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小沢一郎氏会見での「諍い」に関する読売新聞の記事に反論する『週刊・上杉隆』

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小沢一郎氏会見での「諍い」に関する読売新聞の記事に反論する
週刊・上杉隆
【第198回】2011年10月27日 上杉 隆 [ジャーナリスト]
■先週の小沢一郎氏会見に対して 読売新聞が“検証”と称する記事を掲載
 目が覚めた。ベッドの中で習慣になっているツイッターでのニュース情報収集を行なっていると、タイムライン上にきょう(10月27日)の読売新聞朝刊の記事を貼り付けたツイートがたくさんあった。
 内容は10月20日の自由報道協会主催の小沢一郎会見についてである。その日、公判後初の小沢会見ということもあって、多くの記者が麹町の自由報道協会会見場に訪れた。
 自由報道協会は不健全な記者クラブと違って、あらゆる記者の会見参加を認めている。だからこそ、自らは何十年間もフリージャーナリストらを排除してきた記者クラブの記者、たとえばその筆頭である読売新聞の記者でも参加が可能で、しかも、自由に質問ができるのである。
 記事は、当日の会見で最初に質問した読売新聞記者と、自由報道協会暫定代表としての筆者との間に起きた「諍い」について記されたものである。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00036.htm
 なお、この記事に対しては、本コラムでは、非営利団体である自由報道協会の暫定代表の立場としてではなく、一ジャーナリストとして触れることを予めご了解いただきたい。
 また、長文の記事につき記事は分割して引用し、それぞれにジャーナリストとしての筆者の解説を加えようと思う。
〈20日行われた小沢一郎民主党元代表の記者会見で、資金管理団体「陸山会」の事件について質問をした本紙記者に、会見を主催したフリージャーナリストらが「司会者の指示に従わなかった」と激しく抗議する場面があった。
 その様子はインターネット上で生中継され、本紙にも問い合わせが相次いだ。記者は司会者に言われるまま質問を打ち切るべきか、それとも追及を続けるべきか。問題となった会見を検証する。
 会見を主催したのは、フリージャーナリストらで作る「自由報道協会」(東京都千代田区)。小沢元代表はこのところ、自身の考えを述べる場に、インターネットで生中継されるネットメディアを選ぶことが多い〉
■なぜ自由報道協会をネットメディアと誤解しかねない表現を?
 まず、自由報道協会はネットメディアではない。一切の営利活動を伴わない公益法人を目指す記者会見を主催するための団体である。そのため、実際に、筆者も他のスタッフも全員がボランティアで活動し、運営費などはすべて一般個人からの寄付で賄われている。
 これについては、10月26日、自由報道協会の畠山理仁幹事長が、取材に来た読売新聞記者に説明している。よって、はっきりと知っていることだが、あえて印象操作のためか、こうした書き方になったのだろう。
〈会見の第1部は、市民から寄せられたとされる質問に元代表が答えるもので、これが終了した後、記者らによる質問の第2部が始まった。最初に司会者から指されたのが、読売新聞社会部の恒次徹記者だった。
 「小沢さんは政治資金規正法違反に関して、脱税とか汚職を伴わない場合は、実質的犯罪とは言えないとの考えを再三述べている。国民の判断を誤らせる虚偽記入があれば、実質的犯罪と言えるのではないか」
 これに元代表は「あなたの意見がちょっと違う」と述べたが、政治資金収支報告書で国民の判断を誤らせることが実質的な犯罪に当たるかどうかについて、明確な回答をしなかった。
 このため恒次記者は「例えば」と前置きし、投資家の判断を誤らせることになる有価証券報告書の虚偽記載罪を例に挙げて、なお見解をただそうとしたが、司会者が「この辺で区切らせていただきたい」と制した〉
■司会者は読売記者の質問をすぐに制止したのか?
 この記事だけを読むと、いかにも1、2回のやりとりで司会者が質問を遮ったかのような読者に印象を与える。だが、実際は、最初の司会者の制止まで7回(恒次記者と小沢氏で14回)のやりとりがあったのだ。
 さらにその後5回(10回)のやりとりがある。新聞紙面にはその部分は書かれていないが、同新聞ウェブ版にはきちんと載せている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00017.htm?from=y10
〈20日の記者会見での小沢元代表と恒次記者のやり取り(呼称・敬称略)

 恒次…小沢さんは陸山会の今回の問題が起きてから、先日の意見陳述もそうでしたけど、政治資金規正法違反に関して、それが脱税とか汚職を伴わない場合は、実質的犯罪とは言えないんだという考え方を再三述べてらっしゃると思うんですが、
 小沢…それは言ってません。
 恒次…あの、そういう風に受け取れることをおっしゃってると思うんですが。
 小沢…そんなことありません。(会場から笑い)記者会見、ちゃんと全部見ましたから。
 恒次…そういう風に一貫して述べられていると思うんですが。
 小沢…違いますよ。(会場から笑い)
 恒次…2007年の2月に事務所費の問題が問題になりまして、小沢さんが会見を開かれた時に、政治資金の問題についてすべてオープンにして、国民が判断することが大事なんだという風に言われていて、私もその通りだなと思った記憶があるのですが、今回の問題が起きてからの小沢さんの発言を見ていると、その時の考え方を修正されたのかなという風に思わざるを得ないような表現をされている。実質的犯罪じゃないとか、形式的なミスであるとか、そういう風に言われているんですが、2007年の会見の時におっしゃったような趣旨で言えば、政治資金収支報告書に誤りがあって、それを国民の側が判断することが大事だという風におっしゃっているわけですから、その判断を誤らせるような虚偽記入があった場合は、もし汚職とか横領とか脱税とかいうことがなくても、これは実質的な犯罪と言えるんじゃないでしょうか。その点を、ちょっとお考えをお聞かせいただけたらと思います。
 小沢…ちょっと、あなたの意見がちょっと違うんじゃないかと思っております。私は実質、犯罪じゃないという言い方をしているわけではなくて、まあ犯罪って言ったって、軽犯罪だって犯罪だから、そういう言い方をすれば、ちょっとでも法に触れれば犯罪だということになりますが。いわゆる実質的犯罪が、わかります?実質的と形式的と。実質的犯罪が伴わない場合は、今まですべて収支報告書の修正ですまされてきたという風に申し上げてきた。
 恒次…実質的犯罪じゃないというお考えがどうなのかという風にお伺いしているのですが。
 小沢…それは、法律学者でも誰でも聞いて下さい。実質犯と形式犯と2つある。
 恒次…そうじゃない。
 小沢…そういう意味のことを僕は言っている。
 恒次…例えばですね、
 司会者…なるべく簡潔にお願いしたい、この辺で区切らせていただきたいのですが。
 恒次…ちょっと対話したいものですから。
(「対話じゃねえよ」の声)
小沢…それはあなたの考えであって。
 司会者…すいません。終えていただけますでしょうか。
 恒次…例えば、ディスクロージャー違反という犯罪の類型の中に、(上杉…あんたルール違反しているんだよ)例えば有価証券報告書の虚偽記入というのがございますよね。俗に言う粉飾決算っていう。
 小沢…有価証券報告書の虚偽記入という、その法律は分かりませんが。
 恒次…それは実質的犯罪じゃないんですか。(上杉…ちょっとあなたルール守んなよ)
 司会者…お話の途中申し訳ありませんが。
 小沢…みなさん、修正報告で。いっぱいあるでしょ。今でも。間違ったと言われるのは。私どもは虚偽記載しているとは思っていないんですよ。だけど、例えば仮にそれが明白に虚偽記載、いわゆる間違った報告書だったと、計算であれ、書く場所であれ、何であれ、その時はみんな修正報告で全部今までは通っているわけです。
 恒次…そんなことないですよ。
 小沢…そんなことありますよ。
 恒次…修正報告だけで通ってない場合は多々ありますよ。(上杉…記者クラブのルール守っているんだから、守れよ)
 小沢…あなたの考え方。僕の考え方を聞いているんでしょ。
 司会者…そろそろほかの質問に移らせていただいてもよろしいでしょうか。
(2011年10月27日06時00分 読売新聞)
 読売新聞しか読まない読者は、こうして不正確な情報しか得られないのである。正しい情報を得るためには、読売新聞よりも、同新聞のネット記事を読むことをお勧めしたい。
■自由報道協会は質問の内容や時間は一切問題にしていない
 さて、自由報道協会がルール違反としたのは運用上の問題だ。質問内容については一切、問題としていない。それは質問時間についても同様だ。
 ところが、読売記事では、問題としていない部分もあたかも問題であるかのように扱っている。その部分を引用しよう。
〈ジャーナリストで同協会暫定代表の上杉隆氏らも、「ルール違反だ」と抗議した。恒次記者はその後も質問しようとしたが、「ルール守れよ」などの声が上がった。
 恒次記者の質疑応答に要した時間は約4分30秒。その後、4人から質問があり、平均約5分を費やした。
 会見終了後、恒次記者は上杉氏とジャーナリストの岩上安身氏に詰め寄られ、抗議を受けた。さらに別室に移動し、上杉氏は「なめてんのか、この野郎」、岩上氏は「ど素人か」「質問の仕方がへたくそ」と言いながら、司会者に従わなかったことに怒りをあらわにした。この模様は約25分間、生中継された。
 翌21日、同協会から恒次記者あてに抗議文が届いた。〈1〉司会者の指示に従わなかった〈2〉ゲストスピーカーの言葉を遮って発言を続けた――の2点を挙げて、「記者会見上のルールを無視し、進行を妨げたことは誠に遺憾」としていた〉
 ちなみに筆者を含め、記者会見を主催し、労力を含め多くの出費をしているフリーのジャーナリストたちのほとんどは挙手をしていたが、質問すらできなかった。それは公平なルール運用に従ったためである。
 この日、読売の恒次記者以外は全員そうやってルールを守っていた。それは会見開始前にペーパーを配布し、司会者からも口頭で繰り返し説明した上で了承を得た上で、会見に参加したからだ。
■記者に対する批判を「同じ文言のメールが多数」と書く意図は?
〈抗議の模様はその後も、動画サイトで閲覧でき、視聴する人が相次いだ。このほか、夕刊紙「日刊ゲンダイ」が22日付の紙面で、「小沢会見 読売記者“大暴れ”」の見出しで記事を掲載。抗議の模様について、「場外乱闘の大パニックに発展した」と報じた。
 本紙読者センターにも、動画を見た人から、電話とメールによる意見が141件(26日現在)寄せられた。会見直後は、ほとんど恒次記者に対する批判で、「読売バカ記者」「恥を知れ」と同じ文言のメールが多数あった。これに対し、「紳士的で冷静」「あれくらい聞くのが当然。大変だろうが、頑張ってほしい」と支持する意見も寄せられた。
 上杉氏は22日、「読売新聞記者に複数回『暴言』を吐き、協会の健全性を傷つけた」として暫定代表の辞任届を提出したが、同協会は受理しなかったという〉
(2011年10月27日06時00分 読売新聞)
 この記事では、「同じ文言のメールが多数あった」と書き、いかにも組織的に抗議をしているかのような印象操作を加えている。
 だが、他のメディアに寄せられた意見でも、たとえばライブドア「BLOGOS」などが独自に行ったアンケートのように、その8割以上が自由報道協会の姿勢を支持するものだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/5966179/
 自分に不都合なデータはぼかす、そして、どうでもいい「質問時間」などのような情報の詳細は報じる、というゆがんだ姿勢はもはや通用しないことを、読売新聞は知るべきではないか。
 時代は変わった。そうやってアンフェアな報道で騙せる読者層は確実に減ったのだ。
 また、そうした欺瞞が、さらに読者離れを加速させているという現実にそろそろ読売、あるいは記者クラブメディアは気づくべきなのではないか。
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