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ますますアホらしい小沢一郎氏裁判 「期ズレ」はまったく問題なし

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ますますアホらしい小沢裁判 会計、法律のカリスマ教授が決定的証言
日刊ゲンダイ2011年12月21日
「期ズレ」はまったく問題なし
 「資産取得と支出の記載時期は同一年分であるべき。問題となった収支報告書に記載を移したのは、当然の帰結だ」
  小沢裁判で、またもや決定的証言だ。20日の第11回公判に証人出廷したのは、筑波大の弥永真生教授(50)。明大在学中に司法試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験を次々と突破。その後、東大法学部に学士入学し、首席で卒業した経歴の持ち主だ。
 「弥永氏は商事法と制度会計のエキスパート。商法や会社法に関する数々の著書は司法試験志願者のバイブルとなっています」(司法関係者)
  そんなカリスマ教授が、「会計学上は陸山会の土地購入に関する会計処理は許容範囲」と、お墨付きを与えたのだ。
  陸山会は04年10月に約4億円で土地を購入し、05年1月に所有権移転の本登記を行った。本登記に合わせて土地の取得や支出を05年分の収支報告書に記載。この「期ズレ」の問題で、小沢は元秘書3人との「虚偽記載」の共謀罪に問われ、裁判に縛られてしまった。
  しかし、弥永教授は「企業財務と収支報告書の会計基準には違いがある」と主張。上場企業なら、経営実態に即した迅速な会計処理が求められるが、政治団体には株主や投資家もいないし、収支報告書の会計基準は「主婦の家計簿レベルに近い」と証言した。
  不動産取得の計上時期も「土地の引き渡し時期を外部から確認できる登記時を基準とすべき」と語り、本登記前に代金を支払っても「『前払い』にあたる。記載義務はない」と明言した。
  さらに政治資金収支報告書が国民への情報公開を目的にしていることを強調し、「支出だけを記録してもそれに見合う資産計上がなければ、国民の誤解を招く。数年分をまとめて見て、初めてひとつの取引が判明するような作りでなく、資産取得と支出の記載時期が同一年分であることが望ましい」と指摘したのだ。
  検察官役の指定弁護士は「もっぱら報告書の記載を1年遅らせるために所有権移転の登記を翌年にずらした場合も、(こうした手法が)認められるのか」と問い詰めていたが、弥永教授は「動機は関係ない」と断言した。
  ますます、裁判は無意味となり、マンガの様相を呈してきた。
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小沢一郎氏裁判 第11回公判 「虚偽記入にはあたらない」弥永真生筑波大教授(商事法)の証人尋問2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第11回公判 会計専門家「収支報告書は家計簿と同じレベル」
 産経ニュース2011.12.20 22:13
 
 弁護人「『法的形式』がより重視される理由はありますか」
 証人「形式であれば外部から見ても分かる状態で会計処理され、主観の見積もりが入りづらいです」
 弁護人「他にメリットはありますか」
 証人「(会計書類の)作成者も予想の見積もりを立てる必要がなく、簡単です」
 弁護人「専門知識がなくても『法的形式』であれば会計処理できると?」
 証人「おっしゃる通りです」
 《教授はすでに提出した意見書の中で、「法的形式」の観点に基づけば、本登記の時点で土地代金の支出を収支報告書に記載した陸山会側の対応に問題はなかった、としている》
 証人「不動産の引き渡し時を特定するのは難しい場合もある。客観的に確定される登記時が、中小企業であれば基準になります。むしろ、本登記していないものを収支報告書に計上することに問題が生じる可能性もあります」
 弁護人「資産取得と支出の計上時期は、同一年度であったほうがよいと考えますか」
 証人「支出だけ記載され、資産の記載がなければ、誤解を生む恐れがあります。例えば前年に5万円の手付金を払い、翌年に95万円で資産を取得したとしても、資産取得代金が『95万円』と記載されるべきではないと考えます」
 《教授は会計学の視点で、資金管理団体の帳簿について、一般企業と同様の厳格な基準で論じるべきではないと繰り返し強調する》
 弁護人「政治資金規正法は、資金管理団体にどの程度のレベルの会計処理を求めていますか」
 証人「現金の収支がきちんとしているかどうかを求めているが、公認会計士も監査法人も通さない仕組み。非常に乱暴な言い方になるが、主婦が家計簿をつけるレベルにかなり近い。せっかくつけたから、配偶者に報告する、そういうイメージだ」
 弁護人「会計学の専門家でなくても作れるのが収支報告書ということですね」
 証人「会計だけでなく、法的な知識がなくても作成できるもの。(一連の土地売買が)終わっていないから記録しなくてもいい、という素朴な感覚を否定するルールを(政治資金規正法が)定めているとは考えられません」
 《弁護側の尋問が終わり、30分の休廷を挟んだ後、指定弁護士側の反対尋問が始まった。質問に立った指定弁護士は、教授の意見書は前提事実に問題がある、と指摘した。不動産会社と陸山会は16年10月に、同月内に売買が完了するとの契約を結んだが、登記は翌17年1月に行われた。弁護士側はその過程で「売買契約が売買予約契約に変更された」と主張、指定弁護士側は「売買契約は10月中に完了した」としているが、この争点が欠落している、という内容だ》
 指定弁護士「売買予約契約に変更されたと理解したんですか」
 証人「変更と推測しました。若い頃には法学を勉強した身ですから。暗黙の理解で当然、契約内容の変更があると思ったが、意見書では会計学の専門家として、そのことに直接ふれていません」
 《指定弁護士は本登記を17年1月にする、という内容の司法書士あての委任状を廷内モニターに表示した。委任状は本登記日の「1月7日」部分が手書きされている。実質的には、16年中に売買に関するすべての業務が終わっていたとして、指定弁護士は教授に質問。これは、教授が意見書を提出した段階で持ち合わせていなかった情報で、指定弁護士側は判断の変更を迫っていく》
 証人「白紙で委任状が出されていたなら、(16年に)所有権の移転がなかったというのは無理がある、ということはありえます。しかし、(「1月7日」が)事後に埋められたのでなければ、やはり最終的に手続きが終わったのは1月7日となる。会計学的な評価は難しいです」
 《指定弁護士は16年分の収支報告書で、登記を終えていない別の不動産が、売買契約段階で記載されている点を指摘。教授は「16年分の収支報告書に土地購入を記載したくなかった、という動機1つでは、翌年の記載が合理性を欠くとはいえない」「矛盾の可能性はあると思うが、はっきりいう根拠がない」》
 裁判官「16年に取得した土地を17年分の収支報告書に記載してかまわないということですね」
 証人「そうです」
 裁判官「どの条文を解釈しているんですか」
 証人「取得年月日を書けという(政治資金規正法の)要求は、報告書を作成する人が、本登記した日を書くと理解されます。16年に土地取得を書けないのに、支出だけ書くのはアンバランスです」
 裁判官「でも、司法上は誤りなんですよね」
 証人「土地取得が(年内に完了していると)特定できていれば、誤りです」
 裁判官「後で誤りが分かっても、直さなくていいのですか?」
 証人「難しい質問です。企業が過年の誤りを一つ一つ訂正しているかどうか…」
 裁判官「誤りは直した方がいいですか」
 証人「直した方がいいか、そこまで要求されているかどうかは言い切れません」
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「検察の失墜」田原総一郎×郷原信郎2010-10-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
田原:ぼくが違和感を覚えることがあるんです。新聞が民主党の代表選挙の前にやった世論調査では菅さんがだいたい7割で、小沢さんが2割に達しなかった。ところが、告示以後の演説は、小沢さんのほうが面白いんですよ、率直に言って。中身もあるし夢もある。だから小沢さんの支持率は上がるんじゃないかと思ったら、結局、小沢さんの支持率は上がらなかった。何だろうと。国民の多くには、小沢は汚い、あいつは悪いヤツだという認識が相当浸透しているんじゃないかと。
郷原:それは間違いないでしょうね。昨年の西松建設事件が何だったのか、大久保秘書が捕まった事実が何だったのか、小沢さんにどういう疑いがあったのか、そして世田谷の不動産の事件っていうのがいったいどういう事件で、石川さんはなんで捕まったのか、そして小沢さんはどういう疑いで調べを受けたのか、こんなこと正確に言える人は世論調査を受けている人の100人のうち1人もいないですよ。
田原:いないですよ。分かんないでしょう。
郷原:要するに、何か金の問題がある、政治と金の問題だ、そして世田谷の不動産に関しては4億円。これだけでイメージが出来上がってしまっているんです。
田原:検察がリークしたかどうか分かりませんが、とにかくマスコミで、新聞やテレビで、小沢汚い、悪いと相当そういう情報を氾濫させましたね。
郷原:ツイッターでこういうことを書いている人がいました。一連の小沢さんに対する捜査の中で多くの市井の「おばちゃんたち」は、小沢さんは西松建設から4億円貰って、その4億円で世田谷の不動産を買ったと、そう思ってますよって言ってる人がいたんです。そうか、確かにそう言われてみると、みんな、そういうふうに思ってるのかなと思いましたね。
田原:そこでひとつお伺いしたい。大新聞の世論調査は、もちろんテレビもそうですが、みんな小沢さんの支持率は非常に低い。ところがネットの世界・・・。
郷原:全然、違いますね。
田原:逆転なんですよ。代表選中にニコニコ動画でやった調査だと、小沢さん支持が78、菅さん支持が20あるかないか。なんでこんなネットは小沢さんが高くて、大マスコミは小沢さんが低いんでしょうね。
郷原:ニコニコ動画もそうですけども、ネットというのは、まさにその素材を直接見て誰が何を言っているのかということを、まず分かってますよね。その意味じゃ、ちゃんと考えて見ているわけですよ。何となく訳分かんないけど、イメージだけで良い悪いを判断してるんじゃない。しかもネットには一般のテレビと新聞とは違う情報が流れているんですよ。ツイッターの世界もそうですし、ブログの世界もそうです。そこを見ればいろんな意見があって、こういう見方がある、どの見方が正しいのかっていうことだって自分で判断できるんですよ。
田原:なるほど。これを流しているのはネットの世界だね、今?
編集部:はい、そうです(この対談はUstで生中継しました)。
田原:これを聞いている人、見ている人の中では、小沢さんの支持率が高いのかな?
郷原:その可能性、高いですね。
編集部:今、ツイッターへの書き込みをみても、相当、検察批判をされている方がおられるので。
田原:ツイッターに何か質問は来てない?
編集部:たとえば村木さんの郵政不正問題で民主党の政治家を狙ったというのは、政治家の力で検察がそう動いているのか、それとも検察独自の「検察の正義」というのがあって勝手に動いているのか、どちらでしょうか。つまり政権与党が野党の民主党政治家をやろうと思ってやらしているのか、それとも検察が独自の判断でやっているのか、という質問です。
田原:郵政不正のときは、民主党は野党だったんだよね。
郷原:私の経験からすると、政治家の側に、これをやれと圧力をかけられて検察が動くという可能性はあまりないと思います。そうじゃなくて、検察の側がそれなりにこういうふうにやった方がいいんじゃないかという判断をして動く場合が大部分だと思うんですよ。ただ、私の特捜検察での直接的経験というのはかなり前です。2000年以降の検察でどういうことが起きているのか、ちょっと分からない面はあるんですよ。例えば、三井環さんのように、例の裏金問題で、検察は小泉政権に、自民党サイドにずいぶん世話になってしまって、それから自民党とベッタリになったという見方をしている人がいますよね。
田原:三井環さん、もちろん知ってる方が多いと思います。すこし解説を加えると、三井さんは検察の幹部のときに、逮捕されたんですね?
郷原:大阪高検の公安部長です。
田原:その公安部長が、検察の告発をしたんですね。
郷原:裏金問題を告発しようとした。
田原:その日は、夕方、テレビ朝日の番組に出ることになっていた。そしたらその直前に逮捕された。
郷原:三井さんのお話によると、人事問題などを巡って時の政権に検察がお世話になって、そして最終的には裏金問題も目を瞑ってもらって、そこで自民党政権にお世話になったんだと言うのです。そこでいってみれば毒饅頭を食うような形になって、それから自民党政権には頭が上がらなくなった、と。それ以来、政治と検察の関係が変わったんだという見方をする人がいます。そこは私は検察にいなかったので分からないですよ。しかし私の経験から言うと、検察の中にはやはり検察の内部でのモチベーションの維持とか、組織としてみんながある程度一体として纏まっていくために、あまり無茶な政治との結託をやると却っておかしなことになるということは、ずっとみんな考えてきたと思うんですよ。ですから・・・。
田原:現に、小沢さんの世田谷の深沢の土地の問題を検察がドンと言い出したのは、民主党が政権をとって以後ですよね。
郷原:そうです。これはどう考えたって、政治と結託するなんていう話じゃないんですよ。むしろ、小沢さんを何とかして叩き潰したいという、いってみれば遺恨試合ですね。
田原:そこを聞きたい。なんで検察が、小沢一郎を叩き潰したいと、こう思い込んでるんですかね。
郷原:まず一つは、西松建設事件で失敗してしまった。いってみれば一旦拳を振り上げてやっつけようとした人間を潰せなかった。その潰せなかった人間が大きな力を持つようになったら、それは報復されるんじゃないかっていう思いがありますね。
田原:あ、報復か。
郷原:そういう思いがあったり、そもそもやはりもともと田中派の重鎮だった小沢さんとの昔からの確執みたいなものがあるかも知れないです。何とかして小沢氏を政治的に力を弱めようという意図が働いていた可能性もありますね。
田原:なるほど。田中派のいわば中枢にいて、田中派のやり方を今もやってると、検察はこう思い込んでいるんですね。
郷原:まあ、少なくとも検察との関係は良くない人間で、もし彼が政治的に権力を握ると検察にとって大変なことになるという危惧感はあったかも知れないですね。
田原:ちょっと聞きたいんですが、検察は少なくとも小沢さんの問題で、深沢の土地の問題では結局起訴できなかった。そういう意味じゃ、検察にしちゃ失敗です。ところが、その後の小沢さんの支持率の低さ、代表選挙の結果を見ると世論操作では成功してるんじゃないですか?
郷原:検察が成功したというよりも、検察が小沢氏の事件に関しては力尽きたわけですね、不起訴で。その後今度は二段ロケットとして、検察審査会というロケットがボンと噴射したわけですよ。それを使ったメディアの反小沢キャンペーンが成功してるっていうことじゃないですかね。
田原:検察審査会のことは郷原さん、どう見ます?
郷原:これはきちんと整理して考えないといけないんですよ。まず、検察はあれだけ執念深く小沢氏の刑事責任を追及しようとして、石川氏まで逮捕して、小沢氏を聴取して、それにも関わらず起訴できなかった。不起訴だったわけですよ。これが検察が組織として本来起訴できるものを、何か弱気になって、あるいは小沢氏の側に特別の計らいをして不起訴にしてやったということは通常は考えられない。ぎりぎりまで起訴できるものだったら起訴しようと思って捜査をした結果が不起訴に終わったわけです。あれは検察の敗北だったわけです。その検察の不起訴という処分を受けて検察審査会が、11人のいってみれば素人の人達の市民の集まりですね、この人たちが、起訴すべきだ、起訴相当だという判断を出した。前にも言ったように、犯罪とされるものの中身も単なる期ずれですよ。2カ月ちょっと不動産の取得時期がずれてるっていうだけですよ。そういう事実で起訴相当っていう判断を出した。その時に検察審査会の議決書のなかでは、市民の考え方からしてそうなんだ、こういう観点から起訴すべきなんだという、検察審査会の議決を受けて、検察は再捜査したわけです。それでも検察は、それを受けて再捜査しても、また不起訴ですよ。
田原:そうでしたね。
郷原:これだって、できるものだったらやりたいんだけども、やっぱり不起訴です。ということで、まさに国家機関である、訴追権を行使する国家機関である検察の判断は、不起訴っていうことで固まってるわけです。この不起訴は嫌疑不十分ではない。嫌疑なしじゃなくて嫌疑不十分だから嫌疑があるんだというふうなことを、訳の分かんないことを言う人がいるんですけども、そうじゃないですよ。裁判だって無罪判決っていうのが、疑いがあったって証拠で証明できなければ無罪です。それと同じですよ。嫌疑なしっていう裁定はあるけれども、それは人違いだったとか、別の犯人が見つかったとかそういう場合が嫌疑なしであって、とにかく犯罪事実が立証できないときには嫌疑不十分、不起訴なんです。そういう形で国家機関である検察の判断は、これでもう確定しているんですよ。これから先は、検察審査会法上は、その場合でも検察審査会にもう一回戻されて起訴相当の議決が出た場合には、もう一回審議をしなさい、その結果市民の審査員の中の11人中8人以上が起訴相当っていう議決をしたら起訴の手続きを指定の弁護士が取りなさい、そういうことなんです。しかしそこの部分は、もう国家機関たる検察の判断が出た後に、でも念のために裁判所で全部証拠をもう一回検証してみて、本当に不起訴でいいのかどうかをチェックしてみよう、確かめてみようと、こういう手続きなんですよ。それは何故かって言ったら、市民が、検察の処分だけでは終わらせるべきではない、まだちょっと納得できないところがあるから、念のために裁判所に判断してもらってくれと言ってるだけなんですよ。これはこういう例えで考えたら分かりやすいと思うんです。検察の不起訴までは、正式なコンサートの曲目です。プログラムに載ってる、一曲目はこれ、二曲目はこれっていう正式な曲目です。これは終わってるんですよ、検察の不起訴で。その後にアンコールといって、もう一曲、二曲演奏する場合があるじゃないですか。これなんですよ。拍手が鳴り止まないから指揮者がもう一回出てきて曲を演奏する。それなんですよ。
田原:ただね、郷原さん仰るけど、逆にいうと、例えば明石の橋で大勢が亡くなったあの事件、それからJR西日本のあの問題。あれは検察審査会が起訴相当とやって起訴された、ということがありますね。
郷原:ですから、あれも議決書の中に書いてありますよ。起訴しても、有罪になるかどうか分からないっていうか、有罪の可能性は低いかも知れないけれども、裁判所で最終的に明らかにすべきだという理由で起訴相当の議決をしてるんですよ。明石だってそうだし、尼崎の事件だってそう。この二つも有罪になる可能性はきわめて低いっていうことは、刑事法関係者の中では常識なんですよ。
田原:そうか。あれは検察審査会で起訴されたわけで、有罪かどうかじゃないんですね。
郷原:全然違いますよ。有罪になると考える人はきわめて極々少数ですよ。ただそれでも、ああいう事件を検察だけでは終わらせるべきでないという判断なんです。特に明石の歩道橋の事件っていうのは、警察幹部の事件なんですよ。警察幹部の事件っていうのは検察と警察の関係を考えたら・・・。
田原:一種の馴れ合いがあるんじゃないかと。
郷原:ええ、そういう疑いがあるから検察限りで終わらせるべきではない、という議決なんです。ところがこの小沢さんの事件はまったく違うんですよ。検察はもう力の限りやって、2回力尽きてるんですよ。後、それでもアンコールって言ってるだけなんですよ。このアンコールを中心に考える人はいるのか、コンサートは正式曲目を前提にチケットを買うんじゃないのか、ということなんです、問題は。
田原:一つお聞きしたい。もともと郷原さんは検事さんだった。その郷原さんが、今、懸命に検察批判をしている。何故なんですか。
郷原:私は、特捜部のあり方っていうのは非常に問題があるっていうことは、検事をやってる頃からずっと思ってきましたし、ですから特捜検察とは平成5年のゼネコン汚職事件のときで決別したつもりです。まあ、関わらないといけなかった特別な事件もありましたけど。
田原:特捜はどこが問題なんですか。
郷原:それは私の『検察が危ない』(ベスト新書)っていう本の中に書きましたが・・・。
田原:ええ、読みました。要するに、いまや特捜検察っていうものの権力を維持すること、特捜の看板を維持すること、それが自己目的化してるっていうことですね。
郷原:ええ。そしてそのために特捜検察に対する世の中の評判とか、権威っていうものを維持するために、ちょっと普通じゃ考えられないようなことが行われる世界、それがまさに今回の村木さんの事件で裁判所から断罪された取り調べのやり方です、ストーリーの組み方です。
田原:それはとんでもないと思う。ただね、もう一つ、宗像さんも言ってるけど、つまり、特に難しい事件のときに特捜部が出て来る。難しい事件だからもちろんいろんな問題があるけど、じゃ、難しい事件は扱わなくてもいいのかっていったら、そうじゃないと。宗像さんが言ってる、難しい事件の場合に特捜部が出るんだと、この点はどうなんですか。
郷原:特捜部が想定している敵というのは、ちょうど日露戦争の日本海海戦におけるバルチック艦隊みたいなものなんですよ。要するに、大国ロシアの無敵艦隊、それに小国日本の連合艦隊が立ち向かう。これはもう普通じゃ勝てない、そこで日本の連合艦隊の幹部以下が心を一つにして、しかも大砲の性能をいかんなく発揮して、そしてT字ターンという本当に会心の戦法をとって、それで勝った日本海海戦、バルチック艦隊を撃破した。こういう戦争の勝ち方っていうのが特捜部の原体験であり、それがロッキード事件なんです。それを想定しているんですよ。本当に大変な巨悪っていう敵を叩き潰すために、こんな重装備でこれだけの大砲を持って、これだけの人間が集まって、これだけのことをやらないといけないということの想定で特捜部ってできているんです。でも、ひょっとすると今狙ってる相手は民間の商船かも知れない、漁船かも知れないんですよ。村木さんなんて、まさにそうじゃないですか。それに対しても同じようなやり方をして、同じように叩き潰す。
田原:非常によく分かる。問題はいっぱいあるんだけど、ただね、田中角栄さんがロッキード事件でやられたときに、割にマスコミの中で流行った言葉がある。「検察民主主義」だと。日本の政治は民主主義じゃない、やっぱり金と力で政治が進む。こういう政治の中で、検察が民主主義を維持していると、こういう言い方もありましたね。
郷原:うーん、異常な世界ですよね、異常な国ですよ。検察っていう捜査機関、検察っていう国家権力の一つ、しかも民主的な基盤って何一つ持たない、その検察っていう組織、これがすべて正義ですべて正しいことやって、悪い政治家はこいつがいい、こいつが悪いっていうことを全部・・・。
田原:検察が決めていくと。
郷原:そういうことが許されている。先進国って言えるんですかね。
田原:なるほど。
編集部:ツイッターでは、検察批判が大マスコミには出てこないのは、検察と新聞、テレビが癒着構造にあって、このチェック機能が働いていないのが問題ではないか、という意見がかなりあります。
田原:いつもぼくはこの話をするんですが、例えば小沢さんの問題で、サンデープロジェクトという番組に郷原さんに出ていただいたのは、テレビ局はたくさんあるんだけどもサンデープロジェクトだけなんですよ。で、サンデープロジェクトに郷原さんに出てもらおうと思ったら、局が「反対、出すな」と言ってきた。
 なぜかっていったらね、サンデープロジェクトに郷原さんに出ていただくと、テレビ朝日の司法記者担当の記者が取材ができないと、検察が意地悪して。こういう問題があるんですね。
 さらに言うと、新聞が、明らかに検察の関係者がリークする、そういう記事を書くときに、「関係者によれば」とか「検察関係者」と必ず書かない。何故だってある新聞記者に聞いたら、検察関係者と書いたらその新聞の司法記者は出入り差し止めだと。
郷原:今のメディアの構造、新聞とかテレビを巡る構造を考えると、そうなってしまうのもやむを得ないと思うんですね。要するに、メディアの構造自体が完全に単一化、単純化されているわけですよ。検察の問題を扱うんだったら、司法クラブと司法クラブ出身者の遊軍で検察幹部と親しい記者たち。この人たちが完全に新聞の紙面もテレビの画面も抑えてしまう、支配してしまうんです。ですから、その人たちっていうのは考えてることが検察と変わらないです。特捜検察と同じ方向を向いているんです。ですから・・・。
田原:僕もマスコミは一員です。そうじゃない人間もたくさんいると思うけども・・・。
郷原:ですから、ごく例外的なんですよ、田原さんのような考え方の人は。一般的にそうです。司法クラブにいると、そういうようなスタンスでないと確かに・・・。
田原:取材できない。
郷原:しかも、司法クラブだけじゃなくて出身者だってそうですよ。ただ問題なのは、そういう人はそういう人で、そういう仕事をすればいいじゃないですか。でも、そうじゃない人がいて、そういう人の情報もある程度選べて、批判的な見地からいろんな取材をしていく、いろんな批判もしていくということができれば、一つのメディアの中でバランスが取れると思うんですよ。
田原:村木さんの問題に戻ると、村木さんもいろいろ新聞に訴えてらしたけど、やっぱり扱いは小さいですね。いや、この判決前ね。
郷原:今日はどうだったんですかね(対談は村木さんの無罪判決当日の夜)。私、ニュースとかあんまり見てないんですけど。
田原:今日の夕刊でしょう。
編集部:特に面白いのは、今週になって急に言い訳のように、村木さんのインタビューなどの記事が出始めました。それまではそういう報道は全然なかったんですけど、急にこの辺で、要するに書いてもいいのかなっていう雰囲気が出てきて・・・。
田原:勝ち馬に乗るってやつ?
編集部:そういう感じでしたね。
田原:今日は有り難うございました。
郷原:有り難うございました。  (了)
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小沢氏起訴議決検察審査会=11人の愚か者が下衆(げす)の感覚によって国民生活の足を引っ張る判断をした2010-10-07 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
「痴呆国家」田中良紹 Infoseek 内憂外患 2010年10月07日 09時00分
 11人の愚か者が1億3千万人の国民生活の足を引っ張る判断をした。政治を裁く事の重みを知らない下衆(げす)の感覚によって、この国の政治は混乱させられ、世界に類例のない「痴呆国家」になろうとしている。
 検察審査会の議決を「市民目線」と評価したり、「小沢氏は議員辞職すべきか」と質問したり、小沢氏を国会に証人喚問すべきだなどと主張する馬鹿がこの国にはいる。今回の容疑事実を知り、検察審査会の仕組みを知ったら、恐らく世界はその馬鹿馬鹿しさに驚くに違いない。しかしその愚かさに気付こうとしないのだから「痴呆」と言うしかない。
 やはりこの国は驚くべき未熟政治国家である。何故そうなるのか。私は国民が全く「政治教育」を施されていないからではないかと考える。子供の頃から教えられるのは、日本は民主主義で、三権分立であり、国会が国権の最高機関であるという建前の話だけである。現実の政治がどのように動いていて、建前と現実との間にどのような乖離があるかなど絶対に教えてもらえない。
 建前しか教えられていないから、日本人は民主主義を「素晴らしい制度」だと思い込み、その上で「反権力であることが民主主義」だとか、「庶民感覚を大事にする事が民主主義」だとか、とんでもない嘘を吹き込まれている。国民が投票で選び出した政治権力は国民と一体の筈であり、諸外国の謀略に打ち勝たなければならない政治家に庶民感覚を求めても意味がない事を知ろうとはしない。
 その庶民は、政治にとって最も大事な権力闘争を「汚れた行為」と捉え、物事を実現するために権力を集中させれば「反民主主義」と叫び、民主主義のかけらもない官主主義の国を民主主義国だと信じ込む。政治家を口を極めてののしるかと思えば、まるで芸能人を見るかのようにあがめ奉る。民主主義は衆愚政治と紙一重だが、この国では官主主義が国民を愚かにしている。
 英国のチャーチル元首相に言わせれば民主主義は「最悪の政治制度」であり、政治は人間の欲望がむき出しになる世界である。そういう事をこの国では決して教えない。学校は政治教育を忌避し、教える教師もいない。国民に主権を発揮されては困る官僚にとって、政治教育がない事は何よりである。国民が目覚めて本当の民主主義をうち立てられては困るからだ。
 かつて私が提携したアメリカの議会中継専門放送局C−SPANは、国民に対する政治教育を目的に設立された。議会の審議を放送する一方で、選挙権のない若者に対する政治教育に力を入れていた。議会審議のビデオテープを学校教育に使うように全米の大学と高校に働きかけている。
 私は実際に議会審議のテープを授業に使用しているイリノイ州の大学を取材したことがある。教授が選んだ審議の映像を学生達に見せ、それを巡って学生が討論を行うという形の授業だった。現実の政治家の議論が教材になっていた。そしてC−SPANは中継車で全米の大学と高校を回り、学生達の政治討論番組を生中継している。
 ある時、テレビを見ていたレーガン大統領が高校生の討論に電話で飛び入り参加した。それが全米で話題となり、私は素直に「素敵な話だ」と思った。日本にもC−SPANのようなテレビ局を作りたいと思った。勤務していたテレビ局を辞め、開局の準備を進めながら、まずは文部省に協力を求めに行った。
 アメリカの例を説明しながら、日本で「国会テレビ」を開局したら、高校と大学だけでなく義務教育の中学校にも普及させたいと言った。すると役人から「社会党と共産党の発言しか見せない先生がいるから」とすげなく協力を断られた。
 アメリカの大学の卒業式では決まって政治家が卒業生へのはなむけのスピーチをする。その時に党派が問題になることなどない。しかし日本では大学が政治家にスピーチを頼む事は滅多にない。そもそも政治家は国民の投票で選ばれた国民の代表である。にもかかわらず政治家は反教育的存在と見なされる。こうした事に私は長い官僚主導国家の岩盤の存在を感ずる。
 そういう国の国民だから、検察審査会の議決で政治を裁く事の重みなど感じない。愚かな11人は極めて非論理的で情緒的な判断を下した。公開の場の裁判で白黒をはっきりさせて欲しいなどという「願望」で政治を混乱させている。裁判で白になっても時間は戻らない。政治を混乱させた罪はどうなるのか、国家的損失をどう償う事が出来るのか。これは日本の司法の一大汚点となるのではないか。
 検察審査会制度はGHQの占領政策の一環である。特捜部と相前後して生まれた。独立したにもかかわらず、日本はいつまでアメリカの占領政策を引きずるのか。いつになったら自前の国造りが出来るのか。とても不思議で仕方がない。
 しかもその検察審査会が強制起訴まで出来るようになったのは、政権交代の総選挙を前に、それを阻止しようと思ったのか、東京地検特捜部が西松建設事件を、大阪地検特捜部が郵便不正事件の捜査に着手して民主党の代表と副代表をターゲットにした「でっち上げ」捜査を行っていた矢先である。「でっち上げ」が上手くいかなくなっても、素人の国民をちょっと洗脳すれば強制起訴に持ち込めると考えたとしても不思議でない。
 目的は以前から何度も書いてきたように小沢氏を有罪にする事ではない。民主党を分断することである。だから鳩山由紀夫氏は白で小沢氏は黒の流れになる。私の知る法曹関係者はみな「鳩山が白なら小沢はもっと白だ」と言う。一連の捜査は刑事目的ではなく政治目的なのである。小沢氏が無罪になっても十分に目的は達せられる。しかしこんな馬鹿をやっている暇は今の日本政治にはない筈だ。まさに「痴呆」と言うしかない。
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三井環事件、鈴木宗男事件でハードルが下がり、郵便不正事件へ。裏金問題の総括なくして検察改革なし


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