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「イスラム国」と「アサド政権」は打倒すべき 黒井文太郎

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ワールド&インテリジェンス ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・
 2014/09/22(月) 11:47:25 
「イスラム国」と「アサド政権」は打倒すべき
 ここのところ、「イスラム国」関連に没頭していて、ブログ更新を怠ってました。
 3週間前、「夕刊フジ」にコメント採用していただきました。イスラム国に参加する欧米のホームグロウン・テロリストの関連です。
 また、現在発売中の「軍事研究」に「最悪の世界同時紛争アナリシス」という記事を寄稿しました。イラク・シリア、パレスチナ、ウクライナ、リビアその他の紛争の動向を解説しています。
 あと、18日のTBS「ひるおび」で文字コメント採用していただきました。エボラ問題で米軍3000人が派遣されたことの解説です。ちなみに、同作戦を取り仕切るのは、ドイツに本部を置く米アフリカ軍で、リベリアに前線本部を設置します。部隊は衛生部隊が主力となりますが、その指導には先行して現地入りしているUSAMRIIDとCDCも参加することになります。
 イスラム国が大きなニュースになっていますが、要は「かつてないほど勢力を拡大した狂信者集団」です。なんとなく「現代社会に挑戦するカリフ国家」と注目されていますが、そんなに新しい性質の組織でもありません。
 たまたまシリアの内戦と、米軍撤退後のイラクでのシーア派政権の暴政に乗じて、勢力を拡大しました。指導部に旧イラク・バース党の軍人人脈が関与しており、たしかに戦略と戦術は成功していますが、テロ分析の観点からいえば、タイプとしてはペルーのセンデロ・ルミノソやアルジェリアの武装イスラム集団(GIA)のようなカルト的な組織といえます。昔からよくあるタイプですね。
 イスラム法(シャリーア)の適用を公言していますが、1000年以上前の社会風土での規範ですから、現代の人権意識とはかなり乖離があります。斬首行為がとくに問題になっていますが、従わない者、自分たちが異端者と見なす者は、躊躇なく殺戮します。つまりは徹底した教条的・排他的・暴力的組織というわけです。
 イラクでのヤジディ教徒への暴力が話題になりましたが(男性は処刑、女性は戦利品扱い)、シリアでも処刑や強制徴兵などが盛んに行われています。
 イラクに関しては、アメリカを中心にイスラム国討伐の動きがあります。イラクではシーア派政権軍やクルド部隊もありますし、外国軍が介入すれば、これ以上のイスラム国拡大はおそらく阻止されるでしょう。長期的にはイスラム国は徐々に追い詰められるはずです(完全に打倒するのは難しいでしょうが)。
 問題はシリアです。アメリカはシリアでの空爆も決定しましたが、それだけでどれほどイスラム国を撃退できるかは疑問です。イラクと違い、シリアでの軍事作戦には、現時点ではほとんど他の国からの参加表明がありません。現状では、かなり制限された限定的な介入ということになりそうです。
 それに、イラクでは強力な国軍やクルド軍がいますが、シリアではそうではありません。アサド政権軍はいますが、こっちは別に住民虐殺を続けており、イスラム国打倒で協力し合うことはないでしょう。
 アメリカは穏健派の反体制派への軍事支援を決定しましたが、それもまだまだ不充分です。アメリカの支援ルートは南部のヨルダン国境ルートがメインなので、軍事支援もメインは南部戦線(対アサド軍)の世俗派叛乱軍ということになり、イスラム国の強い東部・北部での反撃にはなかなか直結しづらい状況にあります。
 現在、イスラム国はシリア北部のクルド人エリアに進撃。多数の難民がトルコに避難する事態になっています。
 同地を取り仕切っていたクルド部隊は、地元のアラブ人との軋轢から、ときにアサド政権と手を組むなどし、アラブ人の反体制派から信用されていないのですが、一般のクルド住民に罪はありません。このままではイスラム国による大虐殺が懸念されます。
 なお、ここのところイスラム国の残虐性ばかり注目されていますが、実際にシリアの一般住民を理不尽に殺害し続けているのは、むしろアサド政権です。アサド政権の蛮行も忘れてはいけないです。
 いずれにせよ、紛争においてはさまざまな陣営にはそれぞれの論理があります。それでイスラム国の論理とか、アサド政権の論理とかを議論している向きがあります。無意味とは言いませんが、それよりもリアリズムの観点でいえば、どの陣営が何を言ってるかよりも、実際に何をやっているかに注目すべきでしょう。
 そのうえで、人々を救うには何が必要かを考えなければなりません。従わない者は殺戮するイスラム国も、民間人を虐殺し続けているアサド政権も、ともに打倒すべき対象となります。善悪の単純な感情論ではなく、人の安全保障の原則といえます。
 ◎上記事の著作権は[ワールド&インテリジェンス]に帰属します
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シリア空爆を批判=中ロ外相−イスラム国
 【ニューヨーク時事】ロシアのラブロフ外相は27日、国連総会での一般討論演説で「シリア領内でのテロリストとの戦いはシリア政府との協力の下で計画されるべきだ」と述べ、米国などがシリア政府との連携なく実施しているイスラム過激組織「イスラム国」に対する空爆を批判した。
 ラブロフ外相は「米国は自国の利益を守るためには、どこででも一方的に武力を行使する権利があると宣言した」と指摘し、米国の政策に批判的な立場をにじませた。
 続いて登壇した中国の王毅外相は「国連安全保障理事会が主導的役割を十分に果たすべきだ」と述べ、シリアでの軍事作戦には安保理決議による法的な裏付けが必要との考えを示した。(2014/09/28-06:22)
  ◎上記事の著作権は[時事通信]に帰属します  
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「イスラム国」勢力拡大の背景 2014-09-02 | 国際 

           

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シリアに行ったことがない方へ 黒井文太郎 2013-09-20 | 国際 
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「どこの国でもいいから助けてくれ!」 シリア国民の悲痛な叫びを聞いてほしい 黒井 文太郎 2013-09-10 | 国際 
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[なぜシリアは空爆されるのか? 日本よ、本当の外交に目覚めろ] 伊吹太歩の時事日想 2013-09-05 | 国際 
  オバマ大統領は米議会の承認を得た上でシリアを空爆すると発表した . . .
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「シリア空爆のシナリオ アサド政権の化学兵器使用と恐怖政治」 黒井文太郎 2013-09-04 | 国際 
  アサド政権は独裁体制を守るためなら、どんな非道なことでも躊躇しない政権 . . . 本文を読む
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