「週刊バカ文春もバカ新潮も買ってしまった!」 橋下氏、批判記事に「余裕」の反撃
J-CASTニュース2011/11/ 4 18:27
大阪市長選に転戦する橋下徹・前府知事が、一部雑誌による自身への「ネガティブ記事」に対し、「茶目っ気」をまじえて反撃している。
世論調査の結果によっては、「大阪市長にふさわしい」人物として、対立する現職、平松邦夫市長の約2倍の「支持」をたたき出しており、橋下氏の「反撃」の中に余裕を感じる向きもあるようだ。
■「ネガキャンペーン」を逆手にとる
「実の父が暴力団員?結構毛だらけだ!」。橋下氏は2011年11月1日、大阪市内で行った府知事辞任後初となる街頭演説で、月刊誌「新潮45」や週刊新潮、週刊文春が報じた自身の出自や生い立ちを逆手にとって反論した。
「今の権力構造を変えるには、坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃできませんよ」(橋下氏の1日の演説)というわけだ。実父については、幼いときから別に暮らしており、「俺の記憶にない実父」(ツイッター)とも指摘している。
「結構毛だらけ」のセリフは、故・渥美清さんが主人公「フーテンの寅」さんを演じた、人情喜劇映画「男はつらいよ」シリーズで知られる。「結構毛だらけ、猫灰だらけ…」と明るくテンポよく使われるセリフで、どことなくおかしみがある表現だ。
さらに橋下氏は、ツイッターで、「(出自や親族情報などばかりで)俺の不祥事は何も報じてないじゃないか!」(11月2日)などと、2週にわたって「橋下特集」を展開中の週刊新潮と週刊文春を挑発しつつ、「こんなこと言いながら、週刊バカ文春もバカ新潮も買ってしまったじゃないか!」(同)と冗談交じりにつぶやいている。
もっとも、こうした言い回しを含む橋下氏の発言全般については、必ずしも「茶目っ気」と感じる人ばかりではない。
■毎日新聞「記者の目」も批判
毎日新聞は11月3日付朝刊の「記者の目」欄で、橋下氏による平松氏へのツイッター上などでの論評について、「(略)とこき下ろす。公人の発言としては違和感を覚えるほど攻撃的だ」と断じている。
橋下氏は、この「記者の目」記事が、「両陣営間では批判合戦ばかりが目立つ」などと指摘したことに反発しており、ツイッター(3日)で、これまでの会見やツイッターの記述などで政策論を具体的に展開しており、「批判合戦」との論評について「(記者が)勉強してないだけ」と「攻撃的」に批判している。
もっとも、この毎日新聞への反論ツイッターでも、平松氏が毎日新聞の「友好会社」である毎日放送(MBS、本社=大阪市)出身であることに触れ、「(毎日新聞と平松氏の間に)何があるのか知らないが」とチクリと皮肉る余裕もみせている。
橋下氏の「余裕」が指摘される根拠のひとつは、11月1日付朝刊で朝日新聞が報じた世論調査結果だ。
大阪市長にふさわしい人物について、府内有権者で「橋下氏50%、平松氏26%」とほぼダブルスコアの結果が出て、大阪市民に限っても「同様の傾向を示した」。橋下人気は、大阪市内に限っても健在、というわけだ。
しかし、同じ日の読売新聞の紙面では、「橋下氏と平松氏が横一線」とする世論調査結果が報じられている。朝日調査と比べると、全く異なる印象を受ける。
ある大手新聞社の大阪関係者によると、取材の感触としては「橋下氏が圧勝の流れ」だとして、朝日調査の結果の方が実態に近いのでは、との見方を示した。
前号で橋下氏への厳しい見方を載せた当の週刊文春の最新号(11月10日号)でさえ、大阪の下町を歩いてみると、「批判報道すら、橋下陣営にとって追い風になる勢いだ。エールを送る府民の多さに圧倒される」と舌をまいている。
橋下氏支持でも平松氏支持でもない、と話すある60代の大阪市民の男性は、
「橋下氏の強権的な姿勢に違和感をもつ人が増えてきた印象もあるが、一方で、閉塞感がある現状を変えてくれるのは橋下氏だ、と漠然と考えている人はまだまだ多いのも事実」
と話した。
大阪市長選は11月13日に告示される。ほかに前共産市議の渡司考一氏が立候補を表明している。渡司氏のサイトの「近況報告」欄では11月4日、「橋下前知事や維新の会の独裁と暴走にストップ掛ける(編注:原文ママ)ために全力を尽くします」と書いている。平松氏についての記載はない。
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◆橋下府知事に突然の「逆風」 新潮、文春で「暴露」系記事が相次ぐ2011-11-02 | 社会
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記者の目:大阪府市ダブル選挙=小林慎
◇将来像 堂々と論争してほしい
全国19の政令指定都市の中で第2位の人口(267万人)を持つ大阪市が27日、「政治決戦」を迎える。大阪府知事選と同日実施される市長選だ。仕掛けたのは10月31日付で知事を辞職し、市長選に挑む橋下徹氏(42)。「二重行政」解消を狙い、府と大阪・堺の2政令市を解体して「大阪都」に作り替える構想を掲げる。一方、再選を目指す平松邦夫市長(62)は「都構想は府県集権主義」と猛烈に反発する。対決ムードが高まる中、両陣営間では批判合戦ばかりが目立つ。大阪の将来を左右する重要な選挙なのに、もっと論議を深めることが必要ではないか。
◇大阪都に一本化
「東の東京都、西の大阪都で日本を引っ張る」
橋下氏が大阪都構想を提唱したのは昨年1月。最大の狙いは、産業振興やインフラ整備など広域行政の一本化だ。都知事一人に権限を集中することで、迅速な政策決定や統一的な経済成長戦略を打ち出せると主張する。大企業の本社が東京へ流出するなど大阪経済が衰退する中、世界の都市間競争を勝ち抜く「切り札」として提示した。
住民自治の面でのメリットも説く。大阪、堺両市の解体に伴い、市域は人口30万人規模の「特別自治区」という中核市並みの権限を持つ基礎自治体に再編する。橋下氏は大阪市役所を「基礎自治体としては大きすぎる」と批判しており、区長を選挙で選ぶ「区長公選制」を導入し、住民意思を反映させる考えだ。
ただし、構想実現には法改正が必要で、市長選に勝利しても、直ちに都ができるわけではない。識者から「特別自治区の間で財政格差が生じる」などと問題点を指摘する声も出ている。「統治機構を作り直す。これはすさまじい権力闘争だ」と語る橋下氏は、腹心の府議を擁立する知事選でも勝ち、世論をバックに国を揺さぶろうともくろむ。
◇連携・協議で十分
これに対し、平松氏は「基礎自治体の力を強める方向に行くべきだ」と反論する。高度な行政能力を備える政令市を中心に、住民ニーズを最も把握している基礎自治体の連携を進める構想だ。例えば大阪では、病気やけがで救急車を呼ぶかどうか迷った時の電話相談窓口「救急安心センター」という行政サービスがある。当初は市消防局が市内のみで実施していたが、現在は府内の消防と連携して全域にサービスを拡大した。都市連携の好例の一つだ。
平松氏は、二重行政の問題には「話し合いで解決できることはいくらでもある」とし、府と市などによる協議機関を設置して解消に努める考えを示す。住民自治の面では、(1)市内24区で地域の代表者らで構成する「区政会議」が予算編成に関わる制度(2)各小学校区単位で担当する職員を置く地域担当制−−を実現し、住民の声をくみ取るとする。
二重行政という問題は、大阪だけではなく、政令市を抱える全国14道府県に共通の課題だ。今回、大阪が論議の震源地となった背景には、大阪市の圧倒的な存在感がある。
大阪市は面積は府全体の1割に過ぎないが、府内総生産額(40.3兆円、08年度)の過半の21.6兆円を占める。東海道・山陽新幹線の全列車が停車する新大阪駅を抱えるなど交通の要衝であり、観光・ショッピングの施設も集中する。文字通り関西の中心地であるこの大都市で、都市計画など多くの権限を握るのが市役所だ。これが府庁には面白くない。府と市の歴代トップはこれまでも権限争いを繰り広げてきた。都構想も、府市確執の歴史の延長上にある。
◇都市考える好機
そんな空気も反映しているからか、両氏の論争は決してかみ合っているとはいえない。むしろ互いの批判・中傷合戦ばかりが目立つ。
たとえば橋下氏は「平松市長が再選すれば日本の不幸」(9月15日の集会)、「自らのバカげた幻想を何も理解していない」(9月24日のツイッター)、「何を言っているか分からない」(10月25日のラジオ番組)とこき下ろす。公人の発言としては違和感を覚えるほど攻撃的だ。
一方の平松氏は「大阪を独裁から守る」(10月29日の集会)などと橋下氏の政治手法批判を訴えの中心に据え、都市制度論を語ることは皆無に近い。「制度論は国次第だから」という理由だが、これでは同氏が考える大阪の将来構想が有権者に見えにくい。
社会構造が変化する中で、大都市のあり方を巡る議論は大阪だけの問題ではない。せっかく有権者に都市問題を考えてもらう貴重な機会なのに、選挙の勝敗を意識した互いの「ネガティブキャンペーン」ばかりでは、あまりにも非生産的だ。大阪の将来像について正々堂々と論争してもらいたい。(大阪社会部)
毎日新聞 2011年11月3日 0時20分
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橋下徹・前大阪府知事「今の権力構造を変えるには、坊ちゃんやお嬢ちゃんじゃできませんよ」
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