場ではありませんが、結果的に彼の嘘を多くの人に聞かせてしまった責任は感じています。今後は慎重にやらんといかんな、と」
くれぐれも“二杯目”を喰わされぬよう――。
週刊新潮 2014年6月5日号 掲載
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冤罪を主張したジャーナリストのお手柄であるパソコン遠隔操作0.2
【コラム】エンタープライズ0.2 - 進化を邪魔する社長たち- 宮脇睦[2014/06/03]
*最後のいいわけ
弁護人が無罪を確信していたという、いわゆる「パソコン遠隔操作事件」は、片山祐輔被告がすべての疑惑を認めたことにより終結へと向かいます。スマホのタイマー機能を使い、公判中に「真犯人」を装ったメールを送信したことが警察にばれ観念しました。
何人もの著名ジャーナリストが片山被告の主張する無罪を信じ「冤罪事件」という絵図を描いていました。パソコン遠隔操作事件は片山被告の逮捕に至る前、4人の「誤認逮捕」があり、厚生労働省の村木さんの冤罪事件、直近では袴田さんの釈放もあり、ネット上では「冤罪」は一種のブームのようになっていたのです。
そのひとり、ジャーナリストの青木理氏は週刊文春の取材に、冤罪とは明言していないと断りながら、
「警察、検察側の問題点から眼がそらされるなら、それはまずいなと思います」と悔しさを滲ませます。しかし、本件は「日本におけるネット犯罪捜査」の難しさが問題の本質です。
*疑わしきの原則論
警察が4人の「誤認逮捕」に至った理由は「IPアドレス」です。IPアドレスとはネット上の住所に当たり、これが分かれば、どの地域のどの場所からネットに接続しているかを特定できます。警察は多くのネット犯罪を、IPアドレスの特定により検挙していました。ところが他人のパソコンを遠隔操作すれば、IPアドレスは犯人の住所を意味しなくなります。また、TOR(トーア)と呼ばれる、匿名化ソフトを使うと住所の特定が困難となります。誤認逮捕時の現場の捜査機関は、遠隔操作とTORの存在を把握していなかったようです。
真犯人の所在をほのめかす「謎解き」にあった、リアルとの接点で防犯カメラを調べたところ、複数箇所で片山祐輔被告の姿が防犯カメラに捉えられ逮捕に至ります。しかし、これらは「状況証拠」に過ぎず、「物証」がないというのが「冤罪派」の主な論拠でした。
刑事裁判の原則は「疑わしきは被告人の利益に」です。「どちらにもとれる」場合は、被告が有利になるよう解釈するというもので、日本の法律が性善説に立つからです。自白後、片山被告は自らを「サイコパス」と名乗り、嘘つきを自認します。生来の嘘つきの前に性善説は無力で、この事件は法律の限界も指摘しています。
*ネット犯罪の本質とは
ザックリとネットの仕組みを説明すると「手紙のやり取り」です。AからBに「写真が見たい」と手紙を出し、Bから写真が同封され返信される。これを高速で行っており、ウェブサイトも電子メールも同じです。手紙のやり取りにおける住所がIPアドレスで、TORを使ったからとIPアドレスを隠せる訳ではありません。しかし、郵便物の転送を代行するバーチャルオフィス(実際にはサーバ)を、AからBのあいだにいくつも経由させることで、送り主の住所の特定を困難にします。ネット上のバーチャルオフィスは、世界中に点在しており、「転送記録」を保存していないケースも少なくありません。これがTORを利用すると、特定が不可能といわれる理由です。
ネット犯罪は「物証」がないこともありえるということです。そこで、警察は片山被告の立件に「状況証拠」を頼りにします。すると「冤罪」の声が上がります。もちろん、冤罪は許されることではありませんが、ネット犯罪において、厳密な物証を求めるなら「完全犯罪」が増えることを意味し、そのとき警察を「無能」呼ばわりするのはさすがに残酷です。
*FBIがウィルスを拡散
警察のネット捜査力に疑問を呈す声も少なくありません。FBIはすでにTOR利用者を、IPアドレスから突き止めたともいわれています。それではどうして、この「FBI方式(仮)」を日本の警察は導入しないのでしょうか。
実は「FBI方式(仮)」とは、ブラウザの欠陥を利用し、TORの利用者を特定するもので、端的に言えばFBIは「ウィルス」をばらまいているのです。捜査目的とは言え、日本の警察がウィルスをばらまいたなら、「個人情報保護」を盾にし、同時にウィルスの仕組みを公開せよと「特定秘密保護法」を槍に構えたマスコミやジャーナリスト、進歩的知識人が大騒ぎすることでしょう。また、米司法省が中国人民解放軍の5人を起訴したように、ネットに国境はなく、もはや「国防」の最前線のひとつというのが世界の常識。するとそこから「集団的自衛権」の行使だと拡大解釈したがる、その筋の人々により倒閣運動にまで発展する可能性も否定できません。
青木理氏が指摘するように、警察や検察に問題がないわけではありません。しかし、「ネット捜査」に関しては、ナイーブな国民を相手に「善戦」しているとわたしは見ています。
そして今週の「0.2」は、片山祐輔被告。山登りして逮捕されます。そこで無罪を主張してみたら、驚くほど世論が同調してくれ図に乗ります。そして河川敷にスマホを埋めて、文字通り墓穴を掘ります。ネット上でのパソコンの遠隔操作だけなら「完全犯罪」だった可能性が高い「遠隔操作0.2」。つまり無罪と擁護し、片山被告を調子に乗せた「冤罪派」のお手柄です。
エンタープライズ1.0への箴言
「ネット犯罪への対応は国民意識に比例する」
*宮脇 睦(みやわき あつし)
プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治〜ネット世論と幼児化と山本太郎〜」
筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
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◇ PC遠隔操作事件 第10回公判 片山祐輔被告 遠隔操作プログラム「2、3日かけて自宅でつくった」 2014-05-30 | 社会
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◇ PC遠隔操作事件 佐藤博史弁護士の発言について考える〈来栖の独白〉 2014-05-21 | 社会
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何人もの著名人が《冤罪事件》という絵図を描いた「PC遠隔操作事件」 村上正邦氏 青木理氏
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