◆小沢一郎氏裁判 12回公判 NHK全/(1)秘書との関係は〜(11)秘書の裁量2012-01-10
◆小沢一郎氏裁判 13回公判/4、5億円の現金を手元に置くのは以前からそうしていました/使い勝手がいい2012-01-11 からの続き
小沢氏裁判(22)法律を巡って
NHKニュース1月11日 20時3分
(指定弁護士)政治資金規正法についてお聞きします。法律があることはご存じですか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)政治団体の代表者は、相当の注意を払うことが前提とされている。代表者は会計責任者の選任について、相当な注意を払うべきだとされているが、あなたは相当な注意を払ったのですか?
(小沢元代表)逐条まで読んでいるわけではありませんけど、質問に対するお答えとしては、秘書がそれぞれ能力があると思っていますが、たまたま会計責任者というものでなくて、さらにその業務をやる者たちもしっかりやってくれるものと信じて頼んでいます。池田は学生のころから私のそばにいましたし、大久保は地元で政治活動をやって私のところに来た人。これらについてはずっと見ているので、人物、間違いないと評価しておりました。
(指定弁護士)次に秘書との関係について。秘書の裁量で行わせ、報告や了承はなかったということか?
(小沢元代表)はい。
(指定弁護士)大久保さんは被告人供述で、土地の売買が行われ石川さんが報告をしたと言っていて、あなたの供述と食い違っている。聞いたことがありますか?
(小沢元代表)それは聞いておりませんから何と言ったか分からないが、聞いてないと思います。
(指定弁護士)4億円、現金で石川さんに渡した4億円について聞きます。いざというとき、緊急に対応できるためだった?
(小沢元代表)それも大きな理由の一つです。
(指定弁護士)本件の土地の売買で、4億円を用立てると言ったのは、石川さん、大久保さんの証言から見ると平成19年9月のこと。実際に渡したのが10月11日ころ?日数が空いていますが?
(小沢元代表)私はが9月に言ったかどうか記憶にありませんが、用立てるという趣旨のことは言いました。現実、用立てた。いつ必要かどうかは担当の者が連絡するという話だと思いますけど、今言うことが事実だとしても、別におかしいことではないんじゃないでしょうか。
(指定弁護士)10月5日に売買契約の連絡があって、4億円を交付したのではないですか?(小沢元代表)いいえ。売買契約の報告は受けていないし、彼らも必要ないと思って自分の裁量でやっていたと思います。
(指定弁護士)10月11日ごろに4億円が必要になると担当者から連絡があったということですか?
(小沢元代表)そう申し上げていないつもりです。先生が言うのが、そのとおりだとしても、期日が空いても必要になれば、ごくごく当たり前のことです。
小沢氏裁判(23)土地について
1月11日 19時55分
(弁護士)書生というのは、現在の政治家にあっては珍しいことなのですか?
(小沢元代表)現在では珍しいことです。
(弁護士)書生というのは、多くを語らなくてもよいものなのでしょうか?
(小沢元代表)長年一緒にいるので、互いのかたぎ、気質も分かるので、いわゆることばでいう必要がない。一言で言えば、そんたくできる家族というか、僕から見れば子どもみたいなものだが、そういう気持ち。
(弁護士)秘書が毎朝、深沢に来て、ミーティングをしていたんですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)秘書に任せている事務的な報告というのはミーティングではされるのですか?
(小沢元代表)個別の事務的なことは私の性格も知っているし、「おまえに任せた」と言った以上は余計な口出しはしませんでした。報告はほとんどなかったと思います。
(弁護士)これまでの証言によると、4億円の原資の基本は相続ということで、銀行口座の調査にも手をつけたけれど、はっきりしたのは湯島の土地と銀行の3億円の引き出しということだった。湯島について聞きますが、どのくらいの値で売却したんですか?
(小沢元代表)当時、不動産が上がっていたので、14億円か15億円くらいの値だと思います。
(弁護士)そのときに世田谷の土地も買っているが、こちらの購入価格はいくらでしたか?
(小沢元代表)これは、たまたまラッキーでしたが、当時はまだ価格が上がっていなかったので、坪200万円よりも安かった。少なくとも9億円前後だったと思います。
(弁護士)ということは単純に5億か6億円残ったということですか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)ほかにも不動産を持っていて売った事実はありますか?
(小沢元代表)現金と不動産を含めて親から相続したと言いましたが、湯島のほかにも都内の不動産を相続しています。しばらくして売却しました。
(弁護士)場所は?
(小沢元代表)上野広小路の松坂屋からちょっと上野駅よりの大通りに面した土地でした。
(弁護士)それはどのくらいの値で売れましたか?
(小沢元代表)40年以上も前のことなので、よく覚えていませんが、場所も場所なので当時でも1億円前後で売れたと思います。
(弁護士)3億円を引き出した日にほぼ同額を妻名義の口座に振り込んでいる、と検察官とのやりとりであったことは覚えていますか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)妻の口座の金が、その後どうなったと述べましたか?
(小沢元代表)それは記憶にありません。
(弁護士)妻名義の口座から平成10年7月3日に現金が出金されたとなっていますが?
(小沢元代表)確かその記録はあったかと思います。預金された3億円がまったくその金かどうかは分かりませんが。
(弁護士)銀行口座の金を、ときに現金で出金することはありましたか?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)億というのはあまりないかもしれないが、1000万円単位とか100万円単位とかもあったのですか?
(小沢元代表)はい、時々引き出しておりました。
(弁護士)トータルでいくら引き出しましたか?
(小沢元代表)「日本改造計画」だけで8000万円くらいの印税があり、ほかにもいろいろ収入があって、引き出したのはおそらく倍以上、1億7000万円から8000万円くらいあったと記憶しています。
(弁護士)平成16年10月に4億円を用立てた際に小沢さんの各政治団体の手持ち資金が合計いくらあったか聞いたことはありますか?
(小沢元代表)それは聞きませんでした。全部かき集めると土地が買えるが、なくなると活動資金に支障をきたすということでした。
(弁護士)こちらですべて合算すると7億円くらいありますが、それは知らなかった?
(小沢元代表)まったくそのことは知りませんでした。法廷で7億円という数字を聞いてとまどったくらいでした。
(弁護士)石川さんが約束手形と融資申込書を持ってきてサインを求めたと思うが、約束手形はすぐに分かった?
(小沢元代表)はい。
(弁護士)融資申込書はサインする前に検討したか?
(小沢元代表)たぶん見ていなかった。手形はパッと見て分かるが、もう一方は字面を追ってサインしたということはなかった。
(弁護士)石川さんに言われて用向きが分かったのでサインしたということ?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)確認書について平成22年1月23日の検察官調書では確認書の作成を指示していたとなっていて、深沢8丁目の土地の確認書も作成したはずですと言っているが、この発言の趣旨は?
(小沢元代表)もともと不動産の所有について、つまらぬ疑念を持たれてはいけないので、契約をきちんと政治団体で契約すること、そのうえ自主的に個人のものではないと念のために確認する書類を作っておけと前から言っておいたつもりで、その意味で確認書があればそれを提示するものだが、結果的に作っていなかったのでそれで作成した。
(弁護士)週刊文春の回答に「陸山会がためてきた資金」という表現があるが、それがそのことに関係してるんでしょうか?
(小沢元代表)そのために池田はそう解釈したのではないかと思います。
小沢氏裁判(24)調書の内容
1月11日 20時15分
(指定弁護士)確認書について、調書の記載を読んでいくと「作成したはずです」という答えのあと、確認書の写しを示し、調書の末尾に添付することとしたというのが入りました。その後、「この確認書は平成17年1月7日となっていますが、私の記憶では代金を払ってそんなに遠くない時期だったと思います」というのを記憶していませんか?
(小沢元代表)記憶にございません。
(指定弁護士)単に「はずだ」というだけではなく、調書の流れを見ると、あなたは示されたものを実際に見て、確認書の日付けは1月7日になっているけど、土地代金支払いからそう遠くない時期に作成したと思うと供述している。そのような供述の流れだったという記憶はありますか?
(小沢元代表)記憶にありません。私としては確認書は不動産購入の際に作っておけということでスタートしているので、「あった」という頭の中にそういう感覚があったのは事実です。
(指定弁護士)それは代金支払いの期日がいつだったという前提で?
(小沢元代表)分かりません。私が4億円を用立てたのは10月中旬ごろという話が検察官とのやりとりの中でも聞いていたので、金が必要だというのは代金決済のために必要だとの感覚は持っていたと思う。
(指定弁護士)検察官とのやりとりの中で、当時は確認書を作っていなくて、事務所費の公表前にそれがないことが分かって作った確認書だと分かっていましたか?
(小沢元代表)検察官とのやりとりのとき、確認書が深沢の土地については作ってなかったというのは記憶していたと思います。
(指定弁護士)確認書を作成するよう指示したのはいつですか?
(小沢元代表)分かりません。「作っておけ」「作っておこう」という会話だったと思います。
(指定弁護士)平成7年に最初に陸山会が不動産を購入したときではないのですか?
(小沢元代表)記憶にありません。
(指定弁護士)平成7年ごろに最初の不動産購入時に作成されたあとは確認書は作成されていないのですが、作成は事あるごとに指示していた?
(小沢元代表)事あるごとには指示していません。
小沢氏裁判(25)裁判官の質問
1月11日 20時42分
(裁判官)秘書との関係についてですが、収支報告書や資産公開について提出した内容を把握したうえで正しいと言っているのではなくて、内容を把握せずに正しいということ?
(小沢元代表)はい。資産の報告については把握していました。
(裁判官)というのは?
(小沢元代表)はい。沖縄の土地を買ったときもそれを報告しました。
(裁判官)新たなことがあれば、あなたから情報提供をしていたということ?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)収支報告書を把握していないというのは国会議員が多忙だからというのもあるのですか?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは今は把握していないということですが、最初からこういうスタイルだったのか、それともある頃から把握しなくなったのですか?
(小沢元代表)報告書については最初から関与していませんでした。大多数の議員がそうだと思います。
(裁判官)大きな役職についている人だけじゃなく、初当選の議員とかもそうですか?
(小沢元代表)そうだと思います。政策秘書が導入されたので、政策秘書のたぐいに任せる人が多いのではないかと思います。これは推測ですが。
(裁判官)弁護士や指定弁護士からの質問で、検察の取り調べで「無断」というのはちょっと違うというのがあったが、収支報告書の作成を任せていたが把握していない、これは無断とも違う?
(小沢元代表)無断という単語の響きは、秘書との関係を示すのに適切ではありません。任せていたこと、判断裁量でやっていたというほうが適切なのでそういった。
(裁判官)秘書のやったことの責任を代議士が責任を問われるという意識は持っていますか?
(小沢元代表)基本的に法律に違反するたぐいの行為を、選挙のことなんかありますけれども、特に私の場合、無理するなと、表現はあれだが、法律に反することをしてまですることないというのは常々話していますし、私自身そう思っていますし、きちんと筋道を通ったことをしないといけないと自分自身をいさめています。
(裁判官)秘書の裁量に任せているというのは分かりますが、4億という大きな取り引きでも秘書に任せていて不安はないですか?
(小沢元代表)この法廷で申す1つの例としては、選挙の際に同志への支援を行ったが、そのトータルは4億4000〜5000万円になると思います。それらを候補者に渡すことはすべて秘書に任せていますので、本当に信頼して任せているという関係です。
(裁判官)個人資産を管理する秘書はいますか?
(小沢元代表)いません。
(裁判官)例えば自宅の光熱費の支払いとか細々したことは誰がやっているのですか?
(小沢元代表)そういうたぐいは、たぶん最初に自分の口座で自動引き落としになっているので、いちいち振り込みは必要なかったと思います。
(裁判官)平成16年10月ごろ、石川さんに4億円を渡したときのあなたの考えを改めて聞きます。秘書寮を建てる不動産として購入するとなると、本来、陸山会の政治資金でやるものだが、個人資産を出す気持になったのはなぜですか?
(小沢元代表)一つは秘書が十数人いて、結婚適齢期が3人、家族も増えるとのことで、身近なところに寮をという気持でありました。ただ、最初から個人のお金でという意志はまったくなく、政治団体で購入すべきものと頭では分かっていたが、運転資金に困るというので、じゃあと手持ちがありましたから、自分が用立てることになりました。
(裁判官)あくまで一時的なものという認識でいい?
(小沢元代表)寄付するというものではなかったと思います。
(裁判官)4億という巨額の金額を用立てることに一般国民がすぐに飲み込めないということでの質問ですが、いつ返ってくるのかなどについて気にはならないのですか?
(小沢元代表)書生から秘書の話を話しましたが、その意味は私からすれば家族同様の気持を持っている連中ですから心配はまったくしていませんでした。
(裁判官)いずれ戻してもらえるとの見通しでしたか?
(小沢元代表)はい、いずれは戻してもらえると思っていました。
(裁判官)4億はあくまで土地取得のために限った話との認識?
(小沢元代表)はい。
(裁判官)陸山会で一般的に使っていいということではない?
(小沢元代表)はい、そうです。
(裁判官)石川さんもそう理解していた?
(小沢元代表)分かっていると思います。そもそも運転資金に困るというから用立てるという話であり、その趣旨は分かっていたと思います。
(裁判官)石川さんと大久保さんが頼んできたのは、その経緯から?
(小沢元代表)経緯というか実情として出すと困ると、それなら「じゃあ」となったと思います。
(裁判官)石川さんや大久保さんが、あなたの個人資産がどれくらいあるか知識あったと思いますか?
(小沢元代表)具体的にはないと思うが、私がずっと使ってきた銀行の通帳のことに関しては、およそ分かっていたと思います。歳費もその他も、大体分かっていたと思うので。
(裁判官)元赤坂タワーズの金庫に、どれくらいの余剰金額があるか話をしたことは?
(小沢元代表)ありません。彼らが私のところで仕事を始めたときには自宅の売却も終わっており、そのことも知らないし、その当時いれば知り得たかもしれないが、僕がいくら持っていたかは知らなかったと思います。
(裁判官)大久保さんや石川さんが、あなたに期待する事情は?望みがなければ相談しないと思うが?
(小沢元代表)具体的にいくらとかは全然知らないと思うが、報告すればなんとか返事があるのではないかとのことは思っていたかもしれません。
小沢氏裁判(26)手形のサインは
1月11日 21時3分
(裁判官)場面が変わります。日付けは記憶がないということですが、平成16年10月29日に銀行から4億円の融資を受けた際に書類にサインをした場面です。このとき、あなたの法廷での答えだと、預金を担保にして金を借りるんだなと思ったということですが、それでよろしいですか?
(小沢元代表)手形にサインをしたわけですので、そういうたぐいのことだとは頭の中にありました。
(裁判官)その際の石川議員とのやりとりについては?
(小沢元代表)記憶にありませんし、たぶんほとんど会話はなかったと思います。
(裁判官)ただ無言でサインをしてくれというのは、不自然だと思います。最低限の説明はあったのではないですか?
(小沢元代表)無言というのはありえません。ただ、私の記憶にあるイメージでは、石川と銀行の担当者が一緒に来たような記憶があります。石川が「そうじゃない」というのであれば、違うのかもしれませんが。金を私が出して、それに基づく手続きだということはすでに分かっていましたので、どういうことばを交わしたかは覚えていませんが、簡単なものだったと思います。
(裁判官)融資が陸山会の名義なのか、個人の名義なのかについての認識はありましたか?
(小沢元代表)当時は分かりませんでした。今はいろいろ聞いているので分かりますが。
(裁判官)平成16年10月29日の当時、預金の名義について認識していましたか?
(小沢元代表)聞いていないというか、覚えていません。
(裁判官)例えば石川さんから説明はされたが、聞き流してしまったということではないのですか?
(小沢元代表)その可能性は薄いと思います。これは石川が任されたことですので、そういうことは考えられません。
(裁判官)細かいことは、あなたに説明しないということですか?
(小沢元代表)任せた以上は自分の判断でやれという私の気質を石川はよく知っていますので、細かいことを報告する必要はないと意識していたのだと思います。
(裁判官)そうした意識はあなたの認識ですか?それとも石川さんもそう思っていたということですか?
(小沢元代表)石川も私も両方そういう認識だったと思います。
(裁判官)約束手形にサインをして銀行から4億円の債務を負い、陸山会に貸し付けることになるということは漠然と認識していましたか?
(小沢元代表)私が用立てた金を活用してやることは当然分かる。方法論として銀行と話したうえでそうなっただけのことですので、深く理詰めで考えたことはありませんでした。
(裁判官)普通だと4億円を借りる手形に署名をするとなれば、慎重になると思いますが、それも秘書との信頼関係があったので、任せていたということですか?
(小沢元代表)相手が銀行ですから。そういう意味では変な工作はないと私は思っていますし、銀行と信頼する秘書がやることですから、何の疑念もありませんでした。
(裁判官)平成17年3月に平成16年の収支報告書が提出されますが、この内容については把握していないということですね?
(小沢元代表)そうです。
(裁判官)この報告書に4億円の貸付だけが計上されていることが今は分かると思いますが、今、石川さんからそういう経理処理を相談されたら、あなたはどうしますか?
(小沢元代表)それは仮定の話ですけれど、私は法律的なことは分からないし、石川や池田が職務でまかされていたことですので、公正にやっていると思っています。
(裁判官)法律に従うことを前提に「よし」となるいうことですか?
(小沢元代表)中身は詳しく知りませんし、中身まで聞く間柄でもないですし、任せた立場のうえでもないことです。石川からこういう形で報告するとあった場合には石川の判断でやるということになると思います。
(裁判官)例えば8億円分の貸付を記載して提出したいと言われたらどうしていましたか?
(小沢元代表)8億円と聞こえてきますが、私としては用立てたのは4億円ですし、あとは分かりません。
(裁判官)逆に4億円だと言われれば腑に落ちることになる?
(小沢元代表)中身については想像しておりませんでした。私の頭と行為は陸山会に4億円用立てたということで、あとは担当者が行うことで考えたこともありません。
(裁判官)今、改めて考えたらどうかということですが、8億円ならばどうですか?また4億円ならばどうですか?
(小沢元代表)私は融資の仕組みとか分からないわけで、担当者の考えることですので、事実行為として4億円用立てたとしか答えようがないです。
(裁判官)これも記憶があるかどうかですが、平成17年10月に銀行に4億円返済のために取り崩して支払ったことがあると思いますが、どの程度の記憶ですか?
(小沢元代表)まったく意識としては薄れておりました。確かに先ほど指定弁護人に見せられたのは自分がサインした手形だと思います。しかし、記憶としてはその経過はありません。
(裁判官)もし石川さんから、あなたからの個人的な4億円を土地の購入に使ったと書かなければいけない、収支報告書でも資産報告書でもいいんですが、と相談されたらどう答えましたか?
(小沢元代表)自分の資金なので人に知られても一向にかまいません。何に書くかは別にして、公にするということは一向にかまいません。
小沢氏裁判(27) 融資の認識は
1月11日 21時3分
(裁判官)収支報告書に関する秘書らの報告の点ですが、そうしますと年末にあなたのほうから「うまく回っているか」と尋ね、それに秘書が答えていたということですね。
(小沢元代表)はい。
(裁判官)あなたは秘書にお任せして報告を受けていなかったと供述していましたが、お任せしたものは報告を受けていないのですか?
(小沢元代表)私の考えでは、秘書や議員にこの件は任せたということについては、そのものの判断、裁量にまかせる。でなければ、物事がうまく進まないと考えていますので、その主義でやってきました。報告や細かい数字の報告は受けていません。政治活動に必要な政治資金がうまく回っていれば問題ないということだと思います。
(裁判官)石川さんが作ったノートに先生にお伺いを立てる、報告という記載がある。一切、任せていたのではなくて、この点についてとか、留保をつけて任せていたことはありませんか?
(小沢元代表)ないです。あるとすれば、彼のほうから私のほうに問い合わせたことがあったのかなと思います。
(裁判官)政治団体の代表と個人と別の人格だということですが、その別の主体であるのに貸し借りについての理解がないというのは理解できないのですが?
(小沢元代表)別人格は間違いないですが、実態として代表の私と個人の私は同一人物です。期日を決めてというたぐいのような意識はまったくなかったということでございます。
(裁判官)主尋問では石川さんが持参した融資申込書と手形に署名して、融資の形でと理解と供述していたが、反対尋問では仕組みは分からなかったと供述している。当時の認識としては融資と理解していたのですか?
(小沢元代表)はい。基本的には任せていたので分かりませんが、手形が来るのだから分かっていたと思います。
(裁判官)どのような認識だったのか、もう一度話して下さい。
(小沢元代表)どういう仕組みかは知らないし、報告を受けていないので分かりませんが、手形を書くのだから私に支払い義務が生じる。以前も自分が借受人になった例があるので、そういう形だろうと思った。深くは考えていません。
(裁判官)以前も預金担保融資で二重に原資が。以前も同じようなことがあったのですか?
(小沢元代表)自分で手形を書いて形のうえで支払い義務者になり、自分を通してということが前にもあったので疑問はなかった。
(裁判官)4億円のうえにさらに融資で金を借りるという理解ですか?
(小沢元代表)全然違います。私が出したのは4億円。8億円との話もあるが4億が8億になるわけはないので。どういう形か分からないが、いろいろ利用してそうなったのだろうと。
(裁判官)やりとりはなかった?
(小沢元代表)なかったと思うが、絶対になかったかというと否定する根拠はない。覚えていない、記憶にないと言い換えてもいいと思います。
(裁判官)記憶にないということですか?
(小沢元代表)実態として同様。あえて峻別しろといわれれば記憶にないということです。
(裁判官)2億円の返済について、池田さんから署名を求められたことも記憶がないとのことですが、利息の話を聞いてもったいないと思ったというのも記憶はありませんか?
(小沢元代表)記憶にない。記憶にありません。
(裁判官)石川さんから10月に話を聞いて、融資申込書や手形に署名したあと、本件土地や秘書寮のことを秘書から報告を受けたのはいつ、誰からですか?
(小沢元代表)報告はありません。土地の購入が目的ではなく、秘書の寮を建てるのが目的ですから。4億円というのも4億数千万の土地に建物を建てれば、そのくらいとの粗々の話ですから。その後の推移は分かりません。
小沢氏裁判(28)“私の責任”
1月11日 21時36分
(裁判官)土地に建物が建つまで秘書から経過報告はなかったのですか?例えば建築が始まったとか登記されたとか。
(小沢元代表)報告というよりも建物ができれば秘書が住むからそういう現象で分かります。引っ越しとか。
(裁判官)石川に4億円を渡したあと、お任せになっていたと言うが、秘書に全面的に任せていた場合、仮に秘書が不相当なことをして大きな損失が出たりとか、誤って違法なことをやって監督責任に問われるおそれがあるのでは?
(小沢元代表)秘書がそういうことをやるのはまったく頭になかった。何か不祥事が起きたとか、金がなくなったとか、持って行ったとか、自分の範ちゅうのことで、自分が使っていた人間なので不徳の致すところというしかない。私の責任のことだと思います。
(裁判官)収支報告書の提出前に見て、確認したり口頭で報告を受けていなかったというが、政治団体の責任者が責任監督を怠ったら処罰される。政治資金規正法も記入に誤りがないよう求めていることに議員の立場では天下国家だけではなくて、政治団体の代表者としての責務もあるが?
(小沢元代表)当然あると思います。ただ、実態論として、ややこしい事務ではなくて、この人物なら正確にやれるとしてやってもらっているので、いちいち注意はしなかった。
(裁判官)その程度のものだからいったん目を通すとか口頭で報告を受けるとか、煩雑なことではないと思うが?
(小沢元代表)自分の責任を逃れるために言うわけではないが、収支報告書に目を通す議員はほとんどいないと思う。しっかりやれとお叱りを受けるかもしれないが、いちいち目を通す必要はないという意識だった。
(裁判長)石川さんに4億円を用立てると答えたときに、いつごろ用立てるとか話をしたのですか?
(小沢元代表)まったくしていません。手持ちがあったので、必要なときにもらえると。
(裁判長)石川さんらもそういう認識か?
(小沢元代表)僕が用立てるといったから彼らもそういう認識だったと思います。
(裁判長)売買が10月5日に決まって、10月29日に実行することになっていた。石川さんは10月29日には少なくとも代金が必要なことを知っている。代金が必要になる時期について、石川さんから話はなかったか?
(小沢元代表)ありません。私が了解した以上、大丈夫だと彼らは思っているから。
(裁判長)陸山会が不動産を買うかどうか、最終的には小沢さんの決済が必要か?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)購入にゴーサインを出したあと、不動産を契約した報告も一切なかったか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)秘書は報告するとも考えられますが?
(小沢元代表)報告しない理由は考えられませんが、用立てるといったことを彼らは分かっているので、あとは任せるということですので、それを彼らは十分分かっているということです。
(裁判長)不動産契約の実行については報告を受けていないですか?
(小沢元代表)そういう記憶はありません。
(裁判長)銀行の融資の書類について一点確認したいことがあります。小沢さんの個人名義で融資を受けることは分かっていましたか?
(小沢元代表)はい。手形に名前を書いたので。
(裁判長)どうして陸山会で融資を受けないのか、疑問に感じませんでしたか?
(小沢元代表)それは感じませんでした。任せていたことと、自分自身手形を書いて債務者になったこともあり、何も疑問を感じませんでした。
(裁判長)年末に政治団体の経理状況について報告を受けているということですが、時間はどのくらい?
(小沢元代表)ほんのわずかの数分のことと思います。
(裁判長)陸山会以外にも各団体分の報告を受けるのですか?
(小沢元代表)トータルとしてうまくいっているかどうかの会話があります。
(裁判長)各年末ともそういう方法でやるのですか?石川さんか、池田さんに変わったが?
(小沢元代表)池田になったときにあいまいなところがあったので、そのときには「それくらいは分かっていないとダメ」と言って、その結果、彼が再計算したのでしょうが、メモにして持ってきたことはありました。
(裁判長)それは池田さんに代わって最初の年?
(小沢元代表)最初か2年目か分かりません。
(裁判長)年末の報告の際に別のこと、団体が個人分を立て替えた分の報告することがありますね。それは時間はどのくらいかけるのですか?
(小沢元代表)たいした時間ではない。飲食代や出張代など、個人で支払うべきものと後援会で払うべきものとを分別して、私の分は私がお金を出すと、そんなに長時間かけることもなかった。
(裁判長)1年分やるわけですか?
(小沢元代表)1年か、半年かは分かりませんが。
(裁判長)大久保さんが陸山会の会計責任者だという認識はありましたか?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)会計事務について大久保さんが、どういう役割か、一切関与していないという認識を持っていたのですか?
(小沢元代表)本人と話していたわけではありませんが、たぶんやっていないという認識はありました。実務は石川か池田だろうと思っていました。
(裁判長)以前からそういうことになっていたのですか?
(小沢元代表)そうなっていたことが多かったと思います。
(裁判長)収支報告書は、最後に会計責任者が署名することになっていますが、大久保さんではなく、石川さんや池田さんが書いていたということがあったといいますが、どう考えますか?
(小沢元代表)この間、それを示されて分かりましたが、決していいことだとは思いませんが、実態としては公正にできていれば、それほど、とがめだてすると言うことではないという認識です。
小沢氏裁判(29)何ら不正ない
1月11日 21時36分
(裁判長)確認書の件ですが、土地を購入した際ではなく、あとで作らせたという認識だということでよろしいですね?
(小沢元代表)はい。
(裁判長)その際、担当者にどういう指示をしたのですか?
(小沢元代表)「最初から作ることになっていたのに、なんで作っていないのか」ということは言ったと思います。
(裁判長)確認書は、関係団体と個人の資産をしゅん別するものですよね。秘書を厳しく叱責するようなことはありましたか?
(小沢元代表)叱責というほどではないですが、なんで作っていないのかということは言っただろうと思います。ただ、確認書は疑念を持たれないように、われわれが積極的に作ったものですので、作っていないことが分かった段階で作ってもいいものですので、忘れていたからといって厳しく叱責するものではありません。
(裁判長)今回の事件では、平成22年1月に石川さんが逮捕され、その前にも陸山会を巡って様々な報道がありましたが、それは把握していましたか?
(小沢元代表)まぁ、まぁ。
(裁判長)報道されたときには石川さんから経理処理の方法について報告は受けていないということでしたが、報道のあと、石川さんを呼んで経理処理について詳しく説明を求めたことはありませんでしたか?
(小沢元代表)一連の事件については、私も事務所も何ら不正はありませんし、なぜこうなるのかと強く思っていました。収支報告書に関しても石川や池田がきちんと正確に報告していると信じていましたし、そのことについては、弁護士ときちんとやっていると報告を受けていましたので、やましいことはありませんし、特別、石川や池田を呼んだりはしませんでした。
(裁判長)今回の事件で、石川さんたちが、政治状況を考慮して深沢の土地の登記を平成16年から平成17年にずらしたと証言しています。深沢の土地の登記をずらすという秘書の行動についていまはどう思っていますか?
(小沢元代表)私も秘書も申し上げましたが、彼らは彼らなりに、少しでもマイナスにならないように、よかれと思ってやったことだと思います。収支報告書についても、きちんとやっていますので、彼らに対して叱るというたぐいの感情は持っていません。最後に、小沢元代表側の弁護士と検察官役の指定弁護士がそれぞれ質問しました。
(弁護士)総選挙の際に、同志の議員に500万円ずつ渡したと証言されていますが、領収書はもらっていますか?
(小沢元代表)もちろんです。きちんともらっています。
(弁護士)それは、陸山会宛の領収書ですか?
(小沢元代表)そうです。
(弁護士)小沢さんは、経理や会計の経験はあるのですか?
(小沢元代表)ありません。
(弁護士)それでは収支報告書を見て正しいか、間違っているか判断できるのですか?
(小沢元代表)私は書式もわかっていませんので、ポンと見せられても分かりません。
(弁護士)深沢8丁目の土地は、平成17年1月に本登記がされました。確認書を後から作ったのは平成19年2月、そして平成22年4月に検察官から調べを受けましたよね?今から考えると、5年前の土地購入について、3年前に確認書を作ったということです。それを正確に思い出せたのですか?
(小沢元代表)私の頭の中には、1つは、確認書を念のために作ろうということでスタートした。確認書があるものという意識が頭の中にはあったと思います。あとになって、公開するとき作っていないものがあることが判明したので、そのときに作ったものもあったわけでございまして、そのへんの年月日、行動についてはっきりした記憶はなかったと思います。
(弁護士)確認書は、権利とか義務とか発生するものではないから、あえて特別ごまかすという意識はないのではないですか?
(小沢元代表)確認書は契約書でちゃんとやっているもので、作る必要はないが、念には念を入れて私どもの積極的な努力でやろうということで確認書を作ろうということを始めたわけで、自分としては、その都度できているものと思い込んでいましたが、たまたま作っていないものもあるということで、公開のときに作っていました。それを忘れていたというのは、その時点ですぐ作ればよかったが、きちんとしてくれていれば、とやかく言われる筋合いはないと思っています。
(指定弁護士)あなたの銀行の口座の預金の出入りが尋ねられている。個々のものに記憶はありますか?
(小沢元代表)具体的行為の記憶はありませんが、そこからかなりの額の金額を引き出したのは覚えています。
(指定弁護士)弁護士に開示している出入金の元帳示します。口座番号分かりますか?
(小沢元代表)分かりません。
(指定弁護士)16年10月の分を見てもらえば分かると思います。
(弁護士)小沢元代表本人が見たこともない書類を、証拠申請されていない、公判前整理手続きで出ていない書類を出すことは、賛成していない。
(指定弁護士)では、弁護士が不同意なのであれば撤回します。
(裁判長)それでは終わりました。元の席に戻ってください。
小沢元代表 引き続き潔白を強調
NHKニュース1月11日 18時23分
民主党の小沢元代表の裁判で最大の山場となる被告人質問が、2日間にわたって行われました。小沢元代表は、みずからの潔白を強調し、4億円の出どころなど、検察官役の指定弁護士が不自然だと主張した数々の指摘について、問題はなく、潔白だという主張を繰り返しました。
民主党の元代表、小沢一郎被告(69)は、資金管理団体が土地を購入する際に提供した4億円を巡り、収支報告書にうその記載をしたとして、検察審査会の議決によって強制的に起訴され、10日と11日の2日間にわたり、小沢元代表本人への質問が行われました。質問では、4億円の出どころについて小沢元代表がどう説明するかが焦点となり、小沢元代表は、10日、「両親から不動産や現金を相続したほか、議員報酬や本の印税などでそれなりの現金を持っていた」と述べ、個人の資産でやましい金ではないと主張しました。これについて、検察官役の指定弁護士が、11日、4億円の出どころの説明を検察の事情聴取の中で変えたのかと質問すると、小沢元代表は「変えていない」と否定したうえで「銀行の資料で最小限、確認できたものについて説明しただけだ」と主張しました。しかし、具体的な内訳については「銀行に記録はなく、正確な記憶もない」と述べ、それ以上の説明はしませんでした。また、この4億円を銀行に預けずに手元に保管していたことについては「ずっと以前からそうしていた。何かの必要があるときにすぐに対応できるし、手元にあるのは安全でもある。私の感覚としてはそれほど離れたことではない」と述べ、不自然なことではないと強調しました。また、最大の焦点となっていた収支報告書への関わりについては、10日の弁護団の質問に対し、「私の関心は天下国家の話で、それ以外のことはすべて秘書に任せていた」と述べたうえで、「収支報告書は今まで一度も見たことはなく、秘書から説明を受けたことも指示したこともない」として関与を否定し、改めて無罪を主張しました。11日は、最後に裁判官が疑問に感じた点について、1時間以上にわたって質問しましたが、小沢元代表は、これまでと同じ主張を繰り返して不自然な点はないと強調しました。裁判は11日で実質的な審理は終わりました。来月17日には「うその記載について小沢元代表に報告し、了承を得た」と供述した元秘書らの捜査段階の供述調書を採用するかどうか、裁判所が決定することになっています。判決は、論告求刑や最終弁論を経て、ことし4月末にも言い渡される見通しで、小沢元代表の2日間にわたる発言の内容や調書の信用性について、裁判官がどう判断するか注目されます。
2日間にわたった被告人質問が終わり、小沢元代表の弁護団が会見を開きました。この中で、小沢元代表への質問を担当した弘中惇一郎弁護士は、「小沢さんは、法廷で質問を受けるという経験がないので多少心配でしたが、2日間を通じて証言がぶれたことはありませんし、びっくりする話を突きつけられることもなかったので、裁判官に主張を十分理解していただけたのではないかと思います」と話していました。一方、検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、この2日間を振り返って「質問が成功したかどうか述べる立場にないが、小沢元代表の受け答えはおおむね予想どおりだった。事実に照らしてその回答でいいのか、私はおかしいと感じている」と述べました。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「消化不良のすっきりとしない内容で、有罪・無罪どちらかに傾くようなやりとりは出てこなかった」と述べました。そのうえで、検察官役の指定弁護人からの質問について「収支報告書を作成する際に小沢元代表は、秘書と何らかの話をしているだろうという常識的な感覚に基づいており、すべてを秘書に任せていたという小沢元代表の説明の不自然さを浮き彫りにすることはできた」と述べました。一方で「刑事裁判では、不自然だというだけで有罪にはならない。小沢元代表に報告し、了承を得たとする石川議員の供述調書が証拠として認められなければ、有罪は難しいだろう」と指摘しました。