【歴史戦 第4部 利用される国連(上)前半】 「性奴隷」明記に立ち上がった主婦 「お金もらったのでは」
産経ニュース2014.7.26 09:20
日本の人権状況に関し、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)の自由権規約委員会は24日に発表した最終見解で、慰安婦を「性奴隷」と明記し、日本政府を非難した。1996年に国連人権委員会(現人権理事会)に出されたクマラスワミ報告書をはじめ、国連は慰安婦問題で日本を批判してきた。間違ったことがあたかも事実のように喧伝(けんでん)されてきた背景には国連を利用し、自らの主張を通そうとする左派・リベラル勢力の活発な動きがある。
*「NGOによる委員洗脳の場」
今月15、16の両日、ジュネーブのレマン湖を見下ろす高台にある国連欧州本部で行われた自由権規約委員会。日本に対する審査で、日本政府代表団は慰安婦について、戦時の日本の官憲が組織的に朝鮮半島から女性たちを無理やりに連行するという「強制」は確認できないと説明した。しかし、委員たちは聞く耳を持たなかった。
事実関係と異なるストーリーは、これまでも何度となくジュネーブの国連本部から発信されてきた。
代表的なのは、クマラスワミ報告書だ。虚偽であることが明白な著作などを基に、慰安婦を「性奴隷」と定義し、その人数を「20万人」と記述した。
98年に提出されたマクドゥーガル報告書は、慰安所を「強姦(ごうかん)所」と呼んだ。さまざまな機関が、まるで日本が慰安婦問題について頬かぶりしているかのような表現で、日本の責任を追及する報告書や勧告を相次いで出してきた。
外交筋は国連が「究極の人権保障に向けて各国政府をたたき続ける存在であることが大きい」と指摘する。特にジュネーブは国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が本部を置くことから同地に事務所を持つ人権関係の非政府組織(NGO)も多く、委員との情報交換やロビー活動が日常的に行われている。
国家による「政治」の場がニューヨークの国連本部なら、個人の「人権」はジュネーブの国連本部が本場なのだ。今回の審査をみてもなぜ国連が日本を批判しつづけてきたかがわかる。
対日審査に先だって14、15の両日、地元記者が「NGOによる委員洗脳の場」と揶揄(やゆ)する「NGOブリーフィング」が実施された。
15日には日本の16団体の代表が慰安婦問題をはじめ特定秘密保護法、死刑制度、朝鮮学校の高校無償化除外などに関し、イデオロギー色の濃い説明を委員たちに英語で伝えた。
ブリーフィングの主催者は、今回の審査のために結成された日本弁護士連合会などの団体からなる「ジャパン・NGO・ネットワーク」。会場に入るには事前登録が必要だ。
会場には慰安婦問題解決や死刑制度廃止、ヘイトスピーチ(憎悪表現)禁止の法整備などを求め日本から来たNGO関係者ら約70人が陣取っていた。ほとんどが左派・リベラル勢力だ。
*直撃された南ア委員「重要でない」
こうしたなか、ひとりの「普通」の主婦が立ち上がった。16日の審査終了後、傍聴したスイス在住の日本人主婦、大坪明子(めいこ)(57)は、審査で日本を批判した南アフリカの委員、ゾンケ・マジョディナにこう質問した。
「あなたが『慰安婦は奴隷』と言ったのでとてもショックを受けました。本当に彼女たちはお金をもらっていなかったんですか」
慰安婦が旧日本軍兵士の数十倍の月収を得ていたことは、米軍資料などでも記録されている。なぜ国連の場で日本ばかりが標的にされるのか、大坪は疑問に感じ審査に足を運んでいた。
マジョディナは答えた。
「お金を受け取っていたかいないかは重要ではない。奴隷的な扱いを受けていたかどうかが問題で、『奴隷』に該当する」
なおも事実関係をただそうとする大坪にマジョディナはこう言い放った。
「その質問は重要ではないので答えない」
短時間のやりとりだったが、大坪はたちまちほかの委員や日本のNGOメンバーらに取り囲まれた。「やり過ぎだ!」などといった日本語も飛び交った。
(敬称略)
▽ ▽ ▽
慰安婦を「性奴隷」とする表現を90年代から取り上げ、世界に発信してきた国連は左派・リベラル勢力からどのように利用されているのか。現地に飛んだ田北真樹子記者が自由権規約委員会を通じて検証する。
■クマラスワミ報告書 国連人権委員会の「女性に対する暴力」特別報告官に任命されたスリランカ出身の女性法律家、ラディカ・クマラスワミ氏が日本や韓国を訪問し、戦争被害者らから聞き取りし、まとめた報告書。北朝鮮には代理人が訪れ調査した。慰安婦に関する記述は「付属文書1」として添付された。日本政府に対し法的責任の受け入れと被害者への補償など6項目を勧告している。
■自由権規約委員会 国際人権規約に基づき、締約国の規約順守状況を監視する委員会。締約国は167カ国。日本は1979年に批准した。死刑、差別撤廃、表現の自由などの権利を包括的にカバーする。18人の委員によって締約国は6年に1度、人権状況について審査を受ける。審査終了後に「最終見解」とする勧告が出されるが、法的拘束力はない。
【歴史戦 第4部(上)後半】 恣意的に利用される国連 日本の異議一蹴「河野談話と矛盾」
産経ニュース2014.7.26 14:18
今月16日に国連欧州本部で行われた自由権規約委員会の審査。慰安婦問題について発言した南アフリカの委員、ゾンケ・マジョディナは約10分間、日本を糾弾した。
*「性奴隷」を強調した南ア委員
「旧日本軍が先の大戦前、大戦中に利用した組織的な性奴隷のシステムは、最も強制的な性奴隷であり、被害者に正義が拒否された例といわれる」
慰安婦とは呼ばずに「性奴隷」を強調した発言は、15日の審査で日本政府代表団が「『性奴隷』は不適切な表現」と反論したことへの非難にも聞こえた。
マジョディナは「1990年代から、いくつもの報告書や勧告にもかかわらず、問題は前進していない」と述べ、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話の検証を批判し、こう断言した。
「日本が被害者を慰安婦という遠回しな言葉ではなく、強制的性奴隷と適切に呼ぶべき時はもうとっくに来ている」
日本政府代表団からは外務省人権人道課長、山中修が反論に立った。
山中は慰安婦問題を含む先の大戦に関わる賠償と財産、請求権の問題は、サンフランシスコ平和条約と日韓請求権協定で法的に解決済みだと説明した。河野談話の検証についても「当時の日本政府は『強制連行は確認できない』との認識で一貫していた」と述べた。
両者の間では、こんなやりとりもあった。
マジョディナ「性奴隷については、極めて包括的で、最も広範な定義を包含している1926年の奴隷条約を参照してほしい」
山中「奴隷条約の定義にあてはまるものとは理解していない。それを前提に、性奴隷は不適切な表現であると改めて指摘する」
審査の最後で発言した英国出身の議長、ニゲル・ロドリーは「女性たちは強制的に連行されていないが、意思に反して集められた、という2つの主張の違いがわからない」と述べ、マジョディナに賛同した。
終了後、記者がマジョディナに「なぜ慰安婦問題を取り上げたのか」と問うと、「私たちはテーマを分担して発言している。たまたま私は慰安婦にあたっただけだ」と述べた。慰安婦問題は日本の世論を二分しているというと「知っている」とそっけなく答えた。
24日に公表された最終見解は審査の雰囲気を反映し、前回2008年の最終見解にはなかった「性奴隷」という表現も登場するなど、日本政府への非難一色となった。
最終見解では、日本政府が「慰安婦の強制連行はなかった」と主張しながら、河野談話で慰安婦募集には「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くある」としているのは「立場に矛盾がある」とした。
官房長官、菅義偉は25日の記者会見で、最終見解について「日本の主張が理解されなかったのは残念だ」と述べた。
*会場内から「産経新聞がいる…」の声
今回の審査で、「国連で慰安婦の真実を伝える」ことを目的に、初めてジュネーブを訪ねた保守系の「なでしこアクション」代表の山本優美子らは、事前手続きがなかったとの理由で「NGOブリーフィング」への入場を拒まれた。記者も当初入場を断られた。結局、写真撮影をしないという条件で記者は入れたものの、会場内からは「産経新聞がいる…」との声が聞こえてきた。
NGOのロビー活動の効果について、国連人権小委員会の委員を務めた国際法学者の横田洋三は「NGOの発言を委員が自分の意見として発言することはないが、NGOから提供された材料が参考になっていることは間違いない」と話す。
国連は自由権規約委員会の例にみられるように、一部の主張を掲げる人たちに恣意(しい)的に利用されている。こうした勢力は、委員会の報告書などの文書に自分たちの見解を盛り込ませるために委員らへの情報提供やロビー活動にいそしむ。そして、その結果を外部で大々的に宣伝するのだ。
日本ほど「国連至上主義」を信奉している国はなく、一方的な情報や主張によって作成され拘束力のない勧告でも、左翼・リベラル勢力にとっては政府に圧力をかける絶好の材料となってきた。
今回の審査でも左翼・リベラル勢力のなかで、「日本攻撃」の中心となっている人物がいた。(敬称略)
◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
【歴史戦 第4部 利用される国連(中)】 「慰安婦=性奴隷」生みの親は日本人弁護士 実態とかけ離れた慰安婦像独り歩き
産経ニュース 2014.7.27 13:00
16日、ジュネーブの国連欧州本部内の会議室で、自由権規約委員会による対日審査を傍聴する戸塚悦朗氏=仙波晃氏撮影
7月15、16両日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた自由権規約委員会の対日審査の会場には、長年、国連で慰安婦問題を提起してきた弁護士、戸塚悦朗の姿があった。
戸塚は傍聴席の後方に陣取り、委員と日本政府代表団とのやりとりを静かに聞いていた。
終了後、「話を聞かせてほしい」と要請した記者(田北真樹子)に戸塚は、「産経新聞は社論がだめ。話しても無駄だ」などと言って取材を拒否した。
慰安婦問題と国連との関係を語る際、戸塚の存在は欠かせない。
国連人権委員会(現人権理事会)の差別防止少数者保護小委員会は1993年8月、戦時奴隷制に関する決議を採決し、慰安婦問題を国際的な論議の場に正式に引き出した。これは、前年92年の同小委現代奴隷制作業部会で、戸塚が慰安婦は「性奴隷だ」と主張したからだった。
*対日批判の象徴
96年から日本政府の在ジュネーブ国際機関代表部公使を務めた美根慶樹によると、「性奴隷」という表現は同作業部会で慰安婦問題を取り上げてもらうために戸塚が「発案した」という。戸塚はいわば「慰安婦イコール性奴隷説」の生みの親なのだ。
国連がこれに強い関心を寄せたことで、実態とかけ離れた慰安婦像が独り歩きし始める。慰安婦問題は国連や国際社会を舞台とした対日批判の象徴となった。
「人権」が尊重される国連の仕組みを巧みに利用した戸塚は、「NGO(非政府組織)が国連などの国際人権手続を実践的に活用した実例の報告」を自著『日本が知らない戦争責任』に詳述し、こう振り返る。
「数多くの国連人権会議に参加して、この問題(慰安婦)を提起し続けた。現代奴隷制作業部会、差別防止少数者保護小委員会(人権小委員会)、人権委員会(人権理事会)には毎年参加した。そのほか、ウィーン世界人権会議(93年)とその準備会、北京世界女性会議(95年)とその準備会など参加した関係国際会議を数えるだけでも気が遠くなるほどの数になった」
*狙いは人権問題
戸塚の関心は、当初から慰安婦問題にあったのではない。国連を標的にしたのはなぜか。戸塚は早い段階から、「個人的方針」を立てていた。自由権規約の締結国から人権侵害を受けたと主張する個人が、自由権規約委員会に直接通報することを可能にする、いわゆる「第1選択議定書」を日本に批准させる方針だ。そして、日本が批准するまで、「日本に関する重大人権侵害問題を国連に提起し続ける」ことを自分に課したのだ。
戸塚は精神障害者の人権や過労死問題などを取り上げるため、80年代からジュネーブ詣でを繰り返していた。91年12月に元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求める民事訴訟を起こしたのと前後して、戸塚は慰安婦問題を国会で取り上げていた社会党参院議員の本岡昭次を通じ、慰安婦問題と関わるようになる。
92年2月、人権委員会で発言権を持つ国連NGO「国際教育開発(IED)」を代表して、慰安婦問題を提起したのだった。
「何十回、国連で発言したか分からない。日本が犯した人権侵害の問題をたくさん取り上げたが、国連が反応したのは慰安婦問題だけだ」
戸塚は自由権規約委員会の対日審査の後、審査を聴いていたある日本人にこう振り返った。
*反日団体・北と連携日本に圧力
国連組織を熟知した弁護士、戸塚悦朗の活動ぶりについて、日本政府の在ジュネーブ国際機関代表部公使を務めた美根慶樹はこう指摘する。
「各委員会や各作業部会で、協議のレベルや出席者に合わせた意見やロビー活動をやっている。非政府組織(NGO)間の連帯も非常に大事にしていた。国際的なNGOや、似たような思想の組織が連帯して政府にかかってきた」
戸塚は精神障害者の人権や過労死問題などを取り上げるため、80年代からジュネーブ詣でを繰り返していた。91年12月に元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求める民事訴訟を起こしたのと前後して、戸塚は慰安婦問題を国会で取り上げていた社会党参院議員の本岡昭次を通じ、慰安婦問題と関わるようになる。
92年2月、人権委員会で発言権を持つ国連NGO「国際教育開発(IED)」を代表して、慰安婦問題を提起したのだった。
「何十回、国連で発言したか分からない。日本が犯した人権侵害の問題をたくさん取り上げたが、国連が反応したのは慰安婦問題だけだ」
戸塚は自由権規約委員会の対日審査の後、審査を聴いていたある日本人にこう振り返った。
*反日団体・北と連携日本に圧力
国連組織を熟知した弁護士、戸塚悦朗の活動ぶりについて、日本政府の在ジュネーブ国際機関代表部公使を務めた美根慶樹はこう指摘する。
「各委員会や各作業部会で、協議のレベルや出席者に合わせた意見やロビー活動をやっている。非政府組織(NGO)間の連帯も非常に大事にしていた。国際的なNGOや、似たような思想の組織が連帯して政府にかかってきた」
実際、日本のNGOだけではなく、元慰安婦を支援する韓国の反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」とも連携した。国連内で北朝鮮関係者と接触していた姿も度々目撃された。戸塚は自著の中で、北朝鮮のことを「共和国」と呼んでいる。
さらに、美根は続ける。
「国連の人権委員会などには、広い意味で戸塚と思想的背景などが共通している人がいる。戸塚はそこに出てくる人を非常によく知っているわけだ」
*NGO情報を活用
国連が被害者の声を代弁するNGOからの情報提供の受け入れに積極的であることを戸塚はフルに活用。人権委員会や作業部会の決議案や勧告文の作成過程だけでなく、委員会の運営にも深く浸透していた。
戸塚は自著で、1998年8月の人権小委員会で採択されたマクドゥーガル報告書について、「92年2月以来6年余のNGOの国連活動の成果」と礼賛。その裏話として報告書の調査対象について、「筆者ら関係NGOは日本軍性奴隷にしぼって研究する決議原案を内々提案した。委員から『旧ユーゴなど組織的強姦(ごうかん)も対象にしたい』と提案があり、NGO側が同意した」と明かしている。
戸塚は今回、国連欧州本部で日本人と話した際、慰安婦の「20万人」説について「根拠は荒船発言だ」と語った。
「荒船発言」とは、65年の日韓基本条約締結後、当時の衆院議員、荒船清十郎が埼玉県の選挙区での会合で「第二次大戦中、朝鮮の慰安婦が14万5千人死んでいる。日本の軍人がやり殺してしまったのだ」と語ったことを指す。
戸塚は「相当根拠がある。当時の(荒船の)講演録を持っている」と自信に満ちた様子で話したという。荒船発言は、マクドゥーガル報告書でも利用され「強姦所での性奴隷制を20万以上の女性に強制した」との記述につながった。
だが、荒船の発言は根拠のないものだった。現代史家の秦郁彦の検証によると慰安婦の総数は2万〜2万数千人でありうち朝鮮人は2割程度だったという。
96年に人権委員会に出されたクマラスワミ報告書や、マクドゥーガル報告書といった文書の位置づけについて、国連人権小委員会の委員を務めた国際法学者の横田洋三は「国連機関である人権委員会、あるいは人権小委員会が審議するための材料を提供するもので、国連の立場を示す文書ではない」と話す。
その上で「NGOが世論に訴えて日本政府への批判を強めるための一つの材料として使われたといえる」と指摘した。
横田は元慰安婦に「償い金」を支給するため、95年に設立されたアジア女性基金の運営審議会委員として、慰安婦問題に関わっていくことになった。
*基金は「道義的責任」
戸塚はアジア女性基金の性格について「道義的責任であって法的責任ではない」ことから「元慰安婦を二重にレイプ(強姦)するものだ」と批判していた。
これに対し、横田は同基金のホームページで、こんな話を明らかにしている。
「人権小委員会のメンバー全員がさすがにNGOの活動がちょっと極端だということを感じ始め、『私は考え方を変えました』とか、『アジア女性基金は、日本政府が隠れみのとして使っているものではない』とはっきり会議で発言するようになりました」
こうした委員たちの発言が日本で報道されることはなかったという。(敬称略)
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【歴史戦 第4部 利用される国連(下)前半】 声を上げた保守系市民「慰安婦の実像知って」
産経ニュース2014.7.28 07:58
「慰安婦問題が世界に広まっているのは、左派系市民団体が国連に働きかけているのが原因だ。国連に問題があることを多くの人に知ってもらい、立ち上がってほしい」
東京都内に住む主婦、山本優美子が今月中旬、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)を訪れたのはこんな思いからだった。
15、16両日に開かれた自由権規約委員会の対日審査をめぐり、左派・リベラル系の非政府組織(NGO)による委員へのロビー活動に可能な限り楔(くさび)を打ちたいと考えたのだ。
山本は、国内外での反日活動の阻止を目指す民間グループ「なでしこアクション」代表でもある。国内では慰安婦問題で事実と異なる意見書などを決議した地方議会、海外では慰安婦碑・像の設置案が浮上している自治体などに対し、手紙やファクス、電子メールで慰安婦の実像を伝えてきた。
平成23年にインターネット上にサイトを立ち上げ、今では世界各地からネットを通じて反日活動の情報をいち早く入手している。
*マッチポンプの関係
今回、ジュネーブ入りしたのは、山本をはじめ米カリフォルニア州グレンデールの慰安婦像撤去訴訟の原告の一人、目良浩一や、「テキサス親父(おやじ)」の呼び名で知られる米テキサス州在住の評論家、トニー・マラーノら計11人。慰安婦問題で日本の名誉を守ろうとする立場の個人・諸団体によって25年7月に結成された連絡組織「慰安婦の真実国民運動」として、国連側に参加を登録した。
山本は慰安婦問題がなくならないのは「左派系市民団体と国連の間にマッチポンプの関係があるから」とみている。
左派・リベラル系団体が「日本が慰安婦問題で謝罪していない」などと主張する誤った内容の報告書を人権関係の委員会に届け、委員会はそれを基に日本に謝罪や賠償などを求める勧告を出す。その勧告を使って報告書を書いた団体が日本政府に圧力をかける−という構図だ。
「国連は人権侵害の被害者側に立つ組織とはいえ、事実を知る必要があるのではないか」
そう考える山本たちは「慰安婦イコール性奴隷」説を否定する見解をまとめた資料を作成した。ビルマ(現ミャンマー)で米軍に捕らえられた慰安婦たちが、破格の高収入を得て、買い物やスポーツを楽しんでいたと認定した1944年の米軍報告書や、朝鮮半島での慰安婦募集の広告のコピーなどを説明した資料を添付したものだ。
*委員の机は資料の山
山本たちは15日の審査が始まる前のわずかな時間を使い、審査会場に姿をみせた委員たちに「読んでください」といいながら資料を手渡した。
すると、委員の一人が「慰安婦のことならもう知っている」と反応した。山本は間髪を入れずに「これは違う立場の主張です」と付け加えた。この委員が「知っていること」とは、90年代から左派・リベラルが主張する「慰安婦イコール性奴隷」説だ。彼らの20年以上にわたるロビー活動は国連にすっかり浸透していることがうかがえた。
そんな山本たちのそばでは、民族衣装「チマチョゴリ」を着た日本の朝鮮大学校の女子学生らが、朝鮮学校の高校無償化除外問題の資料やDVDを配っていた。さまざまな団体がそれぞれの主張をまとめた資料を委員の机上に置いていく。「すでにこんなに資料をもらっている」と困惑顔の委員もいた。
国連は熾烈なロビー活動の舞台なのだ。
【歴史戦 第4部 利用される国連(下)後半】反論不在の「空白の22年」、築かれた“左派系の牙城”崩す時
産経ニュース 2014.7.28 12:13
7月の自由権規約委員会の対日審査をめぐり、スイス・ジュネーブ入りした山本優美子たち「慰安婦の真実国民運動」のメンバーが現地でみたのは、「大挙して押しかけてきていた左派・リベラル系非政府組織(NGO)」だった。
*不可解な入場拒否
自由権規約委員会などの条約機関は、審査対象国による規約違反をまとめたNGOからの報告書の提出を奨励している。今回の委員会会期中(7月7〜25日)、審査対象になったのは日本のほかアイルランド、グルジア、スーダン、チリ、マラウイ。なかでも日本に関する報告書は約30のNGOから36も提出され、6カ国の中で断トツだ。
傍聴する日本のNGO関係者の数も最多だったことから、審査会場もほかの5カ国とは違う大会議場で行われたほどだった。
NGO関係者の中には、慰安婦を「性奴隷」とする表現・認識を国連に広めた弁護士、戸塚悦朗だけでなく、社民党前党首、福島瑞穂の事実婚の夫である弁護士、海渡雄一らもいた。
山本たちは15、16両日の審査を会場で傍聴したが、審査で発言できるのは委員と日本政府代表団のみで、NGOが委員たちに日本政府の問題点を直接訴えることができる審査前のブリーフィングには参加できなかった。
その理由は、ブリーフィングに参加するために必要な国連側の手続きの不透明さとあいまいさにあった。
審査前日の14日。旧国際連盟本部内の会議室で開かれた「公式ブリーフィング」に備え、山本たちは早めに会場入りした。自由権規約委員会のホームページに掲載されたNGOに関する部分に、公式ブリーフィングではNGO側が委員会に「アピールできる可能性がある」と記されていたからだ。
ところが、ブリーフィング開始前になって、身分や立場も分からない外国人男性に「発言者でないなら出てください」といわれた。発言者ではない他のNGO関係者が室内に残っていたにもかかわらずだ。山本は「男性はなぜか私のところにまっすぐ来た」と話す。
翌15日には、前日とは異なる「非公式ブリーフィング」の時間が設定された。山本たちは何人かに分かれて会場に入ろうとしたが、日本弁護士連合会などからなる「ジャパン・NGO・ネットワーク」が主催の非公式会合なので「事前登録がないと入れない」と断られた。
山本たちの入場拒否について、16日の審査後に記者会見した同ネットワーク関係者に聞いたところ、「事前に日本国内で参加希望のある団体をとりまとめてCCPRセンターに伝えた」との答えだった。
CCPRセンター(ジュネーブ)とは、自由権規約委員会への報告手続きなどに各国の市民団体が参加できるよう促進・支援をする国連NGOのことだ。国連ホームページには「公式、非公式の両ブリーフィングに参加するにはCCPRセンターに問い合わせを」と書かれていたため、山本たちも事前にCCPRセンターに連絡を取っていた。だが、日本国内で参加団体のとりまとめがされていたという情報は一切知らされなかった。
CCPRセンターのアジア・太平洋地域コーディネーターの白根大輔に、なぜ山本たちがブリーフィングに参加できなかったのか問い合わせると、「参加、発言資格があるのは委員会によって設定された期限以内に報告書を出したNGOのみ。報告書を出していなかったために委員会の実践ルールとして参加が制限された」との回答だった。
*「見えない壁」
ルールによって参加を制限されたのは仕方がない。ただ、山本たちに日本国内で事前に参加団体のとりまとめがあった点が知らされなかったことは、長年にわたって一部のNGOだけが国連の仕組みを利用してきた実態を示すといえる。
慰安婦問題でいえば、戸塚が「慰安婦は性奴隷」と国連で提起した1992年以降、これに国連の場で反論する動きは日本からは生まれてこなかった。この「空白の22年間」に左派・リベラル系NGOと国連側による“見えない壁”が出来上がっていたのだ。
国連訪問について山本はこう振り返る。
「今回のような方法がよかったのか分からないが、多くの日本人に国連で何が起きているのか周知するという意味ではよかったのではないか。触発されて、今後活動する人が増えれば、それが成果だ」
山本は25日、東京・永田町で開いた帰国報告会に集まった160人に、国連の各種委員会への参加を促すとともに、報告書の提出などを呼びかけた。
「このままでは(左派系に)負けます。できることからやってください」
左派・リベラル系団体の牙城と化した国連に、普通の日本国民の声を届ける試みは始まったばかりだ。(敬称略)
=第4部おわり
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◇ 【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点 4 】北朝鮮が仕掛けた「20万人性奴隷」 親北公言する韓国の反日団体 2014-05-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
◇ 【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点 5 】「日本だけが悪」演出 火付け、たきつけた日本人たち(第2部 終り) 2014-05-25 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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◇ 【歴史戦 第1部 河野談話の罪 1〜5】裏付けなき糾弾許した日本外交 名誉のため正面から戦っていくしかない 2014-04-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
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