小沢氏“政治以外は秘書に”
NHKニュース1月10日11時8分
政治資金を巡って強制的に起訴された、民主党の小沢元代表本人への被告人質問が、東京地方裁判所で行われ、小沢元代表は「政治以外のことはすべて秘書に任せていた」と述べ、収支報告書の作成には関与していなかったと、改めて主張しました。
民主党の元代表、小沢一郎被告は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、元秘書らと共謀して、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴されました。小沢元代表は、去年10月の初公判で無罪を主張し、全面的に争う姿勢を示しています。スーツ姿で法廷に現れた小沢元代表は、裁判長から「水が必要なら言ってください」と言われると、「ありがとうございます」と述べて一礼しました。午前中は弁護団の質問が行われていて、小沢元代表は、ことばを選びながら一つ一つの質問に答えています。この中で小沢元代表は、秘書たちとの日頃の関係について聞かれると、「会社の上司と部下のような関係ではなく、人間の信頼関係で成り立っている。政治活動の手足となって働いてもらうなかで秘密を知ることにもなるので、お互い信頼関係のなかで仕事をしている」と述べました。そのうえで、「政治以外のことはすべて秘書に任せていた。任せた仕事をいちいち検証したり干渉したりしていたら仕事が回らなくなるし、私の関心は天下国家の話であって、それに全力を集中している」と述べ、収支報告書の作成にも関与していなかったと改めて主張しました。
小沢氏裁判(1)秘書との関係は
NHKニュース1月10日11時46分
政治資金を巡る事件で強制的に起訴された、民主党の小沢元代表本人への被告人質問が、午前10時前から東京地方裁判所で始まりました。濃紺のスーツにネクタイをした小沢元代表は、法廷に入ると裁判官に一礼し、弁護士の横に座りました。まず、小沢元代表の弁護士が秘書との関係について質問しました。法廷での主なやり取りの概要は次のとおりです。
[弁護士]小沢さんにとって、秘書はどのような存在か?どういうことを期待している?
[小沢元代表]政治活動は1人ではできない。手助けをするスタッフが必要です。政治家と秘書との関係は、他の違った世界、例えば官公庁とか民間企業などのように、規律されている関係ではなくて、全く人間の信頼関係で成り立っている。秘書は政治活動の手足となると同時に、機会によっては秘密を知ることになるので、お互い信頼関係のなかで仕事する間柄です。
[弁護士]秘書は政治団体の仕事もするか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]平成16年〜19年ごろ、大久保元秘書を陸山会の会計責任者に選任したのは小沢さんか?
[小沢元代表]年月日までは分かりませんが、そうです。
[弁護士]大久保元秘書は会計に携わっておらず、収支報告書の作成にも関与していなかったのは事実か?
[小沢元代表]そのとおりだと思います。
[弁護士]そのような人を会計責任者にしたことに問題はないのか?
[小沢元代表]責任者にしても問題はない。それは私の事務所だけではない。俗に世間で経理担当とか金庫番と呼ばれる人は多くいるが、私の事務所では、そういう人は40数年経っているが、一人もいません。それは主として金銭の出入り、収入と支出を記載して、1年のまとめを報告するだけの単純な事務作業です。私の事務所では、その時々によって部署替えをしますが、順繰りに経理担当になってもらっていた。法改正で議員本人が代表になり、会計責任者はその次に位するものなので、大体年長者をあてていたので、大久保(元秘書)だったと思います。
[弁護士]秘書の方にはどの程度任せていたのですか?
[小沢元代表]私の仕事のことを言えば、それ以外ということになります。私は専ら政治のことに集中して活動をしていましたから、それ以外の経理の問題であれ、陳情の世話をしたり、連絡をしたりという仕事があるわけですが、地元での私に代わっての政治活動、あとは立場上、自分の選挙というよりも、全国の仲間の応援に行って、少しでも手助けするのと、私の政治の大きな仕事以外はすべて任せておりました。
[弁護士]政治団体のことも任せていたのですか?
[小沢元代表]はい、そうです。
[弁護士]事務的なことでも、重要なことは報告させていたのではないですか?
[小沢元代表]私は、任せたことについては、一切、彼らの自主的判断で仕事をしてもらうようにしています。任せた仕事をいちいち検証し、干渉していたのでは回りませんし、私の関心は、口はばったいですが、天下国家の話でありまして、それに全力を集中する日常を送っているつもりであります。
小沢氏裁判(2)土地取引について
NHKニュース1月10日12時4分
[弁護士]平成16年9月終わりから10月にかけての本件土地取引について、全体としてどの程度の記憶があるのでしょうか?
[小沢元代表]その当時は、秘書の数が外国人も含め、大勢になっていたと思います。さらに、若い人たちが同じくらいの時期に3人くらい結婚するということだったと思います。そういうなかで、彼らの寮も必要だなということで、購入の話が進んだと思います。
[弁護士]その後の契約やお金の支払い登記とかについて記憶はありますか?
[小沢元代表]私は、世田谷区深沢8丁目によい土地が見つかったという報告を受けたと思います。その土地を購入することに合意したと思います。いざ買うという段階になって、大久保元秘書からか石川議員からか、事実関係ははっきりしませんけども、「購入の代金は、全部の政治団体の金を使えばあるが、そうすると団体の政治活動の運営に支障を来します」という話だったと思います。それで、自分の手元の金を用立てようということになったと思います。あとは、売り主とどうするかは、担当のことなので、土地の購入資金がないということに対して、手元の資金を用立てようと思って出した。その段階で、私の行為というか、作業はすべて済んだわけで、その他の実務的なことは、一切、任せておりましたので、分かりません。
[弁護士]土地の購入にいくらかかると聞いていましたか?
[小沢元代表]いくらくらいという明確な数字を、誰が、どう言ったかは分かりませんが、土地を購入し、寮を建てると、建築費を入れると、あらあら4億円くらいと聞いたと思います。
[弁護士]お金を出すとき、どんな情景だったと記憶していますか?
[小沢元代表]それはもう、全く記憶しておりません。たまたま自分自身の手持ちのお金があったので、そうなったと思います。
[弁護士]小沢さんが不動産購入代金を出すのではなく、代金は政治団体が出して、小沢さんは政治団体の運営費を出すということは考えなかったのか。不足する分を出そうとは思わなかったのですか?
[小沢元代表]後になって思えば、そういう選択肢もあったと思います。検察官の事情聴取のときも同じ話がありましたが、言われてみれば、なるほどそうだなと思いましたが、当時はこのくらいだと、じゃあ手元にあるものを用立てようと、単純に思っただけです。
[弁護士]その際、「ちゃんと戻せよ」と言った記憶はありますか?
[小沢元代表]ことばは記憶にないが、政治団体に寄付したわけではないので、いずれ返してもらうというか、戻るのは当然だと思っていたと思います。
[弁護士]資金を用立てる話があったのはいつですか?
[小沢元代表]覚えていません。
[弁護士]平成16年10月ごろではないですか?
[小沢元代表]この公判を通じて、10月うんぬんとあったので、そのころだったかなと思いますが、自分の記憶としては全く分かりません。
[弁護士]売買契約ができたという話は聞きましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員に現金4億円を手渡したのですか?
[小沢元代表]はい。それは渡したと思います。
[弁護士]資金を出すやり取りからどのくらい経過してから渡したのですか?
[小沢元代表]自分自身の記憶はありません。
[弁護士]石川議員に現金で渡したのですか?
[小沢元代表]現金で所有していたので、現金で渡したと思います。
[弁護士]4億円は、10月12日ころ、元赤坂タワーズで石川議員に渡したのですか?
[小沢元代表]はい。
小沢氏裁判(3)4億円出どころは
1月10日 13時10分
[弁護士]手元にあった4億の現金は、どういうことから小沢さんの手元に存在したのか?
[小沢元代表]私の場合、現金でずっと以前から所有していました。元の現金の多くは、両親からの不動産と現金の相続により取得したものです。自分で本を出して、印税などの収入もかなり得ました。40数年間、議員報酬も得ていました。自分なりにそれなりの現金を持っていました。
[弁護士]相続した不動産はどこの不動産か?
[小沢元代表]1か所ではなく、40何年も前の個人的なことなので、言う必要もないと思いますが、文京区湯島の自宅、ほかに都内の土地、また、水沢の自宅等々でございます。
[弁護士]湯島の自宅を売って、世田谷のを買って、差額が手元に残ったか?
[小沢元代表]はい。たまたまバブルのはしりで、湯島は母の意向で転居したが、高く売れました。世田谷はまだそれほど高い値段ではなかったので、相当額の資産が残りました。
[弁護士]それの差額は手元に置いていた?
[小沢元代表]はい、あります。
[弁護士]それ以外は?
[小沢元代表]ある銀行に預金していたもので、金融危機のときに解約して、そのときのお金を手元に置いていた。それと合わせて、親から譲り受けたものと合わせて手元に置いていました。
[弁護士]それは、小沢さんがみずから銀行で、それらの資産について精査しようとしましたか?
[小沢元代表]はい。手持ちのお金だったので、この事件が起きて、事情を話すことになったので、手元のものは、客観的に話すことは不可能なので、金融機関に何か記録が残っていないか、調査を要請したが、古いことなので記憶にないと言われた。それでも頼んで、断片的に情報を入手した。しかし、入金出金欄にあるもので、私にも分からないものが多く、金融機関に聞いても分からないことが多かった。また、それでも、最小限自宅の売買で最後に残ったお金は、銀行の帳簿にもあったし、私が病気になったあとに家族名義で作った口座にあったお金は確認できた。それは、世間で知られているものよりも多いものです。
[弁護士]小沢さんはそれらの銀行関係の書類を持っていたんですか?
[小沢元代表]何十年も前のことなので、私の記憶はまったくございません。
[弁護士]検察の捜査でそのようなことを聞かれたか?
[小沢元代表]検察の捜査では、資料だけでなく、銀行なども捜査したような口ぶりだった。それは強制したような感じで言われた。
[弁護士]検察は具体的なことを聞いてきたのですか?
[小沢元代表]どこで受け渡しがあったのかとも聞かれた。最終的に「ここじゃなかったんですか?」などというように、現実に受け渡した行員の話もとってきた、というようなことを言われたので、「ああそうか」と言ったと思います。
[弁護士]検事から、不正に秘匿した金とは、聞かれませんでしたか?
[小沢元代表]ありました。それが目的で聴取をしたと感じました。
[弁護士]金のやり取りについては、いわゆる不正な金が入っていたり、入るあてがあったのではという類の質問をされました?
[小沢元代表]検事はおかしな、ばかげた推論をするものだと思いました。ゼネコンからそのような不正な金は一切もらっていないと言いました。何問か質問がありましたが、私はそんなこと全くありませんと答えました。水谷建設の話も出た記憶がありますが、「私の秘書ももらったこともないと確信しています」と検事にも答えたと記憶しています。
[弁護士]検事が調べても、不正な金が何も出なかったのか?
[小沢元代表]私と家内の資産、ほとんどすべてを調べ尽くしていると感じた。(前田元検事の)証言で、ゼネコンを捜査しても何の不正な金もないと証言しています。いずれにしても、そのような不正な金は一切もらっていないと答えました。私の答えに、検事は特別の反論はありませんでした。
[弁護士]ゼネコンからの金はもらってないのか?
[小沢元代表]はい。
[弁護士]新進党の解体など、政党の離合集散の過程で、残った金が小沢さんの手元に来て、それが4億の原資になったということはあるか?
[小沢元代表]政党の金はすべて公金なので、そのような個人でどうこうできるものではないと思います。
[弁護士]実際は?
[小沢元代表]新進党で100億以上の金があった。各グループ、党は人数に応じて公正に分配しました。
[弁護士]自由党が合併したあとは?
[小沢元代表]持参金を持っての合併でもないという意見があったので、同じ志を持つ同志のために使うことになりました。私自身は個人で一切、手をつけていません。
小沢氏裁判(4)銀行融資について
1月10日 13時45分
[弁護士]4億円を石川議員に渡したあと、平成16年10月29日ころに、石川議員が元赤坂に来て、銀行への融資申込書と手形を持ってきて、署名したということはありますか?
[小沢元代表]はい。署名したことは事実ではありますが、場所はそこじゃなかったかなというイメージです。サインはしました。
[弁護士]場所は?
[小沢元代表]チュリス赤坂ではなかったかなと。また、銀行員も一緒ではなかったかなと。正確ではありませんが。
[弁護士]石川さんは、どのような説明をしていましたか?
[小沢元代表]別に説明はなかったと思います。世田谷区深沢8丁目の土地を購入することだろうと。お互いにそう思っていましたので。私は金を用立てて、土地を買う了解をし、金が足りないというから、手持ちの金を出して、そこで終了。手続きや契約は、すべて担当者の裁量の問題で、そのときも特別な話はしませんでした。
[弁護士]石川さんからことばは?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]銀行関係で必要な書類だとは理解していましたか?
[小沢元代表]それは、金融機関のあれだと。
[弁護士]金額は覚えているか?
[小沢元代表]正確に覚えてないですね。
[弁護士]前の融資とのつながりは?
[小沢元代表]以前も融資の形でやるようにあって、銀行と話がついたんだろうなと思いつき、そのときにも手形を債務者として書いたことがあったと思うので、何の確認もなく、何の疑問も抱きませんでした。
[弁護士]渡した4億円は、どう利用されたと思いますか?
[小沢元代表]任せていたので、どう利用されてもよいのですが。手形に私がサインするということで、融資は私が用立てた4億円を元にしてやるのかなぁと、ほんの軽い認識だったと思います。
[弁護士]預金担保ということは分かっていましたか?
[小沢元代表]たぶんそうかなと感じたということです。
[弁護士]そのときに、石川さんに何のために必要なのかとか、説明を求めたことはないのですか?
[小沢元代表]はい、ありません。私のところには、買うということと、足りなくなるので私が用立てて出したということで、あとは担当者の仕事ですので、彼らから報告もありませんし、私から聞くこともありませんでした。
[弁護士]ほかのことでも報告はないのですか?
[小沢元代表]彼らも、私の関心事はそのようなことではありませんので、私が聞きたがっていることではないという感覚は持っていたと思いますし、任された仕事についての、私の従来からの考えを理解していたと思います。
[弁護士]融資が不動産購入のためのものだと思いましたか?
[小沢元代表]そのことだと思いました。
[弁護士]石川さんがいた時間はどのくらいですか?
[小沢元代表]ほんの一時だったと思います。私がサインして、それで終わりだったと思います。
[弁護士]そのときに、不動産売買について説明は?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]無事決済したとか、登記を延ばすとか、そういう話もなかったですか?
[小沢元代表]はい。それらはすべて彼らの裁量の範囲内でやることですし、私もそう思っていましたから、彼らもそれで進めたと思います。
[弁護士]平成17年10月ごろに、池田元秘書が銀行に対する融資申込書と手形を持ってきて、署名を求めたことはありましたか?
[小沢元代表]その件はまったく覚えておりません。
[弁護士]平成18年に入ってから、銀行からの借り入れの利息について、池田元秘書に尋ねたことはありましたか?
[小沢元代表]そのような経緯はなかったと思います。
[弁護士]利息がもったいないから早く返せと言ったことはありましたか?
[小沢元代表]ないと思います。
[弁護士]収支報告書では、平成17年分について、小沢さんからの借り入れが4億円から2億円に減り、陸山会の定期預金も4億円から2億円に減っていましたが、それは気付いていましたか?
[小沢元代表]いえ、分かりませんでした。
[弁護士]預金担保による融資という方法は知っていましたか?
[小沢元代表]はい。分かっております。
[弁護士]どういうものですか?
[小沢元代表]現実に、金融機関は長い期間のつきあいがある相手なら融資してくれると思いますが、現実には預金担保で融資するのが普通だろうと思っておりました。借りるほうにしてみれば、金利が担保だと安くなるので、そういう理解はしていたと思います。
[弁護士]本件でなぜ定期預金担保にしたかは分かりますか?
[小沢元代表]全く分かりません。
小沢氏裁判(5)虚偽記載の指示は
1月10日 14時38分
[弁護士]収支報告書は3月末に提出するものですが、それを出す前に、小沢さんが見て確認することはありますか?
[小沢元代表]今まで一度もありません。
[弁護士]どうしてですか?
[小沢元代表]基本的には担当者に任せておりまして、彼らがきちんとした報告書を作っていると思っていたからです。もう一つは、最終的には国民に付託されるという意味で重要ですが、収入と支出というものを1年間トータルで報告するだけでいいものでありまして、法廷で専門家の方がおっしゃっていたように、単純なものです。私としては、秘書がそのような事務的なものは完璧にやっていると思っているので、今まで収支報告書を見たことはありません。
[弁護士]収支報告書とは別に、収支を報告させていましたか?
[小沢元代表]原則として、年末にだいたいのトータルのことを報告すると、経理担当者との間でなっていたと思いますが、現実には資料といいますか、数字、資料を持って説明されたということは、石川(議員)の場合もありません。単純な計算でありますので、政治団体がうまくいっているかどうかというたぐいの会話は交わしていると思いますが、その程度のことで毎年終わっていると思います。
[弁護士]石川議員が数字をまとめた資料を作っていましたか?
[小沢元代表]そこまでちゃんとやっていたか、聞いてないから分かりませんでした。本人の証言で、計算していたと聞いたように思いますが。彼らがトータルの計算書を作っていたことは知りませんでした。
[弁護士]本人とは誰ですか?
[小沢元代表]石川(議員)です。
[弁護士]収支報告書を直接見ていないにしても、内容や特別重要なことについて報告させていたのですか?
[小沢元代表]ありません。特別重要なことはありません。収入や支出を1年間まとめて報告するだけですので。
[弁護士]きょうまで一度も説明を受けていないということですか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]年末に個人的経費を精算するということはありましたか?
[小沢元代表]ありました。
[弁護士]具体的にどのようなものですか?
[小沢元代表]毎日のように会合があったり、出張したりというのがあるので、それは政治団体で公に出してもよいと思うものと、これは個人で出そうというものがあるので、それを政治団体で立て替えていた場合には、年末に個人としての分を政治団体に返還する作業をしていました。
[弁護士]金額はどのくらいですか?
[小沢元代表]1000万前後だったでしょうか。
[弁護士]小沢さんが、石川議員や大久保元秘書、池田元秘書に対して、平成16年分の収支報告書に用立てた4億円を載せないようにと指示をしましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]逆に、石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から記載しないでおいたと報告はありましたか?
[小沢元代表]それもありません。
[弁護士]平成16年分の収支報告書に載せないと指示しましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]石川議員、大久保元秘書、池田元秘書から、平成16年の収支報告書には載せず17年にずらしたと報告はありましたか?
[小沢元代表]ありません。
[弁護士]指示や報告はないという証言ですが、それは絶対にないという意味なのか、あったかもしれないが覚えていないという趣旨ですか?
[小沢元代表]ないと思います。
◆小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量
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◆『小沢一郎 語り尽くす』TPP/消費税/裁判/マスコミ/原発/普天間/尖閣/官僚/後を託すような政治家は 2011-11-20 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎 すべてを語る TPP、消費税、政治とカネ、原発… 聞き手;鳥越俊太郎(サンデー毎日2011/11/27号)
「僕なら米国と率直に話し合いをし、普天間問題にケリをつけられる」。意ならずも法廷に立たされた小沢一郎元代表(69)は健在だ。TPPから消費税、原発、あの「4億円」――。?剛腕?とジャーナリスト・鳥越俊太郎氏(71)が縦横無尽に語り尽くす。
《抜粋》
*マスコミ報道は日本の悲劇だ
鳥越:マスコミからも批判が出ました。ただ、その中でどうしても引っかかるのは(陸山会による土地購入の原資になった)4億円のカネの出所の説明が二転三転していると思えることです。胆沢ダム(岩手県奥州市)建設をめぐり、建設業者からの裏金が渡って原資の一部になった、それがはっきり言えないので説明が二転三転した―― マスコミを含めて、いろいろな人が指摘しています。僕らには真相が分からないのでお聞きしたい。あの4億円の出所、原資は何ですか。
小沢:僕のお金です。今のお話も全部、多分そうじゃないかという類いの話。マスコミも国会も忘れているのは、僕も後援会も秘書たちも、2年近くにわたって国家権力によって強制捜査されているということ。僕の知らないことや忘れたことまで(東京地検特捜部は)全部分かっています。捜査機関が強制捜査したにもかかわらず、不当・違法な金銭の授受はないことが明らかになったんですから、個人が勝手に説明する以上に確かな説明じゃないだろうか。あとはまったくのプライベートな話。何も悪いことがないのにプライベートを全部、説明しなきゃならないという理屈はおかしい。
鳥越:すると4億円の出所についても検察の事情聴取はあったと?
小沢:ぜ〜んぶ(笑)検察は知っています。預金通帳から何から、銀行の原簿まで持っています。強制捜査ですよ、鳥越さん。
鳥越:一部説明をしていましたが、お父さんからの遺産も……。
小沢:もちろんそれもあります。親からの相続は(4億円の中では)大きかった。僕自身だって稼いでいます。印税だけでも1億何千万円もありますし。
鳥越:あの本(『日本改造計画』)は売れましたから。
小沢:本はそれだけじゃないですから(笑)。
鳥越:そこに建設業者からの裏献金が紛れ込んでいることは?
小沢:絶対ありません。第一義的には、後援会のお金と私有財産は絶対混同しないようにずっと心がけてきていますし、もし違法献金があるなら、これだけ調べたら必ず出てくるでしょう。検察は噂の類いから全部、全員を呼んで調べているんですから。それでも出ないんですから。ないものは出るはずがありません。カネがなくなっちゃうということだから、用立てしたということ。
鳥越:そのお金の流れが、何となく不審を感じたところかもしれない。
小沢:「(土地を)買うと、事務所の運転資金、運営費がなくなっちゃう」と。それでは、僕の手持ちのカネを当面、用立てようと。
鳥越:それを抵当にして、また銀行からお金を借りている。
小沢:事務的な話です。(事務所に)まったく任せていますから。強制捜査した結果として何もないにもかかわらず、どうして「違法なカネに違いない」ということが、マスコミをはじめ無関係の人に分かるのでしょう。
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◆この国が恐ろしいのは、総ての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ2011-10-03
【これでいいのか暗黒ニッポン】秘書3人の「とんでもない有罪判決」に誰もが口をつぐんだ
ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕したらどうか。秘書3人に対する東京地裁判断によれば、小沢はゼネコン談合の元締めで、見返りに1億円の闇献金を受け取った重罪人だ。しかし、判事も検察も、「アイツは大悪人」と吠え立てる新聞・テレビや野党でさえも、そうはいわない。「法と証拠」に基づく公正な裁判だと誰も信じていないからだ。目的は「小沢の政界退場」のみ。日本は恐ろしい国になった。
*裁判長は「検事の身内」
小沢一郎・民主党元代表の元秘書3人の判決内容は1週間も前から司法記者クラブにリークされていた。
「全員有罪で禁固刑が出される。判決文は相当長いものになる」
という内容で、もちろん政界にも広く伝えられていた。日本の司法が、いかに政治勢力、行政権力、報道権力と癒着し、最初から出来レースで進められているかを示す“証拠”だ。
情報通り、9月29日、登石郁郎裁判長は3時間以上にわたって判決文を読み上げ、石川知裕被告以下3人全員に執行猶予付きの禁固刑を下した(3人はただちに控訴)。
「異例の法廷」だった。検察が提出した証拠のうち、石川被告らの調書11通を「不正な取り調べが行われた」と認定して不採用にしており、一時は「無罪判決確実」とみられた。なにしろ、もともと物証のほとんどない裁判で、検察の頼りは、脅しや不正によって作り上げた調書ばかりだったのだから当然である。村木事件で証拠のFDをを改竄して冤罪事件を起した前田恒彦元検事が取り調べを担当し、石川知裕は別の検事が不正な取り調べを行った模様を録音していた。
この奇怪な判決文を書いた裁判長の経歴に、ヒントがあるかもしれない。
登石裁判長は93年から3年間、法務省刑事局付検事として勤務した経験を持つ。裁判所と法務・検察の人事交流(判検交流)は毎年、数十人規模で行われており、かねてから「99・9%有罪」という日本の「検察負け知らず裁判」の温床だと批判されてきた。
そうした声も意識したのだろう。裁判官が法務省に出向する場合、ほとんどが民事局で、刑事局は少ない。法廷で顔を合わす検事と隣の席で仕事をするのは、いかにも癒着に見える。が、登石氏はその数少ない1人だった。その“貴重な人材”が検察の威信をかけた裁判うを担当し、現場の検事からは「これで勝った」と喝采が出たのは偶然なのか。
結果を見て思えば、登石裁判長は最初から判決を決めていたのではないか。だからこそ証拠不採用で「検察に対しても厳しい姿勢」を演出し、癒着との批判をかわそうと考えたなら筋は通る。
判決のおかしさは、「小沢は大悪人」と呼ぶマスコミや野党、そして検察にもよくわかっている。だから、はっきりと「談合の見返りに裏献金を受け取った」と認定されているのもかかわらず、これを「贈収賄事件」という者が出てこない。
新聞の論調も判決直後は威勢がよかったが、その後は「野党が証人喚問を要求」などと、ずいぶん及び腰である。
「さすがに判決文を読んで、社内やクラブ内でも、これはヤバイんじゃないかという声が多かった。報道も慎重にしている」
民法司法クラブ記者は声を潜めて語る。そう思うなら、「慎重に小沢批判」ではなく、堂々と裁判所批判」をすればいいが、そんな度胸はどこにもない。
*「同じ罪状」は枚挙に暇なし
裁判とは、「法と証拠」に基づいて進められるべきものだ。それをしないのは独裁政権か、民主主義以前の社会である。日本はどちらだったのだろうか。
「法」の観点から、専門家は判決に強い疑義を提起している。
小林節慶応大学法学部教授(憲法)は刑事裁判の原則に反すると指摘する。
「判決は憲法31条に基づく『推定無罪』の原則をないがしろにしている。今回は逆に、『疑わしい』ことを理由に有罪判決が出ている」
判決文には「推認される」「〜と見るのが自然」など、裁判官の心証だけで重要な争点が事実と認定されている箇所が非常に多い。
落合洋司弁護士は、その推定のずさんさに、元検察官らしい視点で大きな危険を見出す。
「裁判官が石川、池田両被告の調書11通を不採用にしたことで、3被告の共謀を示す証拠と証言が何もなくなった。ところが、判決は『会計責任者だから知っていたはず』『強い関心を持っていたはず』といった程度の推論を重ねて共謀を認定している。『合理的で疑い得ない立証』は不十分です。こういった手法が採用されれば、冤罪が生み出される危険が懸念されます」
次々と発覚する冤罪事件の共通する原因は、検察の「自白調書主義」と裁判官の「検察絶対ドグマ」だった。それが全く改められなかったのだから、検察関係者たちが「画期的判決」と膝を打ったのも道理だ。
法律論でいうなら、もうひとつ完全に無視されたのが「法の下の平等」だ。
公判では、陸山会の土地購入が正しく報告されていたかという容疑(これ自体が形式犯罪でしかないが)とともに、西松建設からのダミー献金事件も併せて審理された。
ここでも検察側の立証は完全に腰砕けになり、検察自身が証人に立てた西松建設元部長が、「政治団体はダミーではなく実体があった」と証言した。ところが判決は、「政治団体としての実体はなかった」とし、違法献金だったと認定した。
では百歩譲ってそれが正しいとしよう。
問題の西松建設の政治団体からは、小沢氏以外にも自民党の森喜朗・元首相、二階俊博・元経済産業相、尾身幸次・元財務相、民主党の山岡賢次・国家公安委員長、国民新党の自見庄三郎・金融相をはじめ多くの政治家が献金やパーティ券購入を受けている。当然、彼らも小沢氏と並んで違法献金を立件されなければならないはずだ。
ところが検察は、森氏や尾身氏ら自民党実力者には捜査さえ行なわず、二階氏については会計責任者を事情聴取しただけで不起訴にした。
それに、このケースのような企業や業界が作る政治団体は、どこも同じような運営をしている。これがダミーというなら、恐らく政治家の9割以上が違法献金を受けていることになる。
また、陸山会(小沢氏の政治資金管理団体)が違法だと断じられた政治団体による不動産取得についても、町村信孝・元官房長官は政治資金で不動産を購入し、堂々と政治資金収支報告書に記載していた。しかも町村氏の場合、買った不動産は後に自宅として格安で買い取ったのである。さらに、みんなの党の江田憲司・幹事長はじめ、素知らぬ顔で小沢批判を繰り返す政治家のなかに、20人以上の「不動産購入者」がいる。
今回、大問題のように論じられている収支報告書への「期ずれ記載」や「不記載」に至っては、まさに枚挙に暇がない。2011年の政治資金収支報告書の修正は現在までに約500件にも達している。すべて会計責任者を禁固刑にすべきだ。
そもそも、小沢氏が問われた個人的な運転資金の貸付など、どの政治家も報告書に記載していない。小沢氏だけが正直に書き、それが「書き方が違う」と断罪されているのである。
*「4億円の原資」真相証言
「証拠」の面では、判決はもっとデタラメだ。
登石裁判長は、水谷建設から小沢氏側への1億円闇献金を認定した。
ダム建設工事に参入するため、当時の社長が04年10月5日、石川被告にホテルの喫茶店で5000万円を渡し、さらに05年4月19日に、大久保被告に5000万円を渡したという。
そう推定された根拠は、当時の社長が「渡した」と証言したことと、当日の喫茶店の領収書があっただけ。一方で、元社長の運転手の業務日誌にはホテルに行った記録はなく、社長から報告を受けていた同社の元会長も、「会社から裏金が出たことは事実だが、渡されたとは確認していない」と証言し、元社長による横領の疑いを強く匂わせた。
例によって裁判長は、元社長の証言と領収書を「信用できる」、受け取りを否定する被告らの証言は「信用できない」として、あっさり裏金を認定した。
よく考えてもらいたい。表ざたにできない違法な献金を、社長が1人で紙袋に入れて持っていき、政治家本人もいない、しかも衆人環視の喫茶店で、秘書に「はい、どうぞ」と渡すことなど考えられるだろうか。
「裏献金を渡す場合、渡すほうも受け取るほうも、カネが行方不明になることを1番恐れる。あとから、“そんなカネは知らん”となっても誰も真相解明できないからだ。だから受け渡しの際には双方とも複数の幹部が同席して秘密を共有し、相互監視する。密室でやることはいうまでもない」
自民党のベテラン秘書はそう解説する。この通りの場面がバレた珍しいケースが、自民党を揺るがした日歯連事件だった。
ところで、そもそも検察は、土地購入に充てられたとされる「4億円」の原資に闇献金が含まれていたかどうか立証していない。それなのに地裁が無理に闇献金を認定した理由は、この4億円を「原資を明確に説明することが困難」(判決文)としないと、なぜ収支報告書に記載しなければならないか、という動機が説明できなくなるからだ。
それにしても、不記載とされたのは「4億円」を借り直したり、返済したりした1部のやり取りだけで、現に報告書には「小澤一郎借入金 4億円」と記載されている。検察や裁判所の見解によれば、小沢氏の事務所では、表に出せないカネを報告書に堂々と記載するのだという。どう繕っても無理筋の解釈なのだ。
本誌は検察もマスコミも明らかにできなかった4億円の原資について、10年2月12日号で明らかにした。小沢氏の父・佐重喜氏の代から取引していた旧安田信託銀行(現・みずほ信託銀行)神田支店の当時の担当者への直接取材に成功し、小沢氏が父から相続した個人資金を「ビッグ」という貸付信託で運用し、解約時には元利合わせて少なくとも3億6000万円の払い戻しを受けていたという証言を得た。しかも、当時の貸付信託では利息分の記録が残らず、検察が「4億円の原資が足りない」と考えたのは、利息を見落としていたからだろう、というプロならではの指摘もあった。
*小沢の罪状は国家反逆罪か
今回の事件が小沢事務所ぐるみの贈収賄であるなら、ただちに小沢氏本人を含めて容疑者を逮捕すべきだ。それこそが政治浄化につながる。が、第1章でも触れたように、新聞・テレビもこれが本当に贈収賄だとは思っていない。「ゼネコン裏金 認定」(朝日)などと報じながら、なぜか政治資金規正法違反より重大な公共事業をめぐる贈収賄事件を独自に検証しようとしないのがその証拠だ。
わかりやすいのがTBSである。同局は検察が小沢氏への事情聴取に乗り出した昨年1月、「ウラ金献金疑惑、居合わせた人物が核心証言」と銘打って、水谷建設元社長が石川被告に5000万円を手渡した場に同席したという人物の証言を“スクープ”した。ところがその後、この証言は2度と放映されていない。以前、本誌が「放映しないのか」と問い質した際も、「何ともいえない」と尻込みした。つまり、ガセネタだという自覚があるのだろう。
今回、思いがけず裁判所がそれを追認してくれたのだから、今こそTBSは封印した“スクープ”をまた出せばいい。今度はお墨付きがあるのだから、「これが真相だ」と押し切れるかもしれない。が、そうはしようとしない。
ここに、この事件の最もどす黒い裏がある。
つまり、マスコミ、政界、そしていまやそれらを完全に掌握してコントロールする霞が関の巨大権力の目的は、政治浄化でもなければ犯罪の立件でもない。「小沢の政界退場」さえ実現できれば、あとはどうでもいいのである。
新聞や野党の言葉をよく見ればわかる。「小沢は議員辞職せよ」とはいっても、「贈収賄で逮捕せよ」とは決して言わない。小沢氏が、それら既存権力に20年にわたって嫌われ続けてきた経緯と理由は、ここで述べる紙数はない。が、小沢氏を支持する国民も、そうでない国民も、同氏がマスコミ、既存政党、官僚から恐れられ、嫌われていることは否定しないだろう。
かのロッキード事件での「コーチャン証言」をご記憶だろうか。検察は、田中角栄元首相に賄賂を渡したとされたロッキード社元会長のコーチャン氏に、免責と引き替えに調書を取る「嘱託尋問調書」という超法規的手段を用い、田中氏を有罪に導いた。さすがに最高裁は同調書には証拠能力がないとしたが、田中氏は公判の長期化で復権の機会がないまま死去し、公訴棄却された。
一方、後に発覚したグラマン事件では、米国証券取引委員会が岸信介元首相、福田赳夫元首相らに賄賂が渡されたことを告発したが、日本の検察は政界捜査を断念した。
官僚出身で親米派だった岸、福田氏らは当時の「国家権力」にとって重要な人物であり、一方で「叩き上げ」「列島改造」の田中氏は時のエスタブリッシュメントにとっては目障りで、アメリカからも脅威とみられて警戒されていた。
裁判は「法と証拠」に基づくものだとすでに述べたが、その根拠にあるべき最も重要なものは「正義」である。国家権力が法を曲げて個人に牙をむくことは、あってはならないが起こりうることだ。しかし、先進国家では誰かが「正義」を奉じてそれを暴き、止めようとするものである。
この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走り、正義より自分たちの足元ばかり気にしている点だ。これは一政治家に対する好悪、一事件の真偽を超えた問題である。
恐らく、このような裁判がまかり通り、誰も「おかしい」と口を開かなくなれば、小沢氏自身も「有罪確定」とみて間違いない。その罪状は何だろう。「国家反逆罪」だといわれればわかりやすいが、そんな気の利いた言葉は、荒涼とした今の権力からは出てこない。
その法廷で裁かれるのは、この国の「正義」なのかもしれない。
※週刊ポスト2011年10月14日号
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