小沢一郎氏 若者がネットを使い行動することに希望を見出す
NEWSポストセブン2011.12.28 07:00
東日本大震災や原発事故への対応を見れば日本の政治の無力さが際立つ結果となっている。その一方で、国民の側をただ手をこまねいていていいのかという疑問もわいてくる。政治ジャーナリスト渡辺乾介氏(『小沢一郎 嫌われる伝説』著者)が政府と国民の関係について小沢一郎・元民主党代表に聞いた。
* * *
――あなたが唱えてきた「自立と共生」の視点から、これだけ病み、傷んだ国土、国民、国家の震災後の在り方を語る時に、どういう再生の方向性があるのか。それは国民があなたに注目する大きな一つの視点だ。
小沢:日本には、市民の力によって政治体制を変えた歴史がほとんどないですから、自ら政治を動かそうという発想がなかなか国民の間に生まれてこない。ただ、インターネットの広がりとともに、政治に無関心であったといわれている若い人たちがかなり関心を持ち始めて、そして実際に行動するようになったんじゃないだろうかと思う。原発の問題もそうだけれど、年金の問題でも、掛け金(保険料)を払ったって年金をもらえるのかという先行き不安が現実に出ている。いずれも結局は政治の場で解決する以外にないわけだから、だんだん政治に対する見方が変わってきているんじゃないかという気がします。民主主義社会では、上からの革命というわけにいかない。国民が支持し、国民が支援してくれなきゃ改革はできない。今はほとんどの人がインターネットで情報を共有できるので、普通の人、特に若い人が行動するようになってきたことに、僕は希望を見出します。
――今の答えの中にあったが、年金と消費税がセットで国民生活を闇の中に押し込めようとしている。「国民の生活が第一。」という政権交代の理念と基本政策を、民主党は冷凍保存しようとしているのではないか。
小沢:僕が代表の時に掲げた言葉だから、嫌なんでしょう(笑い)。
※週刊ポスト2012年1月1・6日号
人間・小沢一郎「最後の大構想」
週刊ポスト2012年1月1・6日号
小沢一郎。この稀有で頑固な政治家の「人間」を解剖することは日本の政治の形、国家の形がどう変わらなければならないかを探るケーススタディといえるかもしれない。天の怒りに地の喜びが打ち砕かれた2011年3月11日。政治は荒れた大地に陽炎の如く輪郭を浮かべ、無為に時を重ねた。多くの国民は「動かない小沢」に焦れた。小沢封じの政治の病巣は現実と醜悪な乖離を見せつけた。何をしていたのかという挑みの問いに、小沢が「人の顔」で激しく語った。(聞き手・渡辺乾介氏 政治ジャーナリスト)
■震災対応で二つの「政治問題」
2011年の掉尾を奮う時、東日本大震災を抜きにしては語れない。人々は地震と津波の襲来、息つく間もなく放射能禍に見舞われ、日常のすべての営みを断たれ、最愛の家族と生活の絆、仕事を失い、形骸だけを残した街を目の当たりにした。
被災者は誰も人たることの根源的問い、選択を強いられ、呻吟しつつ、絶望の悲嘆にくれる暇さえなく、生きる使命と希望に奮い立った。その姿は世界に大きな感銘を与えた。
そして、政治と行政の力を求めたが、空前絶後に事態に機能不全に陥り、無力であることを知って、人々は自力で我が町、我が村を興そうと動き出したのだった。やがて恐る恐る政治がやってきた。遅きに失するばかりの復興対策である。被災者は惨状に只中にありながら、政治や行政にかまわず自助自立、相互扶助で苦難に立ち向かってきた。
人災としての放射能禍は、政治が最大の障害というべき連関に人々を押し込め苦しめた。人民あっての政治が、政治ゆえに人々に立ちはだかる。
一体、政治とは何なのか。未曾有の困難と混乱の大震災であればこそ「国民の生活が第一」という民主党政権の拠って立つ基本理念の実践、その真価が問われたのではなかったか。
同時にそれは、政権交代の立役者であった小沢の存在理由であり、国民との約束の政治的価値そのものなのである。
だから、問う。
震災直下で人々が、人たることの根源的問い、選択を強いられ、呻吟していたように、政治家でありながらも、一人の人間として、小沢もまた被災地に立って何を思い考え、いかなる人たる呻吟をしていたか、である。
小沢:被災地の皆さんは非常に厳しい、そして辛い生活をずっと耐えて、長い間頑張ってこられた。亡くなった方々へのお悔やみとご家族へのお見舞いを申し上げると同時に、くじけずに頑張っておられる郷里の皆さん、被災地の皆さんに、心から敬意を表したいと思います。
千年に一度の巨大地震、大津波というのでは、人知の及ばない面もある。そこは自然災害に対する今後の方策を考えていく以外にないんだけれども、政治的には二つの大問題があります。
一つは原発。日本の再建だ、東北の再建だと言っていますけれども、放射能封じ込めに成功しないと日本経済の再建も日本の将来もない。福島第一原発の事故はマスコミでは喉元過ぎればで、なんだか風化したみたいになってますけれども、日本人的な現象で非常に危険だと思います。
この放射能については、なんとしても完全に封じ込めないといけない。そのためには、どれだけお金を使ってもやむを得ないし、封じ込めの先頭に立つのは国だ。ということを僕は言い続けてきたんです。事故の現状は、東電が第一義的に責任者だからといって、東電にやらせていいという状況を超えている。国が自ら先頭に立って、主体的にやらなくちゃいけない。
原発による被災者の皆さんの生活の問題と同時に、放射能をいかにして封じ込めるか。水をかけて「冷温停止状態を達成した」なんていたって、永久に水をかけ続けるのか?今になって、核燃料が圧力容器からメルトスルーして、もうすぐ格納容器の底のコンクリートを抜けるかもしれないなんて、呑気なことを言っているわけですね。
震災の2、3日後には、熱工学の学者をはじめ客観的に事実を見ている人たちは、必ず炉心は壊れていると言っていた。燃料も必ずメルトダウンしているとわかっていたわけですよ。それにもかかわらず、政府は2ヵ月後にようやくメルトダウンを発表して、そして最近になって落ちたウラン燃料がコンクリートを侵食して、底を突き破るまであと30何センチだなんて言ってるわけです。あれ、突き抜けて土の中に入っちゃったら、汚染の拡大を止められなくなりますからね。
それをまず徹底的に封じ込めないといけない。それは国家、政府が先頭に立ってやるべきことです。
もう一つは統治の機構。この機会に「地域主権」を確立すべきですよ。
復興のための補正予算などで金銭的な手当ては一応してあるんだけれども、その使い方は相変わらず旧来と同じ公共事業でしょう。今まで同じパターンで補助金を出すやり方だから、仕事は遅いし無駄が多い。
政府は地方の再建、東北の再生なんて言っていますが、これを機会に我々が主張してきたように中央省庁が仕切る補助金の制度を、地方自治体が自由に使える一括交付金の制度へと変える。これだけの大被害なんだから暫定的にでもやるという理屈も成り立つ。好きなように使ってよいというお金をもらえれば、もっと早く、もっとたくさん仕事ができると言うんですよ。(被災地の)知事も市町村長もそう言う。
相変わらず予算を貰うには、いちいち中央の役所から査定に来る。学校つくるにも、仮設住宅つくるにも、海岸つくるにもすべて中央が査定して、霞ヶ関へ持って行って、そこでまた検討して、やと補助金が出る。しかも、旧来の役所のメニューにある事業、やり方しか対象にならない。
私は、今こそ民主党が政権交代で訴えてきた補助金制度の改革を断行して、一気に「地域主権」を確立すべきだと思う。中央集権の霞ヶ関一極集中の統治機構を変える絶好の機会だと思っているんだけれども、そういう発想はまったく出てこない。非常にジレンマと苛立ちを感じています。
渡辺:あなた自身、大震災が発生して現地に入るまでどういう気持ちだったのか。
小沢:かつてないほど多くの方が亡くなった。僕は昔から浜も何もかも歩いて知っているから、どこがどうなったかはわかる。しかし、生きている者は町づくり、村づくりをしなくちゃいかんから、そっちの方に目が向いた。僕はどのようにして復興財源を賄うかとか、どういうふうに直せばいいのかとかいうことを考えなければならない。だから、達増拓也岩手県知事とはずっと連絡を取り合って協力しながらやってきた。
実はあれだけの大津波にもやられなかった浜があるんですよ。岩手で2ヶ所かな。明治時代に津波にやられた教訓で、昔の村長さんが主導して高台に全部移転していたんだ。それが今回幸いした。だから同じ金を掛けるにしても、そういうことまで考えて、根本的な浜の町づくりをしないといけない。
■「もう帰れない」と伝える責任
渡辺:被災者の人たちが、苦悩、苦難、困難を抱えながらも自分たちの手で何かやらねばならないという、この大衆のエネルギーを政治が汲み取ろうとしないところが悲しく虚しい。
小沢:今回、一般の人たちがお互いに連帯していろいろな救助活動や復興活動に立ち上がった。これは日本人のとてもいいところで、みんなが感動した点だと思う。
一方、地方はいちいち中央の霞ヶ関の許可をもらったりするのが面倒臭くてしょうがないと思っているけれども、それが政治的な運動にならない。そこが日本社会が他の国から遅れているところですね。大きな変革を起こせない理由でもある。本来ならば、特に福島県の人たちなんか、全県民が上京して、霞ヶ関を取り巻くぐらいの筵旗(むしろばた)デモを起こしてもよさそうなのに日本はそうはならないんだね。
渡辺:外国なら暴動が起きても不思議はない。
小沢:政治に何をして欲しいんだというものは必ずあるはずです。それが政治の変革を求める運動に繋がっていかないのが、日本社会の最大の問題だね。
渡辺:元ソ連邦大統領のゴルバチョフ氏は回顧録で、チェルノブイリ原発の事故について「わが国の技術が老朽化してしまったばかりか、従来のシステムがその可能性を使い果たしてしまったことを見せつける恐ろしい証明であった」と書いている。福島原発も同じ問題を内包していると思う。
小沢:溶けた核燃料を取り去るなんて工程表に書いてある。でも、どうやって取り出すの?それをどこへ持っていくの?何も方策がないのに、そんなことを文書にだけ書いてどうするんだ。そういう意味のないスケジュール表みたいなのを作ったって、何の役にも立たないと僕は思う。
それをこのままに放置しておくとなると、今を生きている我々が末代まで責めを負わなければならない。
渡辺:戦争以外であれだけの領土を事実上、失うことは大変な事態です。
小沢:(大きく頷いて)まさにそうです。
渡辺:それだけ重大であるという意味が、政・官・財、大メディアにも共有されていない。
小沢:原発から20キロだか30キロのあたりで、これ以上放射能が拡散しないという保証があるならいいけれども、もっと拡散するかもしれない。まだ政府はなんとなく避難した人たちがいずれ故郷に帰れるみたいな話ばかりしているでしょう。だから避難した人たちは、もしかしたら帰れるかもしれないと思って新しい生活設計ができない。中途半端で宙ぶらりんの状態になっている。これは政治の一番の罪だと思う。
事実上、放射能の強い地域には帰れない。だから、被災者にはきちんとそう言って、新しい生活に対して支援をしていくべきです。みなさん、それぞれ生活設計をしてください、帰るのは当分考えられる限り無理です、ということをじはっきり言わないと避難している人たちに対する裏切りというか、背信、嘘つきになっちゃう。
■増税せずとも当面の金はある
渡辺:被災者も国民も、政治は国民のために動いていないと怒っている。たとえば、原発事故では被曝予測システム「SPEEDI」の情報を隠し、復興を口実にして国民に負担増を強いる。この震災の結果責任の悲劇的なところだ。
小沢:自分が担当している間は無難に過ごせばいいという事なかれ主義、悪い意味の官僚的発想なんですね。誰も泥をかぶらないで、かわい子ちゃんでいたい。官僚だけでなく政治家もそうなっちゃったということですね。
渡辺:あなたが唱えてきた「自立と共生」の視点から、これだけ病み、傷んだ国土、国民、国家の震災後の在り方を語るときに、どういう再生の方向性があるのか。それは国民があなたに注目する大きな一つの視点だ。
小沢:日本には、市民の力によって政治体制を変えた歴史がほとんどないですから、自ら政治を動かそうという発想がなかなか国民の間に生まれてこない。
ただ、インターネットの広がりとともに、政治に無関心であったといわれる若い人たちがかなり関心を持ち始めて、そして実際に行動するようになったんじゃないだろうかと思う。原発の問題もそうだけれど、年金の問題でも、掛け金(保険料)を払ったって年金をもらえるのかという先行き不安が現実に出ている。いずれも結局は政治の場で解決する以外ないわけだから、だんだん政治に対する見方が変わってきているんじゃないかという気がします。
民主主義社会では、上からの革命というわけにはいかない。国民が支持し、国民が支援してくれなきゃ改革はできない。今はほとんどの人がインターネットで情報を共有できるので、普通の人、特に若い人が行動するようになってきたことに僕は希望を見出します。
渡辺:今の答えの中にあったが、年金と消費税がセットで国民生活を闇の中に押し込めようとしている。「国民の生活が第一。」という政権交代の理念と基本政策を、民主党は冷凍保存しようとしているのではないか。
小沢:僕が代表のときに掲げた言葉だから嫌なんでしょう。(笑)
渡辺:政府・与党の中枢部は事あるごとに「国民にも痛みを分かち合ってもらう」という言い方をするが、安易に復興税だ、消費税だとのめり込み、返す刀で年金支給年齢引き上げを画策したりと、国民負担増だけに政治の軸足を置いている。
小沢:これは民主党だけでなく、自民党も同じなんですが、自分たちが唱えてきたこと、選挙に国民に訴えたことは何だったのかということをまったく忘れている。
先日も政府に入っている議員10人ぐらいと会合があったから話してきたんです。「今の時点では、それぞれの役目をこなす以外にないけれども、我々は古い仕組みを変えるんだと主張して政権を与えられたんだから、そのことを頭において仕事をしないといけない。役人の言うことばかりを聞いていたら、国民から自民党以下だと言われる。それだけは忘れないでくれ」とね。
渡辺:「痛みを分かつ」というのは、変節政治家と官僚が自分の無能を隠蔽する常套句だ。あなたは消費税の増税について非常に厳しく批判し反対している。
小沢:我々は総選挙で、特別会計を含めた国の総予算207兆円を全面組み替えて、国民主導の政治と地域主権の社会を実現すると国民に約束して、政権交代を認めてもらった。その理念、主張をまったく忘れちゃって、今までと同じやり方で予算編成を行っている。各省庁の要求を集めたものが総予算ですが、それが前年度の大枠よりちょっと出ていれば一律のカットするというだけのことで何も変わっていないわけです。
我々はそれを変えて、政治主導で国家予算の総組み換えを断行して行政の無駄を省き、中央集権の官僚支配を打破することによって、必要な財源も生み出していくと主張した。それで民主党は政権をいただいたんですよ。なのに何もせずに役人のペースにどっぷり浸って「お金はありません。だから増税です」という話しか聞こえないわけだね。これじゃ、国民の理解は得られない。
渡辺:政府・与党は消費税を5%上げて社会保障、年金財源にするという名分を掲げているが、本当にそうなのか。5%上げると、税収は約13兆円増える。ところが、今年7月に閣議了解された「社会保障と税の一体改革」の成案によると、13兆円の税収のうち、社会保障の充実に回るのは消費税1%分の2・7兆円。うち年金分は6000億円に過ぎない。つまり、消費税は倍に上げても大半は何に使うかわからない。痛みを分かつと言いながら、これではまた官僚に好き勝手に利権食いされるような心配が先に立つ。それが消費税増税の最大の問題点だと思う。
小沢:消費税増税を言う前に私は「当面の金はまだある」と言ってます。増税せんでも財源はある」と言っているんだけれど、誰もそれを言おうとしない。
僕はずっと所得税減税を主張していて、そのためには間接税の消費税の引き上げはいずれ検討しなくちゃいけないかもしれない。それは否定していないけれども、なんの政治理念もなく、何の努力もせずに「痛みを分かち合ってください」というのは詐欺的行為だと思います。税制論議以前の問題だね。
渡辺:消費税アップの「社会保障・税一体改革成案」は7月に閣議了解したといわれているが、実際は与党の国民新党が反対したために閣議決定できず、閣議了解さえもできていない。「閣議報告」という形で当時の菅内閣は発表した。だが、政策だけは既成事実となり野田首相はいつの間にか「もう決定した」みたいなことを言う。行政の正しい手続きすらない。
小沢:野田さんが本当に国民のために、お国のためにそれが必要なんだ、それはこういう理由からだとちゃんと説明して、自分の政治生命を懸けるという決意がはっきりすれば、まだ国民はそうなかなという気持ちになるかもしれない。けれども、上げた消費税を何に使うのかもわからない。ただ闇雲に消費税、消費税と言っているようにしか見えないから、絶対に国民に理解されないと思います。
渡辺:あなたは優しいからそう言う。(笑)でも、野田首相が今の状態でいくら説明し、決意を述べたとしても納得できない。
小沢:いや、僕も賛成しないですよ。
■増税推進なら「他の手段」を考える
渡辺:先ほどの一体改革成案には、現在65歳の年金支給開始年齢の68〜70歳への引き上げが盛り込まれている。増税が年金充実のためというなら、給付が手厚くならなきゃ辻褄が合わないのに、70歳支給になったら、国民の老後は真っ暗になる。現在、厚生年金の平均受給額は月に約16万円だから、支給開始が5年引き上げられると1人当たり1000万円の減額になる。
それだけでも空前の年金カット計画だが、なぜそれが必要なのか。厚生省年金局の「年金検証結果レポート」によると、年金財源に厚生年金で500兆円、国民年金で50兆円、合わせて550兆円の債務がある。1人1000万円ずつ年金を減らすと、厚生年金加入者は約3444万人だから344兆円が浮く。さらに、これから厚生年金に加入する19歳以下世代の削減額を含めると、550兆円の債務を帳消しにできる。いかにも役人らしい悪巧みが潜んでいることを『週刊ポスト』は指摘している。
これが「国民の生活が第一」を掲げて政権交代した民主党内閣がやろうとしている消費税増税と年金改悪の二重詐欺です。あなたの消費税増税批判はちょっと中途半端じゃないか。
小沢:我々は年金制度を根本から変えて一元化すると主張している。月額7万円前後の最低保障年金は消費税を全て充てて安定させ、その上に報酬比例年金を設けて、2階建ての新しい年金制度を作ると提案した。
ところが、それについても政府は作業をしていない。国民との約束をまったく顧みないで、支給開始年齢だけでなく、掛け金まで上げるというのだから、僕は本当に詐欺、裏切り行為だと思う。消費税も年金も所得税も国民負担を増やすという話には僕は到底賛成できない。
渡辺:大新聞も支給開始年齢の引き上げを叫んでいる。いわば内閣と官僚と大新聞の共同正犯行為による詐欺みたいな形になっている。
小沢:ただ、国民はかなり情報を正確に知るようになってきている。国民が情報を得る手段はもうテレビや新聞だけじゃない。いずれ国民に鉄槌を下されると僕は思います。
渡辺:公約に対して忠誠を誓うという意味において、先の大阪のダブル選挙、あるいはその前に愛知のトリプル選挙で当選した市長・知事たちの、有権者に対する死に物狂いの公約実現の努力をどう見るか。民主党も国の仕組みを変えると言ったけれども、今に至る政権の姿は橋下徹大阪市長、河村たかし名古屋市長と真反対です。
小沢:彼らが頑なに自分の主張、市民との約束を徹底して実行しようとしているということは、まず間違いないと思います。
それに反して民主党政権、そして今の自民党も、市民感覚からはもう駄目だと思われている。だから、荒っぽいかもしれないけれど約束は守る、国民のためには旧体制を壊さないと駄目だ、という橋下さんや河村さんに期待する結果になったのは無理もないと思う。
渡辺:その意味では、あなたはもう一度総選挙でその動きを作り直すしかない。
小沢:橋下さんは府庁舎や市役所そのものをぶっ壊さないと本当の改革はできないと主張している。僕も旧体制、アンシャン・レジームをぶっ壊さないと新しい世の中はできないとずっと言い続けてきた。それゆえに「壊し屋」とみんなから非難されているけれど、橋下さんはまだそういわれていないようだから、それだけでも彼はたいしたもんじゃないの。(笑)
予算編成のことを例にして言いましたけれども、自民党政権のときとずっと同じことをやってきておいて、金がない、何がないのと言ったって始まらないんです。
渡辺:民主党がアンシャン・レジームになってしまった。
小沢:(苦笑しながら)そうなんだよね・・・。
渡辺:その民主党をどうやってもう一度ぶち壊すのか。
小沢:僕は現時点においては、野田さんが初心に帰り、政権交代の原点に思いをはせて、そして是非「国民生活が第一。」の政策に戻って欲しいと、ひたすらに望んでいます。そうしなきゃ民主党政権に明日はない。必ず国民から見放される。
渡辺:すでに今日もない。
小沢:ん?今日もないけれども。(苦笑)
渡辺:次の総選挙で「今度こそやります」と訴えたからって国民は民主党を・・・。
小沢:それは信用しない。
渡辺:政策を担保する何か、あるいは覚悟が本気だと思ってもらうための新たな努力が必要ではないか。
小沢:さっき言ったように、僕は野田さんがまず「国民の生活が第一。」の理念に基づいて、しっかりしたビジョンを語るべきだと思う。それがまったくないまま、ただ増税だけを推進しているとなると、民主党政権は滅びる。かといって自民党政権に戻ることもない。日本はぐちゃぐちゃのカオスの状況に入ってしまう。
渡辺:国外に目を転じると北朝鮮では金正日が死亡し、東アジア情勢が流動的になってきた。
小沢:突然のことで大変驚きました。核開発の問題もありますので、日中韓をはじめ関係各国が緊密に連携して、不測の事態に対処しうる体制を早急に構築することが肝心だと思います。
渡辺:選挙までの残り任期は少ない。今の政権が原点に戻らない場合、あなた自身はどういう覚悟を決めるのか。
小沢:その時は他の手を考えなきゃならない。
渡辺:その手段とは。
小沢:今、具体的にどうこう言うわけにはいかないけれども、今の政権がどうしても(原点回帰は)だめだといったら、僕も国民を裏切ることになってしまう。それは困るし、それによる日本の大混乱も防がなきゃならない。何らかの方法を考えなければならない。
渡辺:そのカオスを突き抜けるところで、あなたにとって2012年は相当過酷な年になる。
小沢:最後のご奉公です。文字通り「最後」です。
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◆大マスコミが伝えない小沢一郎 憂国論2011-10-08 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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日本を語ろう フツーの市民vs小沢一郎/最も国民の生命、財産、人権を守るべき裁判所/民主主義国家/2011-10-05 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
■今回の判決について
小沢; この間の判決は大変びっくりしました。というのは、独裁国家でとにかく気に入らんヤツはみんな有罪にしちゃえという社会なら別ですが、「法と証拠」、いわゆる民主主義国家で何の証拠もないのに裁判官が独断で、その推測に基づいて有罪を決めてしまうというのは、ちょっと民主主義国家では考えられない結果だったものですから、ほんとにびっくりしております。
今度の私と私の政治団体に対する最初の捜査から、なんか僕が不正なカネを貰っているに違いないという前提で捜査が、しかも強制捜査が突然始められたわけですね。
中味は結局1年以上かかって調べても、そういう問題はなかったという検察の結果で、そうすると残ったのは何かというと政治資金収支報告書の書き方の話なんですね、ここに書けばよかった、こう書けばよかったと、いう類の話で、そういうことは、ずっと何百件、何千件と、事務的間違いですから、仮に間違いだったとしても、いっぱいあって、大概それは修正報告で全部許されて、許されてというか当たり前なんですけれどもそこの中に他の犯罪が絡んでいれば別ですけれども、収支報告の書き方の問題なんかは、そもそもそういう強制捜査とか、検察の捜査になじまない、いわば指導して修正すればいいわけですから。
そういう結果だったから結局は、検察も起訴するには至らなかったということだと思うんですけれども今度の裁判は、結局、それを不正な金銭の授受があったんだということを推測で前提にしてしまって、それで、有罪だと、こういうふうに決めちゃったものですから、なんていいますか、二重にですね、びっくりしました。
私自身が何としてもこの国を変えなくちゃいけないと、まあ、日本人自身の意識も含めて今までのままではダメだと、国民の生活を長年にわたって、将来にわたって安定させ、守っていくためには変えなくちゃいかん、というのを強烈に思ってますので僕自身。
ということは、旧来の今までの体制を変えるということになるますね、制度とかいろんな仕組みとか行政であれ、何であれ。
それは今までの体制の中で、既得権を持っていた方々にとってはものすごく、ある意味で恐怖といいますか、あいつだけは許せない、あいつだけは国政の先頭に立たせてはいかんとという意識が働くんじゃないでしょうか。
ですから、民主党に所属してますから、そして民主党内閣ですから、今は民主党うんぬんということになりますが、民主党というよりたぶん、僕自身だろうと思います、その彼等の狙いは。
僕個人云々というよりも、こういうような民主主義国家と言われている、あるいは自負している国で、社会でこういうような事が起きると、こういう裁判が行われているということが非常に心配ですね、行われたということが。
ですから、誰かがあれをおとしいれてやろうと思ったら、あいつはこうこう、こういうことしたと、いうとその一方的な意見だけで、じゃあ、判決が、裁判が左右されちゃうのかということになったら、本当にもう暗黒社会になっちゃいますね。
ですから、その意味で僕自身どうのこうのではなくて日本の社会、最も国民の生命、財産、人権を守らなければいけない裁判所までが、そういうようなことになってしまっている、まあ、劣化っていうんですかね、なんか、そういうふうになっちゃっているっていうのが非常に心配ですね。
■民主主義国家とは
小沢; 民主主義ということの実態はそれぞれの国や地域において、必ずしも同じではない。どこから始まったのか。ギリシャからという人もいれば、ゲルマンの森という人もいるし、イギリスという人もいる。
日本は日本人の歴史や風土にあった民主主義国家であればいいと思う。そういうことを勘案した上でも、日本は本当の民主主義国家になってない。日本人自身が認識しなければならない。
結局はお上信仰が残っている。何かあると政府が悪い、あれが悪いと、そういうこともあるが、それに全部負わせている。一人ひとりが自立した個人であることが前提。日本人はどうしても歴史的に豊かに過ごしてきたから余り波風を立てないで、丸く丸くと。自己主張を軽くして満場一致でやればいいという考え方が強い。
「和を以て・・・」というが結果は誰も責任をとらない。誰が決めたか分からない、なんとかくみんなで決めて、それがうまくいかなかったら、誰も責任を取らない。そういうような風土というか風潮が日本社会にはある。しっかりと自らの判断や責任を大事にする相手の判断も大事にすること。そういう意識改革をしていかないと、民主主義が根付かない。
特に戦後日本がアメリカにいろいろな意味でおんぶにだっこだった。そのほうが楽、気楽でいい。特に戦後芽生えてしまい、何かあったらカネを出せばいいと。
それはアメリカからも軽蔑される。独立した国家だと認められない。日本の特質・・・そうした経緯で歪んでしまった。
戦後も敗戦のどん底で全てアメリカの技術や経済をもらって、市場も開放してもらってある意味しょうがなかった。
今はアメリカ自体がおかしくなっている。世界全体が安定した時代ではない。
今の生活を享受しながらしかも平和にやっていこうというならば、自分自身が努力し、意志をもっていかないと、安定した平和を維持できなくなる。
小沢; 議論しなくても日本は平和で豊かに暮らしてきた。古代もはるかに大陸よりも豊かだった。みんな平和に愉しく豊かに暮らしてきた。自己主張するなという風土ができあがった。
今はそういう時代ではなくなった。
日本人はどうしても意見をガンガン言い合うと感情的になって喧嘩になる。ですから日本の社会は、多数決というものは絶対しない。会社でもどこでも、多数決というのは、しない。政治でも組合でもしない。執行部に一任してくださいとなる。一致しなかったら、ずっと議論をやるわけにはいかない。
ここを直さなければならない。
ぼくは日米交渉を3回した。アメリカの指導者が日本を信用しないのは意見を言わないから。「前向きに検討する」といわれOKだと思ったらNOだったと驚いている。
日米同盟というが、アメリカは日本を信用していない。大事な決断を日本はしない。何かあるとアメリカに聞きに行く。
■メディアとネット
小沢; またテレビ新聞のことを批判すると、あれなんですけど(笑)。ネットもそのままを流してくれる。テレビ新聞で何をしゃべってもその通り伝えない。こういったけど実はこうだと、全部偏向した報道したものになる。国民のみなさんに真意が伝わらない。正確に伝えて、良いか悪いかは国民のみなさんが判断してくれればいい。
■民主主義の手だて
小沢; 官が全てを治めていたからでしょうね。官主導で中央集権で、全ての権力が官僚機構に集まってますから。どうしてもその人たちのやり易いように解釈するし面倒くさいことはなるべくさけたい。
それを解決する一つは地方分権で、身近な問題は地方に任せる。
そう言うと、「地方にカネも権力も任せたら酷いことになるんじゃないか」といわれるが、それは傲慢すぎる。仮におかしな問題が出たら、地方のほうが住民からのチェックが効く。国家だとわからない、霞が関で何をしているか。だからチェック機能が働く。
国は外交や防衛に専念する。天下国家のことを議論する。君らは青春を犠牲にして一所懸命勉強して官僚になった。なんでそんなチマチマしていることをしているんだと。もっと天下国家のことをやればずいぶんよくなる。
■陸山会裁判の判決は法治国家の終焉 日本は独裁国家 証拠も確たる証言もないところで裁判官が推測で有罪だと、あるいは天の声があったと、ゼネコンからの1億円の闇献金があってそれを受取ったと。単に三人の証言なんですよ。西松建設事件は東京地検特捜部が1年以上かけて100人以上の検事をおそらく税金を30億円以上使ってるんですね。それで徹底的にゼネコンを強制捜査して叩いたんだけど何も出てこない、立件できなかった。立件できないことを別の裁判で、それが訴因でもないことなのに、1億円をあったと勝手に認めた。
■東日本大震災 原発
小沢; それぞれ内閣の総理以下、役所も一所懸命やっていると思いますが、こういう今までないような災害ですから。
私も災害県岩手県の出身の一人ですが、内閣が先頭に立ってあらゆる手段を講じて復興しなければならないのは当たり前ですが、自然災害、これはもっと復興のためにやれとか金をつぎ込めということはありますが、幸い生き残ったものがお互い力を合わせて、街づくりをする、自分たちの生活を立ち上げるというのが十分可能だが、原発の問題だけは一般の人がどうしようかと思っても出来ない話ですし、このままだと前から言っているが、これを放置していれば日本の復興とか再建とかはありえない。
仰るとおり溶融して解けたものが下に落ちてますし、大量の燃料があるわけです。水で冷やして一所懸命冷やしてを爆発を止められたとしても、燃料がそのままのこっている。地中で、地下水にいったり海水にいったり、空気中にもウランがあるんですから出てるんです。
菅さんの時から言っているが、みんな東電の責任ばかり、第一義的には東電なんですよ。「悪いんだ。悪いんだ」と言っても何も解決しない話なんです。ですから国家的な深刻なはなしですから政府が表に立てと。
今の仕組みは東電が前に立って、お金なり何なりを政府が東電に対して支援するかたちになっている。そうじゃないと、まずは原発そのものを知恵を集めて封じ込める。
これは何兆かかろうが何十兆かかろうがやんなくちゃならないんですよ。それも政府が直接、前面に出てやると。
近所の人は、いずれ帰れると政府もいっているが、帰れないんですよ、ほんと近い人は。そうすると、新しい生活を始めなきゃならないわけですよ。ところが帰れるようなことを言うものだから、新しい生活を違う場所でやろうという気持ちにならない。なんとなく、帰れるだろう、帰れるだろうということになって、結局は不安定なまんま。仰るように、棄民、置き去りにされ、捨て去られたようなかたちでいっぱい多くの人がいるということですから、やっぱり本当に当分は、ここは住めないと、住めないと、
そこにおった人たちに対しては、キチンと生活の安定、これからの生活を支援するために政府が全部やりますよ、ということを生活面でやらなければならない。
あるいは生産、農林水産、いろいろありますけれども、そういう一般生活の面でも、ぼくは政府が、これいっぺんにはできないですよ。これ莫大な金額を要しますからね。
しかし、現実に今生活がこれじゃあおくっていけないという人が出てきちゃってわけですから、そういう人たちに対する生活の支援というのは、当面、政府がやっていくというのは必要だと思います。
何よりもだけどこの原発をね、まあいろんな知恵を出せば、封じ込めることが可能だというふうに聞いております。ですから、これはやっぱり国家が、内閣がそのトップは総理大臣が、やっぱり決断してね、やるべきだと私は思いますね。
さっき言いましたようにね、日本には最終の決断する人がいないんですよ。その立場にある人でさえ、最終決断をしないわけですね、なるべくしないようにしている。
だから自分で責任を問われるのがどうだこうだとか、そんなことを心配している状況ではもうない、というふうに私は思いますので、野田総理には蛮勇をふるってでも、大いなる決断をしてもらって
是非、積極的な、それこそ、今の問題だけではなくて将来にわたってずっと影響があることですから、是非、やってもらいたいと思っています。
■小沢さんがもし即時全基停止して廃炉といえば、ある意味、日本に革命が起きるんじゃないか
小沢; 僕は原子力というのは過渡的なエネルギーだということを最初から言い続けてきたんですが、若干、私も含めまして日本人が、原子力は安全で安く発電できるという、その神話に安住し過ぎたきらいがあるんじゃないかなと、そう思っています。ですから、こういうことを契機にですね、ほんとにエネルギー政策を考えなくてはいけない。
過渡的エネルギーだという以上は、いつか止める話になりますが、今、全部・・・、正確に試算してみないと、国民みなさん、特に生産活動や何かに障害が生じなければ、原子力やる必要はないと思います。
ただ、国民みなさんも電気の消費やいろんな意味で利便を享受しているわけですね。だから、原子力は嫌だけど、電気はいっぱい使いたいとか、いう話になっちゃうとそれは不可能な話になりますから、そういう意味でお互いが生活をちゃんと考えた上でどこまでどうやれるのかとはっきりわかりさえすれば、私は可能なことだと思っています。
まあ、いずれにしても、ドイツは11年後に止めるということを決めました。ただドイツの場合は、ものすごく品質のいい石炭や、その他いっぱいありますからね。ドイツのように日本もいけるかどうかはわかりませんけれども、やっぱり自然なクリーンエネルギーの開発を少し怠ってきたという、ツケがですね、出たんじゃないかと思いまして、できれば、だから原発というのは精査してみて、国民みなさんが「よし、それでいこうや」という合意さえできれば、止めていいと思いますね。
情報を国民皆さんに開示してこなかったというのは事実だと思います。
爆発の直後からいわゆる国の原子力に密接に関わっているひとは別として、専門の客観的な学者の方々は、もうあれで完全に炉もメルトダウンしているし燃料もそうなっているに違いないと、いうことを最初っから言ってましたね3月の時点から。だけど「そんなことない、そんなことない」と言い続けて、三ヵ月後ですかね、やっぱりメルトダウンして今度はメルとスルーしていると。これはもうほんとに、やっぱり政治家が、それなりの責任をもって、情報をきちんと出すということは、原子力は特に命に関わることですから、何としても必要だと思いますね。
ただ、さっき言ったように出して、情報によって起った責任をどうしようとか、じゃあ出すのはいいけれども、どういう対策をおまえは持っているのかと言われたらどうしようとか。そういう話になっちゃうもんですから、結局みんな事なかれの形に落ち着いちゃっている、というのが今の政治・行政の一番欠点だと思いますね。
■ビデオレターの配信して、ユーチューブに定期的に出して。小沢さんが考えていることがわからない。アメリカの茶会派のロンポールさんは75歳ですが、毎日ビデオレターを出していて世界に配信している。それを見てみんな支持している。TPPなどテーマごとに。こういった座談会も月一でやっていただけると。500人から1000人の大集会をやってほしい。
小沢; はい、はい。考えます。
民主党政権が果たして2年前の国民の皆さんの熱狂的な支持に、今までの2年は振り返らずに、これからの2年でありますから、ここでほんとに信頼を取り戻せるような、政治をちゃんとやれるかどうか、それを国民皆さんも、また私たちもキチッと見つめていきたいと思います。
それと今もう一つ心配なのは経済なんですね、やっぱりEU、ユーロの危機は救済のあれがドイツでも可決されまして、一応、当面回避された形になってますけれども、決してそれは根本的な解決になってないんで、ぼくは、いずれ通貨危機ユーロ、それからアメリカの不景気、これは全世界的なものになる恐れがあると思ってます。
ですから、国内では一番、原発の問題を抱え、ここに通貨、金融恐慌そして世界恐慌的なものが一緒になってきたら、とてもじゃないけど、それこそまだ民主主義も十分に成長して無い日本ではヒッチャカメッチャカになっちゃう可能性があると。
そしてその時に、やはり一番、僕はこれも前から心配していることですが、国内では、政治不信、政党不信、政治がゴチャゴチャになると、必ず日本では極端な議論がおきます。これを一番してるんです。
やはり極端なナショナリズム、あるいはテロリズムが加わったり、そういう国内の日本人の心理的にものすごく不安定な状況になることが一つと。
それから、国外のことではユーロなど、経済的危機でも政治的動乱にはつながりにくいですね、欧米のあれは。ただ、中国の場合は、今ちょっと調子悪くなってきてましたね。それから自由、政治的自由を求めている運動に対してすごい弾圧を加えております。
しかし、ここでね、バブルが弾けちゃったらもう権力で弾圧したって、何したって、とてもじゃないけど止められないですよ、大衆の動きは。そうすると中国が政治的動乱になる恐れあると。
僕は、中国の指導者にも面と向かって言ってきてますけどね、「共産党独裁と自由経済、そして民主主義というのは両立しないと、かならず矛盾が起きるよと、コペルニクス転換をあなたがたがするなら別だけど、多分できないだろうと。必ず共産党独裁は崩壊するよ」と、言ってるんですよ、幹部の連中に、ウン、と頷いてますけども。だけど本当に深刻な話になるんですよ、そうすると。
だからその意味で、そういうことにならないように日本が中国を助ける必要もあるし、日本が他人様を助けるためには日本自身がしっかりしなければならないし、そういう、いっぺんにいろんな問題が重なってきちゃうということがあると、今の日本の何やかや色いろ問題を抱えていながらも、みんな一定の生活を維持してやってるわけだけども、これができなくなる恐れもあると、ということで非常に心配をしております。
■陸山会事件なんかがなければ、「小沢首相」。今も続いていた。
小沢;
ぼくもね、皆さんのご期待に添える力があるとは思っていませんが、ただ、自分がそういう立場に立ったらば自分の責任やら、責任回避あるいはなんていいますか、ポジションだけにすがりついたりという類のものだけは絶対したくないし、しないでやりたいと、その気持ちだけは持っております。