出所者:生活保護は「申請地」で 「刑務所所在地」から改正
刑務所などの出所者に対して生活保護を実施する自治体について「刑務所の所在地」と定めた通知を、厚生労働省が約50年ぶりに改正し、出所者が申請した自治体が責任を負う方針に転換したことが分かった。国が障害や高齢のため自立困難な出所者への福祉的支援を始める中、刑務所のある自治体から負担増を懸念する声が上がったり、刑務所の周辺自治体で出所者の申請が断られたりするトラブルも相次いでいた。
厚労省は今年4月1日付で通知の「刑務所の所在地」の規定を削除した。生活保護法では「居住地がないか明らかでない要保護者は現在地(所在する場所)を所管する福祉事務所が実施責任を負う」と定めている。1963年4月の旧厚生省社会局長通知では刑務所または少年院から釈放・仮釈放された者について「帰住地がないか、または明らかでない場合は、当該刑務所または少年院の所在地を現在地とみなす」と規定、帰る先のない出所者は刑務所所在地の自治体が生活保護を実施すると解釈されていた。
厚労省と法務省は09年度から障害や高齢の出所者の受け入れ先を調整し、福祉サービスにつなぐ地域生活定着支援事業を開始。これを機に生活保護の実施責任について自治体からの照会が増えた。出所から半年たって刑務所所在地に保護を申請するケースなどに対し、所在地自治体から苦情もあったという。
また、国内最大規模の府中刑務所がある東京都府中市などが09年11月、実施責任や費用負担が所在地自治体に集中しないよう求める要望書を、国に提出するなどの動きもあった。【牧野宏美】毎日新聞 2011年9月15日 東京朝刊
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厚労省 刑務所などの出所者 生活保護は「刑務所所在地」から転換、「申請地」で
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