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「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」「そりゃ、天皇制をいじることだ」

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『悪党 小沢一郎に仕えて』
p189〜
 この章は他と比べて少し難しいところもあると思うが、マックス・ウェーバーの言葉をゆっくり味わいながら小沢一郎を思い浮かべてもらいたい。
「官吏にとっては、自分の上級官庁が…自分には間違っていると思われる命令に固執する場合、それを、命令者の責任において誠実かつ正確に…執行できることが名誉である。(中略)官吏として倫理的にきわめて優れた人間は、政治家に向かない人間、とくに政治的な意味で無責任な人間であり、(中略)こうした人間が・・・指導的な地位にいていつまでも跡を絶たないという状態、これが『官僚政治』と呼ばれているものである」
 普天間に当てはめると、政治的指導者が責任を持って「移設」と言えば、官僚は自己否定してまでもそれに従わないといけない。つまり、官僚は政治をするべきではないし、巻き込まれてはならない。これをウェーバーは明記しているが、小沢一郎も同じ考え方を持っている。
 1969年、27歳の小沢一郎は初陣の選挙公報にこう書いた。
「このままでは日本の行く末は暗澹たるものになる。こうした弊害をなくすため、まず官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻さなければならない」
 2009年12月、中国の習近平・国家副主席が来日した際、天皇陛下との会見が実現した。だが、外国要人との会見は「1か月前までに申し入れる」とする慣例に反していた。宮内庁の羽毛田信吾長官はそれに「天皇の政治利用にあたる」と物言いをつけた。
 小沢一郎は記者会見でこう反論した。
「内閣の1部局の1役人が、内閣の方針にどうだこうだ言うなら、辞表を提出した後に言うべきだ」
 ニュースでは「天皇の政治利用」が論点となったが、小沢の意図は少し違った。
 羽毛田氏は厚生労働省から「派遣」された官僚である。官僚は政治家の決定に従わなければならない。それは解釈によって、あるいは政策によって変わらない。政治家の本領(エレメント)である。羽毛田発言に対して小沢がこだわった点は、そこだった。
 この問題で、右翼や右翼寄りの評論家たちから「小沢は天皇制を軽んじている」とバッシングが始まったわけだが、私はこんなエピソードを覚えている。
 新進党時代のる夜、小沢は東祥三さんと六本木に向かっていた。六本木は小沢があまり立ち寄らないエリアだが、東さんと飲む時はそこが多かった。東さんは公明党から新進党に合流し、離党後も自由党に入って小沢と行動を共にしてきた人物だ。
 私が運転するセルシオが六本木1丁目の坂に差し掛かると、東さんは言った。
「小沢先生」
「なんだ」
「日本の政治家として一番やってはいけないことはなんだと思いますか」
「そりゃ、天皇制をいじることだ」
 天皇は国家の権威を持っている。日本では権力は政治的指導者にある。アメリカでは大統領が権威と権力を兼ねる。たとえば政治指導者がスキャンダルをおこしたとしよう。アメリカは権威も権力も傷がつくだろう。しかし、日本の場合は権威には及ばない。それが日本国を維持させている政体である。であるからには、天皇制にまつわる問題はなにがなんでも原理原則を崩してはならない。だから、小沢一郎は羽毛田氏の「異例発言」を許さない、というわけだ。
「天皇制をいじろうとする人間は日本の政治をおかしくする」
「はい」
「弓削道鏡だ。知ってるか?」
 私も小沢からこう聞かされたことがある。道鏡は日本版「ラスプーチン」だ。太政大臣と法王を兼務するまでにのし上がった僧侶が女帝をそそのかして自らが天皇になろうとした。「道鏡に皇位継承すべし」とするご神託のウラを取るために皇室から派遣された和気清麻呂は正反対の内容のご神託を取り付ける。歴史の授業で道鏡や和気清麻呂の名前は暗記したはずだが、小沢の話を聞いて初めて現代政治に落とし込んで理解できた。羽毛田発言が浮上した時、私は道鏡を思い出した。
 そもそも小沢一郎であれ、官僚であれ、天皇の行動に触れたとたんに政治性は帯びる。「中立性・公平性」を誰が決めるかが問題になる。羽毛田発言には「中立性・公平性を政治家に判断されては困る」という官僚の集合的無意識がにじみ出ていた。
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『小沢革命政権で日本を救え』 対談:副島隆彦×佐藤優』日本文芸社刊
今の宮内庁の官僚は「天皇機関説」論者に匹敵する

佐藤 だから2009年12月の羽毛田長官の不当な会見に対しても、どこに自分の視座を置くかによって、全然異なる事件に見えるはずです。天皇を政治利用しているのは小沢幹事長か、羽毛田長官のどちらかといえば、これは明らかに羽毛田宮内庁長官の側だったのです。ところがそのように見えない人たちが少なからずいる。
副島 そうですね。あの習近平国家副主席を天皇と会見させよと要請したのは誰だったのか。このことをはっきりさせなければならない。中国人を無理やり天皇に会見させたとして、右翼たちが騒ぎました。小沢一郎の世田谷の家の周辺に押しかけ、警備の機動隊と騒乱を起こしました。それほどまでに中国寄りの小沢に対する蔑視が激しかった。事実、小沢一郎は140人の民主党新人議員たちを引き連れて中国を訪問して帰ってきたばかりでした。
 小沢一郎幹事長は記者会見で、「そんな(1ヵ月)ルールなんて官僚が勝手につくったルールである」とはっきり言っていました。
 つまりこの「天皇に会いたければ1ヵ月前までに宮内庁に申請を出せ」というのは法律ではないということです。(国民の)代表である国会で決議された法律ではない。官僚が勝手につくったルールである。そんなルールに内閣官房長官までが従わなければならないと、羽毛田は当然のこととして言い放ったのです。
 事実はどうやら、まず、羽毛田長官のほうが平野博文官房長官に対して、天皇会見の要請を拒絶した。そのあと、再び、今度はアメリカ国務省が日本外務省に「習近平を天皇に会わせろ」と要求してきた。それを外務省は鳩山首相に直接連絡したところ、平野官房長官が再度羽毛田に「なんとかならないか」とお願いした。それでも羽毛田が首を縦に振らなかった。
 そうしたら、なんと今度はヘンリー・キッシンジャー(ニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官)を通して、子分の中曾根康弘・元首相に直接電話が行き、「習近平を天皇に会わせろ」となった。
 そこで中曾根は平野官房長官に電話して「習近平を天皇に会わせろ」と圧力をかけた。困った平野官房長官が再再度、羽毛田に会見を要請したら羽毛田が怒りだして、それで12日の宮内庁長官としての暴走会見をしました。
 そうしたら小沢一郎が怒りだして、「内閣の1部局にすぎない宮内庁が内閣の指図にあれこれ反対するのは、許されないことだ。もう一度反対するのなら辞表を持ってすべきだ」という趣旨のことを言ったのです。佐藤さんの言う「羽毛田長官に、天皇をお守りする尊皇のまことの心はありや」と同じ態度です。
 さらに皆が驚いたのは、小沢一郎が「私が中国要人を天皇に会見させよと言ったことはない。自分はこの件に関係していない」と発言したことです。だから、本当は、圧力をかけたのは中曾根元首相だったのです。
 それなのに、右翼やマスゴミや親米保守言論人(代表、中西輝政(なかにし てるまさ)京都大学教授)たちは、事実関係も調べずに、猪突猛進で、「小沢憎し」の一念で大騒ぎをしました。
 小沢一郎が、天皇の生活日程に何か干渉したり、失礼なことをしたことは一切ない。ただ「天皇は喜んでお会いになるでしょう」と言っただけです。
 キッシンジャーこそは、世界基準では中国寄りの政治家であり、日本のことなど本当はちっとも大事にしていない人です。
 中曾根が圧力をかけた張本人だったのです。この情報はワシントンからの報道ですぐに露見しました。記者たちが、この件を中曾根に問い詰めたら、「ノーコメント」と答えた記事が証拠として残っています。
■特例会見は「ルールの枠内」中曾根元首相
 中曾根康弘元首相は(12月)24日、都内の事務所で記者団と懇談し、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を実現させた政府の対応について「慎重に処理してきたと思う。あの程度の時間的ズレは(30日ルールの)原則の枠内のことなので、認めていい」と述べた。
 自らが首相官邸サイドに会見の実現を要請した点については「ノーコメント」とした。 (産経新聞 2009年12月25日付)
副島 日本の旧来保守の人たちの「中国嫌い、小沢嫌い」は病膏肓に達していますから手に負えません。今でも居直って、私のこの事実解明を無視するでしょう。 
 民主党の幹部である山岡賢次・国会対策委員長が「官房長官と宮内庁長官が内的に話したことを勝手に公表するということは異例なことである」と、クギを刺しました。
 羽毛田長官は、自分が大きな世界政治の中に投げ込まれていることも自覚せずに、「玉体(天皇の体)を取っている自分が偉い」ととんでもない思い違いをしている男です。この男はなんと小泉純一郎・元首相が取り立てた男で、元は厚生労働省の事務次官だったそうです。
佐藤 (部分略)この羽毛田信吾という官僚は、自分が言っていることが極めて政治的な発言であるということを理解していなかった。日本と中国との関係においても、政治的であるばかりか、「大きな国も小さな国も、全部フラットに扱う」と言った。それはアメリカとサダム・フセインのイラクを一緒に扱うということになるわけです。それは、逆に極めて政治的な立場です。
 現実の政治というのは、力で働いています。それにもかかわらず、全部を平等に扱うのが原則だと言ったのです。それでは、小さなところに特に梃入れするという立場になってしまいます。また天皇の健康状態について、平場で云々することは、尊皇の情のかけらもない証拠です。だから、彼らは「天皇機関説」論者なのです。
 そのことの是非は別において、「なんでも自分たちで構築して、使っていくことができる」、それによって官僚統制を広げていこうという、これは官僚という階級の、あるいは官僚という人種の無自覚な欲望です。
副島 (略)
*今、正しい人間と間違っている人間の逆転現象が起こっている
佐藤 このことを裏返して見ると、副島さんが日頃追及していることとつながっていくと思います。官僚階級の側がけっこう追いつめられてきているのではないでしょうか。
副島 そうです。自分たちが勝つと思って、よかれと思って、やったのです。
佐藤 政治資金問題では検察側が勝つと思ってやってきた。この「1ヵ月ルール」の問題で、羽毛田長官も勝ったと思ってやったわけです。ところが彼らはこれで、小沢一郎は自分たちに逆襲できず、青菜に塩みたいな感じで、しゅーんとしてしまうと思ったと思います。ところが小沢さんはデモクラシーの根本のところがよくわかっていますから、これを国家体制の根本に関することだということで、牙を剥いて反撃しました。それで検察も今度は震えているわけです。だらしがないと思います。
副島 そのとおり。日本国内ではメディア(マスゴミ)の力で小沢一郎がすっかり悪者になっています。平清盛や足利尊氏が天皇家、朝廷に対して横暴を働いたみたいな枠組みになっています。それをこれからひっくり返していかなければいけないと思います。
佐藤 これはマスメディアの劣化です。今、本当に正しい人間と間違っている人間が逆になるという、むちゃくちゃな話が横行しています。
副島 今の憲法体制上、天皇は「内閣の助言と承認に基づいて、国事行為を行う」(日本国憲法第三条)わけです。それに対して、宮内庁長官が自分が玉体を取っているという発想自体が、違法であり、憲法違反です。自分たちが実質的には天皇の代理権や、国家の代理意思を持っていると思い込むことです。「天皇の代わりに自分たちが判断する、天皇には判断させない」---きっとそこまで考えているのでしょうね。
佐藤 だからこれは、太平洋戦争中の陸軍の「統帥権の独立」みたいな話です。
副島 天皇の統帥権への政府からの干渉を指して、「統帥権の干犯」と彼ら軍事官僚たちが言ったわけです。官僚は「理論の筋道」を捻じ曲げるのが得意です。天皇本人のご意思はどうなるのかというと、そこはもう語らないことにするわけです。それで国家が暴走して中国侵略を行い、世界を敵に回して無謀な戦いを行い、みじめな敗戦をしました。
佐藤 天皇陛下ご自身が本心を語れないことを理由にして、しかも天皇陛下の健康問題まで出したわけです。しかもこの羽毛田長官という人は、2001年3月に起った「松尾克俊・外務省要人外国訪問支援室長の機密費流用事件」で、警察から参考人として事情聴取を受けている人物です。この事件は、機密費を扱っていた外務官僚の松尾氏が、競走馬やマンション購入など、「機密費」の横領容疑を起こし、逮捕された疑獄事件です。
 いずれにせよ、官僚が意図的もしくは無意識のうちに「天皇を管理下に置く」という発想をしている問題を徹底的に追及しなければいけません。「官僚とは何か」、「国家は誰のものか?」ということを追及しなければいけません。
 「国家は最終的に国民のもの」だと、みんな言います。が、どういうプロセスで国民の意思が国家に体現されるのかについてきちんと考えなくてはならない。
 「官僚になるための国家試験は日本国民なら誰だって受けることができる。だから国民のものである。そうすると国民意思の代表は官僚である」、このようなインチキ議論にごまかされてはいけないということです。官僚は国家支配の道具であって国民の意思に制約されずに動く本性があります。これをどうやって押さえるかが政治家の仕事です。
*官僚が暴走して実質的に権力を握ることが、官僚制の最大の弊害
副島 これは「本人・エージェント理論ですね。エージェントとは、普通は悪い意味でスパイのような意味も含みます。
 よい言葉で訳せば「代理人」です。誰が誰のエージェントであるか、代理人は本人の意思に背いた行動をとってはいけないのです。
 国民の代理人(代表ともいう)は、政治家がつくる政権(政党)です。大臣たちの使用人が官僚(高級公務員)です。
 ところが官僚は、「自分たちが国家の代理人」だと思い込んで勝手な動きをする。この代理人が暴走して実質的に権力を握るというのが、官僚制の一番悪い面ですね。
佐藤 そのとおりです。依頼人から通知書を受け取った弁護士が暴走して、依頼人(通知人)の意思と違うことを行っているということと、まったく一緒です。
 こういう難しい場面での、「知の力」というか、教養の力、学問の力が必要になってきます。学問の力がないと、昨年末の「羽毛田発言問題」では、小沢一郎のほうがおかしくみえるのです。
 学問の力があると、習近平国家副主席に対し、日本側がどのような対処をすべきかの問題だったということがわかります。国家副主席をそこまで厚遇する必要があるのかどうか、確かに一つ議論としては残ります。
 結論から言えば、今の日中の力関係を見たら、私は習近平という人物は重要だと思います。だから、内閣のあの判断は間違っていなかったと思います。
 そこをブラックボックスに入れるとしても、この羽毛田長官の言動は、次元が食い違うところでのおかしな行動でした。
副島 習近平国家副主席は、2年後には国家主席、および共産党総書記になるのですから、お披露目でした。国際社会におけるお披露目だったのです。
 日本はドイツに次いで重要な国だと中国は考えたのです。それ故、国家元首が会わなければならなかった。
 中国の次の国家元首になる人物のお披露目だったと考えるべきです。中国側はそれを暗に仄めかせていたのです。まず習近平国家副主席はヨーロッパに行き、メルケル独首相に会いました。
佐藤 確かにそういう挨拶のために日本に来たわけです。挨拶に来る人間が、「挨拶したい」と言うのですから、挨拶を受けるのは当たり前ではないでしょうか。
 これが宮中晩餐会を開けと要求したのでしたら話が違います。晩餐会を開くには、準備や通知など、何ヵ月も時間が必要です。
 だからあのとき、中国側が要請したことはそれほど乱暴な話ではなかったのです。
 つまり手続きを踏んでいないのは、どちらか。また、言ってよいことと悪いことの線を破ったのはどちらかということです。
 考えようによっては、あのとき2・26事件のような事態が、血が流れない形で本当に起きたのかもしれません。つまり、羽毛田長官は、高齢ではあっても、発想は青年将校的なのです。
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陸山会事件:午後判決/勝栄二郎 法務官僚と裁判官を使って小沢一郎を抑えつけ、財務省は好き放題やった2011-09-26 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 陸山会事件:小沢氏元秘書3人、午後に判決 東京地裁
 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の判決が26日午後、東京地裁(登石郁朗裁判長)で言い渡される。無罪を主張する被告と検察が全面対決する構図の中、地裁は論告求刑の直前に、取り調べに問題があったとして捜査段階の供述調書を却下。検察側に厳しい判決が出ることも予想され、10月6日に始まる小沢元代表の公判にも大きな影響を与える可能性がある。(後段略)
毎日新聞 2011年9月26日 10時28分(最終更新 9月26日 10時29分)

「チャーチル/復権・・・」裁判闘争を終えた時、小沢一郎はどんな言葉を国民に語りかけるか。2011-09-24 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 
  『悪党 小沢一郎に仕えて』? . . . 本文を読む
小沢一郎が語った「原発/国家のリーダー(衆愚の中からは衆愚しか)/マスコミは日本人の悪いところの典型」2011-09-19  
 『悪党 小沢一郎に仕えて』 ? . . . 本文を読む
石川知裕議員ら、小沢一郎氏元秘書の「陸山会事件」26日判決?/全員無罪なら小沢氏は即座に復権だが2011-09-22
石川知裕議員ら、小沢一郎氏元秘書の「陸山会事件」26日判決 ?/ 関わった検事はみんな消えてしまった2011-09-21
 敗色濃厚の検察 . . . 本文を読む 
陸山会事件判決を前に/微罪(期ズレ)認定や執行猶予付では、メディアが「小沢一郎有罪」と騒ぐだけだ2011-09-22 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
 ここにおいて、小沢一郎氏の政治生命は断たれる。これこそが、検察の描いたストーリー。検察の狙った果実だ。 . . . 本文を読む
小沢一郎氏裁判 初公判10.6.被告人質問2012.1.10〜11.判決2012.04中旬/残ったのは石川議員の記載ミスだけ2011-09-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎 

副島隆彦の学問道場  
 野田佳彦が首相に決まったが、これは勝栄二郎の財務省が操(あやつ)る傀儡(かいらい)政権である。 副島隆彦 2011.8.30
 副島隆彦です。 今日は 2011年8月30日 午前4時です。
 昨日、野田佳彦(のだよしひこ)が、昨日29日に民主党の代表選挙に勝ち、今日30日、衆議院での首班指名の投票で新首相に就任する。
 昨日の 代表選の 結果を見ていて、私が考えたことは、勝栄二郎(かつえいじろう)財務次官(官僚のトップ)と、岡田克也幹事長がふたりで深く仕組んだな、ということだった。
 日本財務省は増税路線である。復興途中にある日本国の厳しい現状を知りながら、それでもなおアメリカ様に貢ぐ資金を作り出すために、日本国民に 復興税やら消費税の値上げやらの 増税を強制しようとする。 苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)そのものだ。
苛政(かせい、重税のこと)は虎よりも猛(たけ)し、のとおりだ。
 財務省が深く仕組んだな。今回の、たった一週間の日程で慌ただしく決めて実行した民主党代表選による首相の首の挿(す)げ替え劇だった。誰もこのシナリオの裏の仕掛けを語ろうとしない。 岡田幹事長が日程の決定には権限を持っている。野田佳彦は、この勝栄二郎・事務次官のことを「勝さん、勝さん」と呼び、自分の上司であるかのように仕え、そして育てられてきた。私は、この事実を10年前( 加藤紘一が失脚した「加藤の乱」の時)からずっと知っていた。
 日本の財務省のドンは15年前からずっと、武藤敏郎(むとうとしろう)と坂篤郎(さかあつお)の3人である。この3人が、アメリカの威光と意向を受けながら、ずっと日本管理の最高権力を握り、今に至る。 この大きな一点の事実を軽視して、ここを日本政治の中心と見ないで、他のことにすり替えたら、すべては嘘の話になる。
 国家のお金の全体の 動かし方のすべてを実質で握る者(たち)が、そのまま国家の最高権力者である。だから、今の日本の最高権力者はこの勝栄二郎(かつえいじろう)である。早ばやと3年目の事務次官居座りを自分で決めた。
 小沢一郎の勢力が鳩山由紀夫の派閥を足して(これが半分に割れているようだ)、ようやく177人の民主党国会議員であった。本当は、これ以外に、今年初めに菅直人への反抗を示して除名された16人の比例区選出議員たちと、6月2日の菅直人への内閣不信任案(自民党が提出した)に同調の雰囲気で投票欠席をした、小沢一郎ら9人が、党員資格停止で、代表選での投票を阻止されているので、この25票を合わせると、202票である。
 これに対して野田佳彦は215票を取った。前回の昨年9月の代表選挙では、菅直人が206票で、小沢一郎が200票だった。 この伯仲は、よく吟味され、計算されていた。 鹿野道彦(かのみちひこ)と 馬渕澄夫(まぶちすみお)の 計70票が決戦投票で野田に回るように綿密に周到に計算されていたことが分かる。
 馬渕の海江田への投票をNHKが直前で撹乱した。NHKはここまで謀略集団にまで転落している。私たちが強く支持する 小沢一郎の考えの中心は、官僚・メディア・財界の、アメリカの手先3者連合に対して、何があっても今の民主党体制を守って、自分が育てて当選させた306人のうちの若い衆議院議員たちに、一日でも多く政治家経験を積ませて、年収3千万円弱の歳費を貰(もら)わせ続けることだ。だからあと2年間はこのまま民主党政権を続けさせて、解散・総選挙をさせないことだ。若い政治家たちにどうせ穢い現実政治のあれこれの処理の仕方を身につけさせることが大事である。 
 不断の不屈の小沢革命の実行で、最後に残されている果実(フルーツ)は、この多くの未だ未熟の、経験の少ない若い政治家たちに厳しい実地での経験を積ませることだ。だから、自分が政治家(国会議員)として生き残るために小沢一郎から離れて、態度を翻して、きたない政治資金を裏からもらうことまでしても、それも実際に一人の政治家が育ってゆくうえでの 不可避の過程だ、と考えなければ済まない。
 一体、日本の歴代政治家で、200人もの若い政治家を、弟子として育て、そして実際に国会に議員として送った者がいるか。他の大物政治家たちは、自分のことだけで精一杯だ。たったのひとりの子分も、弟子も育てられないで、自分の保身だけに窮窮してそして引退していったではないか。
 人をたくさん育てたことが(たとえ粗製濫造であろうとも) 小沢一郎の最大の功績であり、小沢一郎の偉さだ。このことを指摘する者が今もほとんどいない。小沢国民革命は、人材の育成の点に本当の眼目がある。だからたとえ一回、一回の闘いで敗れても、民族独立への堅い志(こころざし)を同じくする人間たちが勢力として残る限り、不屈に日本国民の闘いはこれからもずっと続くのである。
 自民党政権時代は、新首相になる者からの ご祝儀は、賛成議員にひとり一億円と決まっていた。それは外国経由で派閥ごとに配られて、これには警察も裁判所も手を出さないことに不文律として決まっていた。 小沢一郎はこの日本国の悪習、悪弊を破壊した。今も根絶しようとしている。だから小沢は嫌われる。
 今の小沢派の政治家たちは、だから汚れていない。貧乏に耐えながら生きている。おそらく財務官僚の側に寝返った者たちは、今回、ひとり5千万円ずつを貰(もら)ったはずである。 金(かね)で票は買えるのだ。人間は本当に金(かね)で動く。そのことを勝栄二郎たち財務官僚はよくよく知っている。
 アメリカの次の大統領は、ジョゼフ・バイデンで決まりだ。現在の副大統領のバイデンが、この8月19日に、中国の次の国家主席(大統領のこと)となる習近平(しゅうきんぺい、シーチンピン)と二人で親密に、 G2(ジー・ツー。Group2  アメリカと中国の二大国)で「私たち二人で、これからの世界を動かして行こうぜ」と 言った。
 このときに、バイデンが次の米大統領だというお披露目(ひろめ)が世界に向かってなされたのである。 
 おそらく来年の3月には、バラク・オバマは、“オバマ・ショック”と後世、呼ばれるであろう、ニクソン・ショック(ドル・ショック。1971年8月15日)の41年目の再来である、「米ドルは、もう金(きん)との兌換(だかん)は出来ません。しません」の 宣言をして、体調不良か何かを理由に辞任してゆくだろう。
 そして次の大統領選挙は、11月の本選挙に向けて、バイデンが、おそらくヒラリーをランニング・メイトの副大統領候補にして当選し、そしてその次に・・・・となるだろう。
 バイデンという肝の座った、何ものにも動じない、どんな借金地獄のアメリカ経済・財政のボロボロの現状にもめげないで対処しようとする人間が、一切の綺麗事(きれいごと)を言わず、「オレがやる」と言って、外交だけでなく(長年、米上院の外交委員長をやった。通勤電車で出身のデラウエア州から通った)労働組合の幹部上がりの泥くさい政治家だ。
外交だけでなく金融・財政の危機への対処も自分がやる、と言っている。
 バイデンは、 CFR(シー・エフ・アール、米外交問題評議会)派である。だから、ネオコン派と近い、手荒な、属国群への謀略政治も辞さない、リチャード・アーミテージやマイケル・グリーンに「犯罪者的な外交手法は、やめよ」と言っている。だから、アーミテージとグリーンが育てた愚か者の前原誠司では、アメリカとしても承認することはないのだ。
 前原は、昨年2010年9月7日の、尖閣諸島沖での、日本の海上保安庁の船4隻で、中国漁船の1隻を挟み撃ちにして拿捕(だほ)した事件を、外相として行って、それで今も前原には中国が激怒している。日中の外交協定(秘密条約)で、「境界不確定海域では、それぞれの国の漁船はそれぞれの海上警察が取り締まる」としてあったのを、アーミテージらの指令で、日中を険悪にするために、前原の権限でやらせた。
 だから中国は前原の首相成りは絶対に呑まないし、許さない。このことでアメリカに激しく抗議する。 日本の首相を誰にするかの実質的な決定権は、今もアメリカ帝国にある。だから、中国の顔を窺わないでは、アメリカは世界管理、世界運営は出来なくなっているので、アメリカは中国の言い分を聞かざるをえない。だから前原の線ははじめから無かったのだ。
 習近平も 温家宝もバイデンに、激しく「アメリカの財政と金融をきちんとしろ」と迫ったようだ。バイデンは、" Chinese are aggressive . " 「中国人はキツイことを言う」と辟易(へきえき)したようだ。
 バイデンにしてみれば、日本の財務省が、バカの野田を操って、これからも「円高阻止の介入」をやらせて、何度でも、これからも一回当たり3兆円(200億ドル)分ぐらいずつ、ボロボロの米国債を買い続けてくれるなら、こんなに嬉しいことはない。 
 習近平の属する上海閥(幇、パン)=太子党(タイヅータン)=石油党の勢力も米国債をまだ買い続けることで、アメリカを支えると約束してくれた。このことがバイデンの最大の外交業績だ。 そのために中国に行ったのだ。バイデンは、泥くさい現実政治家だから、「お金のことがなによりも大事。累積した(50兆ドルぐらいある。4千兆円)アメリカの国家の借金の問題こそは一番大事」と分かっている。
 日本は、こうやって今年も来年も、大きく崩れ始めたアメリカ帝国の「地獄への道連れ経済」を強いられる。それでも、私たち不屈に抵抗し民族の自立を目指し、愛国のこころざしを変えない日本国民が、頑強に小沢一郎が率いる政治勢力(政治家200人)を支持して、闘い続ける限り、日本の未来は明るい。
 日本の政治を無権限なのに壟断(ろうだん)する、勝栄二郎らの愚劣なる日本官僚たちは、やがてやって来る2013年7月の参議院選挙で、私たちが勝って、本当に、たくさんの法律をどんどん変えて、長く続いた律令体制からの官僚支配政治を廃止して、官僚たちを、本当に、ただの事務公務員にたたき落とす。各省の 事務次官や局長級 を廃止して 若い30台の政治経験の少ない政治家たちに、それらの仕事をさせる。それが国民の代表たちによる正しい政治だ。小沢一郎が言う「官僚主導から政治主導へ」だ。ついでに「国の大掃除をする。きたないものすべて掃除するのだ」の大方針に私たち国民が忠実に従うべきときである。 
 この 日本国家の一番大事な国家体制の改革の大事業を、私たちはたったひとつの 「公務員制度改革」の名の法律群の改正だけで、実行できるのである。これにはアメリカの口を挟(はさ)ませることもなく、私たち日本国民の堅い意思と決断だけで出来る。だから各省の官僚どもが束になって、必死になってこの動きに抵抗しているのである。
 だが、このことはすでに日程に登っていて、2009年8月30日の選挙で勝った時の、あのマニフェスト(国民との約束)に明言してあるのだから、かならず実現できる。公務員制度改革(官僚制度の解体)以外の 他の福祉のことや、税金のこと、復興のこと、外交・軍事(安全保障ともいいう)などのことは、外国との交渉であり、たくさんのお金がかかることだから、やがて出来る小沢革命政権をもってしてもなかなか大変であり、簡単には実現できることではない。だが官僚制度の解体・消滅だけは、本当にできる。お金はかからないどころか、多額の国家資金がこれで救い出される。
 官僚たちを「おそろしい大蛇からただのヘビ」に変えて、正体を暴いて、脱魔術化(だつまじゅつか。disenchantment ディスエンチャントメント。私たちが罹っている魔法、呪縛から解放されること)して、彼らを卑小にしてしまうことは、必ず出来る。
 これから一年間、もともと能力のない野田佳彦首相 を頓珍漢(とんちんかん)風に操って、その様子が丸見えになって失笑を買い、私たちから嘲笑、冷笑 されるであろう勝栄二郎よ、まあ、頑張りたまえ。私たちは、こうやって国民政治の実質を簒奪する黒子である お前たち官僚の姿を徹底的に炙り出し、冷酷に冷ややかに見つめる、ということをする。 小沢一郎を執拗に違法に攻撃している法務省官僚と裁判官たちを含めた司法官僚たちの悪あがきも度を越している。司法・法務官僚たちを使って、小沢一郎を抑えつけることをやったので、それで財務官僚たちの方が好き放題にやれたということである。  副島隆彦拝
*勝栄二郎
 1975年に大蔵省(現財務省)に入り、予算編成を担当する主計畑を主に歩んだ。93年に発足した細川政権では官房長官秘書官を務めた。東大卒。75年大蔵省。官房長を経て09年7月から主計局長。10年7月から財務省事務次官。61歳。埼玉県出身。  *強調(太字・着色)は来栖


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