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小沢氏裁判/平野貞夫「登石裁判官の訴追請求状を提出したところ、ある有識者から厳しい批判があった」

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日本一新の会 メルマガ配信
━━【日本一新】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                    第85号・2012/1/26
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                      顧問:戸田邦司
                      発行:平野貞夫
                      編集:大島楯臣
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☆本号は無限拡散希望につき、転載許諾を必要としませんので、 お取り扱いをよろしくお願い申し上げます。
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      <メルマガ・日本一新第85号>
◎「日本一新運動」の原点―92
               日本一新の会代表 平野 貞夫
 私が、1月12日(木)に、東京地方裁判所の登石裁判官の、「訴追請求状」を提出したところ、『サンデー毎日』と『日刊ゲンダイ』が報道してくれた。ネットでは多数の方々から声援をいただいた。ネットでの議論は民主主義国家の司法のあり方をめぐって、真剣な意見が交換されているが、巨大メディアは無視を決め込んでいる。これからの情報社会では「ネット・メディア」が世の中を動かす予感がしてならない。
 そのネットでも、ある有識者から私に対して厳しい批判があった。「小沢氏側近の平野貞夫元参議院議員が、訴追請求状を裁判官訴追委員会に送ったことは、司法にプレッシャーをかけるパフォーマンスに見え、全く賛同できない。政治家は国民の権利が侵害されたときにこそ反応して貰いたい」という趣旨のものだった。
 私を政治家だと断定するのもどうかと思うが、基本的で重大なことを理解していないようだ。私の「訴追請求」が必ずしも「小沢裁判」に有利になるとは限らない。次第によっては不利に展開する可能性もあるのだ。それでも、登石裁判官については訴追しなければならないと確信している。私を批判した有識者は、私の訴追請求状や「メルマガ・日本一新」で述べた提出理由を知らずにコメントしたのかも知れないが、この機会に「裁判官の訴追・弾劾制度」について解説しておこう。
《裁判官の訴追・弾劾の根拠は憲法第15条にある》
 憲法第15条1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定している。この規定は憲法前文の「国民主権主義」に基づくものであり、ここでいう公務員とは、立法・司法・行政のいかんを問わず、広く国および公共団体の事務を担当するすべての公の職員をいう。
《憲法は「裁判官の身分保障」を規定しているが、同時に国民主権に基づく「裁判官弾劾罷免」も規定している》
 憲法第78条を見てみよう。「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない」
 解説をしておこう。「弾劾」とは、国民の意思を根拠に訴追行為に基づいて、公権力により公務員を罷免する制度のことである。
 憲法が裁判官について、弾劾によって罷免されることを認めた理由は、司法権の独立を実効あらしめるためには裁判官の身分が保障されなければならないが、司法権も主権の存する国民の信託により裁判所に属させたものであるからだ。それは、裁判官の地位の究極の根拠は、前述した憲法第15条(公務員の選定および罷免など)にあるからである。最高裁判所の裁判官に対する「国民審査制度」もここに根拠がある。
 従って、裁判官が罷免されるのが心身の故障のために職務を執ることができない場合に限るのではなく、裁判官が国民の信託に反すると見られるべき行為をなした場合において、裁判官の身分を保障すべき理由はなく罷免できる制度を憲法に設けているのである。
《裁判官の訴追・弾劾は、国会に弾劾裁判所を設けることが、憲法に規定されている》
 憲法第64条は「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。弾劾に関する事項は、法律でこれを定める」と規定している。これに基づき、国会法第16章に「弾劾裁判所」を設け、弾劾裁判所と訴追委員会の組織と構成を規定し、さらに『裁判官弾劾法』を制定し、裁判官の訴追や弾劾についての手続きや権限などを設けていることは、衆知のことである。
 ごく簡単にこの制度を説明しておく。日本国民なら誰でも、職務上あるいは倫理上問題があるとして、裁判官を罷免するべきと考えたとき、裁判官訴追委員会に「訴追請求状」を提出することができる。訴追委員会は、訴追請求状を受理すると、訴追審査事案として立件し審議を行う。審議には当然調査が伴い、証人の出頭や記録の提出を要求することができる。裁判官を罷免する必要があると認めるときは、訴追の決定により弾劾裁判所に訴追状を提出する。弾劾裁判所は、公開の法廷で審理を行い、罷免するか否かの裁判を行うことになる。
(裁判官訴追委員会事務局作成「訴追請求の手引き」 http://www.sotsui.go.jp/を参照)
《登石裁判官訴追請求の問題点》
 弾劾による裁判官罷免には、当然のこととして理由が必要である。弾劾法第2条には、(1)職務上の義務に著しく違反し、又は職を甚だしく怠ったとき。(2)その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき、と規定している。従って、訴追請求の理由もこれらの条件に該当するものでなければならない。ところが、『訴追請求の手引き』には、「判決など裁判官の判断自体の当否について、他の国家機関が調査・判断することは、司法権の独立の原則に抵触するおそれがあり、原則として許されません」と説明している。
 この説明に従うと、私の訴追請求は訴追委員会で受理されず審議の対象とならない可能性がある。判決の思想・姿勢・内容などに関係しており、司法権の独立に抵触するという理屈をつけてくると思われる。
 さて、罷免の第1条件である「職務上の義務」とは、「憲法尊重擁護の義務」が最大の義務ではないか。さらに、わが国の憲法は、人類が営々と築いた基本的人権を基盤としており、それに基づいて推定無罪、罰刑法定主義、証拠中心主義などのことを規定している。これらを徹底的に冒涜して、多くの国民から「裁判官の暴走」と批判された「登石裁判官」は、前述したとおり「裁判官が国民の信託に反すると見られるべき行為」そのものである。
 まさに憲法が規定した「裁判官の弾劾」の対象とすべき典型的事例である。仮に訴追委員会が「登石裁判官の訴追請求」を審議しないことになれば、訴追委員会が憲法の期待する職務を怠ることになり、「憲法の遵守義務」に訴追委員会自体が違反することになりかねない。「司法権の独立」はきわめて大事なことである。
 それは司法権が正常に機能して、社会正義を確保する役割を果たすためである。しかし憲法は、司法権を行使する裁判官が「国民の信託に反する行為」をすることを想定して、弾劾制度を設けているのである。
《登石裁判官の変心》
 登石裁判官は平成14年1月30日、北海道大学で行われたシンポジウムで、次のように発言している。
「刑事裁判も民事裁判も、要するに証拠による裁判が基本中の基本だと思います。なぜいまさらに証拠による裁判を持ち出したかというと、我々には非常に当然なことですけれども、実際の社会では必ずしもそれが理解されていないような気がするからです」
 「証拠による裁判が基本中の基本」という考え方を公言していた登石裁判官が、何時からどういう理由で、まったく証拠を無視して、憲法の規定する刑事法の原理を冒涜するような思想・信条になったのか。これはまさに「裁判官の資質」に変化があったといえる。漏れ聞くところによれば、登石裁判官は最高裁事務総局と密接な関係があるとのこと。もしかして、登石裁判官の変心は「最高裁事務総局」の、力強い指導によるものかも知れない。
 私は、日本の司法府について、立法府や行政府よりましな統治機構だと信じていたがそれは誤りだった。むしろ、国民が聖域として尊重してきた影で、どのようなことが展開していたのか、その根本を疑ってみなくてはならない。しかし前述したように、よくよく考えてみれば、憲法の裁判官弾劾制度とは、そういう思想で設けられているのだ。
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小沢一郎氏 裁判/陸山会裁判で元秘書3人に有罪判決を下した登石郁朗裁判長に弾劾裁判請求状2012-01-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 あのミスター推認 登石裁判長に突きつけられた弾劾裁判請求状 元秘書3人に妄想判決
日刊ゲンダイ2012年1月18日 掲載
<「疑わしきは全部有罪」>
 司法権力のデタラメが次々と噴出している小沢裁判。非難の声が高まる中、とうとう、陸山会裁判で元秘書3人に“有罪判決”を下した登石郁朗裁判長(57)のクビを迫る動きが始まった。裁判官を罷免するために国会で開かれる「弾劾裁判」で、裁判長自らが裁かれる可能性も出てきた。
 推認に次ぐ推認で、元秘書3人を「疑わしきは全部有罪」とした登石裁判長は、一部では“ミスター推認”なんてヤユされている。そんな登石裁判長の罷免を求めて、衆参の国会議員各10人と予備員各5人で構成される「裁判官訴追委員会」に訴追請求状を提出したのは、平野貞夫元参院議員だ。
 平野氏はその書面で、〈登石裁判官は憲法に対する職務を著しく怠っただけでなく、憲法原理さえも冒涜した〉と指摘。〈適格性や資質に重大な欠陥があり、弾劾裁判によって罷免すべきである〉と、切り捨てている。
 捜査当時、麻生政権の森英介法相が「大久保秘書の逮捕はわたしが指示した」と漏らしていたというエピソードも明らかにしている。
 平野氏がこう言う。
「西松建設事件からスタートした一連の小沢排除の捜査と裁判は、自民党の麻生政権から始まった。『政治捜査』で始まった事件だから、東京地裁の判決も『政治判断』となる可能性は排除できません。法務省・検察・裁判所の劣化に対する憤りが訴追請求の真意です」
 司法腐敗の象徴が小沢裁判というわけだが、この請求が訴追委員の賛成多数で受理されたら、登石裁判長は万事休すだ。今度は訴追状が国会の弾劾裁判所に送られ、裁きを受けることになる。
 さすがに、国会議員30人からなる「裁判官訴追委員会」も、法務委員会に11年間所属した元参院議員の平野貞夫氏が書類を提出したことで“無視”できないとみられている。
「いまや司法の信頼は完全に失墜しています。報告書にウソを書き連ねた田代政弘検事が告発され、登石裁判長には訴追請求が突きつけられた。国民もネット上の議論を見ていると、大マスコミが作り出した世論への迎合ではなく、法と証拠に基づいた判決を求めている。脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われたJR西日本前社長に“無罪判決”が出たが、裁判所も頭を冷やしたのではないか。世論に迎合していたら“有罪”にしたでしょう」(司法関係者)
 森英介氏も名を連ねる訴追委員会のメンバーがそれでも請求を無視するようなら、彼らこそ国会で追及し、罷免すべきだ。
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東京地裁 登石郁朗裁判官に対する「訴追請求状」 裁判官訴追委員会に郵送/日本一新の会代表 平野貞夫2012-01-18 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 <メルマガ・日本一新第84号>
◎「日本一新運動」の原点—91 日本一新の会代表 平野 貞夫
 1月12日(木)に、東京地方裁判所の登石裁判官に対する、「訴追請求状」を裁判官訴追委員会に郵送した後、自宅でサンデー毎日のインタビューを受けている最中に小沢さんから電話があった。「登石裁判官を告発したんだって!」と驚いていた。
 丁度同じ日に「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表・八木啓代氏)が、石川議員の調書を捏造した田代検事・他を「検察庁の一連の組織的犯行」として、最高検に告発し、それを誰かが誤って報告したのが原因らしい。
 取材で、サンデー毎日の記者が私をしきりに攻めたてたのは、4月に予定されている小沢さんの判決が「有罪か、無罪か、その割合はどうか」という質問であった。「そんな質問に答える立場にない」と断って次のように話したが、その部分は記事にならなかった。しかし、大事なことなので「メルマガ・日本一新」ではしっかり説明しておきたい。
 まず第1点は、「小沢問題」は麻生政権の「政治捜査」で始まった事件であることだ。従って、東京地裁の判決は「政治判決」となる可能性を排除できない。何故なら、憲法に基づいて「法と証拠」による判決を行えば、「政治捜査」であることが国民の前に明らかとなるからだ。
 第2点は、現在の法務省・検察・裁判所の劣化は驚くべき実態である。「小沢裁判」でそれが露呈し始めた。裁判所の裏金づくりなどの話は、元高裁判事の生目暉雄氏の『裁判が日本を変える』(日本評論社)で、国民が知るようになった。これから司法府の腐敗がさまざまな形で吹き出る可能性がある。従って「小沢裁判」で少し正常化させ、被害を最小限としておこういう心理が働く可能性もある、というのが私の見方だ。
 登石裁判官の訴追請求を行った理由は、私自身の反省が第一である。私は「検察審査会法の改悪」には関係していなかったが、裁判員制度・法科大学院制度、一連の米国化した商法改正、そして悪名高い「盗聴法」等々の成立に協力してきた自分自身の『非行』を猛省してのことである。
 西松建設事件から始まる一連の「小沢排除の捜査と裁判」は、自民党の麻生政権から始まって、民主党・菅政権に司法官僚によって引き継がれたものといえる。ここに問題の本質がある。さらに巨大メディアがそれを煽動しているという実態が、野田政権でも営々と続いている と私は見ている。この底知れぬ流れの中に、現在わが国のあらゆる部分を劣化させた「悪性の癌」が潜んでいると思う。
 私が叫びたいのは、日本を支配しているのは、必ずしも財務官僚だけではない。実は財務官僚も恐れる集団があるのだ。それは司法試験という最も難解な試験に合格した人たちでつくられたものである。勿論、その人たちの中には、人々のために自分を犠牲として生きている人たちが多くいることも承知している。しかし、財務官僚をも支配するというか、コラボレーションして、わが国を統治支配しようとする「検察官僚」の存在である。法務省に、100人を超える検事をいれ、最高裁事務総局に約30%の迂回検事がいて、内閣法制局を通じて、司法と行政を支配している実態を、国会議員はなんと考えるか。
 それに加えて、最近各党の弁護士国会議員が増加している。それは決して悪いことではない。立派に職責を果たしている弁護士・政治家を何人か私は知っている。しかし、民主党政権となって、弁護士・政治家が高い権力の地位に就くようになってこの方、国政に多くの障害が出ていることも事実である。
 私が参議院議員として約11年間、法務委員会に所属していたのは、国家社会の正義を担保するのは、司法界にあるという強い思いであった。そのため、司法に関わる人材の養成、人間としての常識と誠実を持つための改革を志したのだ。この部分の腐敗と劣化が、今日の悲劇であるという憤りが、訴追請求の真意である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
訴 追 請 求 状(写)
平成24年1月12日
裁判官訴追委員会御中
                郵便番号 ***−****
                住  所 千葉県柏市
                     ********
                氏  名 平野 貞夫
                電  話 ***-****
 下記の裁判官について弾劾による罷免の事由があると思われる
ので、罷免の訴追を求める。
                記
1 罷免の訴追を求める裁判官
  所属裁判所   東京地方裁判所
  裁判官の氏名  登石郁朗裁判官
2 訴追請求の事由
  (総論)
 上記登石裁判官は、平成23年9月26日、自分が裁判長として担当した事件、『平成21年(特わ)第517及び平成22年(特わ)第195号、政治資金規正法違反被告事件』の判決において、法治国家たるわが国の憲法、刑事法規等の基本理念を否定するだけでなく、人類が営々として築き上げた基本的人権という条理を冒涜する、異常な心理状態で判示したものである。
 多くの常識を持つ国民から、登石裁判官の精神状態は異常と危惧した意見が噴出し、これでは民主社会の正義も国民の安穏も維持できないと、「裁判官の暴走」に厳しい批判が続出した。
 裁判官にとっての職務上の最大の義務は「憲法の遵守」である。登石裁判官は憲法に対する職務を著しく怠っただけでなく、憲法原理さえも冒涜したものである。このことは、裁判官としての威信を著しく失わせただけでなく、司法の権威と信頼を失脚させた。これは裁判官としての非行に止まらず、、人間としての非行に値
する。これを非行といわずに何を非行というのか。
 登石裁判官は、この「裁判官の暴走」といわれる異常判決を代表する裁判長たる司法官である。その適格性や資質に重大な欠陥があり、弾劾裁判によって罷免すべきである。
(代表的問題点の指摘)
(1)前記政治資金規正法違反被告事件は、平成21年3月3日の大久保秘書逮捕の西松建設事件から始まる。これは民主党への政権交代を阻止するため当時の麻生政権が政治謀略として、小沢民主党代表を政界から排除しようとして仕組んだ事件である。
 私自身、その傍証をもっている。大久保秘書逮捕の2日前の3月1日、当時の森英介法務大臣から直接、「小沢代表は、平成時代になってから日本の政治を崩壊させた悪い政治家である」等の暴言を聞かされ、何か事件的なものが起こりそうな予感があった。その後、森法務大臣と親しく、私の友人でもある財界人から「森法務大臣が、大久保秘書逮捕は私が指示したと内輪の会合で聞いた」との情報を知らされた。また、政府高官が同じ政治資金規正法問題を抱えた数人の国会議員について「自民党には波及しない」と発言して問題となった。故に、これらの事件は捏造された政治捜査である。これらの点を私はテレビや著書などで問題の提起を行ったが、裁判では一切採り上げなかった。これらは、議会民主政治の根幹を問う問題であり、登石裁判官は著しく職務を怠ったといえる。
(2)平成23年12月16日、小沢一郎氏の強制起訴に係る陸山会事件の東京地裁公判に証人として出廷した元検事・前田恒彦氏は、東京地検特捜部に応援入りしたときの状況について、次の趣旨の証言を行った。「陸山会事件の捜査で検察のやり方は問題があった。・・・主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ・・・』といわれた。当時問題となっていた4億円について、(検察内部では)5千万円は水谷建設、1億円は○○建設などと筋を描いていた。現場を追いかけている担当検事らは、裏金の話を聞き出せないと感じた。・・・4億円が企業からと妄想する人もいたが、正直ついて行けなかった。○○検事も『石川さんの5千万円の裏金の事実はないんじゃないか』と言っていた。副部長検事も『おそらくない』という認識だった。・・・この事件で、捜査体勢が、途中でものすごく拡充された。『業者班』の捜査員を増やした。でも調書がないでしょう。裏金を渡しているという、検察の想定と違う取り調べ内容は証拠化せず、メモにしていた。」
 この前田元検事の証言は、(1)で述べた私の主張を証明するものである。これらの捜査段階の空恐ろしい実態は、裁判の審理で究明されるべき問題であった。それがなされなかったことは、裁判の公正さを著しく毀損した。昭和9年のいわゆる「帝国人絹事件」は、当時の東京地方裁判所が公正な審理を行い、軍部と司法省首脳が内閣の倒壊を図るために仕組んだ検察ファッショであることを明らかにし、被告全員を無罪とする歴史に残る判決を行った。ところが、今回の登石裁判官による判決は、前田元検事の証言が示唆するように、政治捜査であり、検察側の議会民主政治を抹殺する狂気の捜査を糾弾すべき立場にありながら、その問題の検察調書をも逸脱して、裁判官が憶測、さらには妄想と思われるものまで推認で断定した。これらのことは、裁判官の暴走として多くの国民を不安のどん底に陥れた。司法の権威を陥れた責任は重大である。
(3)判決の代表的問題点は2つある。第1は、西松建設事件の背景事情として、東北地方の公共事業での受注決定の際、大久保秘書が業者を決める『天の声』を出す役割を担い、ゼネコンから多額の献金を受け入れる窓口だった、との部分である。
 第2は、陸山会事件の背景事情として、小沢氏の地元の「胆沢ダム建設工事」受注に絡み、水谷建設から04年10月に石川知裕被告に、翌05年4月には大久保被告に、それぞれ5千万円が渡ったと推論した上で、陸山会の土地購入の原資となった小沢氏からの借入金「4億円」について、原資が証拠上明らかであるにも拘わらず、原資不明と妄想し、4億円での土地取得が発覚すれば、裏献金や企業と癒着した資金集めの実態が明るみに出る可能性があるために隠蔽した、と推認した部分である。
 両件とも証拠はなく、中には検察調書によらず、憶測、推論、妄想ともいえる心理状態で判決したものもある。これが裁判所の判決として通用するなら刑事裁判を行う意味はない。憲法で保障される裁判を受ける権利とは何か。憲法に保障されている「推定無罪、罪罰法定主義、証拠中心主義」のすべてを冒涜して、裁判官の恣意的価値観によって、特定のストーリーを予め描いた上の判決といえる。従って、登石裁判長の憲法に対する理解度が正気でないことは明らかであり、裁判官としても資質に著しく欠けるといえる。裁判官の「自由心証主義」とは絶対的なものではない。憲法の原理や規定の範囲で存在するものである。登石裁判官が、何故「裁判官の暴走」と言われることを行ったのか、この点の究明も必要である。精神状況の異常さによるものか否かの判定は、裁判官訴追委員会の責任において究明すべき問題である。そのための訴追請求でもある。
(結び)
 個人的なことだが、私は平成3年7月から同16年7月まで、参議院議員であった。平成4年から約11年間、長期にわたって法務委員会に所属し、その間集中して行われた司法改革に全力を尽くしてきた。今日の検察と裁判所の暴走と劣化を見るに、慚愧に堪えない。司法制度の改革に関わった私が裁判官の訴追請求を行うことは、自己の反省を含め身を切る思いの決断であった。
 本訴追請求が訴追委員会において、仮に不問に付されるとすれば、登石裁判官は憲法上の的確な資質を公認されることになる。となると、重大な問題が起きることについて是非とも触れておかねばならない。まず、「裁判官の暴走」といわれる異常な判決が特定の目的をもって行われたという疑惑である。
 すなわち、平成23年10月6日から、東京地方裁判所で始まった小沢一郎氏が検察審査会の強制起訴による裁判を、有罪に誘導するための政治判決となる。
 そもそも、小沢一郎氏に関わる「西松建設事件および陸山会事件」を強制捜査したこと自体が、前述したとおり、議会民主政治を破壊する政治捜査であった。検察が総力を挙げて約1年半の時間と巨額な税金を使って起訴できなかった事件を、政治権力と司法権力が癒着して、検察審査会を利用しながら強制起訴とした疑惑が生じている。
 「強制起訴」された小沢一郎氏の東京地方裁判所での公判で、証人として出頭した田代検事(石川知裕被告の取調担当)が、虚偽の捜査報告書を提出していたことである。それが強制起訴に対し、大きな影響を与えたことが判明し、これが組織的に行われた可能性がある。私は「小沢問題」は国家権力が複合して捏造した「権力犯罪」だと推認している。
 しかし、現在の衆参両院議員の多くは、与野党に渡ってそのような認識をしていない。もし、登石裁判官の判決が判例として定着するとなると、検察が起訴しなくても、裁判官が証拠もなく、推認で判断すれば、政治家を犯罪人に仕立てたり、政治生命を失わせることが可能となる。いわゆる「小沢問題」は、国民主権に基づく議会民主政治が、わが国で維持できるか否かの瀬戸際といえる。
 さらに、登石判決を正当として支持する法曹界の一部の人たちの主張によると、近年に世界の主流となった「法廷中心主義」の影響とのこと。裁判ですべてを決めていくという米国流の司法手続きがわが国でも主流になったとの論である。確かに裁判員制度など、米国の司法制度を導入した部分もあるが、憲法や刑事法規が規定する「推定無罪・罪罰法定主義・証拠中心主義」などは遵守されなければならない。それが司法手続きの基本である。
 若し、米国流の法定中心主義に改めるとするなら、それは国会における立法によって改めことが議会民主政治であり、検察や裁判所の恣意で変更できることでは断じてない。
 要するに、国会が本来の役割を果たしていないからこのような事態となったのである。国会議員の多くが、議会民主政治の本旨について無知、無感覚であることが原因である。現在のわが国の統治機構、特に司法府はきわめて危機状況である。難しい司法試験に合格した代わりに、人間性や常識を失ってロボット化した人間たちが、立身出世で拝金という価値観にとりつかれ、精神や心理状況を著しく異常化させて、司法界という特殊な世界で人間性や常識を捨て蠢いているのである。私が参議院議員として担った司法改革は、司法界で活躍する人材に、人間性を回復させることであった。
 登石裁判官の判決は司法改革に逆流した典型といえる。
               記
  裁判所名:東京地方裁判所刑事第17部
  事件番号:平成21年(特わ)第517号及び
       平成22年(特わ)第195号
  当事者名:被告 石川知裕衆議院議員、
       池田光智及び大久保隆規元秘書
  代理人名:木下貴司、高橋司、吉田美穂子弁護士他
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
事務局雑話
サンデー毎日の「小沢裁判『推認有罪』の確率」は是非ともお手にとって読んで頂きたい。「司法の浄化は、国会でなければできません。小沢鋭仁委員長に言いたい。訴追委員会に私を呼んで欲しい」と、後期高齢者の平野代表が絶叫しているので、与野党を問わず、心ある国会議員に届くことを期待したい。またぞろ「小沢氏の証人喚問を!」と、ミゾの切れたレコードの真似事を繰り返している「健全野党」という仮面をかぶった政党もあるが、「小沢問題」は、良心に照らして国家を担うすべての国会議員に共通する課題であることに一日も早く気づいて欲しい。 *強調(太字・着色)、リンクは来栖

小沢一郎氏4月判決 大善文男裁判長=トップクラスのエリート裁判官/体制寄り/予定調和的な判決ばかり 2012-01-13| 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 小沢裁判 判決は4月 大善エリート裁判長の気になる評判
日刊ゲンダイ
2012年1月13日 掲載
判決は日本の裁判所の公正と正義の判断基準となるだろう
 小沢一郎・元民主党代表(69)をめぐる世紀の「魔女狩り裁判」は、ヤマ場の被告人質問を終えた。4月に予定されている判決公判で、裁判長はどんな判断を下すのか。
 裁判を指揮しているのは大善文男裁判長(51)。早大法学部出身で、裁判官歴26年のベテラン。司法研修所教官、高松高裁事務局長を経て、10年4月から東京地裁刑事11部の部総括判事を務める。
「外見は典型的な『バーコード頭』だが、83年に司法試験に合格した38期の司法官僚の中では、トップクラスのエリート裁判官です。柔和な表情で被告人に話しかけるのが特徴で、将来の最高裁判事は確実とみられています」(司法記者)
 13回に及ぶこれまでの裁判では、検察審査会(検察審)が小沢を強制起訴した“決め手”となった捜査報告書が検事の捏造だったことがバレ、事件自体がデッチ上げだった疑いが濃厚になった。「市民感覚」で考えれば「無罪確実」だが、大善裁判長はそんな当たり前の判決を書けるのか。約3300回の裁判を傍聴してきたジャーナリストの今井亮一氏はこう言う。
「大善裁判官はニコニコしていて、まるで安アパートにでも住んでいそうないいオジサンという雰囲気ですが、判決は厳しいものになるでしょう。東京地裁で裁判長を務めるのはエリート中のエリート。よほどのことがない限り、警察や検察の筋書きを追認するのが普通です。つまり、被告人側の主張は執拗に疑い、検察側の主張は信用できる部分を探し出す。そうやって理屈をこねて検察側の筋書きに“お墨付き”を与えるのが一般的です」  実際、裁判官質問では、億単位のカネの管理を秘書に任せていた、とする小沢の姿勢を“疑う”ような発言が繰り返された。
 しかし、「疑わしきは被告人の利益」という刑事裁判の大原則が裏切られる結果になれば、日本の司法は死んだも同然だ。まして、小沢事件は、東京地検が「有罪にできない」と不起訴にしたものだ。4月の判決は裁判所が本来の役割である「公正」「正義」を取り戻せるかの判断基準となる。 

小沢一郎氏「お見舞いに歩くのが政治家の仕事なのか?お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか?」 2012-01-05
 〈来栖の独白2012/01/04 Wed.〉
 --前段 略--
 当然のように、このような政治家が国民に理解されることは稀である。剛腕などと云われ、嫌われる。「災害があればいち早く現地に駆けつける」という動きの良さもないので、不可解である。ポピュリズムとは対極にある。
 この種の政治家は、国民からの人気がないばかりではない。既得権益といった旧弊にとらわれないので、官僚からも嫌われる。おまけに要領が悪いゆえ、エンタメ(メディア)に貢献するところなく、嫌われる。
 国民(検審)・官僚・メディアから嫌われれば、行き着く先は決まっていよう。かくて小沢一郎氏は、地元から帰京すれば、10日、11日の裁判(東京地裁 公判)が待っている。被告人質問である。
 東日本大震災という未曽有の苦難のなかで、この国はかくも、有為な政治家の手足を縛った。
 ところで、ここからは余談になるので後日に稿を改めたいと思うが、昨年より深く憂慮している一事がある。4月にも判決といわれている、小沢一郎さんの裁判である。
 陸山会事件登石郁郎裁判長の判決で思い知らされたが、裁判長には裁判長で、縛りがかけられているということだ。登石裁判長の下した判決は、郷原信郎氏のような専門家は無論のこと、私のような素人がみても、おかしな判決だった。なぜ、このような恥ずべき判決文を書かなければならなかったのか。まかり通ったのか。
 新藤宗幸氏はその著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)の中で、次のようにいう。
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
 裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
 政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
 ここでも“官僚”である。上の文脈によれば、小沢氏裁判で「無罪」と書いて大善文男裁判長個人に利するところがあるか。無い(だろう)。地方の簡裁か家庭裁判所へ飛ばされるのがオチであろう。
 前田元検事は「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」と証言している。裁判所にとって、被告人に利するか、はたまた長く利益を分かち合ってきた検察との仲を保つかを天秤にかけるなら、答えは歴然としていよう。
 そのことは、検察と一体となり走狗となって「小沢 クロ」と書いてきたメディアとっても同様である。ここで「小沢 無罪」が出たなら、メディアは、どう書けばいいのか。
 ことほど左様に、司法には司法の事情があり、裁判所と検察には判検(一体)の、検察とメディアには検察とメディアの、それぞれ譲れぬ事情がある。
 深く憂慮に堪えない。小沢氏無罪は、難しい。

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