路線価大幅上昇 団塊世代を襲う相続税という悪夢
週刊文春WEB 2014.07.04 07:00
「平成26年度分の路線価」が国税庁から発表された。最高額は29年連続で東京都中央区銀座5丁目・鳩居堂前の2360万円(1平方メートル)。第2位は大阪市北区角田町(御堂筋)の765万円。
上位10地点の顔ぶれは変わらないが、驚くのはその上昇率だ。第1位の名古屋市中村区名駅1丁目は年率10.0%、第2位の鳩居堂前も9.7%の高い伸びとなった。5%以上上昇した都市は昨年の3地点から8地点に増加、上位5地点はすべて3大都市圏で大都市の中心商業地が地価回復を牽引している。
「路線価は今年1月1日時点の数字だが、この半年でさらに上昇した実感がある」(大手信託銀行幹部)。地価上昇はいまも続いているのだ。
都心部ではアベノミクス効果から分譲マンションの販売が好調で、東京五輪効果もあり湾岸エリアでは大型タワーマンションが建設ラッシュ。「液状化で揺れた首都圏の沿岸部でも震災の影響は感じられない」(大手ディベロッパー)と強気の見通しが並ぶ。
しかし、地価上昇で悩ましい問題も浮上している。路線価は相続税や贈与税を算出する際の基準となるため、これまで相続税とは無縁と思われてきた平均的な中間層にも増税が重くのしかかりかねない。
現状、相続税の非課税枠は1世帯あたり5000万円、1人あたり1000万円となっている。例えば、妻と子供2人のモデル世帯であれば、3人相続人がいることから、非課税枠は8000万円。平均的なサラリーマン世帯であれば概ねこの枠内で、相続税がかかる人は全体の4%程度にすぎない。
その相続税の基礎控除が来年1月1日から4割削減される。1世帯あたりの非課税枠5000万円が3000万円に、1人あたりの非課税枠1000万円が600万円にそれぞれ引き下げられる。従来のトータル非課税枠8000万円は4800万円まで圧縮される計算だ。首都圏に家を持ち、2、3000万円の金融資産を持つ層は、今後、課税対象に入る可能性が高い。
「東京周辺だと、2割〜3割が課税対象になる。また、相続税の最高税率が50%から55%へ引き上げられる、高額所得者、資産家層狙い打ちの増税も控えている」(別の大手信託銀行幹部)。相続を控えた団塊の世代は、地価上昇を喜んではいられない。
森岡 英樹 (ジャーナリスト)
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団塊世代を襲う相続税という悪夢 相続税の基礎控除が来年1月1日から4割削減される
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