産経ニュース 2015.1.16 05:07更新
東大が軍事研究解禁 軍民両用技術研究容認 政府方針に理解
東京大学(浜田純一総長)が禁じてきた軍事研究を解禁したことが15日、分かった。東大関係者が明らかにした。安倍晋三政権が大学の軍事研究の有効活用を目指す国家安全保障戦略を閣議決定していることを踏まえ、政府から毎年800億円規模の交付金を得ている東大が方針転換した。軍事研究を禁じている他大学への運営方針にも影響を与えそうだ。
東大は昭和34年、42年の評議会で「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われるものも行わない」方針を確認し、全学部で軍事研究を禁じた。さらに東大と東大職員組合が44年、軍事研究と軍からの援助禁止で合意するなど軍事忌避の体質が続いてきた。
ところが、昨年12月に大学院の情報理工学系研究科のガイドラインを改訂し、「軍事・平和利用の両義性を深く意識し、研究を進める」と明記。軍民両用(デュアルユース)技術研究を容認した。ただ、「成果が非公開となる機密性の高い軍事研究は行わない」と歯止めもかけた。以前は「一切の例外なく、軍事研究を禁止する」としていた。
東大などによると、評議会は審議機関で、軍事研究の是非など運営方針の決定権は総長にある。総長には審議結果に従う法的な義務はない。それにもかかわらず、東大は評議会での一部の総長らの軍事忌避に関する発言をよりどころに禁止方針を継承してきた。
東大は解禁理由について「デュアルユース研究は各国の大学で行われている。研究成果の公開性を担保する国際的な動向に沿った形で、より丁寧な表現となるようガイドライン改訂を行った」と強調している。
東大の軍事研究をめぐっては、昨年4月、複数の教授らが平成17年以降、米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金を受け取っていたことが判明し、学内の独自ルールに手足を縛られてきた研究者が反旗を翻した。5月には防衛省が、不具合が起きた航空自衛隊輸送機の原因究明のため、大学院教授に調査協力を要請したが、拒否された。
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国家安全保障戦略 安倍晋三内閣が平成25年12月に閣議決定した中長期的な安全保障政策の指針。科学技術に関する動向を平素から把握する必要性を指摘し、「産学官の力を結集させて安全保障分野においても有効に活用するように努めていく」と明記。大学との協力関係構築を目指した。
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東大大学院 軍事研究一定程度可能に
NHK NEWS WEB 1月16日 11時54分
東京大学大学院の理科系の研究科が、去年12月、軍事に関わる研究を禁止するとしていたガイドラインを見直し、「軍事・平和利用の両義性を深く意識し、研究を進める」という内容に改めていたことが分かりました。
ガイドラインは研究の行き過ぎに歯止めもかけていますが、この研究科では今後、一定の程度、軍事研究を行えることになります。
東京大学は昭和34年と42年の評議会で軍事研究は一切行わないという方針を明らかにしていて、大学院の情報理工学系研究科もガイドラインで、一切の例外なく軍事研究を禁止するとしていました。
ところが去年12月、情報理工学系研究科はこのガイドラインを改め、「軍事・平和利用の両義性を深く意識し、研究を進める」という内容に変更していたことが分かりました。
ガイドラインの中では、「成果が非公開となる機密性の高い軍事研究は行わない」と、研究の行き過ぎに歯止めをかけていますが、この研究科では今後、一定の程度、軍事研究を行えるようになります。
これについて東京大学は、「大学院の研究科がガイドラインを変更したのは事実だが、大学全体として軍事研究を解禁したわけではなく、かつての評議会の考え方を踏襲する方針に変更はない」と話しています。
これについて下村文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、「東京大学が立場をより明確にするとの観点から、情報理工学系研究科のガイドラインを去年12月に改定したことは承知している。東京大学が自主的に判断されたことであり、文部科学省として尊重したい」と話しました。
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東大「軍事研究認めない」 「解禁」の一部報道を否定
朝日新聞デジタル 1月16日(金)21時29分配信
軍事に関わる研究を禁止している東京大学で、大学院の情報理工学系研究科が昨年12月、「科学研究ガイドライン」を改訂したことが分かった。「一切の例外なく軍事研究を禁止する」という文言を削除し、「成果が非公開となる機密性の高い軍事を目的とする研究は行わない」と追加した。これについて一部の報道機関が16日に「軍事研究を解禁」などと報道。東大は同日、「報道内容が間違っている」と否定した。
東大によると、このガイドラインは同研究科の学生向けに2011年に作られた。改訂について、広報課は「誤解を招いたようだが、軍事研究禁止の方針はこれまでと変わらず、一部でも認めない」と説明した。「今後は個別の研究を確認し、軍事目的の研究と判断すれば研究を認めない」としている。
改訂を受けて、複数の報道機関が「東大が方針転換した」「一定程度、軍事研究を行えることになる」などと報じた。東大は、研究科に対し、「誤解のない表現を工夫するよう伝える」という。
最終更新:1月16日(金)23時18分
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産経ニュース 2014.8.24 11:38更新
軍事技術開発で大学向け基金 防衛省、27年度予算概算要求へ
防衛省が、大学や民間研究機関などと連携して最新の軍事技術開発を行うための基金制度を創設する方向で調整していることが23日、分かった。平成27年度予算概算要求で約20億円を計上し、規模をさらに拡大する方針だ。同省は国際間の競争が高まる最新の軍事技術開発には、大学の研究能力を活用することが必要と判断している。
防衛省は、航空機の機体に使う新素材やレーダー技術などの研究テーマを公表し、基金から研究開発費を受けたい大学などを募集。研究成果は防衛省の装備品開発に活用される。
日本の軍事技術開発は現在、防衛省主導で進められているが、研究開発費は低減状況にある。このため、民間企業の防衛事業部門が研究開発を進め、同省側に開発成果を提案することが多い。企業側は開発費負担が増す一方、随意契約ではないため、開発しても受注が確実に見込まれず、積極的な開発が進まないという問題があった。
これに対し大学側は、東大が昭和34年、42年の評議会で「軍事研究は行わない」方針を確認したように、戦後の「軍事忌避」の観点から軍事技術開発に直接的に関与しない流れが一般的だった。
防衛省が今年5月、強度試験中に不具合が起きた航空自衛隊次期輸送機の原因究明のため東大大学院教授に協力要請したところ、大学側が東大の方針に反すると判断し、拒否したことが明らかになっている。
しかし、大学側や研究者らも研究費捻出に迫られているのが実情。研究者個人として軍事関係で研究費を供与されているケースもあり、今回の基金にも応募が相次ぐと予想されている。
防衛省が今年6月に発表した「防衛生産・技術基盤戦略」でも、産官学による技術開発研究の必要性が打ち出されていた。(近藤豊和)
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