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死刑執行 19年ぶりにゼロの見通し/人はそれでもなお、人を命で断罪せずにはすまぬほどの「感情」をもつ

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死刑執行、19年ぶりにゼロの見通し 法相に執行の動きなし
産経ニュース2011.12.27 21:19
 平成23年の死刑執行は27日現在、行われておらず、4年以降19年ぶりに「執行ゼロ」となる見通しとなった。刑事訴訟法の規定では死刑執行には法相の命令が必要だが、複数の法務省関係者によると、平岡秀夫法相が年内に執行を命じる動きはないという。
 死刑執行は昨年7月28日に千葉景子元法相が行ったのを最後に止まっている。戦後、執行がなかったのは昭和39、43年と、平成2、3、4年だけだ。
 平岡氏は27日の閣議後会見で、19年ぶりに執行ゼロとなる可能性について、「いろんな検討をした結果なので、それ自体、大きな意味があるとは受け止めていない」と述べた。
 一方、27日現在の確定死刑囚は130人で、戦後最多を更新。昨年末時点での確定囚は111人だったが、今年1年間で22人の死刑が確定し、3人が病死した。
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〈来栖の独白〉
 本年は、東日本大震災により、多くの生命が失われた。人間や動物だけではない。山河も喪われた。無残に姿を変え、放射能に汚染された。
 このようななかにあって、人はそれでもなお、人を、命で断罪せずにはすまぬほどの「感情」をもつ。この1年間で、22人が死刑確定したという。
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増え続ける死刑囚 「執行なければ、事件は終わらない」と遺族
産経ニュース2011.12.27 21:22
 死刑執行が止まる中、膨れあがる一方の確定死刑囚。平岡秀夫法相は死刑制度について「考えを整理したい」「国民的な論議を呼びかけたい」などと繰り返し、9月の就任以降、慎重な姿勢を貫いている。民主党政権になって法相は次々と交代した。法相個人の意思で執行が止まっている現状に犯罪被害者や遺族からは、刑事訴訟法の改正を求める声も出始めた。
 ■平岡氏の真意不明
 今月19日、法務省内で開かれた「死刑の在り方についての勉強会」。死刑廃止国のイギリス、フランスの専門家が、廃止の経緯や現状などの説明を行い、平岡氏らが熱心に聞き入った。
 死刑執行がストップしている間、法務省内で続けられてきたのが、この勉強会だ。昨年8月、当時の千葉景子法相が「国民的議論の契機としたい」と設置し、計10回開かれたが、進展はない。法曹関係者からは「勉強会は執行しないための時間稼ぎにすぎないのでは」との声も上がる。
 平岡氏は27日の閣議後会見で、「勉強会が何らかの結論を出す性格のものではない以上、個々の問題をしっかり考えていかなければならない」と述べ、勉強会を開く間も執行に含みを残したが、真意は不明だ。
 ■「どちらが残酷か」
 法相の姿勢に、いらだちを隠せないのが遺族だ。
 「死刑が執行されない限り事件は終わらない」と語るのは、平成11年の池袋通り魔事件で長女を殺害された宮園誠也さん(77)。加害者は19年に死刑が確定したが、現在も執行されていない。
 高齢となり、心配なのは自身の健康問題だ。「犯人より早く死ねない」と身体を鍛えるため、週4、5回のジョギングに励み、今年の夏は富士山にも登った。死刑廃止論者の中には「絞首刑は残酷」との意見もあるが、「娘は何時間も苦しんで死んでいった。一体どちらが残酷なのか考えてほしい」と訴え、「法相は死刑を執行したくないから、逃げているだけじゃないのか」と批判する。
 ■法改正求める声も
 死刑囚の数は増える一方だ。今年6月には、強盗殺人事件の被告が控訴を取り下げ、裁判員裁判で初めて死刑が確定。オウム真理教の一連の事件でも幹部3人の死刑が今年確定し、刑事裁判が終結した。麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(56)を含め13人の死刑が確定しているが、いまだに執行されていない。
 21年9月の民主党政権発足後、死刑を執行したのは千葉氏だけ。千葉氏の後任の柳田稔氏、仙谷由人氏(兼任)は短命で執行せず、今年1月に就任した江田五月氏は廃止派で、現法相の平岡氏も「これまで執行に前向きな姿勢はない」(法務省幹部)という。
 全国犯罪被害者の会(あすの会)顧問の岡村勲弁護士は「法相は法を守るべき国の最高責任者であり、法を守らないことは許されない。これ以上、執行しない状態が続くならば、法相から死刑執行命令権を取り上げ、検事総長に移す方向で、刑事訴訟法を改正すべきだ」と指摘している。(上塚真由)
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日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念2011-12-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 日弁連(宇都宮健児会長)は17日までに、死刑制度の廃止を求める「死刑廃止検討委員会」を設置することを決めた。日弁連が死刑廃止方針を統一見解として打ち出すのは、1949年の設立後初めて。オウム真理教関連の刑事裁判が終結し、執行を求める動きが強まる中、広く政府や世論に働きかけ、制度見直しを求める。 2011年12月17日17時05分:共同通信
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日弁連:死刑廃止検討委を設置へ
 日本弁護士連合会は、死刑廃止に向けた議論と提言をする「死刑廃止検討委員会」を年明けにも発足させることを決めた。従来、死刑の執行停止に向けた運動を進めてきたが、全面的に廃止の検討を掲げた組織を設けるのは初めて。
 日弁連は02年に「死刑制度問題に関する提言」を発表。死刑執行停止法の制定などを実現するため、「死刑執行停止実現委員会」を発足させ、死刑問題を考える公聴会やシンポジウムを開催したり海外の法曹団体と意見交換をしたりしてきた。
 今年10月に実施した人権擁護大会では、「死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択。裁判員制度の導入で、一般市民が死刑判決の選択を迫られることなどを踏まえ、国に対し「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」を求めた。
 日弁連は今月の理事会で新たな委員会の設置を決定。「死刑執行停止実現委員会」の名称を変更し、委員の数も増員する方向で準備を進める。
 死刑制度を巡っては、法務省内でも法相の勉強会が設置されており、制度の是非を巡る検討が進んでいる。【伊藤一郎】毎日新聞 2011年12月17日 19時46分
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法相に、死刑執行の法的義務は存在しない/「6ヵ月以内に死刑執行」は、訓示規定に過ぎない2011-02-27 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 千葉景子法相による死刑執行に抗議する 弁護士・フォーラム90 安田好弘  2010年7月28日の執行・執行抗議集会から  
◎法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない
 今回、千葉さんが、「死刑執行するのは法務大臣の義務だ」と言っています。実は、過去、法務省はそのようには言っていませんでした。これを言い始めたのは、後藤田元法相です。彼が1993年3月に死刑執行を再開した後に、自己の行為の正当化のために言い出したことです。彼に対しては、志賀さんや倉田哲治弁護士などが直接会って、執行をしないようにと話をし、彼はそれに対してよく考えてみるとか、団藤さんの本も実際に読んでみるとか、言っていたわけです。ところが彼は死刑を執行し、法務大臣には死刑執行をする法的義務がある、だから執行しないのは怠慢だし、執行しないならば法務大臣を辞めるべきだと、そもそも執行しない者は法務大臣に就くべきではない、と言い出したのです。今回の千葉さんも、詰まるところ同じことを言っているのです。
 私たちはその当時から、法務大臣には死刑執行の法的義務はないのだと言い続けてきました。これはスローガンとして言っていたわけではなく、法的根拠を持って言ってきたわけです。刑事訴訟法の475条第1項を見ていただければわかりますが、死刑執行は法務大臣の命令による、としか書いてないわけです。法務大臣が死刑執行をしなければならない、とは書いていません。これは法務大臣以外の者が死刑執行を命令してはならないという制限規定です。第2項に6ヵ月以内に執行命令を出さなければならない、となっていますが、これは法務省自らが訓示規定と言っているわけでして、絶対に守らなければならないというものではないわけです。
 法務省が言っていますが、法務大臣の死刑執行はどういう法的性質のものかというと、死刑執行を法務大臣の権限としたのは(権限です。義務とは言っていない)、死刑執行は極めて重要な刑罰なので、政治的責任を持っている人間しか命令してはならないものだ。法務大臣は政治的責任を負っているのだから、いろいろの社会的状況を考慮して、政治的な決断として執行を命令するのだ、という言い方をしています。ここからは義務だという発想は出てこないのです。法務省設置法という法律がありまして、法務省の責任や役目を示したものですが、3条、4条にはっきり書いてありますが、法務省の任務に、「基本法制の整備」、「刑事法制に関する企画立案」とあります。彼らの責務として法体制を改革したり改善したり、法律を新しく制定したり、法律を改正したり、ということがあるわけです。ですから法務大臣は死刑執行をすることが義務ではなく、死刑制度について改善したり、新しい死刑制度に関する企画を出したり、その企画が通るまで死刑執行を停止すると、いったようなことが法務大臣の義務としてあるわけです。千葉さんの発言は、これを完全に無視した発言であるわけです。
 さらに言いますと、官吏服務紀律という勅令がありまして、昭和22年に一部改正されており、国務大臣はこれに従わなければならないとされています。その1条には「国民全体の奉仕者として誠実勤勉を主とし法令に従い各職務をつくすべし」とあって、権限を行使する場合は、公僕として法律に則って職務を果たせという職務規範はあっても、死刑執行を命令しなければならないというような、羈束(キソク=つなぎとめる、拘束する)的に、必ず一定の行為を行わなければならないというような職務規範は予定されていないわけです。このように、法の規定からしても、また過去の法務省の理解ないしは解説からしても、法務大臣に死刑執行命令をする義務があるというのは、間違い以外何ものでもないと考えます。この点についても議論しなければならないと、私は思っています。
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死刑執行命令を発する権限と義務
 刑事訴訟法によれば、死刑執行の命令は判決が確定してから6か月以内に行わなければならないが、再審請求などの期間はこれに含まれない。また、大臣によって決裁の頻度は異なり、賀屋興宣や左藤恵等、在任中に発令の署名をしなかった大臣の例もある。第3次小泉改造内閣の法相杉浦正健が就任直後の会見で「私の心や宗教観や哲学の問題として死刑執行書にはサインしない(杉浦は弁護士出身、真宗大谷派を信仰)」と発言したところ各所から批判を浴び、わずか1時間で撤回するという騒動が起きた(ただし、在任中は死刑執行命令を発しないで、結果的に最初の信念を貫き通した形となった)。
 判決確定から6ヶ月という規定は、日本国憲法制定後に、「今までのように死刑執行まで時間がかかりすぎるのは、死刑執行を待つ恐怖が長く続くことになって残酷であり、新憲法の趣旨にも反する」という理由で作られたもので、「犯罪者に対する厳正な処罰のために、6ヶ月で執行しなければならない」とする解釈は、本来の趣旨ではない。判決確定から6ヶ月以内に執行されない事例がほとんどであり、実効性のない規定になっている。
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