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特定秘密保護法の怖さ 後藤昌弘(弁護士)

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中日新聞を読んで 特定秘密保護法の怖さ 後藤昌弘(弁護士)
 2014/10/19 Sun.
 14日の夕刊に、特定秘密に関する運用基準が決定したとの記事が掲載されていた。記事には「どんな行為が『そそのかし』などに当たるかは曖昧」とある。ちなみに、法文上は「(故意による)秘密の漏洩又は取得行為の未遂、共謀、教唆、煽動」が処罰されることとされている。
 未遂、共謀、教唆については刑法にも規定があり、われわれにも理解はできる。「未遂」は秘密漏洩をしようと犯罪行為に着手したが、漏洩には至らなかったケースであるし、「共謀」は、複数の者が秘密漏洩することを相談した行為を対象とするのだろう。「教唆」は、秘密を保有する公務員に対して漏洩するようにそそのかす行為である。ここまでは何とか分かる。しかし「煽動」という言葉にはなじみがない。この犯行態様は刑法にはないからである。
 「煽動」という犯行態様は破壊活動防止法に出てくる。同法の第4条では「この法律で『煽動』とは、特定の行為を実行させる目的をもって、文書若しくは図面又は言動により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与えることをいう」とある。
 「教唆」との違いを考えると、「教唆」は直接秘密を有する公務員に対して秘密漏洩をそそのかすのに対し、「煽動」は直接の働きかけを要しない点が違いであると思われる。しかし、これは極めて広い範囲の行為が対象となり得る。例えば、私が本欄に「○○が秘密とされるのは間違っている。これは国民に知らされる必要がある」と書いて、それを読んだ公務員が秘密とされる情報を公開したら、私は「煽動」の罪で有罪になる可能性があるのである。特定の情報が秘密に指定されたことを批判するビラをまくことも同じである。
 これからは、本欄に書く原稿については「煽動」に当たらないように配慮しなければならない。こうした委縮効果こそ当局の狙いだと分かってはいるのだが。
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秘密警察が跋扈する 後藤昌弘(弁護士) 2013-09-15 | 後藤昌弘弁護士 
中日新聞を読んで 秘密警察が跋扈する 後藤昌弘(弁護士)
 2013/9/15 Sun.
 4日の朝刊に、特定秘密保護法案に関するパブリックコメント(意見公募)が始まった旨が報じられていた。見出しには「知る権利に一定配慮」とある。しかし本当に配慮されているのだろうか。
 法律案の概要を見ると、保護対象となる秘密が別表に列記されている。しかし、いったん法律が制定された後に、別表の内容が加えられる可能性は常にある。拡張解釈の禁止規定を定めることとされてはいるが、解釈するのは国自身であり、法律制定後に恣意的な解釈がされてきた事案は嫌というほど見てきている。
 さらに怖いのは、特定秘密を扱う公務員や企業の社員について、行政機関の長または警察本部長が個々の職員の適性を評価することとなっている点である。評価対象は、テロ活動に関する交友関係から犯罪歴、精神疾患、酒癖の悪さ、経済的信用状況まで多岐にわたる。警察が市民の交友関係から飲酒歴、信用状況まであらゆる個人の情報を調査できることになっているのである。適性評価については一応本人の同意が必要とされるようだが、対象者が拒否などできるはずもないし、調査に必要だから、との名目でどんな情報が集められるのか国民には知りようもない。
 別表の内容にも問題がある。現在、自衛隊の兵器配備状況はネットで調べられるが、今後は秘密となる。政府がどんな兵器に幾ら金を使ったのか、国民は知ることができなくなる。外交分野も政府間の密約などは秘密となる。政府は臭い物にふたができる。原発もテロ被害の対象となり得るから、原発の構造上の欠陥を政府が秘密の対象に含めることすらできるのある。
 この法律の目的はスパイ対策といわれている。しかし法律は日本国内でしか適用できないから、外国に逃げた者は処罰などできない。結局この法律は国民を監視する機能しか持たない。こんな法律は断じて許してはならない。こんなことを書くと、私などは真っ先に素行調査の対象にされるのだろうが。
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〈来栖の独白2013/9/15 Sun. 〉
 戦後アメリカの占領政策の成果で、日本人の国防、インテリジェンス意識は、奇妙なものになってしまった。というより、「自国を自分で守る」という、国際社会においては当然の「義務」すら果たさない国民となった。
>現在、自衛隊の兵器配備状況はネットで調べられるが、
 この状況は、当然、我が国の防衛体制(状況)が(実際は、防衛といえるほどのものはないのだが)外国に筒抜けであることを意味する。
 たとえば、武器輸出三原則についてだが、輸出するほどのものを持っておらず、武器は買うばかりの国であるなら、「国防」は不能である。日本においては戦闘機も護衛艦もアメリカ製である。ということは、現在、武器の大半はソフトウェアであるから、アメリカが工作しようとすればいくらでもできてしまう。作動不能にすることすら、アメリカ(武器輸出国)には可能だ。
 戦後教育の成果であろうか、日本人は何かにつけ、オープンでクリーンであることが善いことと信じてきたようだ。が、これでは、世界に対して、国は守れない。
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問題は9条だけじゃない 後藤昌弘(弁護士) 2013-06-09 | 後藤昌弘弁護士
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秘密保護法:秘密指定 19機関に権限 運用基準閣議決定
 毎日新聞 2014年10月14日 10時42分(最終更新 10月14日 12時21分)
 ◇政府内に「独立公文書管理監」新設、12月10日に施行
 政府は14日午前の閣議で、特定秘密保護法に基づく秘密の指定や解除のあり方を定めた運用基準と、法の施行日や秘密指定できる行政機関を19機関とする政令を決定した。運用基準には指定が適正に行われているかを監視するために、政府内に「独立公文書管理監」を新設することなどを盛り込んだ。ただ、行政による恣意(しい)的な運用の拡大や、監視機関の独立性が乏しい点など、法成立時から指摘されていた懸念は解消されていない。同法は12月10日に施行される。
 菅義偉官房長官は14日午前の記者会見で、恣意的な運用拡大のおそれについて「運用基準で隠蔽(いんぺい)目的の指定の禁止など適正を確保する仕組みを整備した。国民に丁寧に説明して懸念を払拭(ふっしょく)していきたい」と説明した。
 ◇秘密指定対象、55項目に細分化
 運用基準は、秘密を取り扱う担当者の「業務マニュアル」の位置付け。同法は(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)防止(4)テロ防止−−の4分野23項目を秘密指定できるとしているが、運用基準ではさらに明確化するために55項目に細分化した。
 監視機関として、内閣府に審議官級の独立公文書管理監と、そのスタッフとなる「情報保全監察室」を新設する。また、内閣官房に各府省庁の事務次官級をメンバーとする「内閣保全監視委員会」も設置する。
 意図的な情報隠しなどに関する告発の受け皿として、秘密指定の権限を持つ19機関にそれぞれ内部通報の窓口を設ける。職員らが秘密の指定や管理が適法でないと判断した場合には、窓口に通報できる。閣僚ら行政機関の長が事実と認めた場合は、秘密指定解除などの是正措置を取る。告発者に不利益が生じると予測される場合は、独立公文書管理監の窓口に直接通報することができる。
 政令では、秘密を指定できる行政機関を、全61機関のうち防衛省や外務省、警察庁など19機関に限定し、秘密指定ができる機関が際限なく拡大しないよう歯止めを掛けた。
 政府は7月、有識者による「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆)に運用基準と関連政令の素案を提示。その後、寄せられた計2万3820件のパブリックコメントを踏まえて、国民の「知る権利」の尊重を明記したほか、運用基準の「施行後5年」の見直し規定を加えるなど計27カ所を修正した。
 ただ、制度の骨格は維持されたことで、政府が恣意的な運用をし、秘密指定を拡大したり秘密文書を廃棄したりすることを防ぐ仕組みは整っていない。自民党内からも「政府が違法な秘密指定をした場合にはペナルティーが必要だ」との指摘が出ている。
 独立公文書管理監などの監視機関についても、秘密指定を担う行政と同じ政府内の組織に過ぎないため独立性は担保されておらず、チェック機能の実効性を疑問視する声は根強い。【木下訓明】
 ◎上記事の著作権は[毎日新聞]に帰属します
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