トヨタ、インドネシア新工場建設を発表─生産能力60%超増強へ
WSJ Japan Real Time 2011/9/15 15:22【ジャカルタ】
インドネシアを走る新車の半数以上は、トヨタ自動車とその子会社のダイハツ工業が生産したものだが、両社は同国の悪名高き交通渋滞は「日本製」ではないとする。
インドネシアに進出して40年が経過したトヨタは、同国の道路を支配している。トヨタ車は市場の40%近くを占め、ダイハツは15%を占める。成長する同国の市場に合わせるためトヨタは新工場の建設を発表、今後2年間で生産能力を60%以上拡大するという。
同グループの今年のインドネシアでの販売台数は50万台近くになる見通し。だが、グループの経営陣は、交通渋滞が拡大しているのはトヨタの責任ではなく、道路とドライバーによるものだという。
ダイハツ工業のマネジング・ディレクター、アメリア・トゥジャンドラ氏は「インドネシアは経済成長に見合うだけの道路を建設しておらず、多くの道路が傷んでいる」と話す。
また、同国の時代遅れの交通管理システムや、乱暴なドライバーを取り締まれないことが、問題を悪化させている。トゥジャンドラ氏は、「交通があまりコントロールされていないため問題が起こっている。例えば、バスは車の間をジグザグに走り抜け、客の乗降のためならどこでも停車する」という。
インドネシア政府は急ピッチで道路の改修を進めているといい、鉄道などの公共交通も開発しているという。
ジャカルタの交通問題は急成長中の新興国に典型的なものだが、さらに記録的なまひ状態に向かいつつあるように見える。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシアの野波雅裕社長によると、トヨタ本社の経営陣がインドネシアで何時間にも及ぶ交通渋滞を経験したとき、中にはこれ以上同国で多くの自動車を売れないのではないかと懸念した人もいたという。
野波社長は日本の経験を思い出し楽観的になろうという。14日の新工場建設開始に先立ち同社長は、1960年代、70年代に、日本にも交通渋滞はあったと話し、もし交通渋滞が売り上げを決めるなら、渋滞のない東京や名古屋ではもっと車が売れるはずだと述べた。
トヨタは同社工場への訪問者に対して、交通渋滞のつらさを軽減する方法を手配していた。14日、日本のジャーナリストたちが乗ったバスは、警官に先導されて新工場へ向かったのだ。それでも60キロの道のりに90分かかった。
VIP以外に対しても、トヨタは方策を考えているという。この先販売する車の台数を減らす計画はないが、より小型の車の販売を増やすという。渋滞のために、小型車の人気が高まっているためだ。
記者:Eric Bellman
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