「恐ろしき 事なす時の 我が顔を…」 元オウム幹部の中川被告が短歌3首 最高裁で18日判決
産経ニュース2011.11.17 19:35 [殺人・殺人未遂]
地下鉄、松本両サリン事件や、坂本堤弁護士一家殺害事件などで殺人罪などに問われ、1、2審で死刑とされた元オウム真理教幹部、中川智正被告(49)が17日、弁護人を通じて短歌を発表した。最高裁は18日、中川被告に上告審判決を言い渡す。
短歌は「恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし」など3首。
「りんご樹を この世の底で 今植える あす朝罪で 身は滅ぶとも」という1首は、死刑執行への覚悟をうかがわせる。
また、「遺(のこ)しおく その言の葉に 身を替えて 第二の我に 語りかけたし」という1首について、弁護人は「(中川被告は)自分のような者を出さないために、精神科医などの協力を得て手記を書いている」との解説を加えている。
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オウム裁判終結へ、中川被告からの手紙
あわせて189人が起訴されたオウム真理教による一連の事件は、まもなくすべての刑事裁判が終わります。サリン製造の中心的な役割を果たし、一審、二審で死刑を宣告され、18日、最高裁判決を受ける元幹部が反省の気持ちと、一方で今も抱える教祖への割り切れない思いを手紙に綴りました。
「被害者の方々、ご遺族の方々にはこの場をお借りいたしまして、心からおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」(中川被告の手紙)
中川智正被告(49)。京都の医大に在学中にオウムに入信。麻原彰晃、本名、松本智津夫死刑囚の主治医として仕え、サリンの製造などで中心的な役割を果たしたとして、11の事件で殺人などの罪に問われ、一審と二審で死刑を言い渡されました。
「ただ、ただ、頭を下げて、おわび申し上げるだけでございます」(中川被告の手紙)
17日、弁護士を通してJNNの記者に届けられた中川被告からの手紙には、ただひたすら謝罪の言葉が重ねられていました。
その中川被告と、事件の被害者という立場にありながら、ずっと向き合ってきた男性がいます。オウム真理教家族の会・会長の永岡弘行さん(73)。
永岡さんは16年前、オウム真理教に入信した長男を脱会させようと奔走していた矢先、猛毒のVXガスを背後から吹き付けられ、意識不明の重体となりました。その後、長男は教団から脱会しましたが、永岡さんの体は今も右半身がマヒしたままです。
「(中川被告に恨みは?) 恨みはない。本当にそうなんです。大人である我々が(事件を)阻止することができなかった」(永岡弘行さん)
永岡さんを襲ったVXガスを製造した男。それこそが中川被告でした。中川被告は、なぜ犯罪に手を染めたのでしょうか。永岡さんは法廷を傍聴し、拘置所での面会を続けて来ましたが、最後の判決を目前にした中川被告の変化に驚いたといいます。
「大きく変わったのは最後。穏やかな顔つきになっていた」(永岡弘行さん)
しかし、かつての教祖、松本死刑囚に対しては、今も割り切れない思いを抱いています。
「麻原氏が何も話さずに裁判を終えてしまったことは、個人的な感情を抜きにしても、同じような事件を2度と起こさないという目的からして、残念でしょうがありません。彼しか分からないことが沢山あったのです」(中川被告の手紙)
教団への本格捜査から16年余り。松本死刑囚は何も語らぬまま、これまでに11人の死刑が確定しました。
「何よりも罪の重さを自覚しつつ、自己を見失わずに残りの人生を終わりたいと思います」(中川被告の手紙)
来週、月曜日の元幹部の裁判で、一連のオウム裁判は事実上終結します。(TBS News 17日16:51)
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◆「自信は未だにないが、麻原について書く」魚住昭/ 最高裁、オウム遠藤被告の判決期日を指定/死刑弁護人2011-11-01 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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恐ろしき 事なす時の 我が顔を 見たはずの月 今夜も静(さや)けし/元オウム中川智正被告 18日上告審判決
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