暴排条例に田原氏らが反対声明 「過剰な正義感は危険」
全都道府県で施行された暴力団排除条例の影響で、暴力団をテーマにした書籍などが排除され、表現の自由が脅かされているとして、ジャーナリストの田原総一朗氏らが24日、東京都内で記者会見し、条例の廃止と暴力団対策法の改正に反対する共同声明を発表した。
参院議員会館で会見した田原氏は「悪いやつをぶっつぶすためには何をやってもいいんだという過剰な正義感は非常に危ない」と指摘。作家の宮崎学氏は「原稿がボツになったという話も聞く。深作欣二さんの仁義なき戦いのような映画も撮れなくなる」と話した。
2012/01/24 18:59【共同通信】
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暴対法、暴排条例は「自由の死」 作家・宮崎学らが反対声明
ニコニコニュース(オリジナル):2012年1月24日(火)19時47分配信
作家・宮崎学氏をはじめ、ジャーナリストの田原総一朗氏、評論家・西部邁氏らが2012年1月24日、暴力団排除条例の廃止を求めると共に現行の暴力団対策法の改定に反対する共同声明を発表する記者会見を開いた。声明のなかで宮崎氏らは、暴力団排除条例を表現者としての存在理由を否定し、「『自由の死』を意味する」ものであるとした。
会見では、"保守"の西部氏が暴対法、暴排条例を「過剰なアメリカ的民主主義の産物」とし、「世論がそちらに向いたらそれに従いましょう」という方法では少数派を排除することになると訴えた。一方、"リベラル"としてコメントした佐高氏は、「こういうもの(=暴対法、暴排条例)は無菌社会を予想している。無菌社会は極めて弱い」とし、考え方の出発点が「官僚的、エリート的である」と批判した。
■「"暴力"について変なことが起こっている」
ニコニコ動画の七尾記者から「『暴力団』というワードが全面的に出ているがゆえに、根幹にある『自由の死』という問題が見えにくい。また、政治家がこの法令や改正案におかしいと思っても『暴力団排除』という言葉があるため表立って反対しにくい。この点をどう乗り越えるのか」と問われると、「僕もそういうことは気になっていた」という西部氏は、「暴力について変なことが起こっている。『暴力反対』と言うが、たとえば明治維新も暴力。徳川の法律が支配していた」とし、
「暴力団を礼賛する気は毛頭ないが、文明の進歩を一方で称えておきながら、不法の力としてのバイオレンスが巨大な力を発揮したことを認めておきながら、どうして目前のことになると黄色い声だけで済まそうとするのか」
と疑問を呈した。また、宮崎氏は
「ここ10年くらいの暴力の現場というと殺人事件になると思うが、(そのうち)50%台を常に保っているのは親族殺しや親子殺し。暴力の質が、警察の言う暴力の質から変わってきているのが現代の社会」
とし、暴対法や暴排条例は「まったくの的はずれ」であると述べた。
さらに、会場を訪れていた元外交官の佐藤優氏は、コメントを求められると七尾記者の質問に触れ、
「Xという団体に加盟している人間と付き合いの人間は排除する。こういう法律がどういう風になるかを考えると、治安維持法がある。最初は(対象が)共産党だった。ところが死刑に加わって、それに対する労働運動、さらに宗教団体。最後には大本教のような国家権力に近かった宗教団体まで弾圧を受けた。私の皮膚感覚で言えば、かつてXは鈴木宗男とその一派だった。ああいったことはいつでもある」
と、戦前の治安維持法を挙げると共に、自身が鈴木宗男事件にからみ有罪判決を受けた経験をまじえて語った。◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「自由の死という問題が見えにくい点をどう乗り越えるのか」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv78471932?po=news&ref=news#56:43
(土井大輔)
『暴力団排除条例』の廃止を求め、暴対法の改悪に反対する表現者の会
「暴力団排除条例」の廃止を求め、「暴対法改定」に反対する表現者の共同声明
2011年・平成23年10月1日に東京都と沖縄県が暴力団排除条例(「暴排条例」)を施行した。その結果、全都道府県で暴排条例が施行されることになった。こうした事態にいたるまで、わたしたち表現者が反対の意思表明ができなかったことを深く反省する。
わたしたち表現者も、安全な社会を否定するものでは決してない。しかし、その「安全な社会」の実現を謳いながら、「暴排条例」は、権力者が国民のあいだに線引きをおこない、特定の人びとを社会から排除しようとするものである。これは、すべての人びとがもつ法の下で平等に生きていく権利を著しく脅かすものである。
暴対法は、ヤクザにしかなれない人間たちが社会にいることをまったく知ろうとしない警察庁のキャリア官僚たちにより作られた。さらに危険なことは、暴力団排除を徹底するために、表現の自由が脅かされることだろう。
条例施行以後、警察による恣意的な運用により、ヤクザをテーマにした書籍、映画などを閉め出す動きをはじめ、各地各方面で表現の自由が犯される事態が生まれている。こうしたなかで、金融、建設、港湾、出版、映画などさまざまな業界で、「反社会的勢力の排除」「暴力団排除」をかかげた自主規制の動きが浸透しつつある。萎縮がさらなる萎縮を呼び起こす危険が現実のものになっている。
いまからでも遅くない。暴排条例は廃止されるべきである。
こうした流れのなかで、新年早々から、一部の勢力が暴対法のさらなる改悪を進めようとしていることに、わたしたちは注意を向けなければならない。
かねて福岡県知事らは、法務省に対して暴対法の改定を求めて要請を続け、これを受けて警察庁は暴対法に関する有識者会議を開催して準備を始めている。
そこでは、現行法のさまざまな要件の緩和、規制範囲の拡大が検討されている。昨年暮れには、福岡県知事らが暴力団に対する通信傍受の規制緩和やおとり捜査・司法取引の積極的導入を法務大臣に直接要請したことが報じられた。
暴対法がこうした方向で改悪されるならば、表現の自由、報道の自由、通信の自由、結社の自由などの国民の基本的権利はさらなる危機に立つことになるだろう。
ヤクザの存在は、その国の文明度を示すメルクマールでもある。たとえば北朝鮮にはヤクザはいないと言われている。戦前の社会主義者の規制が全国民への弾圧に拡大したように、暴対法は「暴力団」の規制から国民すべてを規制する法律として運用されることになるだろう。これは、わたしたちに「治安維持法」の再来を含めた自由抑圧国家の成立を想起させる。
わたしたちはこうした動きに強く警戒し、強く反対する。わたしたち表現者は、自由な表現ができてこそ表現者として存在できるのであり、表現者の存在理由を否定し、「自由の死」を意味する暴排条例の廃止を求め、暴対法の更なる改悪に反対する。
2012年・平成24年1月24日
○会見出席者
青木 理(ジャーナリスト)
佐高 信(評論家)
鈴木邦男(一水会顧問)
田原総一朗(ジャーナリスト・評論家)
辻井 喬(作家・詩人)
西部 邁(評論家)
宮崎 学(作家)
若松孝二(映画監督)
賛 同 者(2012年平成24年1月20日現在)
猪野健治(ジャーナリスト)
植草一秀(経済評論家)
魚住 昭(ジャーナリスト)
大谷昭宏(ジャーナリスト)
岡留安則(元『噂の眞相』編集長・発行人)
小沢遼子(評論家)
角岡伸彦(ジャーナリスト)
喜納昌吉(ミュージシャン)
栗本慎一郎(有明教育芸術短期大学学長、評論家)
斎藤貴男(ジャーナリスト)
齋藤三雄(ジャーナリスト)
須田慎一郎(ジャーナリスト)
高橋伴明(映画監督)
日名子暁(ルポライター)
平野 悠(?ロフトオーナー)
みなみあめん坊(部落解放同盟所属)
南丘喜八郎(『月刊日本』主幹)
宮台真司(社会学者・首都大学東京教授)
山平重樹(ジャーナリスト)
若松孝二(映画監督)
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川上 徹
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◆和田アキ子 島田紳助さん/うらぶれて袖に涙のかかるとき人の心の奥ぞ知らるる/士は己を知る者の為に死す2011-09-01 | 社会