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【良い、悪い集団的自衛権】反対論者たちは個別のケースごとに国会で堂々たる論陣を張れ 岡本行夫

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【人界観望楼】良い、悪い集団的自衛権 MITシニアフェロー・岡本行夫
 産経ニュース 2014.9.8 03:13
 集団的自衛権に対しては、まっとうな反対論もあるが、「戦争の足音がひたひたと迫っている」という、例によっての巻き込まれ論も多い。1960年の日米安保条約採択の際にさんざんなされたあの議論だ。平和国家日本が米国の戦争に巻き込まれると。当時、ソ連のフルシチョフ首相は、安保条約を結べば日本は核攻撃を受けても文句を言えないと恫喝(どうかつ)した。しかし、岸信介首相が政治生命と引き換えに安保条約を成立させて以降、日本は戦争に近づいたか? 事実は逆だ。日本への攻撃は米国への攻撃と見なすという安保条約に守られて日本は稀(まれ)にみる平和の中に繁栄してきた。
 巻き込まれ論者は、今や国民の8割が支持する日米安保条約を読み返してほしい。条約は、日本は極東の平和のために、「米国に巻き込まれる」どころか米国を積極的に後方支援するという取り決めだ。台湾や朝鮮半島有事の際には、米軍機が日本の基地から発進して侵略国を攻撃することも想定されている。こうして極東に平和が50年以上も前から保たれてきた。
 一部マスコミの情緒的な反対は相変わらずだが、一方、政府も国民に無用の心配を与えなかったか。青竜刀でヒゲをそるようなことはなかったか。
 57年の最高裁大法廷は、日本が自衛の権利を有していることを明確にした。しかしその後の政府は、日本に認められている自衛権は「個別的」なものだけで「集団的」なものはダメと、作らなくてもよい区別を作り、その際「集団的自衛権」とは「他国の防衛をその内容とする」行為だと定義した。つまり、「日本が単独で自衛する以外の行為は、すべて他国を守る行為」と決めつけたわけだ。法制局の荒っぽい議論であった。
 憲法が認める日本の自衛行動の中には、単独ではなし得ないものもある。その場合には他国の支援を得るより仕方ない。例えば87年にイラン・イラク戦争でペルシャ湾通航が危うくなった際の日本タンカー群の防護。米国は大半が日本の船である民間船団の警護のための国際艦隊の編成を提唱した。しかし日本は、「集団的自衛権にあたるから無理」と断り、結局、他国の海軍に警護させた。この国際艦隊への日本の参加は「他国を守る」ためのものなのか? 日本タンカー群の中に1隻の外国船が混じれば、自衛隊は近寄ってはならないのか?
 これまで一律に排除されてきた集団自衛権の中には、このような「良い集団的自衛権」もある。その行使を可能にする今回の閣議決定は立派だ。しかし武力行使の中には憲法が認めない「悪い集団的自衛権」もある。日本の自衛とは呼べない武力行使の場合だ。例えばコソボやアフガニスタンでの地上戦争への参加だろう。つまり「集団的自衛権」には2種類あることを十分に国民に知らせたか?
 「良い集団的自衛権」と「悪い集団的自衛権」の区別は、誰がするのか。最終的には国会だろう。反対論者たちは、個別のケースごとに国会で堂々たる論陣を張れ。(おかもと ゆきお)
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します *強調(太字・着色)は来栖
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砂川判決、集団自衛権否定せず=安倍首相 2014-04-08 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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