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理念なき野合化が進む野党再編 / 維新の党綱領筆頭には「占領憲法を大幅に改正し国家を立て直す」と…

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【酒井充の政界××話】ますます理念なき野合化が進む野党再編
 産経ニュース 2014.6.8 18:00 
 橋下徹、石原慎太郎両共同代表の「名古屋会談」(5月28日)における決別で、日本維新の会は発足から約1年8カ月、石原氏ら旧「太陽の党」勢力の合流からは約1カ月半で分裂となった。
 分裂の直接のきっかけは、橋下氏が主導する夏までの結いの党との合流に際し、共通政策に「自主憲法制定」の表現を入れるか、入れないかだった。自主憲法の制定は、石原氏が国政に復帰した理由の大きな一つだった。当然譲れるはずがなく、執行役員会や直接会談のたびに橋下氏に頑強に盛り込むよう要請した。橋下氏はいったん受け入れたが、結い側が拒否すると、今度は石原氏と別れる選択をした。
 維新の党綱領は8項目あるが、筆頭にこう書いてある。

「国家・民族、国民の自立を損なわせしめた占領憲法を大幅に改正し国家を立て直す」

 これは橋下氏を含め分党前の現在の維新の背骨と言える。石原氏は確かに「憲法破棄」が持論だった。だが、維新参加後は、ほとんど口にしていない。この時点で石原氏は譲歩していた。
 結いの江田憲司代表は「自主憲法制定という言葉は極めてイデオロギー臭の強い手垢のついた言葉だ」と非難した。「米国に押しつけられた憲法」との考え方とは相いれないということだ。別の結い幹部は「自主憲法と言い出すと、日米同盟に深刻な影響を与える」との観点から批判した。
 だが、その結いが合流を熱望する維新の綱領には、繰り返すが、「占領憲法」という文言が入っている。自主憲法のほうがよほどマイルドな表現だと思うが、維新との合流を目指す江田氏がこの点を難詰した形跡はない。 それなのに石原氏もやや譲歩して維新内ではいったん決着した「憲法改正手続きを踏まえた自主憲法制定による統治機構改革」との表現を結いは蹴った。橋下氏も綱領の内容に沿った石原氏の主張を最終的に退けた。そんな橋下系維新と結いは今後も「理念を共有するほかの野党」とも野党再編を拡大していくという。
 橋下氏は維新と結いの政策協議が煮詰まっていた5月23日、記者団に「自主憲法の制定という言葉にこだわるかどうかという国会議員の感覚にはついていけない。国民の皆さんは全く何も関心ないと思う」と語った。私は日本国民であり、関心があった。それはさておき、さらにこう続けた。
 「憲法を変えるところでは一致している。自主憲法制定という言葉に対するこだわりと、国のためにきちっとした野党を作るのとどっちが大事なのかということだ。国民からすればどちらでもいいような言葉にこだわり続けて、野党再編を止めてしまうのか」
 自主憲法制定は自民党も党是としている。だが、平成24年に同党が発表した改憲案の名称は、現行憲法の改正手続きに則った「日本国憲法改正草案」だった。そういう意味では、言葉の問題かもしれない。維新は「自主憲法」を党是としているわけではない。だが、橋下氏は現在の同志である石原氏の意見を尊重して結いを説得するか、あるいは合流をあきらめるのが筋だったのではないだろうか。
 橋下氏は「僕は政治家でなく実務家なのかもしれない」とも語った。政治家ではない橋下氏の本性が先の記者団とのやり取りであり、自らのこだわりを「どちらでもいい」とこけにされた石原氏にとって、これ以上の屈辱はなかっただろう。「橋下君に惚れた」と公言してきた石原氏でさえも受け入れられなかった大きな認識の違いは乗り越えられなかった。
 いずれにせよ、橋下氏を行司役とした場合、自主憲法制定の表現を嫌った江田氏の方に軍配が上がった。では、橋下新党と結いの合流は一層加速するだろうか。
 橋下新党と結いは共通政策に「憲法改正」との文言を盛り込むことで落ち着く見込みだ。だが、喫緊の課題として、安倍晋三政権が今国会中の閣議決定を目指す集団的自衛権の行使容認では、両者に大きな違いがある。
 石原氏側と別れるとはいえ、橋下新党側に集団的自衛権の行使容認に否定的な意見はない。これに対し、江田氏は「今後議論する」と言いつつ、本音は行使容認に反対としか思えない言動を繰り返している。
 例えば、5月20日の記者会見では、同月15日の安倍首相の記者会見を批判しながら、次のように語っている。
 「首相が会見で掲げた事例は、いずれも集団的自衛権にあたらない事例で、その意図がどこにあるのか理解に苦しむ。邦人輸送のための米艦防護が具体的に起こりうるのか」
 予見できた大地震や原発事故の事前対策を怠っておきながら、いざ発生すると「想定外だ」と慌てふためいて言い逃れしようとした人たちの典型的な言葉だ。首相が示した事例がどうして想定外だと言い切れるのだろうか。不測の事態に対して準備をしておくことはそんなに不都合なことなのだろうか。
 さらに江田氏は続けた。
 「仮にそういった事態が起こったとき、それは邦人への攻撃でもあるので、日本に対する武力行使、あるいは武力行使に着手とみなして、米艦防護も含め応戦することは個別的自衛権の範囲という議論もできる」
 行使容認に慎重な公明党とそっくりの見解だ。公明党とも合流を目指す方針なのかもしれない。解釈次第で個別自衛権を拡大させるほうがよほど歯止めがかからないと思うが、そこまで言うなら、自衛隊の存在を明確化するための憲法改正に率先して取り組んでほしい。しかし、その気配はない。
 逆に、どうしてそこまで集団的自衛権の行使容認を認めたくないのかが分からない。「手垢のついたイデオロギー」でも持っているのだろうか。極めつけは、こうだ。
 「集団的自衛権容認ありきで、将来はフルに集団的自衛権を認めていこうという意図がある。先人は知恵を出してきたわけだから、今回も知恵が出せないのか。非戦闘地域だ、後方支援だと言って日本だけの理屈を作ってきた。国際的にみれば必ずしも妥当しないようなロジックを使って憲法9条と折り合いを付けてきた歴史もある。なぜ今回そういう知恵を出さずに踏み越えるのか」
 その場しのぎの「先人の知恵」によって無理な解釈を積み重ねてきた現状をすっきりさせるためにも安倍政権は行使容認に取り組もうとしているのではないだろうか。先人がやるべきことをやってこなかったツケを今振り払おうとしていると思う。
 こうした認識の代表の結いと橋下新党が同じ党になるのだという。その際は、今回の自主憲法制定議論のように曖昧な表現ぶりの妥協案とするのだろう。基本的な理念や政策で譲歩に譲歩を重ねた上で大きな野党が完成したとして、いったい何が残るのだろうか。
 橋下維新・結い連合は、民主党やみんなの党の一部議員にも野党再編を呼びかけていくという。再編対象の政党、議員が増えれば増えるほど、妥協に妥協を重ねた共通政策となることは想像に難くない。
 同じようなケースとして民主党という前例がある。「自民党政権打倒」を合言葉に理念も政策も異なる複数の政党・議員が合流し、数は増やしたけれども、いざ政権をとったら「政権後のことまで考えていなかった」(民主党幹部)という冗談にもならないことを本当にやってしまった政党だ。
 橋下氏や江田氏ら野党再編論者は、口をそろえて言う。「結集には理念が大事だ」と。しかし、数の論理や妥協という名の下で理念を平気で捨て去ってしまう危うさをも露呈した今回の維新分裂劇。橋下氏の目指す道が「第二の民主党」になることが予見できたからこそ、石原氏も早めの離別を決断したに違いない。
 今の野党がすべて結集しても衆院では与党325に対し、144でしかない(無所属を除く)。参院でも与党134に対し102(同)にとどまる。本当に国のため、あるいは理念が大事だというならば、妥協を重ねて多少数は増やしたけれども与党から無視される大野党よりは、石原氏が4日の記者会見で語ったように、「自民党が無視できないような存在」として与党に政策を飲ませる立場を目指す方が、よほど国のためになるのではないだろうか。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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 〈来栖の独白〉
 痛快。正論。ここまで端的に、維新分党の本質を言ってみせた。全面同感だが、とりわけ以下の部分、胸を打つ。
>石原氏は確かに「憲法破棄」が持論だった。だが、維新参加後は、ほとんど口にしていない。この時点で石原氏は譲歩していた。
>自らのこだわりを「どちらでもいい」とこけにされた石原氏にとって、これ以上の屈辱はなかっただろう。
>石原氏でさえも受け入れられなかった大きな認識の違いは乗り越えられなかった。
>いざ政権をとったら「政権後のことまで考えていなかった」(民主党幹部)という冗談にもならないことを本当にやってしまった政党だ。
>「自民党が無視できないような存在」として与党に政策を飲ませる立場を目指す方が、よほど国のためになるのではないだろうか。
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これから真の保守結集に向かう。私、西村真悟も参加する。石原慎太郎さん、頑張ろう。 [眞悟の時事通信] 2014-06-06 | 石原慎太郎/政治 
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