春秋 2014/10/1付
日本経済新聞 2014.10.01
京都8時58分着、59分発、9時01分着、02分発、04分着、05分発……。文字通り分刻みで、次々とホームに滑り込んでくる。次の駅の到着時刻に狙いを定めて、するすると加速しながら走り去る新幹線の後ろ姿は凜々しい。昨年の遅延時間を平均すると実に54秒である。
▼なぜこんな離れ業ができるのか。運転士や車掌は、私たち乗客が目にする時刻表とは別の、秘密の運行表を持っているそうだ。そこには15秒単位で発着が記されている。遅れてはならないし、早く着いてもいけない。懐中時計の秒針をにらみながら、誤差ゼロを目指して戦っているのだ。その奮闘の歴史が半世紀を迎えた。
▼これぞ日本の技術の神髄。米国のビジネススクールの討論授業で、得意げに発表した日本人学生がいる。時刻表を映し出すと、まず感嘆の声が上がった。ところが「たしかにスゴイけどまるで効率を競う日本の工場の生産ラインみたいだ」と感想が出る。そこから顧客への「おもてなし」の本質とは何かと議論が広がった。
▼一日の乗客42万人。急ぐ人間を速く運ぶためのマシンだが、50年間で乗客の心も少しずつ変化した。1分や2分の時間よりスーツケースの置き場が欲しいという外国人旅行者もいる。きょう午前6時0分、下り始発のぞみ1号の出発は開業時と同じ東京駅19番線だ。変わり続ける期待を乗せて、日本の技術が次の旅に出る。
◎上記事の著作権は[日本経済新聞]に帰属します
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◇ 日本人おとしめた朝日「罪悪感でゆがめられ続けた日本人」 百田尚樹氏 講演 2014-09-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
(抜粋)
「永遠のゼロ」と「海賊」を書いて気付いたことがあります。戦争を戦った男たちと、戦後経済を築いた出光興産の社員たち。彼らは同じ世代、大正生まれです。彼らは20歳前後の人生で最も素晴らしい時期を戦場で過ごしたんです。
そして故郷は丸焼けでした。雨露をしのぐ住む家さえなかった。(昭和20年)当時の日本は地球上で世界最貧国だったんですよ。
それがたったの約20年で、米国や英国が「不可能な技術」と言っていた高速鉄道(新幹線)を開通し、東京五輪を開催した。そして、GNP(国民総生産)で米国に次ぐ世界2位の経済大国になった。
これは奇跡や。日本人全員が働いたのですが、もっとも働いたのは、戦争から帰ってきた大正生まれの男です。戦場で身も心もボロボロになったのに、丸焼けの祖国を一から建て直したのです。
大正生まれ世代には本当に頭が下がる思いがします。大正世代は、ひと言でいうと「人のために生きた世代」。私は本当に素晴らしい国に育ちました。
「永遠のゼロ」は、ゼロ戦のパイロット・宮部久蔵という架空の人物が主人公です。宮部の孫が、「自分のおじいちゃんはどんな男だったんや」と全国の戦友を訪ね歩く物語です。
*強調(太字・着色)は来栖
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なぜこんな離れ業ができるのか。新幹線…昨年の遅延時間、平均54秒。日本の技術が次の旅に出る。
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