小沢元代表「消費増税掲げ政権持つのか」 改めて批判
日本経済新聞2012/1/18 20:27
民主党の小沢一郎元代表は18日、衆院議員会館の自室で愛知県の大村秀章知事と会談した。元代表は野田佳彦首相が意欲を示す消費増税について「欧州経済が大変で世界不況になろうとしているときに何を考えているんだ。消費増税を掲げて政権は本当に持つのか」と批判した。
夜には、都内の日本料理店で自らを支持する議員グループの牧義夫厚生労働副大臣と会談。小沢元代表は首相が消費増税を押し切れば元代表や支持議員が離党に踏み切るのではないかとの見方が出ていることに触れ「取り越し苦労だ。党の中でやっていくので、政府に入っている議員にもそう伝えてくれ」と語った。
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「反増税派を番組に出すのは勇気いる」とTVディレクター証言
ポストセブン2012.01.18 07:00
野田佳彦・首相が年頭会見で消費税増税を「ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」と語るなど、露骨な増税路線が敷かれ始めた。財務省による大新聞、テレビを巻き込んだ世論工作も活発化している。メディアに対しても元経産省官僚の古賀茂明氏ら反増税派言論人の露出をやめさせるべく圧力をかけている。
反増税派きっての論客、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授も標的にされた一人だ。財務省内では「高橋はブラックリストの筆頭」(同省有力OB)とされ、高橋氏も、「最近、対談の企画や討論番組への出演依頼の後、『今回はご遠慮させていただきたい』とキャンセルされるケースが何度かあった」と語る。
たとえテレビ出演が実現しても、重要な発言がカットされる現実に直面した。
昨年末、高橋氏は民放テレビの討論番組で増税派の財務省OB議員らと「国家経済破綻」をテーマに議論を戦わせたが、オンエアを見て驚いた。
「収録で私が増税派の人たちに『では何年後に財政破綻すると思うか』と尋ねると、『3年』だという。しかし、実は、市場では日本国債のリスクをはかるCDS金利(※)は1.3%と低い。
世界の金融のプロは日本の財政状況は数十年に1回の低い確率でしか破綻しないと見ている。ギリシャのCDS金利は60%以上だから全く評価が違うわけです。もし、本当に日本が短期間で財政破綻するというなら、政府が自らCDSを買えば大儲けできる。そのことを指摘すると彼らは誰も反論できなかった。
また、震災復興などの財源は増税ではなく、国債の日銀引き受けで十分できる。私が小泉・安倍政権で官邸にいた時は実際にそうやったと指摘して増税論を論破したが、その議論はほとんどカットされていました」(高橋氏)
その裏には何があるか。民放テレビのあるディレクターが明かす。
「高橋氏や古賀氏を番組に出すのは勇気がいる。財務省に睨まれて『あの発言の根拠は何か』と抗議が来るからだ。局の上層部はそれが怖いから、せっかく出演してもらっても収録後に発言やデータをチェックし、財務省の心証が悪くなりそうな部分はカットして自主規制する傾向にある」
言論機関の自殺である。
※CDS/クレジット・デフォルト・スワップの略。国債や社債、貸付債権などの信用リスクを対象としたデリバティブ商品のこと。デフォルト(債務不履行)の可能性が高いほど金利が上がる。
※週刊ポスト2012年1月27日号
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◆公務員制度改革はかくて骨抜きにされた われらは敵だらけの中でいかに戦ったか/古賀茂明vs高橋洋一(前篇)2011-07-22 | 政治
Diamond online 2011年7月22日 【特別対談】古賀茂明vs高橋洋一(前篇)
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◆かくて民主党政権は官僚の手に落ちた このままでは安易な増税路線に突き進む/古賀茂明vs高橋洋一(後篇)2011-07-30 | 政治
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◆原発問題の裏にある経産省・東電「天下り・利権の構図」/退職勧奨を受けた古賀茂明キャリア官僚 VOL.1〜3 2011-07-21 | 政治
◆経産省官僚古賀茂明氏への肩たたき/民主党政権よ、霞が関の改革派潰しにまで手を貸すのか2011-07-16 | 政治
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◆「検察の失墜」田原総一郎×郷原信郎2010-10-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
田原総一郎×郷原信郎 緊急対談「検察の失墜」 最終回2010年10月05日(火) 田原総一朗
vol.1 はこちらをご覧ください。 vol.2 はこちらをご覧ください。
田原:ぼくが違和感を覚えることがあるんです。新聞が民主党の代表選挙の前にやった世論調査では菅さんがだいたい7割で、小沢さんが2割に達しなかった。ところが、告示以後の演説は、小沢さんのほうが面白いんですよ、率直に言って。中身もあるし夢もある。だから小沢さんの支持率は上がるんじゃないかと思ったら、結局、小沢さんの支持率は上がらなかった。何だろうと。国民の多くには、小沢は汚い、あいつは悪いヤツだという認識が相当浸透しているんじゃないかと。
郷原:それは間違いないでしょうね。昨年の西松建設事件が何だったのか、大久保秘書が捕まった事実が何だったのか、小沢さんにどういう疑いがあったのか、そして世田谷の不動産の事件っていうのがいったいどういう事件で、石川さんはなんで捕まったのか、そして小沢さんはどういう疑いで調べを受けたのか、こんなこと正確に言える人は世論調査を受けている人の100人のうち1人もいないですよ。
田原:いないですよ。分かんないでしょう。
郷原:要するに、何か金の問題がある、政治と金の問題だ、そして世田谷の不動産に関しては4億円。これだけでイメージが出来上がってしまっているんです。
田原:検察がリークしたかどうか分かりませんが、とにかくマスコミで、新聞やテレビで、小沢汚い、悪いと相当そういう情報を氾濫させましたね。
郷原:ツイッターでこういうことを書いている人がいました。一連の小沢さんに対する捜査の中で多くの市井の「おばちゃんたち」は、小沢さんは西松建設から4億円貰って、その4億円で世田谷の不動産を買ったと、そう思ってますよって言ってる人がいたんです。そうか、確かにそう言われてみると、みんな、そういうふうに思ってるのかなと思いましたね。
田原:そこでひとつお伺いしたい。大新聞の世論調査は、もちろんテレビもそうですが、みんな小沢さんの支持率は非常に低い。ところがネットの世界・・・。
郷原:全然、違いますね。
田原:逆転なんですよ。代表選中にニコニコ動画でやった調査だと、小沢さん支持が78、菅さん支持が20あるかないか。なんでこんなネットは小沢さんが高くて、大マスコミは小沢さんが低いんでしょうね。
郷原:ニコニコ動画もそうですけども、ネットというのは、まさにその素材を直接見て誰が何を言っているのかということを、まず分かってますよね。その意味じゃ、ちゃんと考えて見ているわけですよ。何となく訳分かんないけど、イメージだけで良い悪いを判断してるんじゃない。しかもネットには一般のテレビと新聞とは違う情報が流れているんですよ。ツイッターの世界もそうですし、ブログの世界もそうです。そこを見ればいろんな意見があって、こういう見方がある、どの見方が正しいのかっていうことだって自分で判断できるんですよ。
田原:なるほど。これを流しているのはネットの世界だね、今?
編集部:はい、そうです(この対談はUstで生中継しました)。
田原:これを聞いている人、見ている人の中では、小沢さんの支持率が高いのかな?
郷原:その可能性、高いですね。
編集部:今、ツイッターへの書き込みをみても、相当、検察批判をされている方がおられるので。
田原:ツイッターに何か質問は来てない?
編集部:たとえば村木さんの郵政不正問題で民主党の政治家を狙ったというのは、政治家の力で検察がそう動いているのか、それとも検察独自の「検察の正義」というのがあって勝手に動いているのか、どちらでしょうか。つまり政権与党が野党の民主党政治家をやろうと思ってやらしているのか、それとも検察が独自の判断でやっているのか、という質問です。
田原:郵政不正のときは、民主党は野党だったんだよね。
郷原:私の経験からすると、政治家の側に、これをやれと圧力をかけられて検察が動くという可能性はあまりないと思います。そうじゃなくて、検察の側がそれなりにこういうふうにやった方がいいんじゃないかという判断をして動く場合が大部分だと思うんですよ。ただ、私の特捜検察での直接的経験というのはかなり前です。2000年以降の検察でどういうことが起きているのか、ちょっと分からない面はあるんですよ。例えば、三井環さんのように、例の裏金問題で、検察は小泉政権に、自民党サイドにずいぶん世話になってしまって、それから自民党とベッタリになったという見方をしている人がいますよね。
田原:三井環さん、もちろん知ってる方が多いと思います。すこし解説を加えると、三井さんは検察の幹部のときに、逮捕されたんですね?
郷原:大阪高検の公安部長です。
田原:その公安部長が、検察の告発をしたんですね。
郷原:裏金問題を告発しようとした。
田原:その日は、夕方、テレビ朝日の番組に出ることになっていた。そしたらその直前に逮捕された。
郷原:三井さんのお話によると、人事問題などを巡って時の政権に検察がお世話になって、そして最終的には裏金問題も目を瞑ってもらって、そこで自民党政権にお世話になったんだと言うのです。そこでいってみれば毒饅頭を食うような形になって、それから自民党政権には頭が上がらなくなった、と。それ以来、政治と検察の関係が変わったんだという見方をする人がいます。そこは私は検察にいなかったので分からないですよ。しかし私の経験から言うと、検察の中にはやはり検察の内部でのモチベーションの維持とか、組織としてみんながある程度一体として纏まっていくために、あまり無茶な政治との結託をやると却っておかしなことになるということは、ずっとみんな考えてきたと思うんですよ。ですから・・・。
田原:現に、小沢さんの世田谷の深沢の土地の問題を検察がドンと言い出したのは、民主党が政権をとって以後ですよね。
郷原:そうです。これはどう考えたって、政治と結託するなんていう話じゃないんですよ。むしろ、小沢さんを何とかして叩き潰したいという、いってみれば遺恨試合ですね。
田原:そこを聞きたい。なんで検察が、小沢一郎を叩き潰したいと、こう思い込んでるんですかね。
郷原:まず一つは、西松建設事件で失敗してしまった。いってみれば一旦拳を振り上げてやっつけようとした人間を潰せなかった。その潰せなかった人間が大きな力を持つようになったら、それは報復されるんじゃないかっていう思いがありますね。
田原:あ、報復か。
郷原:そういう思いがあったり、そもそもやはりもともと田中派の重鎮だった小沢さんとの昔からの確執みたいなものがあるかも知れないです。何とかして小沢氏を政治的に力を弱めようという意図が働いていた可能性もありますね。
田原:なるほど。田中派のいわば中枢にいて、田中派のやり方を今もやってると、検察はこう思い込んでいるんですね。
郷原:まあ、少なくとも検察との関係は良くない人間で、もし彼が政治的に権力を握ると検察にとって大変なことになるという危惧感はあったかも知れないですね。
田原:ちょっと聞きたいんですが、検察は少なくとも小沢さんの問題で、深沢の土地の問題では結局起訴できなかった。そういう意味じゃ、検察にしちゃ失敗です。ところが、その後の小沢さんの支持率の低さ、代表選挙の結果を見ると世論操作では成功してるんじゃないですか?
郷原:検察が成功したというよりも、検察が小沢氏の事件に関しては力尽きたわけですね、不起訴で。その後今度は二段ロケットとして、検察審査会というロケットがボンと噴射したわけですよ。それを使ったメディアの反小沢キャンペーンが成功してるっていうことじゃないですかね。
田原:検察審査会のことは郷原さん、どう見ます?
郷原:これはきちんと整理して考えないといけないんですよ。まず、検察はあれだけ執念深く小沢氏の刑事責任を追及しようとして、石川氏まで逮捕して、小沢氏を聴取して、それにも関わらず起訴できなかった。不起訴だったわけですよ。これが検察が組織として本来起訴できるものを、何か弱気になって、あるいは小沢氏の側に特別の計らいをして不起訴にしてやったということは通常は考えられない。ぎりぎりまで起訴できるものだったら起訴しようと思って捜査をした結果が不起訴に終わったわけです。あれは検察の敗北だったわけです。その検察の不起訴という処分を受けて検察審査会が、11人のいってみれば素人の人達の市民の集まりですね、この人たちが、起訴すべきだ、起訴相当だという判断を出した。前にも言ったように、犯罪とされるものの中身も単なる期ずれですよ。2カ月ちょっと不動産の取得時期がずれてるっていうだけですよ。そういう事実で起訴相当っていう判断を出した。その時に検察審査会の議決書のなかでは、市民の考え方からしてそうなんだ、こういう観点から起訴すべきなんだという、検察審査会の議決を受けて、検察は再捜査したわけです。それでも検察は、それを受けて再捜査しても、また不起訴ですよ。
田原:そうでしたね。
郷原:これだって、できるものだったらやりたいんだけども、やっぱり不起訴です。ということで、まさに国家機関である、訴追権を行使する国家機関である検察の判断は、不起訴っていうことで固まってるわけです。この不起訴は嫌疑不十分ではない。嫌疑なしじゃなくて嫌疑不十分だから嫌疑があるんだというふうなことを、訳の分かんないことを言う人がいるんですけども、そうじゃないですよ。裁判だって無罪判決っていうのが、疑いがあったって証拠で証明できなければ無罪です。それと同じですよ。嫌疑なしっていう裁定はあるけれども、それは人違いだったとか、別の犯人が見つかったとかそういう場合が嫌疑なしであって、とにかく犯罪事実が立証できないときには嫌疑不十分、不起訴なんです。そういう形で国家機関である検察の判断は、これでもう確定しているんですよ。これから先は、検察審査会法上は、その場合でも検察審査会にもう一回戻されて起訴相当の議決が出た場合には、もう一回審議をしなさい、その結果市民の審査員の中の11人中8人以上が起訴相当っていう議決をしたら起訴の手続きを指定の弁護士が取りなさい、そういうことなんです。しかしそこの部分は、もう国家機関たる検察の判断が出た後に、でも念のために裁判所で全部証拠をもう一回検証してみて、本当に不起訴でいいのかどうかをチェックしてみよう、確かめてみようと、こういう手続きなんですよ。それは何故かって言ったら、市民が、検察の処分だけでは終わらせるべきではない、まだちょっと納得できないところがあるから、念のために裁判所に判断してもらってくれと言ってるだけなんですよ。これはこういう例えで考えたら分かりやすいと思うんです。検察の不起訴までは、正式なコンサートの曲目です。プログラムに載ってる、一曲目はこれ、二曲目はこれっていう正式な曲目です。これは終わってるんですよ、検察の不起訴で。その後にアンコールといって、もう一曲、二曲演奏する場合があるじゃないですか。これなんですよ。拍手が鳴り止まないから指揮者がもう一回出てきて曲を演奏する。それなんですよ。
田原:ただね、郷原さん仰るけど、逆にいうと、例えば明石の橋で大勢が亡くなったあの事件、それからJR西日本のあの問題。あれは検察審査会が起訴相当とやって起訴された、ということがありますね。
郷原:ですから、あれも議決書の中に書いてありますよ。起訴しても、有罪になるかどうか分からないっていうか、有罪の可能性は低いかも知れないけれども、裁判所で最終的に明らかにすべきだという理由で起訴相当の議決をしてるんですよ。明石だってそうだし、尼崎の事件だってそう。この二つも有罪になる可能性はきわめて低いっていうことは、刑事法関係者の中では常識なんですよ。
田原:そうか。あれは検察審査会で起訴されたわけで、有罪かどうかじゃないんですね。
郷原:全然違いますよ。有罪になると考える人はきわめて極々少数ですよ。ただそれでも、ああいう事件を検察だけでは終わらせるべきでないという判断なんです。特に明石の歩道橋の事件っていうのは、警察幹部の事件なんですよ。警察幹部の事件っていうのは検察と警察の関係を考えたら・・・。
田原:一種の馴れ合いがあるんじゃないかと。
郷原:ええ、そういう疑いがあるから検察限りで終わらせるべきではない、という議決なんです。ところがこの小沢さんの事件はまったく違うんですよ。検察はもう力の限りやって、2回力尽きてるんですよ。後、それでもアンコールって言ってるだけなんですよ。このアンコールを中心に考える人はいるのか、コンサートは正式曲目を前提にチケットを買うんじゃないのか、ということなんです、問題は。
田原:一つお聞きしたい。もともと郷原さんは検事さんだった。その郷原さんが、今、懸命に検察批判をしている。何故なんですか。
郷原:私は、特捜部のあり方っていうのは非常に問題があるっていうことは、検事をやってる頃からずっと思ってきましたし、ですから特捜検察とは平成5年のゼネコン汚職事件のときで決別したつもりです。まあ、関わらないといけなかった特別な事件もありましたけど。
田原:特捜はどこが問題なんですか。
郷原:それは私の『検察が危ない』(ベスト新書)っていう本の中に書きましたが・・・。
田原:ええ、読みました。要するに、いまや特捜検察っていうものの権力を維持すること、特捜の看板を維持すること、それが自己目的化してるっていうことですね。
郷原:ええ。そしてそのために特捜検察に対する世の中の評判とか、権威っていうものを維持するために、ちょっと普通じゃ考えられないようなことが行われる世界、それがまさに今回の村木さんの事件で裁判所から断罪された取り調べのやり方です、ストーリーの組み方です。
田原:それはとんでもないと思う。ただね、もう一つ、宗像さんも言ってるけど、つまり、特に難しい事件のときに特捜部が出て来る。難しい事件だからもちろんいろんな問題があるけど、じゃ、難しい事件は扱わなくてもいいのかっていったら、そうじゃないと。宗像さんが言ってる、難しい事件の場合に特捜部が出るんだと、この点はどうなんですか。
郷原:特捜部が想定している敵というのは、ちょうど日露戦争の日本海海戦におけるバルチック艦隊みたいなものなんですよ。要するに、大国ロシアの無敵艦隊、それに小国日本の連合艦隊が立ち向かう。これはもう普通じゃ勝てない、そこで日本の連合艦隊の幹部以下が心を一つにして、しかも大砲の性能をいかんなく発揮して、そしてT字ターンという本当に会心の戦法をとって、それで勝った日本海海戦、バルチック艦隊を撃破した。こういう戦争の勝ち方っていうのが特捜部の原体験であり、それがロッキード事件なんです。それを想定しているんですよ。本当に大変な巨悪っていう敵を叩き潰すために、こんな重装備でこれだけの大砲を持って、これだけの人間が集まって、これだけのことをやらないといけないということの想定で特捜部ってできているんです。でも、ひょっとすると今狙ってる相手は民間の商船かも知れない、漁船かも知れないんですよ。村木さんなんて、まさにそうじゃないですか。それに対しても同じようなやり方をして、同じように叩き潰す。
田原:非常によく分かる。問題はいっぱいあるんだけど、ただね、田中角栄さんがロッキード事件でやられたときに、割にマスコミの中で流行った言葉がある。「検察民主主義」だと。日本の政治は民主主義じゃない、やっぱり金と力で政治が進む。こういう政治の中で、検察が民主主義を維持していると、こういう言い方もありましたね。
郷原:うーん、異常な世界ですよね、異常な国ですよ。検察っていう捜査機関、検察っていう国家権力の一つ、しかも民主的な基盤って何一つ持たない、その検察っていう組織、これがすべて正義ですべて正しいことやって、悪い政治家はこいつがいい、こいつが悪いっていうことを全部・・・。
田原:検察が決めていくと。
郷原:そういうことが許されている。先進国って言えるんですかね。
田原:なるほど。
編集部:ツイッターでは、検察批判が大マスコミには出てこないのは、検察と新聞、テレビが癒着構造にあって、このチェック機能が働いていないのが問題ではないか、という意見がかなりあります。
田原:いつもぼくはこの話をするんですが、例えば小沢さんの問題で、サンデープロジェクトという番組に郷原さんに出ていただいたのは、テレビ局はたくさんあるんだけどもサンデープロジェクトだけなんですよ。で、サンデープロジェクトに郷原さんに出てもらおうと思ったら、局が「反対、出すな」と言ってきた。
なぜかっていったらね、サンデープロジェクトに郷原さんに出ていただくと、テレビ朝日の司法記者担当の記者が取材ができないと、検察が意地悪して。こういう問題があるんですね。
さらに言うと、新聞が、明らかに検察の関係者がリークする、そういう記事を書くときに、「関係者によれば」とか「検察関係者」と必ず書かない。何故だってある新聞記者に聞いたら、検察関係者と書いたらその新聞の司法記者は出入り差し止めだと。
郷原:今のメディアの構造、新聞とかテレビを巡る構造を考えると、そうなってしまうのもやむを得ないと思うんですね。要するに、メディアの構造自体が完全に単一化、単純化されているわけですよ。検察の問題を扱うんだったら、司法クラブと司法クラブ出身者の遊軍で検察幹部と親しい記者たち。この人たちが完全に新聞の紙面もテレビの画面も抑えてしまう、支配してしまうんです。ですから、その人たちっていうのは考えてることが検察と変わらないです。特捜検察と同じ方向を向いているんです。ですから・・・。
田原:僕もマスコミは一員です。そうじゃない人間もたくさんいると思うけども・・・。
郷原:ですから、ごく例外的なんですよ、田原さんのような考え方の人は。一般的にそうです。司法クラブにいると、そういうようなスタンスでないと確かに・・・。
田原:取材できない。
郷原:しかも、司法クラブだけじゃなくて出身者だってそうですよ。ただ問題なのは、そういう人はそういう人で、そういう仕事をすればいいじゃないですか。でも、そうじゃない人がいて、そういう人の情報もある程度選べて、批判的な見地からいろんな取材をしていく、いろんな批判もしていくということができれば、一つのメディアの中でバランスが取れると思うんですよ。
田原:村木さんの問題に戻ると、村木さんもいろいろ新聞に訴えてらしたけど、やっぱり扱いは小さいですね。いや、この判決前ね。
郷原:今日はどうだったんですかね(対談は村木さんの無罪判決当日の夜)。私、ニュースとかあんまり見てないんですけど。
田原:今日の夕刊でしょう。
編集部:特に面白いのは、今週になって急に言い訳のように、村木さんのインタビューなどの記事が出始めました。それまではそういう報道は全然なかったんですけど、急にこの辺で、要するに書いてもいいのかなっていう雰囲気が出てきて・・・。
田原:勝ち馬に乗るってやつ?
編集部:そういう感じでしたね。
田原:今日は有り難うございました。
郷原:有り難うございました。 (了)