消費増税「乱暴に過ぎる」=小沢氏
WSJ Japan Real Time2011年11月27日20:06 JST
民主党の小沢一郎元代表は27日、鹿児島県霧島市で開かれた同党衆院議員の会合で、来年の通常国会への消費増税関連法案の提出について「国民の大きな負担になることを言っているが、ちょっと乱暴に過ぎないか」と野田政権の方針を批判した。
小沢氏は「(民主党は)大改革で無駄を省き、それによって生まれた財源をわれわれの新しい政策の財源にしようと言った」と表明。「大改革が進んでいない、緒に就いていない中で国民に負担を求めるのは乱暴ではないか、という考えは私1人ではない」と強調した。
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◆小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ〈前〉2011-11-20
〈ニコニコニュース(オリジナル)2011年11月20日(日)15時01分配信〉より抜粋
小沢: だけど野田さんは外国に行ってもどこに行っても、消費税(の増税を)やるって言ってるでしょ。
田原: 小沢さんは反対でしょ?
小沢: 僕は今やるということは反対です。
田原: そこそこ。だから、小沢さんの顔色うかがって、いい加減にごまかしごまかししやったら、小沢さんも消費税増税を呑んでくれるんじゃないかと(野田総理は)思っている。
小沢: 消費税については我々は選挙の時に何て言ったかというと、行政、財政、この抜本的改革をして無駄を省いて、それを我々の新しい政策の財源にしますと。そして4年間は消費税増税はしませんということを国民の皆さんに言って来た。
田原: 確かに当時の首相の鳩山(由紀夫)さんはそう言いました。
小沢: そして、今まだ行財政の抜本的改革というのはほとんどできていないわけですよ。それをやらないでいて、お金がないから消費税(増税)というのは国民に対しての背信行為だと。だから僕は「賛成できない」と。
田原: 確かに、鳩山さんはあの政権を取る前からマニフェストを発表しました。そのマニフェストには仰ったように4年間は増税しないと。さらに子ども手当が月に26,000円、段階的に高速道路無料化、あるいは公立の高校の無償化、さらには農業に対する個別補償の問題ということを約束しました。ただし、その時に鳩山さんは、9月16日の記者発表で、実は自民党の予算は無駄が多い、だから民主党が政権を取ったら初年度で7兆円減らすと。それで、4年間で16兆ないしは17兆円減らすと約束したんですね。初年度全然減ってないじゃないですか。
小沢: うん、ですからなぜかというんですね。
田原: そう、そこ。
小沢: 民主党政権になって、そこは僕もなかなかもどかしいところなんですが、予算編成はどうやって作られているかというと、結局今の民主党政権になっても自民党時代の時とずっと同じようにやられてるんですね。
田原: どういうことですか?
小沢: 要するに各省がそれぞれの今までの自分たちの視野の範囲内で、自分たちで全部原案を作って来るわけです。そしてそれを全部集めたのが総予算で、政府内閣・大蔵省(財務省)を主導して、枠は決めますよ。だけどこれは一律のカットなんですね。例えば100兆円なら100兆円と決めれば、全部集めると120兆円なれば20兆円削るというだけで、政策的に「この政策は生かそう」、「この政策はボツにしよう」という選択をせずに、各省から上がってきたものを全部集めて予算を作ると。だから絶対お金が足りるわけないんですよ。
田原: いや、だからね。何で鳩山さんは首相で、「7兆円減らして来ない。ダメだ、やり直せ!」って言えないんですか?
小沢: だからそこが、なかなかその通り行かなかったというところは本当に・・・。
田原: ちょっと言っちゃいけないんですが、当時小沢さんは幹事長ですね。だから小沢さんが「やんなきゃダメだ」と言えば・・・。
小沢: いや、野党の時には「国民主導・政治家主導の政治を実現するんだ」と。
田原: 言ってました。
小沢: 言いました。そのためには、まず1つの方法として、政府与党一体の仕組みを作ろうということで、僕は幹事長として、また副代表やなんかも、党の幹部もみんなシャドーキャビネット、ネクストキャビネットに入ってたんですよ。ところが政権を取った途端に、結局党の幹部は「もう入らない」と。
田原: 何?
小沢: その政府に。
田原: 政策にはタッチしない?
小沢: ということに仕切りされたんですよ。
田原: なんで? そんな馬鹿な。だって民主党で一番の政策通が小沢さんじゃないですか。小沢さんを外して、予算組むなんてむちゃくちゃじゃないですか。
小沢: いや、僕は別に。そういう方針だということですから。
田原: 誰がそんな方針決めたんですか?
小沢: それはたまたま、その時は鳩山総理でしたけども。
田原: 鳩山さんが勝手に決めたわけ?
小沢: いや、勝手というわけじゃないでしょうが。そういう方針だということだったので、僕もああそうですかということで。
田原: そんなに小沢さんって大人しい人ですか。
小沢: いや、大人しいですよ(笑)。
田原: だって本当に、日本の政治家で一番政策に詳しいんだから、キャリアも十分あるし、自民党でも幹事長もされたわけだし。そういうところは鳩山さんに言ってあげればいいと僕は思う。
小沢: ですから、そこをごちゃごちゃにして混乱させてはいけないと思いましたから。
田原: でもその結果大混乱じゃないですか。つまり「7兆円減らす」と言って減ってないと。もう今年なんて何兆円減らすかもなくなっちゃった。16兆円も17兆円もどこかいっちゃった。めちゃくちゃじゃないですか。
小沢: ですから、今までと同じやり方、同じ予算編成、予算配分の仕方をしてたら、お金が出てくるはずないんですよ。
田原: ないですよ、それは。
小沢: みんな役所が目一杯、俺のほうがいっぱい取ろういっぱい取ろうという話ですから。だからそれを取捨選択して、政策の優先順位をつけていくのが政治家の役目なんですね。
田原: だからそれは、各省で言えば大臣の役割だし、そのために小沢さんは大臣だけじゃなくて副大臣、それから政務官を置いて、役人の言う通りにしないでおこうと、ちゃんと政治家主導をやろうと。それで、大臣がいて総理大臣がいたと。何もできなかったのはどうしてなんですか?
小沢: いっぺんでも描いた通りにできなくては、私はやっぱりそういう努力をしていかないと国民から見放されると。言ってることと、現に政権取ったらやってることと違うという話になっちゃうんで。
■「官僚も馬鹿じゃない。今までと同じでいいとは思っていない」
田原: そこなんですよ。でね、鳩山さんが(総理大臣を)辞めた。菅(直人)さんになった。また何もやってない。これは何ですか。
小沢: ですからどうしても、そこは少し経験不足の面もあると思います。やっぱり役人さんは知識もあるし、官僚機構としては強大ですしね。ついついそこにおんぶしちゃうということになっちゃってるんですね、きっと。
田原: だけど、小沢さんが一番尊敬されてらっしゃる田中角栄(元総理大臣)さんは、その官僚を使うのが実にうまかった。そういう意味では実は小沢さんも非常にうまいんだと思う。
小沢: ただ僕の主張している革命的なことというのは、行政官僚にとっては改革ですから、必ずしも賛成ではないんですよ。
田原: それは腹の中ではそうだけど、小沢さんは力が強いから「反対」って言えませんよ。
小沢: だけど官僚も馬鹿じゃないですし、今こういう難しい時代に今までと同じやり方でいいとは思ってないですよ。優秀な奴ほど。
田原: そうですか。
小沢: それは絶対そうです。もちろん自分たちの利害もありますけどね。ですから、筋道の通った政治家がきちんとした理念と見識を持って政策決定をしていけば官僚も従うんですよ。そこをどうしてもついつい・・・。
田原: 何でできないんだろう? 自民党はそれができなかった。だから国民は自民党を見放して、民主党なら小沢さんがいらっしゃるからできるんじゃないかと思って、民主党政権にしたんですよ。
小沢: だけど僕一人でできるわけじゃないですからね。
田原: だけど今も、さっきの言葉では野田さんもまた官僚任せと。困っちゃいますね。
小沢: ですからTPPの話にしても、野田さんが多少反対があろうがこれはやるんだと、その決断はそれはいいと思うんですよ。それだったら、そう言ったとか言わないとかごちゃごちゃしないで、その筋道を通してもらうのがいいと思うんですがね。
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◆『小沢一郎 語り尽くす』TPP/消費税/裁判/マスコミ/原発/普天間/尖閣/官僚/後を託すような政治家は 2011-11-20 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢一郎 すべてを語る TPP、消費税、政治とカネ、原発… 聞き手;鳥越俊太郎(サンデー毎日2011/11/27号)より抜粋
*基礎訓練なしに偉くなっても
鳥越:そういう中で、政権の組み替え、政党の再編成は考えられますか。
小沢:民主党が2年前に国民が期待したことをやろうと一生懸命頑張っている姿を見せさえすれば、支持は戻ると思う。悪戦苦闘しているけれども進もうとしている姿に、国民は良い感情を持つのではないか。みんな自覚を持って頑張らないと。それぞれの部署の人が責任を持ち、決断してやっていくということじゃないでしょうか。責任を持たないと、結局、役人の言う通りになっちゃいます。
鳥越:次期衆院選や民主党次期代表選について考えることはありますか。
小沢:野田総理も(安住淳)財務大臣も、消費税(増税)をやるって言っているでしょ?来年1月の通常国会に(関連法案を)出すとなると、来月にはおおよその成案を作っておかなければならない。消費税は直接、個々の国民全部に響きますからね。まして今は世界的大不況が来るかもしれないという時、国内では東日本大震災の影響がある時に、消費税増税というのは、僕は納得できない。もうひとつ、2年前に「(衆院議員任期の)4年間は(消費税増税を)やりません」と約束して政権がスタートしたわけですから、それを反故にすることにもなる。両方の面で、ちょっとどうかなと思います。
鳥越:小沢さんは消費税を上げることには反対?
小沢:今、現時点で上げることには賛成できないですね。ただ、総理と財務大臣が(消費税増税を)言っちゃってますからね。12月には成案、来年1月の通常国会には法案を出すと、よその国まで行って話しているわけですから、ちょっとこれはしんどい。このまま衆院選をすれば問題にならない。ベタ負けですね。
鳥越:あまり明るい材料がありませんね。
小沢:初心に帰ることだと思います。人間ですから約束したことが100%できないのは仕方ない。しかし、約束を守ろうと努力する姿が尊い。最初からやれないとというのでは「一体、何のための政権交代だったんだ」ということになる。真摯な努力の姿を原点に返って取り戻すというのが、いいのではないでしょうか。
鳥越:しかし、小沢さんがそう言っても松下政経塾出身の政治家たちは全然違う動きをしています。
小沢:彼らもそういう公約の下で当選してきた。
鳥越:でも公約がほとんど実行されていません。
小沢:それがちょっと問題でしょうね。困ったことですけど……。
鳥越:困ったとおっしゃいますが、国民も困っているんです。
小沢:そう。そのツケが国民に行くから、国にとっても国民にとっても困ったことになっちゃうということ。非常に心配です。
鳥越:小沢さんがもう一度、政権運営に携わる道はないのでしょうか。
小沢:僕自身は別にどうでもいい。問題は、民主党の場合はみんな基礎的な訓練をしないままポッと偉くなっていること。ベースがないので、何か問題に突き当たった時に「これはこうしよう、ああしよう」という判断ができなくなっているのではないか。仕方ない面もありますが、世界、世の中は待ってくれない。
鳥越:ギリシャに端を発した金融。経済危機ですが、良いのは中国くらいで、ほとんどダメですね。
小沢:欧米がダメになれば中国にも影響するでしょう。中国のバブル経済が弾けそうになっていますが、本当に弾けたら動乱です。中国は政治的動乱を伴うので大変ですよ。
鳥越:経済や金融がグローバル化した結果、一国の問題が世界に波及する事態になった。ギリシャがデフォルトでダメになれば欧州の銀行や米国の銀行がダメになり日本も影響を受ける。そういう時に国民にしっかり支持されている政権がないと困ります。打つ手はありますか?
小沢:妙薬というのはないですね。国民との約束を守る姿勢で政権を運営することからですね。
鳥越:強制起訴による裁判が続いています¨行動の自由を奪われているということはありますか。
小沢:「そんな立場なのに何だ」と、また批判されますからね。あまり過激な言動をするわけにはいかないし、多少は制約されますね。元私設秘書の石川知裕衆院議員ら3人に対する東京地裁の有罪判決は、びっくりしました。
鳥越:驚きました。全部「推認」でした。「多分そうだろう」と(笑)。
小沢:ハッ、ハッ。