袴田さん ４８年ぶり清水訪問
中日新聞 2014年6月30日
＊後輩ボクサーらと談笑
静岡地裁の再審開始決定で釈放された元死刑囚袴田巌（いわお）さん（７８）が二十九日、事件があった静岡市清水区を四十八年ぶりに訪れ、支援者集会に姉秀子さん（８１）＝浜松市中区＝と出席した。現在、袴田さんは浜松市内の病院に入院中だが、この日は初めて秀子さん宅に外泊。関係者によると、七月下旬にも退院できるという。
袴田さんはＪＲ静岡駅から支援者の車で会場に向かう途中「清水港に行くと自由になれる」と、同港に立ち寄った。会場に着くと昼食の弁当を支援者らとともに楽しみ、すべて平らげて「どうもごちそうさまでございました」。食後は「外に出たい」と言って付近を散歩した。
集会であいさつした袴田さんは「再審請求」という言葉を繰り返し口にし「袴田は無実であるのが明らかだ」などと述べてお経を唱えた後「よろしくお願いします」とまとめた。ボクサー時代の後輩と談笑する場面もあった。秀子さんは「釈放直後は右足を引きずっていたが、リハビリのおかげで良くなった。認知症も拘禁症によるものだから、心配していない」と袴田さんの体調を説明した。
袴田さんは集会後、事件前に住んでいた清水区の住宅を訪れ、懐かしそうに眺めていたという。浜松市の秀子さん宅では、すしやスイカを食べるなどしてくつろいだ。
袴田さんは三月の釈放後、東京都内の病院に入院。五月二十七日に故郷浜松市内の病院に移り、拘禁症の治療を受けている。病院周辺の散歩に加え、最近は支援者らと車で浜名湖に行くなど外出範囲を広げている。
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