ムネオ反撃開始「ウソの証言で有罪に」と開発局元部長を提訴
2011年12月14日
受託収賄罪などで服役し、6日に仮釈放されたばかりの鈴木宗男元衆院議員(63)が、早くも反撃開始だ。
北海道開発局の元港湾部長が公判で偽証したとして、3300万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。提訴は12日付。
確定判決によると、宗男氏は北海道開発庁長官だった97〜98年、島田建設(網走市)から開発局の港湾工事受注で請託を受け、元部長に指示、島田建設から計600万円を受領したとされる。
元部長は公判で「例の島田の件、頼むぞ」と言われたと証言。宗男氏は「指示した事実は一切ない。虚偽の証言で実刑が確定し、政治家として致命的打撃を受けた」と主張している。
宗男氏は収監前の昨年10月にも、公判で偽証されたとして、伴次雄・元林野庁長官に3300万円の損害賠償を求めて地裁に提訴している。検察の見立て通りに証言した関係者たちは今ごろ、戦々恐々ではないか。
◆鈴木宗男議員上告棄却/小沢一郎氏/石川知裕議員/安田好弘弁護士2010-09-08 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
〈来栖の独白2010/09/08〉
官僚の言いなりと堕した菅政権からの出直しを誓い、小沢一郎氏が政治生命を賭けて脱官僚依存の内閣を作ろうとしている「この時期」のムネオ氏の有罪判決。政治・政局と無関係に官僚司法がこの時期、この判断(有罪)をしたとは考えられない。
鈴木宗男氏は、小沢氏の元秘書で議員の石川知裕被告からも慕われ、支援している。石川知裕被告の弁護人は安田好弘氏である。
そういえば、安田好弘弁護士の2審判決も、光市事件差し戻し2審判決の翌日だった。1審無罪だったものが、有罪となった。判検一体。裁判所は、検察の言うことをきく。起訴された事件の有罪率が9割を超えるのも、ここ(判検一体)に所以する。司法は、こんなことを、幾たびもやってきた。
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鈴木議員の実刑確定へ=無罪主張の上告棄却―受託収賄など4事件・最高裁
時事通信 9月8日(水)13時47分配信
受託収賄、あっせん収賄など四つの罪に問われた衆院議員鈴木宗男被告(62)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は7日付で、被告側上告を棄却する決定をした。懲役2年、追徴金1100万円の実刑とした一、二審判決が確定する。
鈴木被告は確定後、収監される。公選法などの規定により、確定すれば失職し、懲役刑の執行後5年間は立候補できなくなる。
鈴木被告は、政治資金規正法違反罪と議院証言法違反罪を含め、一貫して全面無罪を主張していた。
2004年の一審東京地裁判決は、すべての事件を有罪と認定した上で、「高度の廉潔性を求められる要職にありながら国民の信頼を裏切った」と非難。「反省は皆無で、虚偽の陳述をしてはばからない被告に刑を猶予するのは相当ではない」として、実刑を言い渡した。
二審東京高裁も08年、「行政に不当な影響を及ぼし、社会の信頼を害した」として、一審を支持していた。鈴木被告をめぐる一連の事件では、佐藤優外務省元主任分析官(50)ら12人が起訴され、鈴木被告を除く11人の有罪が確定している。
判決によると、鈴木被告は北海道開発庁長官、官房副長官だった1997〜98年、林野庁への口利きの見返りなどとして、2社から1100万円のわいろを受領するなどした。
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最高裁の決定要旨
衆院議員鈴木宗男被告の上告を7日付で棄却した最高裁の決定の要旨は次の通り。2010/09/08 13:53【共同通信】
【結論】
弁護人の上告趣意のうち、判例違反の点は事案を異にする判例を引用するもので適切でなく、その余は、憲法違反の点を含め、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張で、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。
【職権判断】
受託収賄罪の成否について職権で判断する。
北海道開発庁長官だった被告が、港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように北海道開発局港湾部長に働き掛ける行為は、職員への服務統督権限を背景に、予算の実施計画作成事務を統括する職務権限を利用して、職員に対する指導の形を借りて行われた。
被告には港湾工事の実施に関する指揮監督権限はないとしても、働き掛けた内容は、実施計画で概要が決定される港湾工事について、競争入札を待たずに工事業者を事実上決定するものだった。
このような働き掛けが金銭を対価に行われることは、北海道開発庁長官の本来的職務として行われる予算の実施計画作成の公正、その公正に対する社会の信頼を損なうものである。従って働き掛けは、北海道開発庁長官の職務に密接な関係のある行為というべきだ。
弁護人は、談合にかかわる行為は、正当な職務としておよそ行い得ない違法な類型であるから、職務に密接な関係のある行為とはなり得ないと主張するが、密接関係行為に当たるかは本来の職務との関係から判断されるべきだ。違法行為であることで、その判断は直ちには左右されないと解するのが相当である。
また受注業者の指名が港湾部長の職務権限に属することを認定せずに、指名について港湾部長を指導することが北海道開発庁長官の職務権限に属するとした二審の判断が判例(1995年2月22日大法廷判決)に違反すると主張する。
しかし収賄罪の構成要件である「職務に関し」は、収賄公務員の職務との関連性。他の公務員に働き掛けることの請託を受けて収賄した場合であっても、働き掛けを受ける公務員の職務との関連性は構成要件そのものではない。一般的には、その職務関連性をそれ自体として認定する必要はないというべきである。
そうすると、働き掛けを行うよう請託を受け、その報酬として金銭の供与を受けた行為が受託収賄罪に当たるとした二審の判断は正当である。
【金築誠志裁判官の補足意見】
受託収賄罪における北海道開発庁長官の職務権限につき、意見を補足的に述べる。
弁護人引用の判例は、内閣総理大臣の職務権限に関するもの。内閣総理大臣については、直接に行政事務を行うことを認めるのは相当ではないとする見解が有力で、指揮監督権限は行政全般にわたる反面、極めて一般性・抽象性が高い。働き掛けを受ける公務員の職務関連性を認定することで、職務権限を認定せざるを得ない面があり、一般化は相当でない。
働き掛けた事項が相手先の公務員の職務と無関係であれば、働き掛けに職務関連性を認めることが困難となろうが、働き掛けを受ける公務員に収賄公務員の職務関連性以上のものが要求されると解すべきではない。少なくとも働き掛けを受ける事項と職務との間に密接な関係があれば足りると解すべきである。
港湾部長は、港湾工事の計画作成・実施に関して職務権限を有し、慣行的、常態的に本命業者の指名を行っていた。組織的に事実上職務行為化した行為とも評価でき、港湾部長の職務と密接な関係を有する行為であることは明らかだ。
官製談合での本命業者の指名は、収賄罪の職務にはなり得ないと主張するが、収賄罪での職務が適法なものに限られないことは加重収賄罪の存在からも明らか。慣行化した官製談合の違法性、それによる信頼棄損と、慣行を利用してわいろを収賄することの違法性、それによる職務の公正に対する信頼棄損とは、別個の評価が可能。今回のような行為に関するわいろ収受が、職務の公正に対する信頼を害する程度が低いとは到底いえない。職務密接関係性を否定することは相当ではない。
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『暴走する「検察」』(別冊宝島編集部 編)より抜粋
一貫性の無い捜査
「見込み捜査がはなはだしい。だから、捜査がどこを向いているのかわからない」「行き当たりばったり。場当たり的で一貫性がない」
特捜部が初めて鈴木宗男事件の強制捜査に踏み切った直後の5月中旬、検察外部だけでなく特捜部内部からも、捜査指揮に対する不満や、首を傾げる声が出始めた。
複数の検察関係者と検察OBは、次のように証言する。
「そもそも国後島『友好の家』建設の入札を妨害したとして、公設第1秘書ら7人を偽計業務妨害容疑で逮捕したことからして不自然だった。特捜部には、世論の流れから鈴木代議士を逮捕しなければいけないという焦りがあったが、鈴木代議士を引っ張るネタがなかった。そこで無理やり異例ともいえる容疑を探し出し、鈴木代議士の側近の身柄を取ろうとした。
ところが、それでも鈴木代議士の犯罪につなげることはできなかった。そこで狙いをつけたのが、鈴木代議士の側近中の側近といわれた佐藤優氏だ。佐藤氏は最初は背任容疑で逮捕されたが、本当に背任罪の構成要件を満たしていたのかどうかはかなり疑問だ。しかも、特捜部はこの佐藤氏の線からも鈴木代議士を追い込めなかった」
「特捜部が偽計業務妨害容疑で三井物産を狙ったのも、標的は鈴木代議士だった。北方事業は鈴木代議士の利権事業という見方をしていたのだ。特捜部が描いた絵は、三井物産から鈴木代議士に金が渡り、鈴木代議士が三井物産に何か便宜を図っていたという構図だった。
しかし、鈴木代議士は三井物産と2、3回、会ってはいるが、手土産一つもらっていない。当然、現金は出てこなかった。ここでも鈴木代議士の疑惑を事件化できなかった。明らかに事件の筋読みを間違えたわけだ。
たしかに、特捜部が手がけた一連の事件を通してみると一貫性に欠ける。この疑問を、ある法務検察関係者はこう解説する。
「特捜部長だった伊藤鉄男さんは穏やかな性格で、本来、特捜部長の器ではなかった。次の部長につなぐまでの、いわゆるリリーフ的存在だった。
特捜部の場合、事件の捜査指揮は特捜部長が執るが、同時に東京地検の検事正と次席検事、それに最高検の担当検事と相談しながら詰めていく。ところが今回の場合、検事正はどうしたわけか、捜査にほとんど口をはさまなかったようだ。当然、特捜部長と次席検事、最高検の間で話が進められたわけだが、この次席検事と最高検との間で捜査方針が食い違っていた。伊藤さんは次席検事と最高検との間で揺れ、強い捜査指揮権を出せないまま、最終的には次席検事の意向が優先されてしまったようだ。ところが、当時の東京地検首脳は大きな問題を抱えていた。冷静に事件捜査の見通しを立てられる人材が不足していたことだ」
外務省に敗れた
捜査関係者らの声を集めると、まだまだ首を傾げたくなるような話が出てくる。背任罪と偽計業務妨害罪で起訴されたロシア支援室の前島元課長補佐に関してもそうだ。「前島氏が取り調べのなかで、最終的にどうして容疑を認めてしまったのかわからない。彼こそ、捜査の“被害者”という見方が検察内部でも強かった。逮捕時から、容疑の確定にかなり無理をしていた。だから、もし前島氏が否認を貫き通していたなら、捜査はどうなっていたかわからない。特捜部はなんとしても認めさせようと、かなり厳しい取り調べを続けていたようだ。しかし、当初否認していた前島氏が、一転して認めた裏には、検察との取引があったという説も出ている」
たしかに、特捜部の取り調べは厳しい。過去に取り調べを受けたことのある元会社役員は、「とにかく人格を全否定されるんです。罵倒されるのは序の口で、女房はもちろんだが、孫のことまで持ち出す。それまでいちおう社会的な地位があったので、それには耐えられなかった」「調書が知らないところでできあがっていて、しきりに署名するよう強要されたことを覚えている」と話す。
前島氏の場合も、同様な取り調べが行われたのだろうか? それとも特捜部から何らかの形で取引を求められたのだろうか? いずれにせよ、前島氏に対する同諍論が検察内部にあることは事実だ。
ところで、この背任事件については最初から、外務省の大物である東郷和彦・元欧亜局長の関与が指摘されていた。前述の前島氏らは国際学会への派遣費用などを外務省の関連団体「支援委員会」に不正に支出させていたとして背任罪に問われているが、東郷氏はこの支出に関し、東亜局長として前島氏が起案した決裁書にサインするなどしていた。新聞報道などによると、前島氏も特捜部の調べに対し、「東郷氏の指示で違法な決済書類を作成した」と供述したとされており、東郷氏に対する疑惑が深まっていた。
ところが、東郷氏は疑惑が取り沙汰されて以来、日本を離れてヨーロッパに滞在。特捜部の参考人聴取も、病気療養を理由に出頭を引き延ばしていた。最終的に、検事がヨーロッパに出向いて参考人聴取したが、その結果、私的な流用はなかったとして立件は見送られた。
しかし、捜査関係者はこう言う。
「どうして東郷氏の逮捕に踏み切らなかったのか? 佐藤、前島両氏を背任罪で起訴しておきながら、それを指揮した疑いの強い東郷氏の立件を見送ったことは理解できないし、公正さを欠く。失態といっても過言ではない」
また、別の検察関係者はこう話す。
「今回の捜査では当初、『支援委員会』が、税法上不要な消費税分を事業費に上乗せして受注業者に支払っていた問題を狙っていた。消費税の上乗せ分は、2億6000万円を超える。当初、支援委員会による背任事件として立件を検討したこともある。もし、そのまま捜査を始めていればもっと違った展開になり、捜査もスムーズにいったかもしれない」
外務省が、検察当局の本格的な捜査を受けたのは初めてのことだ。特捜部の事情聴取を受けた職員の数は100人を超える。
しかし----。
「そもそも、今回の鈴木宗男事件の発端は外務省との癒着問題だった。それが捜査を終えてみると、外務省の本丸には切り込めなかった。佐藤氏ら外務省を摘発はしたが、局長や課長クラスの刑事責任は追及できなかった。鈴木宗男疑惑の中心にあった外務省との癒着、疑惑はほとんど解明されなかったという結果を見ると、検察の敗北と言わざるをえない」(東京地検関係者)
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安田弁護士事件 西日本新聞(2004年01月22日掲載)
住宅金融専門会社(住専)の大口貸し付け先だった「スンーズコーポレーション」(東京)が、ビル賃料の差し押さえを免れようと実体のないダミー会社を設立。一九九三年から九六年にかけ、賃貸料約二億千万円を同社の口座に振り込み財産を隠したとして、警視庁は同社社長らを逮捕。その後、隠匿を指示した疑いで顧問弁護士の安田好弘氏を逮捕した。
だが、安田氏の公判でこの二億千万円は、同社の倒産に備え、従業員四人が無断で横領していた事実が判明した。同社社長らはすでに一、二審とも有罪判決を受け、上告中。
深く読む・核心に迫る、追う=揺らぐ検察の「正義」 安田好弘弁護士に無罪 背景にオウム裁判や「国策」の不良債権回収 「判決、まるで告発文」
判決というより、裁判所の「告発文」と私には思えた―。強制執行妨害罪に問われ、昨年12月24日、東京地裁から無罪を言い渡された安田好弘弁護士は、私にこう語った。オウム真理教(アレフと改称)の元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告の主任弁護人を務めるほか、死刑廃止運動の先頭に立つ「人権派」の旗手。そんな安田氏の逮捕、起訴、そして無罪判決からみえてくるのは、この国の司法に潜む闇である。(北九州支社・宮崎昌治)
「あなたが当裁判所に起訴され、本日でちょうど満五年となります」。
無罪判決を言い渡した後、川口政明裁判長は安田氏に語りかけた。一九九八年十二月六日、安田弁護士は警視庁に逮捕され、同二十五日に東京地検から起訴された。
裁判長は続けた。
「審理が少し長引きご迷惑をおかけしました。私は、わたしなりに事件の解明に努力したつもりです。いろいろ話したいこともありますが、中途半端に余計なことを入れるのはやめておきましょう」
そして「今度、法廷でお会いするときは、今とは違う形でお会いできることを希望します」。こう結ぶと、もう一度「被告人は無罪」と繰り返し、法廷を後にした。
千二百人を超える大弁護団と検察の威信を賭けた攻防は、安田氏側の全面勝利でその第一幕を閉じた。
□ ■
なぜ、安田氏は無罪なのか。
判決は、検察が有罪を立証しようとした関係者の供述調書作成に「捜査官の強引な誘導があったことが強く疑われる」と指摘。そのうえで、捜査と公判における検察官の立証活動に「より根本的で重大な問題がある」と強く批判している。
それは何か。
警視庁と東京地検は、安田氏が顧問を務める不動産会社で、使途不明となっていた二億千万円を「債権回収を妨害するため、安田氏が指示して隠した」と見立てた。
だが、実はこの金は同社従業員らが横領していた。検察は安田氏の逮捕・起訴前に実は、その事実を知り、見立て違いに気付いていた。だが、既定方針通り安田氏を逮捕・起訴し、公判でも、その事実を隠した。しかも、横領事件の追及を全くしていない。
このような検察官の態度を判決は「アンフェア」とし、従業員の横領を不問に付した行為を「一種の司法取引のような形で、全面的に捜査機関に迎合する供述を行ったとみられてもやむを得ない」と結論付けた。
言葉は穏やかだが、捜査、公判における検察の「不正義」を断罪している。弁護団は「判決が検察に対し、捜査段階のみならず、公判での不正義にまで言及したのは過去に例がない」と話す。
□ ■
だが、問題はそれだけにとどまらない。
より「根本的」な問題は、なぜ安田氏が逮捕されたか、ということだ。その理由を重ね併せると、恐るべき権力犯罪のにおいがしてくる。
当時、麻原裁判での安田氏の強力な弁護活動に検察はてこずっていた。一方で、世間からは遅々として進まぬ裁判への批判が高まっていた。
さらに、安田氏を告発したのは、不良債権処理という「国策」を遂行していた中坊公平氏率いる旧住管機構である。当時、中坊氏こそが「正義の旗手」であり、中坊氏の債権回収に世間は喝さいを送っていた。
最後に、安田氏は捜査機関にとって長年、手ごわい「敵」であり、「じゃま」な存在だった。
“民意”を追い風にした、こうした政治的背景が「安田氏逮捕」に見え隠れする。この事件を検証したジャーナリストの魚住昭氏は著書「特捜検察の闇」(文芸春秋)で「捜査の目的は真実や正義の追究ではない。安田を葬り去ることである」と記している。
捜査に100%はない。警察も検察も、ときに間違う。だが、それは正義を追究した結果の「過失」であって初めて成り立つ言い訳であり、間違いが「故意」であれば、これほど恐ろしい権力犯罪はない。
ちなみに、中坊氏は今回の判決の直前、強引な不良債権回収の違法性が指摘され、弁護士廃業に追い込まれた。オウム裁判における安田氏の弁護活動は、地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズエさんでさえ、私の取材に「黙秘する被告も、安田さんが質問すると返事をする。法廷が終わると、私たちにも『つらかったでしょう』と声を掛ける。相手の心の中に入ってゆける人で、安田さんがいなければオウム裁判は成り立たない」と語っていたことも、つけ加えたい。
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無罪判決後の、安田氏の言葉を紹介する。
「逮捕直後は、正直言って『やっとこれで弁護士をやめられる』と、ほっとした」 当時、安田氏はオウム裁判に忙殺され、徹夜も度々という生活で月四回の公判に備えていた。逮捕直前、私が事務所に出向くと、安田氏の机の脇には、寝袋と折り畳み式ベッドがあった。
「しかし三、四日して体力が回復してくると、激しい怒りが抑えようもなくわき上がり、怒りで目が覚めることも度々でした」 「捜査・公判は事実ではなく、政治的意図に基づいて動いていた。私は警察と検察が敵対するものをつぶすために権力を使ったと、そう思っています。そして、私の身に起こったことは、ほかでも起こっている。これでは戦前の国家警察とどこが違うのか」
裁判長は何を「いろいろ話したかった」のか。そこに、底知れぬ権力犯罪のにおいを感じとっていたのではないかと、私は思っている。そして、検察の「正義」を疑うことなく、私を含めてメディアはまたも、逮捕・起訴段階で安田氏の「断罪報道」を繰り返してしまった。
検察は東京高裁に控訴し、審理はなお続く。
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強制執行妨害罪・安田好弘被告に逆転有罪
2008年4月23日 産経新聞
旧住宅金融専門会社(住専)の大口融資先だった不動産会社に資産の差し押さえを免れるように指示したとして、強制執行妨害罪に問われた弁護士、安田好弘被告(60)の控訴審判決公判が23日、東京高裁で開かれた。池田耕平裁判長は、1審東京地裁の無罪判決を破棄し、罰金50万円(求刑懲役2年)の逆転有罪を言い渡した。
判決によると、安田被告は、不動産会社社長(72)=懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決確定=らと共謀し、同社の所有するビル2棟の賃料の差し押さえを免れるため、平成5年3月〜8年9月、ビルをダミー会社に転貸したように装い、計約2億円を隠した。
安田被告が、ビルを別会社に転貸して賃料を移し替えるというスキームを考案したことには争いはない。控訴審では、このスキームが強制執行を免れる目的で提案されたものか否か▽社長らとの共謀の有無−などが争われた。
検察側は、安田被告が提案したビルの転貸は「結果的に強制執行妨害を生じさせることは明らかで違法」と指摘。共犯者の供述などからも「共謀が認められる」と主張していた。
一方、弁護側は1審の約1200人を大きく上回る約2100人の弁護団を結成。1審同様に「事件は捜査当局が作り上げたもの」などと無罪主張していた。池田裁判長は、共犯者の供述内容を認めた上で、「幇助(ほうじょ)犯にとどまる」と判断した。
1審判決は、安田被告との共謀を認めた共犯者らの供述を「信用できない」と判断。「スキームは適法な再建策。強制執行逃れの指示ではない」として無罪を言い渡した。
安田被告は、22日に広島高裁で死刑判決が言い渡された山口県光市の母子殺害事件など多くの刑事事件で弁護人を務めているほか、死刑廃止運動の中心的存在としても知られる。
◆「安田事件」/“民意”を追い風にした政治的背景/底知れぬ権力犯罪のにおい/繰り返される断罪報道2011-12-10 | 死刑/重刑/生命犯 問題
◆鈴木宗男前衆院議員「議員秘書として永田町に戻る」「私は一貫して小沢氏の立場を支持している」2011-12-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
◆鈴木宗男元衆院議員 仮釈放記者会見/「帰りを祝う会」に小沢一郎・鳩山由紀夫氏ら100人以上の国会議員2011-12-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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鈴木宗男元衆院議員 「ウソの証言で有罪に」と、北海道開発局元港湾部長を提訴
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