米大統領 イスラム国壊滅目指し空爆拡大
NHK NEWS WEB 2014年9月11日 10時56分
アメリカのオバマ大統領は、イラクとシリアで勢力を広げるイスラム過激派組織「イスラム国」の壊滅を目指し、これまで空爆をイラクに限定するとしてきた方針を転換してシリアにも拡大する考えを示しました。
オバマ大統領は10日夜(日本時間の11日午前)、イスラム過激派組織「イスラム国」に対処する包括的な戦略について、国民に向けてテレビ演説を行いました。
この中でオバマ大統領は「イスラム国による脅威を後退させるため、アメリカは幅広い連合を先導していく」と述べ、同盟国や中東諸国などと国際的な包囲網を構築し、「イスラム国」を弱体化させ、最終的に壊滅させる決意を強調しました。
そのうえで、「われわれを脅かす『イスラム国』がどこにいようが取り押さえる。イラク同様にシリアでも軍事行動をとることをためらわない」と述べ、現在、実施している空爆を今後はイラクに限定せずにシリアにも拡大する方針を示しました。
一方で、「『イスラム国』を根絶するには時間もかかるが、この取り組みは、イラクやアフガニスタンでの戦争とは違う」と述べ、大規模な地上部隊を派遣する考えはないと強調し、国民に理解を求めました。
また、イラクでは、政府軍などを支援するため475人のアメリカ兵を追加派遣するほか、シリアでは、穏健派の反政府勢力に対して、訓練や装備品の提供を行うと明らかにしました。
オバマ大統領はこれまでシリアに空爆を拡大することには慎重な姿勢を示してきましたが、アメリカ人ジャーナリスト2人が相次いで「イスラム国」の戦闘員に殺害されたことを受けて、シリアへの空爆を支持する世論が高まっていることなどを踏まえ、空爆拡大を判断したものとみられます。
ただ、内戦が続くシリアは、新たな政権が発足したイラクと状況が異なり、「イスラム国」への空爆はアメリカと敵対するアサド政権を利することになりかねず、オバマ大統領は、難しいかじ取りを迫られることになりそうです。
「テロとの戦いを支持」
菅官房長官は午前の記者会見で、記者団が「今回のアメリカの方針を日本政府として支持するのか」と質問したのに対し、「わが国としては、従来からこうしたテロとの戦いについて、国際社会とともにアメリカの戦いを支持してきており、それは当然そういうことだ」と述べました。
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◇ 「イスラム国」勢力拡大の背景 2014-09-02 | 国際
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