厚木衰弱死 殺人で父追起訴
東京新聞 2014年7月9日 朝刊
神奈川県厚木市のアパートで斎藤理玖(りく)ちゃん=当時(5つ)=の白骨遺体が見つかった事件で、横浜地検は八日、命の危険を知りながら衰弱死させたとして、父親の元トラック運転手斎藤幸裕容疑者(36)=詐欺罪で起訴=を殺人罪で追起訴した。
斎藤被告は理玖ちゃんの遺体が見つかった翌日の五月三十一日、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕、送検され、地検が処分保留としていた。斎藤被告は「いずれ衰弱死すると思った。食事を与えていないことがばれると思い、病院に連れて行かなかった」と供述しており、地検は「証拠から殺意の立証が可能と判断した」と説明している。
起訴状によると、二〇〇六年十一月下旬ごろから、理玖ちゃんを部屋に閉じ込め、わずかな食事と水しか与えずに放置し、〇七年一月中旬ごろに栄養失調にさせて殺害したとされる。
斎藤被告は、理玖ちゃんの死亡後も勤務先の運送会社から家族手当をだまし取ったとして、七日に詐欺罪で起訴された。
* か細い声で「パパ…」
閉め切られた雨戸、ひざの高さまで散乱したごみ。電気や水道が止められた真っ暗な部屋の、薄い布団の上で、理玖ちゃんの遺体は七年以上放置されていた。
神奈川県警によると、二〇〇七年一月に理玖ちゃんが亡くなる直前、斎藤被告は食べ物を買って数日ぶりに帰宅した。理玖ちゃんは、自力で立つことができず、か細い声で「パパ、パパ…」と呼ぶだけだった。
パンの袋さえも開けられないほど衰弱していた理玖ちゃんを見た斎藤被告は、「怖くなって一時間もいることができず、外に出た」という。斎藤被告が生きていたわが子と会ったのは、これが最後だった。
斎藤被告が妻と別居して理玖ちゃんと二人で暮らし始めたのは〇四年十月ごろ。しばらくすると料金滞納で電気とガス、水道が止められた。朝晩コンビニ店で買った食事を理玖ちゃんに与えていたが、交際相手ができると、理玖ちゃんを置き去りにして週二回ほどしか自宅に戻らなくなった。留守中に理玖ちゃんが家を抜け出さないよう、ふすまや窓に粘着テープを貼って閉じ込めていた。
「いつも理玖の姿が脳裏にあり、『ごめんなさい』と思っていた」。斎藤被告は取調官に涙ながらにそう話していたという。
県警の家宅捜索で、ごみの中からアルバムが見つかった。その中の写真には、生まれたばかりの理玖ちゃんを慈しむ斎藤被告と妻の親子三人が写っていた。
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◇ 厚木市 斎藤理玖ちゃん/父親供述「いずれ衰弱死と思った」食事は週1、2回 /母親「DVがひどくて家を出た」 2014-06-03 | 社会
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