「アレフ」など教団の観察処分3年更新
NHK NEWS WEB 1月23日 18時14分
オウム真理教から名前を変えた「アレフ」など2つの教団に対し、公安審査委員会は23日、「現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性がある」として、今月末で切れる観察処分の期間を3年間更新することを決め、教団側と公安調査庁に通知しました。
「オウム真理教」から名前を変えた教団「アレフ」と、教団から分裂した「ひかりの輪」には、過去に無差別の大量殺人を起こした団体を対象とする「団体規制法」に基づいて、定期的な活動実態の報告などを義務づける観察処分が適用されていますが、今月末で適用の期限が切れます。
このため、公安調査庁は先月、公安審査委員会に対し、2つの教団に対する観察処分の期間を3年間、更新するよう請求していました。そして、公安審査委員会は23日、「2つの教団は依然として、麻原彰晃、本名・松本智津夫死刑囚の存在と、その教えが運営の基盤をなしており、活動に絶対的な影響力を有していて、現在も無差別大量殺人行為に及ぶ危険性がある」として、観察処分の期間を3年間更新することを決め、教団側と公安調査庁に通知しました。
教団に対する観察処分の期間の更新は、今回で5回目になります。公安審査委員会の房村精一委員長は記者会見で、「教団は積極的に実態を明らかにするよう真剣に努力すべきであり、悲惨な被害を受けた方々への補償などについても誠実な対応がなされることを望む」と述べました。
■2つの教団 今も全国に拠点
2つの教団は、現在も全国に拠点を持ち、信者の数は合わせておよそ1650人と増える傾向にあるほか、「アレフ」は定期的に信者を集めて活発な活動を続けています。
公安調査庁によりますと、「アレフ」は麻原彰晃、本名・松本智津夫死刑囚(59)の写真を施設内に掲げるなど、現在も松本死刑囚の強い影響があるとしています。さらに、信者が定期的に集まって集中的に修行を行う「セミナー」を開くなど活発な活動を続けていて、こうした参加費などが教団の資金源となっています。
また、オウム真理教の元幹部の上祐史浩代表が作った「ひかりの輪」は松本死刑囚と距離を置く姿勢を打ち出していますが、公安調査庁は、強い影響を受けている点は変わらないとしています。
教団の現金・預貯金などの合計は、2つの団体を合わせて去年10月末時点でおよそ6億9000万円に上るほか、15の都道府県に合わせて32の施設があり、信者の数もおよそ1650人とここ数年増える傾向にあります。
特に「アレフ」は団体名などを隠して「ヨガ教室」などを開き、教団の一連の事件を詳しく知らない若者などを対象に積極的な勧誘を行って、新たな信者を獲得しているということで、公安調査庁では立ち入り検査などを通じて監視を強めることにしています。
■住民「ほっとするも不安変わらず」
観察処分の更新が決定したことについて、「アレフ」の拠点施設がある東京・足立区で反対運動を行っている住民グループ会長の齋藤洋一さんは、「31万人分の署名を集めるなど活動を続けてきたことが実を結び、ほっとしています。ただし住民にとっては教団の実態が見えないため、不安と恐怖は変わりません。発生から20年となる地下鉄サリン事件を忘れてはいけないという思いがわれわれの活動の原点で、引き続き、団体の解散を求めていきたい」と話しました。
また「ひかりの輪」の拠点がある東京・世田谷区南烏山で、解散を求める活動を続けている住民グループの古馬一行事務局長は「観察処分が更新されてほっとしました。しかし、こうした日々がいつまで続くのかと思うと不安になります。今の教団はオウム真理教の看板を掛け替えているに過ぎず、国にはより主体的かつ長期的に対策を行ってほしい」と話しています。
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